まずは昨日大急ぎで書いたMFの続報。
MFの買い手候補だったインタラクティブ・ブローカーズからは「買収を検討したが、顧客資産と自己勘定の区分や勘定に関して不透明な部分が多いことが判明してからは取りやめた」とのコメントがあったとブルームバーグが報じました。
また、WSJは米連邦規制当局筋の話として、MFは顧客勘定から資金が流用されていることを認めたと。米CMEは、MFが顧客資産を自己勘定から区別する規定を順守していなかったと指摘。
一方で、MFの弁護士は連邦破産裁判所で「顧客資産を全て把握・計上している。経営陣が知る限り欠損はない」と述べたとのこと。米商品先物取引委員会がMFに対して、検証のための記録を保全するよう命じたとの報もありました。
さて、真実は?続報が気になるところです。
次。昨日もお伝えしたようにイタリア国債が大きく価格下落しておりまして、利回りは上昇中。現在、イタリア国債の利回りは10年国債が6.25%、5年債6.10%、2年債も5.36%となっています。こんなレートで次々にやってくる国債の借り換えをこなしていったらエライことになります。そうすると・・・身内が安い金利で貸してあげるしかなくなりますね。これがギリシャとかアイルランドとかポルトガルのケース。10年国債が7%を超え、5年債が7%を超え、2年債が7%を超え、とくると、ハイそこまでー、で緊急融資の実行と。7%超えてくるといよいよ滑走路に入ってきて、あとは滑走路を駆け抜けてテイクオフ、という流れは何度かこのブログでお伝えしてきました。完全に滑走路に向かってしまっているイタリア。果たして引き返せるのか?
イタリアが市場で国債の借り換えができなくなったとき、これは本当にヤバイです。借金の額がギリシャやポルトガルの比ではないイタリア国債の借り換えをEFSFが肩代わりしていくことは今のパッケージではとても不可能です。イタリア国債の利回りは今後も注意深く見守っていく必要があります。
で、ギリシャ。国民投票をやる方向で進んでます。なんの国民投票をするのかと言うと、こないだ合意した包括策の是非をギリシャは国民に問うと。昨日の時点では与党PASOK当局者が、パパンドレウ首相の国民投票計画は「基本的に計画倒れ」になっているとの限界を示した、なんて報道もあって、マジでやるの?という感じだったんですが、どうやら本当にやる方向のようです。現時点で伝わってきている情報では、ギリシャは国民投票をする方向で、他のユーロ圏諸国は意地でもそんなものはやめさせたいと。
ギリシャに対して銀行などが持っている民間の債権を50%カットしてギリシャを救う、っていうのが先日合意した包括策なのに、なんで助けてもらうギリシャが国民投票して国民に是非を問うの?そんな権利あるの?そんな必要あるの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。あ、包括策の中身については先日のこの記事
http://jovivi.seesaa.net/article/232600830.html
でコメントしてありますのでよかったらどうぞ。
今回の包括策は、ギリシャの借金を少なくしてあげるというものですが、当然ながらその条件としてギリシャには財政再建を求め、税収を増やし、支出を減らすことをこれまで以上に強くより厳しい水準で求めていくことになります。緊縮財政や今回の問題を招いた政府に対してギリシャ国民が怒って大規模なデモをやったり、しまいには死者が出てしまったり、というのはお伝えしてきた通り。
もの凄く荒く説明してしまうと、ギリシャという国は、政治家が「私のこと支持してくれますか?そうですか。ありがとう。じゃああなたを公務員にしてあげましょう。クビにならないし公務員はいいですよ。給料も高いですし。」という感じで公務員を増やし、公務員の数がメチャクチャ多くて、就業人口の4人に1人が公務員と言われてます。しかも高給と。国会議員の数も300人と国の規模の割にかなり多いです(日本人に言われたくねーよ、と怒られそうですが)。そうやって政治家が財政をメチャクチャにしていき、しかも財政の数字を虚偽で公表していて、正しい数字を発表した時にはどうしようもないくらいの状態になっていたという感じです。
で、市場からは完全に見捨てられ、市場での借金の借り換えは難しくなり、他のユーロ圏の国々に助けてもらい、助けてもらう以上は財政健全化を当然求められると。
増税や年金削減はもちろん、公務員の給与を削り、公務員の数を減らし・・・すると公務員たちの不満が高まります。高給くれよ!約束したじゃないか!クビなんて冗談じゃないぞ!年金もちゃんとくれ!増税反対!
そうやって就業人口の4分の1も占める公務員の不満が溜まってくると次回の選挙も危うくなります。政治家はなんとか公務員のご機嫌をとりたくなります。そして、公務員以外の民間人はただでさえ割を食ってるのに、増税や年金削減のあおりをくらい、政府は財政支出なんてとてもできない状態でどんどん景気が悪化、みんなお金を使うなんてとてもできなくて消費も落ち込んでいくと。生活は日に日に苦しくなり、失業率もどんどんあがっていく。国民の不満は高まる一方です。
という状態で、合意した包括策によって借金の棒引きをしてもらう代わりにここから更に財政を絞ることを要求される、となるとギリシャ国民としてはもうイヤだ!となるわけです。で、国民の皆さんの声を聴きましょう、国民の皆様に問うてみましょう、と首相が国民投票実施を計画したと。
ちなみに包括策の合意後の世論調査では、ギリシャ国民の44%が包括策を「好ましくない」と回答し、15%が「恐らく好ましくない」と回答。つまり6割の人が好ましくないと思ってると。こんな状態で国民投票やれば・・・まぁ、NOということになるんでしょうね。返ってくる答えはNO以外想像できません。で、NOということになれば、この間せっかく合意した包括策もパーということになりますね。そうなると次回のギリシャの国債の借り換えや利払いはどうするんだと。身内が貸してくれなきゃ市場からとんでもないレートで調達するか、今はとんでもないレートでも貸してもらえないと思うので、デフォルトするか・・・ということになりますね。
今回の合意が踏みにじられてしまうと、今後は個別の融資の話だってまとまりにくくなると思います。状況は相当悪いです。
というわけで、予想以上に早くこの記事(http://jovivi.seesaa.net/article/232600830.html)で書いた例え話の続きが書けてしまうことになってしまいました。
働かず、稼ぎもしないのに浪費癖があって借金漬けの人がいて、毎月の返済は別のところで借りてきてなんとかしのぐという生活をしていたが、ついにどこも金を貸してくれなくなった。そこに紳士が現れて「よろしい、私がこの人の来月分の支払いを立て替えましょう。」と申し出た。ある時急にこの借金漬けの人の親戚の男が現れて借金取り達にこう凄んだ。「オイ、お前らがこいつに貸してる金、半分にしてやってくれや」と。借金取り達はしぶしぶこれに応じ、この借金漬けの人の借金は少し減った。というところまで前回までのあらすじ。
借金漬けの人の親戚の男は、保険での穴埋めもできなくなってしまった泣きっ面に蜂の借金取り達がにこう言います。「まぁ、半分返ってくるだけでもいいじゃねーか。こいつが吹っ飛んだらそれこそ全額回収できなくなるかもしれねーんだからよ。その代りよ、こいつには就職活動をさせて、これからは真面目に働かせて、バクチや浪費癖もやめさせて、なんとか少しずつでも返していけるようにさせるからよ。」
ところが、この借金漬けの人は、借金を半額にする交渉をしてくれた親戚の男に向かってこう言います。「イヤだイヤだイヤだ!今だってもうずいぶんガマンしてるんだ!お金だってあんまり使わなくしたんだ!いっぱいガマンしてるんだ!これ以上ガマンするのなんてイヤだ!働くのもイヤだ!めんどくさいもん!遊んでたいもん!」
さすがの親戚の男も呆れてものが言えません。脇で聞いていた借金取り達の表情も曇っています。「借金半分にするって話でしたが、こいつ、こんな調子で本当に借金返せるんですか?怪しいもんですね。うちはとりあえず半分にするって話はナシにしてもらいますわ。こんな調子じゃいつ吹っ飛ぶか分かりませんからね。少しでも多く回収させてもらいますわ。」「うちもそうさせてもらうわ」「うちも・・・」
これでは、せっかくまとまりかけていた借金棒引きの話が崩れてしまいそうです。果たして親戚の男の苦労はなんだったのか!?
つづく。
こんな感じですかね。
さて、そんなギリシャの国債の利回りを見ておきましょう。10年国債が25.5%、5年債が34.5%、2年債が96.7%です。1年債に至ってはなんと233.4%!
この1年債の利回りが200%を超えている状態は、100億円買うと1年で200億円の金利がもらえてしかも1年後に元本100億円が返ってくる、という意味ではありません。それは直利200%の状態です。直利が200%を超えてるわけではありません。
以前この記事
http://jovivi.seesaa.net/article/225805786.html
でも書きましたが、市場では債券の利回りは通常、最終利回り(終利、YTM)で表示されます。200%という利回りには償還時に得られるキャピタルゲインが含まれています。分かりやすく額面100でクーポン3%(100に対して3のクーポンがもらえる)、1年後に満期を迎える債券で説明しますと、もしこの債券が大幅に価格下落して、30で取引されている場合、
直利:3(インカムゲインは額面100に対してもらえる)÷30=10%
終利:{3(インカムゲイン)+70(キャピタルゲイン、30で買ったものが100で返ってくるので)}÷30=243%
こうなります。
ギリシャの1年国債の利回りが200%を超えているのは前者の直利で超えているわけじゃなくて、後者の終利での話ね。
今日はこんな感じでございます。
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ギリシャは詰んだんですよね?
しかし、自分から詰まされに行くとは、
マゾなのかなあ?
理解不能です。
お忙しいのにも関わらず、いつも丁寧な御考察を我々、投資の素人に披露して頂きありがとうございます。
ところで、世界中の金融市場が疑心暗鬼となっている中、アメリカではこれから一年、グルーポンやジンガ、そして最強のフェイスブック等のソーシャル系と呼ばれる新興企業群のIPOが相次ぐ予定ですが、それらの企業群のIPOがアメリカ経済に与える影響について(例えば雇用や消費等)、出来うる限りで良いので教えて頂きたいと考えてます。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
ギリシャは本当にどうしたいんでしょうね・・・全部なかったことにしてほしいのかもしれないですね。
頭に血が上ってギャンブルで大負けしてしまった後の気持ちに似ているのかもしれません・・・
これからもよろしくお願いします。
ソウセキさんへ
こんにちは。コメントありがとうございました。
いただいたご質問ですが、率直に印象を申し上げれば、株式市場には影響があるでしょうが、雇用や消費といった実体経済にはさほど影響があるとは思えません。経済規模も大きい国ですからね。
みなさん、いただいたコメントへのお返事が遅くなってすみませんでした。