さて、まずは前回の記事でECBの国債買い取りプログラムの話を書いてタイムオーバーになり、書ききれなかった米雇用統計について。
前回の記事でもお話ししましたが、今回、失業率は前月の8.3%から8.1%に低下しましたが内容は悪いです。この結果を受けて追加緩和、QE3が行われるんじゃないかという期待が高まり株高、ドル安、という感じになっています。雇用統計が悪い=追加緩和=お金ジャブジャブで株高&ドルの価値低下でドル安、というシナリオを描いて、雇用統計の内容が悪いほうが株が上がりやすいと言うおかしなことになっております。というところまで前回の記事でお話ししました。
早速その中身をいつもの表で見てみましょう。今回ちょっと表の中の表記を替えました。「働きたくない人」は原文では[Do not want a job]なんですが、「仕事求めてない」という表現に変えました。「働きたい人(働きたいけど職探してない)」も原文は[Want a job]で、「仕事ほしいけど探してない」に替えました。その内訳の表現も同様に変えてます。
まず、民間人は21万人増加。一方で労働力人口は37万人減少。雇用者数も12万人減少。失業者は25万人減少してこれが失業率を低下させてます。労働力人口の低下率よりも失業者の低下率のほうが高いですからね。
失業率が8.3%から8.1%に減少しているのに前月比-0.1%となっているのは、私の計算だと前月が8.254%で今回が8.111%で、小数点1位までだと8.3%と8.1%なんですが、差し引いた0.143%の減少を小数点1位表示すると-0.1%になってしまうということなのであんまり気にしないでください。
労働力人口が37万人減少していて、そのうち「失業者」が25万人減少でこれは何度もお話ししていますが、あくまでも<失業している人のうち、職探しをしている人の人数>です。労働力人口に含まれない人が58万人増えているうちの19万人は仕事ほしいけど探してない人の増加分。失業中に仕事探しをあきらめちゃった人です。失業していて職探しをしている「失業者」が25万人減り、失業してて仕事探しを諦めた人が19万人増加したということです。失業していて職探しをしている「失業者」の減少で「失業率」は低下したわけですが、職探しを諦めた人が増えて失業率が低下したとも言えます。
というわけで失業率は低下しましたが、その内容は悪く、市場は雇用情勢厳しい→QE3の可能性高まった→QE3やれば株高だ、と期待しているというわけです。
QE3をやったところで実体経済への影響は小さく効果はあまり期待できない、かつてないほど伸びきってしまったゴムをこれ以上緩めてもしょうがない、ドルの価値が低下するだけのことだ、QE3はデフレが懸念する局面でしか正当化されない、という声も聞かれます。
果たしてやるんでしょうか。
失業率推移のグラフも更新しておきます。
低下してきていますが、いまだに高水準です。繰り返し申し上げていますが、雇用情勢と言うのは急に劇的に変わることはあんまりありません。回復には時間がかかるものなのです。しかも最近で一番のかなり大きな傷を負ってしまったわけですからそのえぐりとられたところを回復するには通常以上の時間がかかると考えるべきだと思います。以前書いたこの記事
http://jovivi.seesaa.net/article/279577845.html
のグラフで、失業率が6%まで下がるのにあとどのくらいかかるのか、米国の金利が戻って円安になっていくまでにあとどのくらいかかるのか、ご自分なりのシナリオを描いてみてはいかがですかというお話をしましたが、皆さんの見通しだとあの何年くらいかかりそうでしたか?来年前半に、という見通しはやはりかなり楽観的な見方と言えるんじゃないでしょうか。
続いてヨーロッパ。ユーロ圏の失業率もアップデートしておきます。EUROSTATのデータベースがソースなので相変わらずアップデートが遅く7月分まで、ギリシャは5月分までのデータです。
こんな感じです。スペインの失業率はついに25%を突破しました。若年層失業率ではないです。全体の失業率が25%突破です。ひどい状況です。ギリシャは5月で23.1%、今週ギリシャ国家統計局が発表したデータでは6月の失業率は24.4に上昇していたとのことです。さっきとったEUROSTATのデータベースはまだ更新されていなかったんで、そのままにしてあります。
フランスですら失業率10%を超えています。アメリカは失業率が少しずつ低下していますが、ヨーロッパはドイツ以外はまだ上昇しているところが恐ろしいです。まだペースを落とさずにガンガン上がってますからね。これで緊縮財政をやったら更に・・・ということになるわけですが、緊縮財政をやらなければ借金問題は片付かないし、その前に例の国債購入プログラムも利用できないし・・・というわけでかなりきついです。
で、ユーロ圏の若年層失業率のグラフです。
4月のアップデートの時に既にスペインとギリシャは50%を超えていましたが(ギリシャが50.4、スペインが50.5でした)、そこから更に上がっています。イタリアも31.9%だったのが35.3%に上昇し、イタリアの25歳以下の若者の3人に1人は失業していることになります。フランスも21.7%だったのが23.4%に。
この記事
http://jovivi.seesaa.net/article/238581248.html
でも書いたので詳細は割愛しますが、日本とは文化が違う・制度が違う、では「若年層失業率が上がってきている」ことを説明できませんし、職探しをしてない人、職探しを諦めた人、働く意思・能力がない人、という人は「失業者」にも「失業率」にも含まれていません。その人たちまで含めたら先ほどの数字は更に上がります。
というわけで引き続きヨーロッパの状況は米国以上に深刻です。日本で報道されている以上に深刻です。
今後、債務問題解決のために緊縮財政を行っていくことで雇用環境は更に悪化する可能性があります。
またアップデートします。
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お元気そうでなによりです。
詳細な解説、ありがとうございます。m(_ _)m