まず、そもそもサブプライムローンの問題ってなんなのさって方はこちらの記事をご覧ください(http://jovivi.seesaa.net/article/51082611.html)。最初の1週間の動きはこちら(http://jovivi.seesaa.net/article/51291076.html)。先週の金融市場の混乱っぷりはこちら(http://jovivi.seesaa.net/article/51875779.html?reload=2007-08-21T21:44:36)。
さて、今回は紙芝居を用意しましたので、まずはこちらの紙芝居をご覧になってください。クリックすると大きくなります。なんなら別ウィンドウで開いたり、一旦PCにダウンロードしてビューワーで見るなりしてみてください。
まずは、出だしから。
@住宅ローン専門会社が信用力の低い個人に高金利の住宅ローンを貸します。
限界まで見積もっても10百万円が融資の限度、という人がいたとします。この人が40百万円の家を買おうとします。自己資金、頭金は一切ありません。購入しようとする住宅を担保にとっても担保の価値は40百万円で見ることはとてもできません。買った後は価値が下がりますから、いざこの人が返せなくなったとして、買った家を売却するにしたって40百万円で売れる保証はありません。本人の信用力を合わせてもどう頑張っても40百万円が融資の限度、これだって、自己資金、頭金なしではとても融資できません。ところが、「購入金額の全額の40百万円、自己資金ナシでも、サブプライムローンなら貸せますよ。」との声が。「3年後に金利上がっちゃいますけど、金利上がったあとは年率15%とかすごい金利になっちゃいますけど、これなら貸せます。でも、大丈夫。3年以内に乗り換えちゃえばいいんです。今、不動産価格はうなぎ昇りです。メチャクチャ上がってます。今回買った住宅が買った直後からガンガン値を上げて50百万円になっちゃえば、10百万円分の個人の信用力に加えて担保価値が大きくなることで、40百万円のローン金額には充分な信用力になります。そしたら、普通の住宅ローンに乗り換えちゃえばいいんです。他の銀行から5%で借りてきて、うちのローン返してもいいですし、うちだってそこまで不動産価格が上がれば6%くらいで貸せますよ。」・・・じゃあ借りちゃおうかな!買っちゃおうかな!みんな狩った直後からバンバン値段上がってウハウハって言ってるしな。買えずにモジモジしてる間にどんどん値段が上がって買えなくなったって話もよく聞くしな!借ります!30年ローン組みます!
A住宅ローン会社がこの債権をSPC(ペーパーカンパニー)に譲渡します。
ローンを回収できる権利、金利を受け取る権利、を債権と言います。集めたサブプライムローンを全部抱えて、ちゃんと返ってくるかなぁってドキドキしながら30年待たなくても、これをまとめて買い取ってくれる人や、これを証券化(あるいは流動化)と言って、現金に換えることができるんです。早速、証券化のためのSPC(ペーパーカンパニー)をつくり、そのSPCに債権をうつします。
B住宅ローン会社のSPCはこの債権を担保にRMBSを発行します。
前にも言いいましたが、ローンというのは借りている人にとっては借金ですが、貸してる人にとってはローンは債権という資産です。こうした資産を担保に発行する証券をABS(Asset Backed Securities)と言います。その中でも住宅ローン債権を担保にしたものをRMBS(Residential Mortgage Backed Securities)と言います。他にも商業用不動産担保ローン債権を証券化したCMBS(Commercial Mortgage Backed Securities)なんてのもあります。とにかく債権を担保に小口化した証券を発行し、いろんな人に売っぱらう手法です。また、この時にはほとんどが債券として発行されます。つまり満期がきたら償還され、お金を返す、満期までは金利を払う、ということですので、売っぱらうと言うよりは、一定期間現金化する、というほうが正確かもしれません。調達する期間、現金化する期間、はいろいろですが、3〜7年くらいのものが多いと思います。もちろん、期間30年のローンに比べて期間が短い分、通常状態であれば金利は低くなるというのが普通です。返す時には、担保にしてた資産を売って現金にするか、もう一度その資産を担保にお金を借りて乗り換えます。
CこのRMBSをいくつかまとめて更にCDO(Collateralized Debt Obligation)というのを発行する人がいます。
RMBSをいくつかまとめたり、仕立て直したりして、更にCDOという証券を発行する人がいます。もうアルファベットものが多くてやんなっちゃいますが、なんてことはなくって、資産担保証券の1種です。なんかの資産を担保に発行されている証券、だいたいの場合が債券とかその仲間、償還日が来たら借りた金を返す、償還日までは金利を払う、と思っておけばそれでOKです。仕立て直すと言うのは、いくつかのRMBSをまとめたり、発行する証券の種類や期間などを変えたりすることです。要はRMBSという証券(資産)を担保にして、お金を調達する、しばらくの間現金化する、というだけの話です。CDOは期間2年〜5年くらいのものが多いと思います。
今回の問題でキーとなっているのは、この仕立て直しの過程で取り直されている格付けです。たとえばBで発行された債券が上位のAAAから投機的格付けのBBくらいまで発行されたとします。このBBの債券をあっちこっちから集めてBBの債券ばかりの大きなプールを作ったとします。そして、この債券を更に担保にしてCDOを発行し、また返済順位に序列をつけるなどして、一番上位をAAAで発行し、AA、Aという具合にいろんな種類のCDOを発行します。もともとはBBのものが担保になっているので、大元の住宅ローンがちょっとダメージを受けるだけでもかなり怪しくなってくるようなものが、形を変え、仕立て直しをされ、という過程でAAAの債券の裏付けになってしまうのです。AAAだと思って買ったものの中身が実はBBの寄せ集めの上澄みの部分だった、なんてこともあるわけで一たび大本の住宅ローンが焦げ付くとあっという間にBBのRMBSがあやしくなって、その寄せ集めの上澄み部分のAAAのCDOまで怪しくなってくるというわけです。
Dまた、一方、このRMBSを直接買う金融機関やファンドなどもあります。
ECのCDOを更にまとめたり、仕立て直したりしてABCP(Asset Backed Commercial Paper)というのを発行する人がいます。
CDOをまとめたり、仕立て直したりして、また同じようにCDOという資産を担保にして、ABCPを発行する人がいます。CPというのはコマーシャルペーパーというやつで、短期の資金調達の際に使われる債券の仲間です。もちろん期限にはきっちりお金を返さないといけません。短期なので債券の発行みたいな面倒なことしてられません。コマーシャルペーパーは手形なので発行は債券の発行に比べるとずっと簡単です。カンタンに発行できる短期間の資金調達用のものだと思っていただければOKです。ABってついてるので、なんかの資産の担保付き。もちろん間にCDOが入らずにRMBSをまとめて担保にしていきなりABCPを発行する人もいるかもしれません。とにかくここまで、最初の住宅ローンをまとめたものを担保に、ローンより短い期間の現金調達用の証券が発行されて、さらにその証券をまとめたり仕立て直したりしてもうちょっと短い期間の現金調達用の証券が発行されて、更にその証券をまとめたり仕立て直したりして更に短い期間の現金調達用のABCPが発行されて、最終的には1〜3ヶ月くらいのABCPで調達しては返済して調達しては返済して・・・の繰り返しというところまでいきます。おおもとの担保になってるものは30年の住宅ローンなのに、いつの間にか1ヶ月〜3ヶ月の短期資金の調達に行き着いてしまいました。更に格付けも仕立て直しの過程で取り直されてわけわかんないことになり、更に投機的格付けのものすら寄せ集められて上澄み液が取り出されてAAAの債券に仕立て直されて再び世の中に出ていくわけです。
FさきほどのCDOも、直接これに投資する金融機関やファンドなどがあります。
G最終的なABCPの引き受け手は、短期金融市場の主役の金融機関やファンドなどです。元本の安定性が第一のMMFなんかでもこれを買ってたりして・・・金融機関も手元にあるこの債券は一体いくらの価値があるのかわかんなくなったりして、そもそも現金化できるのか、ちゃんと償還されてお金が返ってくるのか、も自信がなくなってきたりして、あっちこっちで不安と不信が渦巻いちゃうわけです。
ハーハーゼーゼー。これがサブプライムローンの実態です。たぶんここで、この記事(http://jovivi.seesaa.net/article/51082611.html)を読み直してみると以前よりずっとよくわかるんじゃないでしょうか。
さてと。
このメカニズム自体がいくつかの構造上の問題を抱えてしまっています。
・おおもとの担保になっている資産の金利は30年の長期なのに、一番最後まで行くと1〜3ヶ月の短期金利の調達になっている。短期金利が長期金利よりも低い普通の状態ならいいですが、長期金利よりも短期金利のほうが高くなってしまう場面もあります。そうなると高い金利で借りたお金で安い金利の運用をする構造になってしまいます。
・プレーンなものに比べて仕組み上のリスク(ストラクチャー・リスク)を抱えているものは、その分上乗せ金利が乗っかったりするので、1個目のポイントが見えにくくなったり、わかりにくくなったりする。
・途中で他のものとあわせてまとめられたり、仕立て直されたり、逆に一部のものはおまとめパックの中に入らずに直接投資家に買われていったり・・・さらにその先の別のおまとめパックに入っていくものもあったり・・・で、結局誰がリスクをとっているのかわからなくなってしまってたりする。
・仕立て直しの過程で格付けが取り直されて、BBの格付けのものでも寄せ集めて上澄み液が取り出されてAAAの債券が発行され、AAAだと思って買った債券の裏付けとなってる担保が実はとんでもないものだった、なんてことがある。
で、今回の問題はどのようにして起こったかというと、こうした構造のところにこんなことがおきました。
問題の本質はAさんとBさんの会話です。で、この構造全体の大前提となっていたのは、なんと、買った後に住宅の価格が上がる、という一番最後のABCPを買うようなプロからすれば、とてもまともに捉えることはできないような希望的観測を前提としていました。ここの部分に支えられた構造ってやっぱり問題ですよね。で、その前提がもろくも崩れます。
で、8月9日のヨーロッパ市場(http://jovivi.seesaa.net/article/51082611.html)に繋がります。
すげえ!劇的だ!
というわけです。
実は新聞やニュースで騒がれている問題は2つあって、1つはおおもとのサブプライムローンが焦げ付き始めているというもの。もう1つはこれが伝播していって金融市場が混乱していて、信用不安が起きてちゃってて、マネーマーケットが緊縮しちゃってる、ということ。この2点です。これをごっちゃにしてる人が多いんですが、ECBや日銀やFRBによる短期金融市場への大量の資金供給や短期金利の引き下げは2つ目の問題への処方箋であって、1つ目の問題を解決するものではないってことです。金融市場が落ち着きを取り戻したところで、1つ目の問題が解決されなければまた再燃する可能性はいくらでもあります。そして、アメリカの10兆ドルの住宅ローン市場のうちの15%、1.5兆ドルもの残高があるサブプライムローンの70%は、2008年に金利改定を迎え、金利が引き上げられます。更に、この過程で差し押さえられた住宅が、住宅なんぞ持っててもしょうがない金融機関によってバンバン競売にかけられます。これが住宅価格をさらに押し下げて、今度は不動産のオーナー価値を下回るところまでいっちゃうと、住宅ローンを返済することをギブアップして金融機関に担保不動産をあげちゃって借金返すのやーめたって人が出始めて更に差し押さえが増えて、一刻も早く現金化したい金融機関がすぐに売りに出して更に競売が増えて、更に不動産の需給バランスが悪化して不動産価格が下がると。
1つ目の問題への処方箋の話を早く聞きたいものです。
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はじめまして!コメントありがとうございました!
うーーーん・・・どうでしょうね・・・
私自身はアメリカ金利は引き下げされると見ています。(あくまで私の個人的な見解ですよ!)FRBは年内に0.5〜0.75%程度は引き下げするんじゃないかなと予想しているんですが、あくまでもそれはベース金利の話です。そしてこれは焼け石に水なんじゃないかと・・・
貸し出しの金利というのは簡単に言うと「ベース金利」+「融資期間に応じた上乗せ」+「信用リスクに応じた上乗せ」+「その他の上乗せ」、で構成されています。サブプライムローンの場合、ベース金利に10%くらいの「信用リスクに応じた上乗せ」が乗っかってくるので、例えベース金利が下がっても、やっぱりサブプライムローンを借りているような人には払いきれないんじゃないかなって思います。(ゼロ金利状態にあった日本でもこの間、消費者金融の金利は15%以上でしたよね。これはほとんどの部分が「信用リスクに応じた上乗せ」ということです。そしてやっぱり払いきれない人が出てましたよね。)
私も良い解決策は全く思い浮かびません・・・というか思いついた人は是非FRBに提案すべきです!なんか良い解決策ないもんですかね・・・
政府が住宅を買い上げて住宅価格を買い支える!と住宅バブルを助長するだけですしね。
米政府が問題処理の専門機関を作ると18日にニュースが流れましたが詳細は分かりません。
>政府が住宅を買い上げて住宅価格を買い支える!と住宅バブルを助長するだけですしね。
返済能力の実態は借りた人の返済能力ではなく、サブプライムローンに支えられた不動産の値上がりだったというのが本質ですね。
4000万円の住宅なら滞納長期化で3000万円くらいの廉価で差し押さえ再販売して証券の損失を確定していくしかない気がします。3割程度の損失で収まればねずみ講のような証券を買ったペナルティとして適当な気がします。