以前からの繰り返しになっちゃいますが、この記事(http://jovivi.seesaa.net/article/113138780.html)でまとめたやつがいいかな?今の市場で起こっていることっていうのは、明るいニュースが流れるか、暗いニュースが流れるか、で
株⇔債券
高リスク資産⇔低リスク資産
低流動性資産⇔高流動性資産
運用先通貨⇔ファイナンス通貨
これらの間をお金が行ったり来たりしていて、それぞれの駅と駅の間を超短期間で折り返し運転するスイッチ電車が行ったり来たりしているような状態です。そういう中で、行ったり来たりを繰り返す中で、右側に書いたもの、債券、低リスク資産、高流動性資産、ファイナンス通貨、に向かう動きのほうが強くて、右側へ右側へと大きなトレンドもシフトしてきています。
サブプライムローン問題に火がつく前の、2003年から2007年までの相場っていうのは完全にこの逆で、右側に書いたものから左側に書いたものへのシフトが続き、途中行ったり来たりはあっても大きなトレンドとしては右から左へ、でした。
その前の97年から2003年までってのは、もっと行ったり来たりが激しくて、その頻度が高く、波も大きかった時代でした。97年のアジア通貨危機から始まって、ロシア危機、LTCMの破綻、日本の金融機関の相次ぐ破綻、ITバブルの崩壊、日本の不良債権問題表面化、米国同時多発テロ、エンロンとワールドコムの粉飾決算破綻による企業会計不信、アルゼンチンのデフォルト、などがあった時代です。
そして、今回はアメリカのサブプライムローンの問題が顕在化しただけでなく、アイスランドをはじめ、ヨーロッパの国々がとってきたリスクも顕在化してきました。ヨーロッパの話はこのへんの記事をご参照ください。
http://jovivi.seesaa.net/article/114081920.html
http://jovivi.seesaa.net/article/113834745.html
http://jovivi.seesaa.net/article/113138780.html
http://jovivi.seesaa.net/article/114418779.html
この1年半ほどの間起こっている
株→債券
高リスク資産→低リスク資産
低流動性資産→高流動性資産
運用先通貨→ファイナンス通貨
という流れを見てみましょう。
いくつかのグラフを見ていただきます。
まずはこちら。

1つ目のグラフは2007年1月からの世界株の動きと、米国の10年国債利回りの動きです。世界の株価が下がりながら、米国債の利回りが下がってきました。もらえるクーポンの額が変わらずに債券価格が上昇すると債券の利回りは低下します。例えば、100ドルの債券で、毎年3ドルのクーポンがもらえるという場合、3÷100で利回り3%ですが、毎年3ドルのクーポンがもらえるこの債券の人気が高まって、120ドルでも買うなんて人が出てくると、3÷120で利回りは2.5%に低下します。1つ目に示したグラフは世界株が下落しながら米国債の利回りが低下してきた、つまり米国債の人気が高まってきたということがわかります。
2つ目のグラフは1つ目のグラフの米国の10年国債利回りの動きに、ハイイールド社債のスプレッドの動きを合わせたものです。ハイイールド社債ってのは、通常、社債の格付けでAAA、AA、A、BBBまでが投資適格と呼ばれるもので、これに対して格付けがBB以下の社債が投資不適格、投機的格付、ハイイールド社債、なんて言われ方をします。要は信用度の低い会社、潰れるかもって思われてる会社の債券ってことです。あやしいって思われてるわけですから、投資適格社債と同じ利回りなんかじゃお金貸してもらえませんから、大きな上乗せ金利を払うことになります。
この上乗せ金利の幅(国債に対する上乗せ幅)を「スプレッド」「信用スプレッド」「クレジット・スプレッド」なんて風に言います。もちろんこうしたハイイールド債は信用力が落ちるだけでなく、流動性の面でも米国債や投資適格社債よりも劣ることになりますから、相対的に流動性が低い資産ということになります。
サブプライムローン問題が顕在化する前の2007年1月ごろの目盛りを見て頂ければ分かりますが、その頃は米国債の利回りが470bps(4.7%)くらいだったわけですが、これに対するハイイールド社債のスプレッドは270bpsくらいしかありませんでした(ちなみにその頃の投資適格社債はスプレッド70くらい)。つまり、投資適格の会社なら米国債利回り4.7%に2.7%のスプレッドを上乗せした7.4%でお金を借りることができていたというわけです。投資適格の会社なら5.4%で借りることができてました。
それがサブプライムローン問題顕在化後の世界的なリスク回避の流れ、高リスク資産→低リスク資産、低流動性資産→高流動性資産、という資金シフトの中でハイイールド社債のスプレッドは一気に上昇し、今は1800bpsを超えています。ベースとなる米国債の利回りは2.5%まで下がったのに、スプレッドは18%以上、つまり20%以上の金利を払わないと貸してもらえない状態になりました。
これら2つのグラフだけでも、株→債券、高リスク資産→低リスク資産、低流動性資産→高流動性資産、というのがハッキリと見えるんじゃないかなと思います。でも、せっかくだから他にもいろいろ見てみましょう。
次はこれ。

1つ目のグラフは2007年1月以降の、いくつかの種類の債券の信用スプレッドの推移と、それらの債券に投資していた場合のパフォーマンスをとったものです。社債と書いてあるものは投資適格社債です。ここでは投資適格社債、ハイイールド社債、ドル建て新興国債、の3つの種類の債券の、米国債に対するスプレッドの推移を太線で示しています。いずれもぐんぐん上がってますね。さっきのグラフで「リスクがほとんどない」あるいは「リスクが最も低い」と考えられている米国債の利回りが下がっていって、反対に「リスクが高い」と考えられているハイイールド債のスプレッドが上がっていったグラフを見ていただきましたが、ハイイールド債だけでなく、エマージングの国債、投資適格の社債、なども「リスクがある資産」「リスクが高い資産」として売られていった、その結果、利回りのスプレッドが急上昇してきたことがわかります。
一方、それらの債券に投資していた場合のパフォーマンスを同色の細線で示してます。もちろん金利はちゃんと入ってきて、利回りはどんどん上がっていったわけですが、債券価格の下落によってこんなにも下がってしまったということになります。これらの債券は全てドル建てで発行されているもので、このグラフはドル建てですから、つまりここには為替リスクが含まれていません。ここに為替をのせて、円ベースのパフォーマンスにした場合、もっと大きく下落していることはお分かりのことと思います。ここでは、債券部分のパフォーマンスをクリアに見ていただくために為替の影響のないグラフにしときました。
その下の2番目(通算4番目)のグラフは、赤線で示した先ほどの10年国債の利回りの低下(=米国債価格の上昇、米国債の人気上昇)と、各国の株式市場の下落の様子を表したものです。世界の株式市場からお金が逃げて、米国債へ、米国債利回りが低下して、世界中の株価が下落、というのがよく分かると思います。
次はこちら。

同期間、2007年1月以降のシティグループの株価とCDSスプレッドの動きです。「急落していたシティグループの株価が米国政府の●●という見通しを好感して/▲▲法案の成立を期待して大幅反発、一時97セントをつけていた同社の株価は2ドル62セントまで買われた」なーんてパターンの報道をよく耳にすると思いますが、今いる位置はこういう位置ですよと。CDSって何よ?って方はこちらをどうぞ。
http://jovivi.seesaa.net/article/107924416.html
http://jovivi.seesaa.net/article/108587762.
http://jovivi.seesaa.net/article/114418779.html
次はこれ。

今度は前出の世界株の動き、ハイイールド社債のパフォーマンス(トータルリターン、クーポン収入によるインカムゲインと債券価格変動によるキャピタルゲイン/ロスの両方を反映した実際の投資成果に近い数字を示すもの)、米国債の利回り、にオーストラリアドルの対円レート推移を合わせました。同じですね。米国債価格は上昇して利回り低下、世界株は下落、ハイイールド社債のパフォーマンスは債券価格下落の影響で下落、そして豪ドル−円レートは円高へ。 円キャリー取引の解消、レバレッジの解消、運用先通貨→ファイナンス通貨、高金利通貨→円、という流れの中でこうした動きの象徴的な存在だった豪ドルの対円レートは円高トレンドを辿ってきました。
円キャリー取引の解消って何?って方はこちらをどうぞ。
http://jovivi.seesaa.net/article/106101013.html
http://jovivi.seesaa.net/article/103678150.html
で、その下のグラフは世界国債と世界株のパフォーマンスを円ベース、ドルベースの両方で示したもの。ちょっと不思議に見えちゃうかもしれないのは世界国債のドルベースの線が何度か下方向に、つまり下落してるところでしょうか。世界の国債は円高の影響で下がったのは分かるけど、ドルベースなら下がってないんじゃないの?と。これはですね、ドルベースの数字なので、ユーロ建てやポンド建てのヨーロッパの国債も含まれているわけで、ドル高が進むと下がります。ドルも円のようなファイナンス通貨であり、「逃避先」と考えられる場面もあり、でこの期間中何度も「ドル高」の局面がありました。これらの下落箇所はドル高局面を示していると考えていただくといいと思います。もちろん、米国やヨーロッパの国々に対する信用不安が広がって、債券価格が下落した局面もあり、その影響を受けて下落している箇所もあります。
とまぁ、いろいろなグラフを見ていただきましたが、この1〜2年の市場の動きがお分かりいただけたんじゃないかなと思います。
で、言いたいのは、そうは言ってもこれから先みなさんが長いこと運用していく場合のパフォーマンスはこれらをもって判断できるもんじゃないと思いますよ、というのがいつも通りの私の考えです
売買を繰り返し、「売買による勝ち」を積み上げて資産を増やしていこうとするのは「投資」ではなく、「投機」です。投資のリターンの源泉は、その投資資産の持っているリターンであり、長期間にわたってそのリターンを得ていき、資産を増やそうとするものです。「利益確定」をしたり「損切り」をして、売買を繰り返し、1つ1つの勝ちを積み上げて資産を増やそうとする「投機」のリターンの源泉は、投資資産のリターンではなく、「1つ1つの取引で勝てるかどうか」、であり、「自分の腕次第」「運次第」「タイミング次第」です。また、「投機」は「取引の回数」や「取引のチャンス」、「勝ち負けの並び順」、「1つ1つの勝負の投機資金の額」、などによっても大きく結果が異なってきます。
一方の「投資」というのは買い時で買って売り時に売って儲けるものではありません。リターンの期待できる資産にお金を投じて、充分な時間をかけてそのリターンを得ていくのが投資です。売買をして儲けるのが「投機」、売買をせずに保有し続けて儲けるのが「投資」、と言ってもいいかもしれません。
株を売買して「投機」で儲けるためには、株価が上下しなくては勝てません。しかし、株への「投資」であれば株価が上下に動かなくても勝つことができます。例の本の中で使った例でご説明します。
AさんとDさんが1株ずつ持っているZ社の株が、
1株当たり利益500円、配当性向50%、株価10,000円だった場合:
PER:10,000円÷500円=20倍株価が上下せず、1株当たり利益も全く変わらず、配当性向も変わらなくても、毎年250円の配当金がもらえる
配当金:500円×50%=250円
配当利回り:250円÷10,000円=2.5%
また、株価も配当性向も全く変わらなかったとしても、会社の稼ぐ利益、1株当たり利益が増えるだけで、もらえる配当金額と配当利回りは上がります。また、PERも低下します。
1株当たり利益500円→1,000円に増加:
PER:10,000円÷1,000円=10倍
配当金:1,000円×50%=500円
配当利回り:500円÷10,000円=5%
更にこの会社の利益が増え、また利益が倍増したとすると、配当金額と配当利回りは更に上がり、PERも更に低下します。
1株当たり利益1,000円→2,000円に増加:
PER:10,000円÷2,000円=5倍
配当金:2,000円×50%=1,000円
配当利回り:1,000円÷10,000円=10%
配当利回り10%、PER5倍、というかなり割安な水準になりました。すると・・・こんな人たちが出てきます。
Bさん:1,000円の配当金がもらえるような株なら、私は12,000円でも買う!12,000円で買っても配当利回りは
配当利回り:1,000円÷12,000円=8.3%
8.3%もの配当利回りになる!株の値上がりも期待できて8.3%もの配当金がもらえるなら超おトクだ!
と考えるBさんが買って、株価は10,000円から12,000円に上昇
Cさん:1株当たり利益が500円から2,000円に一気に増えるような成長性のある株ならPER10倍で買ってもそこから利益が倍になればすぐにPERは5倍に低下する!私は20,000円で買う!
1株当たり利益2,000円×PER10倍=株価20,000円と考えるCさんが買って、株価は12,000円から20,000円に上昇
Cさんの目論見通り1株当たり利益2,000円→倍の4,000円に増加、配当性向変わらず。
株価20,000円÷1株当たり利益4,000円=PER5倍
株価は10,000円から20,000円になりましたが、この間、ずっと売却せずにこのZ社の株を1株保有し続けていたDさんにとっては
保有株数:1株(変わらず)
株価:10,000円→20,000円に上昇
PER:20,000円÷4,000円=5倍に低下(←20倍)
配当金:4,000円×50%=2,000円(←250円)
配当利回り:2,000円÷20,000円=10%(←2.5%)
株価が倍になった上、PERは20倍から5倍に低下、配当利回りは10%に上昇、もらえる配当金は2,000円にまで増えました。
このように、会社が儲ける利益の額が増えることが株の価値を高めることにつながります。つまり、株を売ったり買ったりしなくても、投資した会社の利益がどんどん増えていけば、株をずっと持ちっぱなしでも大きなリターンを得ることできるのです。
株を買うということは、株を買うことで会社の株主となり、資本主義社会の中で資本家となることです。大げさかもしれませんが、そういうことなのです。「どうやって株が上がっていくのかわからない」「売ったり買ったりせずにどうやってリターンが上がっていくのかわからない」「株のリターンがどうやって出るのか分からない」という人が意外と多いのは、実はこの点をきちんと認識していないせいかもしれません。資本主義の意味を確認しておきましょう。
【資本主義】
封建制度に次いで現れ、産業革命によって確立された経済体制。生産手段を資本として私有する資本家が、自己の労働力以外に売るものを持たない労働者から労働力を商品として買い、それを上回る価値を持つ商品を生産して利潤を得る経済構造。生産活動は利潤追求を原動力とする市場メカニズムによって運営される。
小学館「大辞泉」
私たちが暮らす日本を含め、世界中の多くの国が資本主義制度によって運営されています。この辺の話はなかなかピンとこないかもしれませんが実は非常に重要です。例えば、私は私が現在勤務する会社では「労働者」であり、私が投資している会社では「資本家」です。もちろん現物株を買ってる会社だけでなく、投資信託を通じて間接的に投資している会社でも同様です。私が勤務する会社の株主である「資本家」は、私という「労働者」から「労働力」を商品として買って、それ以上の価値を持つ商品を労働者である私に生産させて利益を得て、その労働力の「対価」として「給料」を「労働者」である私に払い、私の側から見れば「給料」と引き換えに私は私の「労働力」を資本家に売って生計を立てています。
話が逸れますが、サラリーマン社長で大学を出てからその会社一筋で出世街道を歩みついに社長にまで登りつめて、株を持っていない、つまりその会社では「資本家」ではなく「労働者」であるにも関わらず、「ワシの会社」とか「ワシの会社は誰にも売らん」とか言ってる人がたまにいますが、これは大きな勘違いです。恥ずかしいからご遠慮いただきたいものですが・・・
資本家は儲けるために労働者を雇って生産活動を行い、儲けた利益を更に投資し、更に大きな利益を追求し、今日よりも明日の利益のほうが大きくなることに期待するわけです。今日より明日のほうが儲からないのなら、労働者を全員クビにして、会社の資産を全部処分して現金化して、今すぐ会社を清算してしまったほうがいいはずです。もちろん、労働者のほうも、自分の労働力という商品がより高い価格で売れるように、今日よりも明日のほうが高い給料になることを期待して頑張ります。
株を買うということ、投資信託を通じて株に投資しようということは、こうして今日よりももっと儲かる明日、に期待してみんなが労働をしたり、資本を投下したりするサイクルに資本家として加わろうとするものです。いつだってみんな「今日よりもっと儲かる明日」に期待して頑張っていて、それに資本家として加わるんだ、という意識で投資すれば、「この先の未来や将来の相場は分からないのに」、何とかして買い時や底値をつけるタイミングを知ってやろうと必死になったり、その気持ちにつけこんで騙してやろうという人に引っかかったり、投資の本質を見誤ったり見失ったり、しにくくなるのではないかと思います。
こうした株の基本的な性格があるにも関わらず、その株の価値、売買される価格というのは、1分1秒ごとに変わります。そしてその動きというのは大きく分けて、「短期」と「長期」では全く異なる様相を示します。いつもお話ししているように、「短期と長期は全くの別物」です。短期と長期の株の値動きは全くの別物なのです。
さきほど、企業の利益が伸びると、株価が上がる、というお話をしました。過去の世界株の推移を見てみると、1970年以降、株価はこのように推移してきました。

赤は世界株の推移、そして青はPERの推移です。PERは指数構成銘柄のPERの平均ですが、株価をPERで割るとEPS(一株当たり利益)が算出できます。そこで、世界株指数の構成企業の利益の推移を見るために、世界株指数を平均PERで割って、仮想EPSというのを算出してみます。これが緑の線ですが、この線は指数構成銘柄企業の利益の推移だとお考えください。
PERが上昇せずに株価が上がっているということは株価と利益が両方上がっているということ、つまり割高にならずに株価が上がっているということであり、一方、PERと株価が一緒に上がっていくということは、利益は増えずにPERが上がって株価が上がっているということ、つまりどんどん割高になりながら株価が上がっているということになります。
1970年に100でスタートした株価が16倍もの1,600にまで到達したのはなぜか。それは利益の水準も、1970年を100とすると約16倍に達していたからです。このように株価というのは長期的に見ると、企業の利益の動向を最も強く反映します。それは先ほどお話しした例のような計算やメカニズムが働くからであり、先ほどのお話ししたような株式の特徴があるからです。
ところが、株価を短期的に見ると、その企業の利益とは全く関係ないものに反応したり、関係のないものを反映したりして動きます。例えば、昨日と今日で全く利益の変わっていない会社の株価も動きます。それどころか1分1秒ごとに株価は目まぐるしく動きます。この動きは何を反映しているのでしょう。全く会社の業績が変わっていなくても、毎秒ごとに株価は動きます。このように、日々の値動きや1ヶ月単位の値動き、この1年の値動き、といった短期間の値動きは何だって反映し、何にでも反応して動きます。
短期と長期の境目に絶対的な基準はありません。私は3年程度が境だと考えてます。
3年を境に、期間が短くなればなるほど短期の特徴が強く現れる
3年を境に、期間が長くなればなるほど長期の特徴が強く現れる
と考えています。3年よりも5年、5年よりも7年、7年よりも10年のほうが長期の特徴が強く現れ、3年より1年、1年より1ヶ月、1ヶ月より1日、のほうが短期の特徴が強く現れると考えています。
みなさんが、日々目にしている、「日経平均株価が昨日と比べていくら下がった」とか「購入した投資信託の基準価額が前日比いくら下がった」というのは短期の動きです。しかも短期の特徴が極めて強く出やすい日々の動きを見た場合、その動きは、世の中のあらゆる事象を反映し得るものです。例えば、「前日のニューヨーク市場が下げた」「アメリカの政府高官の発言があった」「ヨーロッパで利下げが行われた」「アメリカ南東部に大型のハリケーンが上陸しそうだ」などなど、日本にあるA社と全く関係のない話で、前日から全く業績も変わっていなくて来年の業績見通しも全く変わりが無いA社の株が売られて下がったりします。
一方、今から5年後、7年後、10年後のA社の株価がどうなっているか、という場合、期間が長くなればなるほど、長期の特徴が強く現れると私は考えています。長期的には株価は企業の利益の動向を最も強く反映します。A社の利益が5年後、7年後、10年後に今よりも伸びていれば、株価は今よりも上昇していると期待することができます。つまり、長期投資であれば「A社の利益は今後中長期的に成長する」と考えることができれば、A社の株に投資することが可能です。5年後、10年後にA社の利益が今よりも大きく増えていると考えることができ、投資期間を「長期の特徴が現れやすくなるほど充分に」とってあげれば、A社の株価がA社の中長期的な利益成長を反映して上がっていくことに期待して投資できます。
ところが、明日のA社の株価あるいは3ヵ月後のA社の株価、が今よりも上がっているかどうか、はA社の業績以外のいろんなものを反映し、いろんなものに反映して動いてしまします。
来週末の日経平均株価がどうなるか、年末いくらになるか、この先3ヶ月でどのくらい上がりそうか、あとどのくらいの期間下げ続けるのか、も同じです。これらは全て短期の値動きの話です。短期であれば何だって起こり得ます。極端な話、3ヵ月後の日経平均株価を予想するためには、この3ヶ月の間に日本に大地震が襲ってこないか、くらいまで予想しなければ言い当てることはできないはずです。しかし、それに合わせて売買をし、投機で儲けようとする人ではなく、長期投資をしようとする人であればそんなものを気にする必要も、言い当てる必要も、予想する必要もありません。A社の株に長期投資をしようとする人であればA社の利益が今後長期的に伸びていくと自分が考えられるかどうか、日本株全体に分散投資するのであれば日本企業の利益が今後中長期的に伸びていくと自分が考えられるかどうか、を自問自答するだけで投資判断ができるはずです。
現在の世界の金融市場は大変な混乱の中にあり、世界中の株式市場でパニックが発生し、世界各国で記録的な大暴落を発生させています。この過程では、利益が吹っ飛んでしまった金融機関の株はもとより、堅実に商売をしていて利益が伸びているような会社の株までもが一緒に叩き売られてきました。赤字の会社の株も黒字の会社の株も、利益が落ちた会社の株も伸びてる会社の株も、全部一緒くたにされて、ことごとく売られてきました。
ただ、人間というのはそんなに長い期間パニック状態でいられるものではありませんし、あまりに割安になった場合には見直しも入りやすくなります。例えばこんな会社があったとします。
1株当たり利益500円、配当性向50%、株価10,000円
PER:10,000円÷500円=20倍
配当金:500円×50%=250円
配当利回り:250円÷10,000円=2.5%
1株当たり利益も、配当金も全く変わってないのに、金融市場の混乱の中で叩き売られて10,000円だった株価が1,000円になってしまったとします。すると、こういうことになります。
1株当たり利益500円、配当性向50%、株価1,000円
PER:1,000円÷500円=2倍
配当金:500円×50%=250円
配当利回り:250円÷1,000円=25%
すると、株の値上がりも期待できるのに、1,000円で1株買うと250円もの配当金がもらえることになります。さすがにオイシ過ぎます。すると、「いや、私は配当利回り10%でもいいので2,500円でも買う!」という人が現れ、「いや、私は3,000円でも買う!」という人が現れ、株価は回復していきます。
しかし、こういったパニックや、世界的な株安や、何でもかんでも叩き売られてしまうような相場、というのはこれまでの歴史でもいろんな国のいろんな場面で発生してきました。種類や程度は違えど、3年とか5年に一度こういったことは起こるものです。これは恐らく避けて通れません。今後も3年とか5年に1回くらいこういった株安局面というのは訪れると思います。
ただ、例えば、先ほどの1970年からの株価推移のグラフの間にはそういった3年とか5年に一度の悪いイベントの発生が何度も含まれています。また、10年とか長期間のデータをとった場合には、その間に少なくとも1回や2回は株安局面を含んでおり、悪い時の全くなかった10年間、平穏無事な10年間、というのはほとんどありません。ですからこういった長期間のデータであれば、今後を考えるのに充分有効に活用できます。長期間の観測データを分析した気象データみたいなもんです。先週までの1週間の平均気温じゃ今後10年間暮らす場所を決める引越し先を決めるのに充分なデータとは言えませんが、過去30年の平均気温というのは充分に今後10年間暮らす場所を決める際の参考にできます。
ここから先の10年も、恐らく、良いことと悪いことが起こる10年になるでしょう。当たり前といえば当たり前ですが・・・この場合、過去にも様々な良いこと悪いことが起こった様々なタイミングでの10年の平均値、というのが参考になります。ところが、半年とか1年とか2年とかいった短い期間の場合、「上がりっぱなしの1年」とか「下がりっぱなしの半年」とか、極端な例が多すぎて過去の平均データも参考にしにくいのです。
今、市場で起こっていること、
株→債券
高リスク資産→低リスク資産
低流動性資産→高流動性資産
運用先通貨→ファイナンス通貨
というお金の流れと
これから先まだまだあと10年、20年、30年と運用していく皆さんの投資成果を占うのに、この1年半の動きやデータというのはあんまり参考にならないと思いますよ、というのがお分かりいただけましたでしょうか?
長くて重くなりましたけど、今みなさんにお伝えしたいことを書いてみました。今日はこんな感じで。
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