2008年04月27日

今日はブラジルのM&Aの話。やっぱドラスティックですよね。

ブラジル最大の電話会社テレマールが、同じくブラジルで大きなシェアを持つブラジル・テレコムを保有するインビテルを買収することで合意しました。

これは結構すごいことでですね、日本で言ったら・・・って言っても日本の固定電話のNTTのシェアが大きすぎてあまりいい例にならないんですが、NTTがKDDIを買収するようなもんです。・・・やっぱちょっと違うな・・・トヨタが日産を買収、のほうがイメージに近いかもしれません。日本よりずっと競争が厳しい市場で、1社がそんなに大きなシェアを持っていないって状況で、最大のシェアの会社が買収を仕掛けたわけです。これでブラジルで固定電話市場の3分の2のシェアを持つ巨大通信企業が誕生します。

なんつっても成長著しい市場ですから、ブラジル国内市場の争いも結構熾烈だったわけですが、話はもうちょっとグローバルな話というかもうちょっと大きな絵の話なんです。このへんが日本と違うとこなんですが・・・とりあえず、ブラジルの大統領のルーラ氏の話をちょっとしとかないといけません。ブラジルの現在の大統領はルーラ氏と言って、彼の就任直後は結構懐疑的な見方をする人も少なくなかったんですが、ルーラ氏が2002年に大統領に選出されて以来、ブラジルは絶好調状態に突入し、一気に成長軌道に乗りました。2006年に再選挙があり、心配する声もあったのですが、60%以上の得票率で余裕で再選されました。彼の政治についての話には触れませんが、とりあえず経済改革は彼のテーマの1つで、実際に今のブラジルを見ればそれが成功したことは疑いようもないんですが、彼の念願の1つに、カルロス・スリム氏の通信グループと張り合うことのできる通信企業を作りたい、というのがありました。

ブラジルってのは南米の国土の半分を占め、人口も多く、経済・金融面では南米の中で圧倒的な存在感を持ちます。一方、日本と違って、周りにはたくさんの国が陸続きで存在しており、ブラジルではポルトガル語ですが、周りのほとんどの国ではスペイン語が話されていて、ラテンアメリカという1つ大きな経済圏を形成してます。このラテンアメリカの通信業界の巨人がさっきのカルロス・スリムって人です。ラテンアメリカの中でブラジルに次ぐ大国がメキシコですが、メキシコ生まれのこの人が一躍有名になったのは去年の世界の長者番付でマイクロソフトのビル・ゲイツを抜いて世界1位の大金持ちにランクされた時です。アメリカ・モービル、テルメックス、テルセルという巨大通信企業を持つオーナーで、ラテンアメリカの通信王です。ルーラ大統領の念願は彼の持つ通信グループに対抗できる通信企業を作ることで、今回のテレマールとブラジル・テレコムの合併でその念願がかない、ブラジルはカルロス・スリム氏のグループと戦える企業を持つことになります。

ってなんかすごいっすよね。NTTってアジアで何かやってるんでしたっけ?中国やインド、韓国、タイ、台湾、マレーシア、インドネシア、アジアのどこの国でもいいんですが、ドコモの携帯使ってる人っているんでしょうか?国内市場があれだけのスピードで成長しているブラジルだって、目を外に向けて、ラテン・アメリカ市場全体を睨み、国全体が一丸となって戦っていく戦略を練り、その先に世界全体を見据えています。

独占は健全ではないかもしれません。独占の是非はあるんでしょう。でもね、力が極度に分散され、国内の市場の争いに躍起になり、日本人の嗜好を満たす技術とノウハウを貯めることに集中してしまった企業がグローバルな市場で戦えるでしょうか。ロシアのガスプロムや、ブラジルのヴァーレ(昔のリオドセね)やペトロブラス、みたいな圧倒的な存在感で国の命運を背負って一国の経済成長をぐいぐい牽引していくような企業を見ると、日本は何かできないんかな・・・って思ってしまいます。例えば、まだ携帯の技術の黎明期に、それこそまだカタカナ表示しかできなかったころに、ドコモとAU(そのころはIDOだけど)が合併して、まずは香港・韓国・台湾・シンガポールで、次いで中国・タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピンで、ってやっていってアジアの携帯電話でものっすごいシェアを持つようになってたら、って想像してみるとそれって凄いことなんですが、無理じゃなかったように思えるんですよね。だって、小さくて精密な機械なんて日本のお家芸みたいなもんじゃないですか。勝てたんじゃないすかね。

今だってさ、これまでコメ価格を高めにキープして農家を守り(それによって自分たちの選挙の時の票を確保し)、米の生産量をコントロールして、供給量を抑えるために減反とかして、代わりに小麦とか作らせてみたりして、なんてことしてたら不作になって急にタイから米輸入みたいな事態を招いてみて、全然売れなくって、ブレンド米とか出てみたり・・・なんてしてましたけど、今って米の値段って物っスゴイ上がってるんですよ。タイとか香港とか、米が入荷するとすぐ売り切れちゃうし、値段もガンガン上がってるんです。こういう時にめいっぱい日本の生産力の許す限り作って輸出すればいいんじゃないすか?高くて売れない?そんなに格差なくなってきてるんじゃないすかね。あんまり詳しくないですけど。ロシアで1パック6000円、タイで1パック3000円、の苺の「あまおう」が売り切れまくるんだから、高級ブランドの日本米として、国内価格並の値段で輸出しても売れるんじゃないすかね。そういうことって考えないんですかね・・・って私が素人すぎるんですかね・・・

昔、日本製品が世界中で売れまくりになった頃に、特にアメリカ向けの輸出が物凄く増えて、アメリカの貿易赤字が大変なことになって、アメリカ国内の自動車産業が大打撃を受けて、自動車産業界の選挙票を意識した政治家による日本をとりあえず悪者にしよう、もっとアメリカ製品買え、牛肉やオレンジ買え、って言ってみよう、に端を発して、「ジャパン・バッシング(Japan Bashing)」、日本たたき、ってのがありました。日本製品の不買運動とか、日本車を壊してみたりとか、日の丸燃やしてみたりとかね。それって日本の存在感がそれだけ大きかったってことでもあるんですが、最近では、「ジャパン・パッシング(Japan Passing)」、って言葉が登場するようにまでなってしまいました。「ジャパン・パッシング(Japan Passing)」は、日本はスルーで、日本無視、日本離れ、日本は眼中に無い、話題にならない、といった意味です。寂しいやら、悔しいやら、情けないやら。なんのために高い税金払って役人をいっぱい雇ってるんでしょうね。これが行政の問題じゃないならなんなんでしょう。日本の存在感をここまで小さくしたのは誰なんでしょう。この15年を失われた15年にしたのは誰なんでしょう。まぁこういう風にしてきたのは日本人みんなの連帯責任か・・・でも多くの人の意識は、高い税金払って東大卒業生をはじめ優秀な人をいっぱい確保して、そのへんの政治だの行政だのを任せてるんだからちゃんとやってくれよ、って感じだと思うんですけどね。

テレマールによるブラジル・テレコムの買収のニュースは、彼我の差を改めて、心がズキリと痛くなるほど思い知らされた感のあるニュースでした。


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posted by ジョン太郎 at 23:44| Comment(3) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本没落の原因。
私見ですが、日本人全体の問題だと思います。

(1) 相手(顧客)の気持ちを考えない
模倣して改良することで追いつけと全力で走ってきたが、
いざトップに立つと模倣するものが無くなって通用しな
くなった。それなのに未だに同じ方法論のまま。

日経ビジネスで『日立とニッポン 技術独善』と特集が
ありましたが、これは1つの例だと思います。
昔は製品の質が悪かったので高品質であれば売れまし
たが、今は何でも最低限の品質は確保しているので、
技術的に優れているからといって売れるわけではない。
(PS3 vs Wii他)

(2) 他人に任せっきり
「高い税金払って東大卒業生をはじめ優秀な人をいっぱ
い確保して、そのへんの政治だの行政だのを任せてるん
だからちゃんとやってくれよ」
こういう人が多いからダメだと思います。政治は自分達
の手で行うものでリーダー待望論をやっていては未来は
ありません。ワイドショーや芸能ゴシップや殺人事件
ばかり見てないで、日本国の進むべき方向を考え行動を
起こせよ・・・なんて思ってしまいます。

国政選挙の投票率の低さを考えても、今の日本の没落は
日本国民の自業自得だと思います。
Posted by 吊られた男 at 2008年04月28日 09:46
中国、インド、ロシア、ブラジル、アフリカ
スケールの大きい国の話は今の日本全体をさらに萎縮させている感があります。いいなー国土が広くて資源がいっぱいあって人口も増えてこれから税収も増えていく国。
あの聖火リレーの沿道の赤い旗見ました?数の力はとにかくすごいなあって思います。ここは長野なの?どこの国の聖火リレーだかわかんない。
わたしらは、数の力に圧倒され続けるのでしょうか。
EUなどは、これらの新興国に対抗する対策を練っていると聞きますが。
それはそうと、わたしは今のねじれ国会けっこう楽しんでいますよ。政治はおもしろいことになりそうな気がする。ガソリンにせよ、後期高齢者の健康保険の問題にせよ、国民の税金をネコババしたり、うまい汁を吸って生きてきた連中にはもうみんなウンザリですものね。どんなシステムを導入したって汚い膿を出してからでないと国民は納得しないです。移民をうまく受け入れていく、人口を増やす、教育レベルをあげるなど。
非論理的で国民に説明もままならないアホなリーダーはやめてほしい。オーバーヘッドプロジェクターで差し棒でも持って将来のビジョンを語る方、総理になってほしいです。それを批判するのではなくたたき台にして新しい日本に脱皮できるといいなあ。
Posted by 梅星 at 2008年04月28日 17:19
釣られた男さんへ
コメントありがとうございます。
やっぱ話は投率8割くらい達成してから、だなと思います。あの投票率で文句は言えんです。ハイ。
これからもよろしくお願いします。

梅星さんへ、
コメントありがとうございました。
数の力ってほんとにすごいですよね。でも、日本も世界的に見れば多いほうで、それが日本の成長の原動力になってきたんですよ。そして、その10倍の人口を抱える国の1人当たりGDPが一定程度に達すると、急に巨大な存在感を持つ国として認識されるようになります。そういう国とどう競争していくのか、どういう形で協力していくのか、どういうアドバンテージを保っていくのか、が全く見えないですよね。どうするつもりなんでしょう。ってすぐ逆切れする政治家に聞いてもしょうがないですけどね。
競艇に使われた年金10億円とか、ヘドが出そうな年金運営や税金の使い方にもウンザリしてますが、ビジョンが見えないというのも別の問題として深い気がします。「美しい国日本」はど(ry
これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2008年04月29日 12:56
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