2007年08月19日

今週の市場の動き2007/08/11 〜サブプライムローン問題〜

今週もすごい1週間になりましたね。今週の動きについてまとめておきます。

まず、そもそもサブプライムローンの問題ってなんなのさって方、え?なんかあったの?って方、はまずはこちらの記事をご覧ください(http://jovivi.seesaa.net/article/51082611.html)。あと、先週までの動きはこちら(http://jovivi.seesaa.net/article/51291076.html)。

今回は先進国を中心にして、各資産の値動きを見てみましょう。金曜日の日本の市場がしまった日本時間15時過ぎのデータです。スタート時期は先月7月の頭からにしました。先月頭を100として指数化してます。

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まず見比べていただきたいのは上2つのグラフです。左は各国の10年国債の利回りの変化、右は3ヶ月Liborの変化です。左が長期金利、右が短期金利の動きだと思ってください。これら2つが変化したメカニズムについては前々回の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/51082611.html)でご説明した通りです。市場参加者がリスク資産から逃避して国債を買いに走り、国債の価格は上昇、国債の価格があがってももらえる利金は変わりませんから利回りは低下しますね。8月9日あたりから各国で急激に下がっているのがよくお分かりになると思います。一方、短期金利は市場参加者たちがリスクを意識して手元資金を厚めにし、資金の出し手が少なくなり、資金需要のほうが大きくなってどんどん高くなっていってます。

2段目、中段の2つは株とREITの動きです。これは8月9日以降下げまくってますね。下げてますね、しかコメントの仕様がない見事な下げっぷりです。

で、3段目、下段の2つは為替と新興国株のグラフをのせておきました。為替は下に下がるほど外貨の価値が下がる、つまり円高、という風に表示されてますので、ほぼ全面的に円高、特に8月7日と8月10日の間あたりから急激な円高が進んでいるのがおわかりになると思います。最後に、右下は新興国株です。中国A株上がってますねぇ(笑) 100のラインが7月頭の水準ですから、これらの市場の中では100を上回ったのは中国A株だけですね。

で、この時、日経平均は前日比5.42%のマイナスとなる874円81銭安の15,273円68銭で今週の取引を終え、ドル−円の為替市場は112円台にありました。その後更に円高がすすみ、16時すぎにはついに1ドル111円台に突入します。そして夜(現地時間だと朝)、アメリカの連邦準備理事会(FRB)は臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、公定歩合を急遽0.5%引き下げて年率5.75%とすることを決めました。この発表を受け、そのままアメリカの株式市場は反発して始まり、アメリカ株のダウ平均株価が前日比1.82%のプラス、イギリス株のFT100指数が前日比3.50%のプラス、フランス株のCAC40指数が+1.86%、ドイツ株のDAX指数が+1.49%、と欧米市場は前日比プラスで金曜日の取引を終え、ドル−円の為替レートは113.36円、ユーロ−円が152.45円、で今週の取引を終えました。

これが週明けの東京市場にどう引き継がれるのか注目です。アメリカは、公定歩合をいじってきましたね。私くらいの年代の人は学校で「中央銀行は公定歩合をいじって市中の金利を調節する」って習ってるんですが、最近、公定歩合って言葉聞かないですよね。

公定歩合ってのは国の中央銀行が、民間の銀行にお金を貸す際のレートなんですが、昔はこれをいじって金利を調節してましたが今は違います。

アメリカの場合、公定歩合とFF金利という2つの金利があって、FF金利ってのは民間の銀行同士が短期の資金を融通し合う時のレートです。FF金利操作ってのはこのFF金利の誘導目標を発表して、金利を操作するものです。もともとアメリカの公定歩合はFF金利よりも低かったんですが、国が銀行に安くお金を貸すなんてずるい的な話が沸き起こって、それ以来公定歩合はFF金利より高くなり、最近では公定歩合はFF金利+1%、でずっときてました(で、今回、公定歩合だけを0.5%下げたので、FF金利が5.25%、公定歩合が5.75%と差が0.5%に変わりました)。現在では公定歩合はすっかり存在感が薄れ、ニュースや新聞で見聞きするのもFF金利ばっかりです※。

そんなホコリをかぶった感のある公定歩合をいじって、FF金利をいじらなかったのは、「金利政策の方針は変えない」というメッセージを伝えたかったからだと見る向きが多いようです。公定歩合をいじることで、アメリカの中央銀行はちゃんと対応するよ、短期金利はどんどん上がっちゃってるけどいざとなったら中央銀行から安くなった公定歩合で借りられるから安心して、手元資金が不安だからって貸し渋りすると更に市中のお金が足りなくなって倒産が増えたり景気が悪くなるからそういうのはダメよ、というメッセージを発したと捉えられています。

一方で、今回、アメリカはFF金利を引き下げて対応してくるんじゃないかと思ってた人たちにとってみれば、公定歩合の引き下げ=FF金利の引き下げを見送った、という風にとらえられたらしく、もう少し先手を打つというか、積極的な対応を求める声もあるようです。

あとは、思ってたよりやばそうだ、って可能性もありますね。中央銀行が銀行に貸す際のレート引き下げですからね。いざという時のために、という意味合いはあると思います。

※日本ではちょうど1年前の今日、2006年8月11日に「公定歩合」とい言葉の使用をやめて、「基準割引率および基準貸付利率」という大変分かりにくい言葉に変更されています。また、アメリカが市中の金利のコントロールを公定歩合操作からFF金利の誘導目標による操作に変えたことを受けて、いつもの通りまる受けして、日銀の短期金利操作は公定歩合操作ではなく「無担保コール翌日物」という銀行間で資金を融通し合う際のレートの誘導目標による操作に変更されています。

リスク資産からの逃避はもうしばらく続きそうな感じですね。パニックはそんなに長くは続かないものですが、あまりにリスクに鈍感になってしまっている状態に警鐘を鳴らす人は多かったですし、適度な調整や人々がリスクを再認識する機会というのは良い類のものだと思います。

日本でも、投資をあまりしたことがないような人がいきなりFX(外国為替証拠金取引)とかでトルコリラをレバレッジをかけて取引するような時代ですからね。レバレッジというのは、自分のお金の何倍もの取引を行う、通常の取引に比べてハイ・リスク/ハイ・リターン型の取引のことです。昔、と言っても私が大学を出て最初に勤めた銀行に入った1999年ごろの話ですけど、オジサンたちが「そんなのトルコリラを買うようなもんだ!」ってのを冗談とか大げさな表現として言ってました。トルコリラっての相当スゲーんだろうな、と当時の肌のツヤとハリがよかったジョン太郎は思ってました。時代が変わりましたね・・・って言うとすごく年寄りじみてますが、金利も非常に高いため個人投資家に人気、個人投資家がトルコリラをFXでレバレッジをかけて買っている、という話を聞くと結構ドキドキします。ちなみにトルコの現在の政策金利は17.5%です。すごいですよね。すごいですけど、市場にフリーランチ、つまりタダメシ、はありません。高金利には高金利なりのワケがあります。

高金利の国には、景気が良い状態が続いていてそれに伴うインフレ進行を抑えるために金利を高くしている国、たいして景気がいいわけでもないのにお金の価値が下落してインフレが進行していてそれを抑えようと金利を高くしている国、自国内にお金があまりなかったり自国からお金が逃げてしまう懸念があるなどの理由で金利を高くして他の国からお金をなんとか集めようとしている国、などがあります。インフレの抑制や資本の流出を防ぐ、通貨下落を防ぐ、などなんらかの理由があってその金利になっています。その理由も考えずにただ表面的な金利だけを見て騒いでもしょうがありません。どういうリスクをとることでそのリターンが得られるのかを考えるのは投資の基本中の基本ですよね。

リスクがなくて金利17.5%を得られるなら個人投資家が買う前に機関投資家が買いまくります。この5年のトルコリラと日本円の動きを見てみましょうか。

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下にいくほど円高、上にいくほど円安、です。まぁまぁ安定してますね。1トルコリラ=75円から100円くらいの間で推移してる感じです。

では、期間を長くして、この10年で見たらどうでしょう。ついでにその前の10年の値動きのグラフもつけときます。左が1987年から1997年までの10年、右が1997年から2007年までの10年です。

TKY2.jpg

さっきのグラフ、最近5年間のグラフ、というのは右下の赤枠で囲った部分のみのグラフということです。20年前のトルコリラは20万円以上でした。現在は100円以下、先週末のトルコリラは83円ちょっとでした。ちなみに先週8月8日は94円台でした。

米ドルだって、私が銀行に入る直前の1998年の秋ごろに4日で20円以上円高になったことありますよ。4日で20円以上の円高って信じられないですよね。為替というのは基本的に中長期で見て値上がりを期待していくものではなく、中長期の間に何度も上げ下げがあって安いところで買って高いところで売る、というのを繰り返して儲けるものです。それをレバレッジをかけて行うというのはハンパな覚悟でやるものじゃないと思うんですけどね。FXは中長期の投資には向いてません。中長期の投資についてはこちら(http://jovivi.seesaa.net/article/34026208.html)。

それにしても来週本当にどうなるんだろう・・・



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posted by ジョン太郎 at 02:50| Comment(4) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 毎回、更新を楽しみにしています。
投資を始めて1ヶ月少しでのこの状況・・・。以前、ジョン太郎さんが言われていたように今の状況はホント今後の財産になるなぁ・・・・と信じて耐え忍んでます(T_T)。
 とは言っても正直言うと分からない事ばかりなのが幸いして!?まぁ、そのうちあがんじゃねぇの?どんなに遅くても2、3年すりゃ元には戻るっしょ?ぐらいに考えてます。ただ、今回、私なりに痛感したのは投資にはこのブログで勉強させて頂いたような大切なことは多々ありますが、どのような資金を投資するかというのが1番じゃないかと痛感しました。ある程度の余剰資金であれば精神的にある程度の下落は耐えられますし、最悪の事態になっても、まぁ・・・です。しかし、極端な話、生活資金などだとそんな悠長なことは言えませんし、こんな相場な毎日はバンジージャンプよりスリリングです。
 やっぱどんな状況でも実生活のリズムを崩すことのない様な投資を心がけたいっすね^^しょーもない書き込みでもうしわけありません。
Posted by けんけん at 2007年08月21日 01:56
けんけんさん、
こんにちはー。コメントありがとうございます!
私も毎回、けんけんさんのコメントを楽しみにしています♪
まさにけんけんさんのおっしゃる通りで、投資していいお金は余剰資金だけです。子供の給食費を握り締めてワナワナしながら・・・ゴクッ・・・みたいなのは絶対ダメです。
時間を味方につけることができる余裕資金だけで運用すれば大分事情が変わってきますし、投資が投資らしくなります。
投資は余裕資金で長い期間をかけてじっくりと、が鉄則です!
そして、今回の経験はお金を払っても買えない超貴重な経験となり、きっとこの経験が将来リターンを生んでくれたり、リスクを避けさせてくれたりすると思いますよ。
Posted by ジョン太郎 at 2007年08月21日 21:44
今回の世界的株安は、本当に1ヶ月前にこのブログに出会っていなければ、人に言えないような含み損(と言うのかしら?)をかかえてしまった私はただオロオロするばかりだったと思います。
2月18日記事の投信を売却するタイミングの「市場環境が変化して・・・」というのは具体的にどのような時なのでしょうか?今回売却とは思ってもいませんが、こういう事態が長引くことも市場環境の変化になるのでしょうか?
Posted by キャロライン at 2007年08月22日 00:13
キャロラインさん、
コメントありがとうございます!「市場環境が変化して・・・」というのは、少なくとも現段階では、私にとっては、市場環境の変化というほどのインパクトにはなっていません。というのも実体経済への悪影響が今のところ出ていませんし、私が投資している国の経済成長や企業の成長が今回の問題で下ブレするとは考えていないためです。株価というのは中長期的には企業収益を反映いると考えてますから。一方で、FXなど「投機(投資と投機の違いについてはこちらhttp://jovivi.seesaa.net/article/34026208.html)」を行っている人にとっては今がまさに「市場環境のが変化」の時であり、これまでの投資戦略を一旦見直さなくてはいけない時だと思います。
私にとっての「市場環境の変化」「投資環境の変化」には例えば想定している経済成長のシナリオが崩れたり、投資環境が大きく変わってしまったり、税制の変更や、市場の透明性や公平性の低下、PERが60倍を超えてまだ上がるような合理性を欠いた状態になったり、なんでもアリのIPOが立て続けに起こったり、戦争が起こる、クーデターが起こる、テロが頻発する、等が考えられます。
すごくシンプルに言えば、今、新たにその資産あるいは市場に投資するとして魅力的であると思えるかどうか、を基準に考えています。投資したときは良いと思っていた資産や市場が変化することはあり得ますからね。
もし今、私が日本の債券や日本のREITを保有していたとしたら、現在の市場環境は私にとって良いとは思えない状況のため、恐らく見直しをすると思います。
Posted by ジョン太郎 at 2007年08月23日 22:33
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