2008年02月24日

為替のこと〜その2〜 ノー・フリー・ランチ

こんにちは。今週もどういうわけか為替の話になってしまいました。



南アフリカの通貨ってご存知ですか?ランドって言います。南アフリカは政策金利が現在11%と大変高く、2年債くらいでも10%くらいのクーポンが付きます。ここで非常に重要な、投資の世界の、あるいは金融の世界の、大原則2つを確認しないといけません。

There is no free lunch.(ただの昼飯はない。うまい話には裏がある。ただほど高いものはない)

High Risk, High Return / Low Risk, Low Return(リスクが高ければリターンも高く、リスクが低ければリターンも低い)

投資に限らず、うまい話を聞いたら最初に思い浮かべなくてはならないのはこの2つの大原則です。プロ野球選手の給料が高いのも、有名な外資系投資銀行の給料が高いのも、ただ給料が高いというわけではないわけです。必ず何かと引き換えになっています。為替リスクの無い日本円の金利が1%以下である現在の状態で、リスクが増えずに10%以上のリターンを得られるはずがないわけです。利回り10%なんて聞いたら、その瞬間に膨大な量のリスクを想像しないといけません。その感覚を絶対に忘れてはいけません。ただの昼飯はないし、追加料金を払わずに追加オーダーの料理を注文することもできないのです。リスクが悪いと言うつもりは毛頭ありません。リスクこそがリターンの原因であり、私にはとりたいリスクがあり、そのリスクを負ってでも得たいリターンがあり、そのリスクをとる手段を提供してもらうために金融機関に手数料を払っています。金融商品の正しい選び方というのは、自分のとりたいリスク、自分のとれるリスク、を選ぶ、しかも手数料を払わないとそのリスクもとらせてもらえない、という意識をもって行うものだと思います。

でもね、私がネット証券のHPを開くとトップページで目に飛び込んで来るのが、「南アフリカランド債!9.8%!」の文字。1年くらい前には週刊誌や雑誌でもよく見かけました(今でもある?)。これって、どうなのよ・・・

100万円を金利10%で1年あずければ1年後には110万円。でもね、ランドは年初からの2ヶ月弱の間に15%も下落してます。きっかけは電力不足。停電が起きまくり、電力不足のために金やプラチナやダイヤモンドの採掘が中断されまくってます。これが最近の金価格の上昇にも繋がってるわけですが、もうちょっと大元のことを考えないといけません。そもそも、南アフリカはなぜ金利が高いのか。

それはインフレ率が高いからです。南アフリカの消費者物価指数は昨年12月の数字で前年同月比8.6%の上昇、前月比0.7%の上昇です。南アフリカの金利が高いのはインフレ率が高いから。インフレを押さえ込もうと高い金利にします。そうすると、うまく効果が出た場合インフレが収まります。やりすぎると一気に景気が冷え込んで不景気になったりします。また、高金利は、海外からの投資資金を呼び寄せます。投機資金と言うべきかもしれません。高金利を狙ってくる資金というのは短期的な投機資金であることが多く、ちょっとしたことに敏感に反応して素早く移動する傾向があります。そして、高金利を狙って海外からの資金が入ってくることで通貨は上昇します。すると、先に入った投機資金は高金利に加えて、為替のリターンも得ることになり、これが大きな投資実績の数字になります。そしてこれが武勇伝となり、成功体験となり、儲け話となり、次々と後続資金を集めていきます。後続資金が更に通貨高を呼びます。皆さんもこのブログでこのパターンの話を何度も聞いて、なんとなくイメージできるようになってきたのではないでしょうか。時価総額の小さなベトナム株市場に大量の資金が流れ込んだ時もしかり、アービトラージがうまいこと働かない中国A株市場しかり、こういうことは実は結構多いですし、気をつけないといけません。話を戻しますと、流れ込んだ資金は自国通貨を押し上げ、これは輸出産業に不利に働きますね。金利の上昇自体が、国内の景気に冷や水を浴びせるだけでなく、金利の上昇に伴う通貨高が更に国内の輸出企業にダメージを与える可能性があり、金利のコントロールというのは本当に難しいわけです。

で、うまいこと、インフレ率が低下して、金利を引き下げたら、急に海外から流れ込んでいた資金が流出し始めて一斉に自国通貨が売られて物凄い通貨下落をくらうハメになる・・・なんてのはよくある話です。ですから、金融の世界で生きる人の間では、「高インフレ」と「高金利」と「将来の通貨の下落の可能性」、当たり前のようにおまとめセットになっています。つまり、「高金利」と聞いた瞬間に「高インフレ」と「将来の通貨下落の可能性」が頭によぎるわけです。

前回、たまたま為替のお話をしましたが、日本の金利は長期的に見て、金利による影響が強そうに見えましたか?あ、前回の記事はこちら。(http://jovivi.seesaa.net/article/84316988.html

もともと南アフリカランドを買っていた、買い支えていた資金、を2つに分けてみたとします。南アフリカという国の成長に伴い、南アフリカへの直接投資のため、南アフリカのものを買うため、にランドを買っていた資金と、高金利に吸い寄せられていた資金。前者の直接投資というのは、企業の進出、現地法人の設立、工場の建設、インフラ建設、など、「やばそうだから引き揚げよう」「やっぱやーめた」「金利下がっちゃったから他へ行こう」なんていう風にカンタンに移動のできない性格のものです。10年とか20年の覚悟が必要で、投資する際にも慎重な判断がなされます。また、その国のものを買うためにその国の通貨を買った資金はその国が生み出した付加価値の対価として支払われ、再投資や富の蓄積にまわされます。でも後者の資金、「高金利に吸い寄せられていた資金」というのは、かんたんに他へ行ってしまいます。つまり、こうした資金に買い支えられていた部分というのは非常に弱く、脆いわけです。

ブラジルの通貨レアルは、円に対して昨年2007年は12.7%、2006年は10.7%、2005年は30.3%、上昇しました。これは、ブラジルの金利が南アフリカと同様に高いという理由もあります。しかし、これも先程と同じように、ブラジルの経済成長に伴うレアル買いの資金が買い上がった部分と、高金利に吸い寄せられた資金が買いあがった部分、に分けることができるはずです。もちろん、私はその比率がどうなっているのかなんてわかりません。でもね、その2種類があるんだろうなってこと、後者の部分はカンタンに剥がれ落ちるかもしれないけど前者の部分はそうカンタンに剥がれ落ちないだろうなってこと、は割と私にとって納得感があるわけです。これが投資する時の材料になるんだと思いますし、この考えに基づいた投資は私にとっては、「人にすすめることはできなくても、自分にとっては満足で納得のいく投資」なんです。私にとっては南アフリカのランドって通貨は後者によって買い上げられた部分が大きいように見えてるわけです。そうすると、10%の金利だけど年初から2ヶ月弱で15%の下落、下落のきっかけは停電による鉱山の掘削中止と、それを招いたインフラ未発達という事実に投資家が気づいたため、なんていう話を聞いて、妙に納得感が得られるわけです。そりゃそうでしょうよ、ってね。

債券だけじゃなくって、FXでレバをかけた取引でも南アフリカランドやトルコリラは大変人気だったようで、南アフリカランドが年初来で15%の下落、トルコリラが6%の下落ってなってますけど大丈夫なんでしょうか・・・なんかちょっと前は、「トルコリラや南アフリカランドにレバレッジをかけて投資!すごいぞ!」みたいな話はインターネット上のあっちこっちのサイトやブログや雑誌なんかでよく目にしました。なんでも、為替のリスクは高いけど、金利が高いから為替でちょっと損しても高金利がつくから大丈夫!みたいな。オイオイ逆だろう・・・と。真反対ですよ。真逆ですよ。

トルコリラの話はこちら。
http://jovivi.seesaa.net/article/51875779.html

前回お話しした為替の人と先週また話した時に「日本では、これまで定期預金しかやったことなかった人がいきなりトルコリラとか南アフリカランドにレバレッジかけて投資してるんだよ」って言ったら「冗談でしょ。」って言われたんで、「本当だよ。」「FXは超人気で、本屋に行けばFXの本が山ほど売ってるし、インターネット上にはそこら中にFXの広告が出てるし、急に超メジャーな金融商品になったんだよ。」って言ったらすげえ驚いてました。レバレッジ取引ってのは、自分のお金以上の取引、例えば口座に100万円しか入ってないのに1億円の取引をするイメージで、当たり前ですが、信用力がないと普通はできません。彼の驚きは、そういう取引を個人投資家がやってるってことよりも、むしろ、そんな狂った取引の相手側になる金融機関があることに驚いてました。どうやって受け付けてるの、そんなのどうやったら受けられるんだ、って。答えは簡単で、ものっすごい近いところにロスカットの線が設定されてて、よろけただけで当たるようなところに設定されてる、って説明したら、「・・・アンビリーバボー」って。そりゃそうですよね。せめて、とってるリスクだけはちゃんと理解しててほしいなと願うばかりです。ノーフリーランチ、ハイリスク・ハイリターン、ですよ。これだけは絶対に忘れてはいけません。

利回りが3%のものと4%のものがあったら、何故後者は4%なのか、どういうものと引き換えにその差が生まれているのか、を見つけようとするクセをつけましょう。



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posted by ジョン太郎 at 00:22| Comment(2) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
為替大波乱ですね,そこで一句
 円たかく ドル.ユーロに 指うずく
でも手元資金がありません出るのはヨダレのみ、このような時は菜の花見物で家庭サービスでもします
Posted by 変人 at 2008年03月01日 07:32
変人さん、
コメントありがとうございます。手元資金ほしいっすよね。私も常に手元資金が欲しい状態です・・・
Posted by ジョン太郎 at 2008年03月01日 10:10
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