前回(http://jovivi.seesaa.net/article/93075638.html)、お話しした「インターバンクレートと公定歩合のスプレッドが拡大」ってお話をしましたが、今日はちょっとその解説を。
以前、サブプライムローンについて解説した記事の中で、公定歩合とかFFレートとかの話を解説したんですが覚えてますでしょうか。記事はこれです。
http://jovivi.seesaa.net/article/51875779.html
ややこしい話なんでなかなか一発で理解するのは難しいと思うんですが・・・言葉の解説だけでも読み直していただいてから、この先の話を読み進んでいただいたほうがわかりやすいと思います。たいした話じゃないのにわかりにくいんですよね、金利とか債券の話って・・・だからあんまり好きじゃないんですが(本音) なんか大げさな割りにつまらんし・・・言葉が難しい割に動きが魅力的じゃないし・・・と言ってもまぁ金融の世界の大所ですし、大事な部分を担ってますし、存在感の面でもあっちこっちに与えるインパクトの面でも大きいことは間違いないので、毛嫌いをせずに少し馴染んでみましょう。
政府が、というか正確には中央銀行が、世の中の金利を動かそうとする時、今の日本だったら「無担保コール翌日物」を、昔の日本なら「公定歩合」を、今のアメリカなら「FFレート(フェデラル・ファンド・レート)」を、それぞれいじります。いじりますってのがまたピンと来ないかもしれませんが、今、世の中の金利が5%だったとして、それを4%に下げたいとか、6%に上げたいとか、って時に金利の操作というか誘導をするわけです。なんでそんなことをする必要があるかって言うと、金利って世の中の動きに合わせてコントロールしないとエライことになっちゃうし、勝手気ままに動いていく世の中の景気に影響を与えて何とか望む方向へ向かわせる数少ない手段の1つだから。
景気がすんごい悪い時に、金利を引き上げるとどうなるか。住宅を買おうと思ってた人が住宅ローン金利が跳ね上がって家を買うのをためらいます。お金を借りて工場を建てようと思ってた人がためらいます。既にたくさんの借金をしてる人や会社の支払い金利が増えて、倒産したりする会社が出てきて、その借金を返してもらえなくなった銀行が損をしたり、お金を取引先や、取引をしてた会社もダメージをくらいます。そしてダメージを喰らった会社も潰れ、その会社で働いていた人が住宅ローンの返済ができなくなり、ボーナスが減ってしまった人が消費を減らし、小売の売上が落ちて小売業で働く人のボーナスが減り、その人が計画していた海外旅行の計画もパーになり、旅行会社の売上が減り・・・って具合にそれが物凄い範囲にどんどん拡大しながら連鎖していき、っていう具合に、金利の引き上げってのは経済や景気に対するブレーキをかける役割をします。それでも預金金利が低くて、預金者はつらいから、金利を引き上げろって声が多いわけですが、今の日本の状態で、その人たちの預金金利をお望み通り引き上げるために金利を引き上げたらとんでもないことになります。また、金利の引き揚げは景気にブレーキをかけるだけでなく、お金を借りてモノを買う行動を抑制するので、インフレにブレーキをかけることができます。インフレってのは、通常、世の中の景気がよくって世の中にお金が溢れてる状態のときに、モノを買いたい人たちの需要がモノの値段をどんどん釣り上げてってしまうことで起きます。給料もガンガン増えてくし、借金しちゃってもすぐ返せるべ!金借りて車買っちゃおう!って行動が需要量を増やしていき、世の中の物価が引き上げていきます。これがインフレ。そして、このインフレは経済の健康状態を悪化させ、お金に対する信用を失墜させてしまうため、金利を引き上げてインフレを封じ込める、ということが経済を安定的に運営していくために必要なことなわけです。で、つらいのはスタグフレーションの場合、って話も以前しましたよね。国内の景気が悪いのに、新興国の成長で資源の価格なんかが跳ね上がったせいで輸入してるモノの値段が上がって、国内の物価が上がってしまう、これがスタグレーション。こうなると景気が悪いので物価の上昇を抑えるために金利を引き上げることもできずマジで八方塞がり。これはつらいですよ。
銀行の預金の金利が低い理由はこの辺の記事の中で触れてますのでよろしければどうぞ。
http://jovivi.seesaa.net/article/26902129.html
http://jovivi.seesaa.net/article/52964704.html
スタグフレーションの説明はこの記事に載ってます。
http://jovivi.seesaa.net/article/75744813.html
で、金利を下げれば逆の効果。景気を上向かせ、個人の消費や住宅購入、企業の設備投資なんかを増やす効果があります。
っていう具合に金利を引き上げて、いきすぎた景気にブレーキをかけたり、インフレを押さえ込んだり、金利を引き下げて消費や投資を増やして景気を上向かせたりするのが、金利操作です。ここまでは大丈夫ですかね。
「公定歩合」や「FFレート」や「無担保コール翌日物の誘導目標」は、種類や言葉は違えど、要はその国が、その国の中央銀行が、「金利をこのくらいにしたい」ってレートなわけです。
一方、インターバンクレートってのは、金融機関同士がお金を融通し合う市場のことです。A銀行が期末に備えてちょっと手元にお金を多めに準備しておきたい、じゃあウチが貸しましょうってB銀行の人が貸す、いや、ウチはお金結構余ってるからもうちょい安いレートで貸しますよってC銀行が言う、みたいな市場です。この貸し借りをし合う時のレートがTiborとかLiborってやつです。TiborはTokyo Inter-Bank Offered Rateのことで東京で銀行間がお金を融通し合ってる市場、LiborはLondon Inter-Bank Offered Rateのことでロンドンで銀行間がお金を融通し合ってる市場のレートです。
そうすると、「公定歩合」と「インターバンクレート」のスプレッドが拡大してるってことは、「中央銀行が金利をこのくらいにします」ってレートと、「銀行同士が実際にお金を貸し借りし合ってる」レート、の2つの「スプレッド」が拡大してるって意味になります。じゃあ「スプレッド」って何だって話になります。
スプレッドってのは「差」の意味で、金利や価格の差のことを指します。金利の話の時は、「上乗せ金利」って意味だと思っていただければ結構です。例えば、国がお金を貸してくれと言います。さすがに返してくれるだろうってことで、あなたは1%で貸してあげます。一方、誰もが知る大企業のA社がお金を貸してくれと言ってます。さすがに大丈夫だろうって思うんですが、まぁ国よりは・・・ってことで1.5%で貸してあげます。で、私が金を貸してくれと言います。さすがに信用ならんってことで金利は10%・・・なんて具合に、金利に差が生まれてきます。この差を「スプレッド」と言います。国とA社の間の差もスプレッド、私とA社の間の金利差もスプレッド、です。
オーストラリアで、「中央銀行が金利をこのくらいにします」ってレートの「公定歩合」と、「銀行同士が実際にお金を貸し借りし合ってる」レートの「インターバンクレート」の、スプレッドが拡大していたってことが何を示しているかって言うと、金融市場に不安あるいは不信感が広がって、金融機関同士がお互いに対する不信感を強めて他の銀行にお金を貸し出す時のレートを高めにしようとする、あるいは、金融機関が万一の事態に備えて手元の資金を多めに用意しておこうとするために、市場に出回るお金が少なくなり(供給が減り)需要がレートを引き上げてしまっている、というようなことが想像できます。金融市場に不安がなければ、公定歩合とインターバンクレートの差、スプレッドは小さくなり、金融市場に不安が広がると、「中央銀行の誘導目標」と「実際の貸し借りレート」の差、スプレッドが大きくなります。金融機関に不安が広がった、混乱が生じた、信用に対する不安が大きくなった、ことがスプレッドの拡大から分かるわけです。
じゃあスプレッドの拡大を別の例で見てみましょうか。下のグラフを見てみてください。

これは、ドル建てのエマージング債券市場の米国債に対するスプレッドです。2007年の7月くらいまで、最も信用力の高い米国債とのスプレッドは縮小を続けてきました。みんな、リスクに鈍感になり、余裕余裕と言いながらどんどんスプレッドを小さくしていきました。ちなみに単位はbps(ベーシスポイント)で、1bpsは0.01%ですから、このグラフだと昨年夏には米国債+1.50%くらいのところまでいっていたということになります。それがリスクマネーの逃避、リスクにみんなが敏感になり、信用に対する不安が広がった昨年夏以降にスプレッドは急拡大していった様子が見て取れます。
スプレッドのグラフは普段目にする機会はなかなかないと思いますが、こういうのもたまにはいいんじゃないすかね。
今日はここまで。
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ありがとうございます!
教えてくださる側にしてみれば「一般の人はそこまでいいんじゃない?」ってことだったり、
一般の側にしてみれば「そこまで理解しないといけないなら面倒!」ってことなのかもしれません。
また成長期待の長期投資では、目先の動きは意味をなさないのかもしれません。
・・・でも知りたい^^
金融の仕組みを知りたいという単純な欲望と、今の出来事からこれからを考える愉しみ。
金融の知識のない者への説明は、受ける側より面倒なことなのに、いつも真摯にわかりやすく記事にしてくださって、ホントありがとうございます!