2015年01月01日

円安と2015年

皆様、明けましておめでとうございます。


生存報告でございます。元気でございます。健康でございます。2005年12月に始めたこのブログ、一応今年の12月で丸10年を迎えますが、この数年まともに更新できないので、10周年を祝うようなこともありません。でも、いつまた私がやる気を出してガンガン更新するようになるか分かりませんので、何せ私は気まぐれな生き物ですから、そういう日が来た時のためにもこのブログは片づけずにおこうと思っております。そして、こういう思いったった吉日とかには更新していこうと思います。

さて、皆様、2014年はいかがでしたか。株のほうは概ね堅調でしたが、為替のほうは日銀の金融緩和により大きく円安が進んだ1年でした。後半は米国の金融引き締めへの準備も始まり、ドル高の要素も加わって一気に円安ドル高が進みました。

円高の時には、「円高の影響で日本経済は大打撃を受けている」と眉間に皺を寄せて口をそろえて円高は悪と言っていたニュース番組などは、アベノミクスという言葉の浸透と共に進む円安をもてはやしていましたが、ここまで円安が進んでくると、「円安の深刻な影響が・・・」と言い始めています。

円高にも円安にもそれぞれ様々なメリットとデメリットがあります。どちらかが良くてどちらかが悪いというものではありません。強いてどちらが良いか選べと言われれば、個人的には今の日本経済の構造を考えると円高のほうがメリットが大きいと思います。円安は輸出に有利に働きますが、日本は輸出大国でも貿易大国でもありません。日本経済全体に占める貿易の割合はさほど大きいものではなく、「個人消費が大きな割合を占める」という冠言葉がつくアメリカの個人消費がGDPに占める割合は7割、日本の個人消費がGDPに占める割合は6割、この程度の差です。さらに言えば、例えば自動車の輸出ですが、日本の自動車産業は円安の恩恵をそんなにべらぼうに受けられるような産業でしょうか。

自動車は日本の地面に埋まっている資源を掘ってそれを加工して輸出しているわけではありません。鉄などの資源を海外から輸入して、それを加工して輸出しているわけですから、円安が進めば鉄の輸入代金が上がり、輸出が有利になることで増える利益の結構な部分が輸入が不利になることで失う利益でオフセットされます。そんなこと言ったって事実として各自動車メーカーの業績は円安のおかげで良くなっているじゃないか!という声もあるでしょうが、それは自動車メーカーが原材料を輸入せず、部品を下請けから買っているからです。なぜ円安で自動車メーカーの業績があんなにも良くなるか、答えは簡単なことで、円安によって鉄などの原材料の購入代金が上がってしまっているにも関わらず、その原材料を加工して作った部品をこれまでと同じかあまり変わらないような値段で、自動車メーカーに販売させられている下請け会社があるからです。自動車メーカーの業績改善は、下請メーカーの業績悪化の上に成り立っているものです。

2014年の企業倒産数は前年比3倍に膨らんでいます。中小企業は日本の企業数の99%を占め、働く人の7割が働いています。日本の平均世帯所得が上がらず、消費が伸びない、当たり前です。別に中小企業を過保護に守れと言うつもりは全くなく、円安で日本経済がどんどん良くなっていくと思ったら大間違いということを言いたいのです。

アベノミクスという言葉と円安は容易に結びつきますが、それは金融緩和が円安を招いているだけのことです。では、アベノミクスはこの国のGDP成長率を上げることができるでしょうか。政府の借金を目減りさせて税収を嵩上げしてくれるインフレ率を高めて日本の「名目成長率」(実質成長率+インフレ率=名目成長率)を上げるということについては具体策もあり、実行されていて、ここについては声を大にして喧伝されていますが、実質成長率を上げる具体的な方策は全くと言っていいほど見えません。

今更ですが、経済が成長する=GDPが増える、経済成長率=GDP成長率、つまりGDPが前の年と比べてどのくらい増えるかがどのくらい経済が成長するかということになるのですが、そのGDPというのは人口×1人当たりGDPです。今の日本のように、人口が減少し続けるならば1人当たりGDPを上げ続けてやっとGDP成長率がマイナスになることを防げますし、1人当たりGDPが増えなければGDP成長率はマイナスになります。日本は1人当たりGDPが約400万円、人口が1億3千万人でGDPが約500兆円です。平均400万円稼げる人が1.3億人いるから500兆円、というだけのことで、人口が減るなら1人当たり400万円以上稼げるようにならなければGDPは500兆円から減少し、GDP成長率はマイナスになります。GDP成長率を高めていくためには1人当たりGDPを増やす方策か、人口を増やす方策が必要なのです。何か具体的なプランを皆さんご存知ですか?ご存じないと思います。だって示されていませんもの。でも、選挙では圧勝できるんですね。日本経済を立て直したとされるアベノミクス効果で。まぁ投票率が50%をやっと超える程度の選挙の結果ですけど。

話を少し戻して、今の日本が持つ一番強いカードってなんでしょう。社会全体の安定性とか、震災直後でもは配給に列を作って割り込まずアウェーでのナショナルチームの負け試合後でもごみを片づける高い道徳性とか、クールジャパン?とか、まぁいろいろあると思いますが、私がそれらと同じかそれ以上のカードだと考えるのは戦後に蓄積した莫大な資本です。

日本の個人金融資産が1,500兆円、とよく言われますがその数字は古くて、2014年7-9月の速報ベースでは1,654兆円です。このうちの8割1,300兆円を超える部分が現預金と保険です。まさしく間接金融王国です。個人だけではなく法人も莫大な資本を蓄えており、この国にある資産から負債を差し引いた純資産(国富)は3,000兆円規模です(うち土地が1,000兆円強)。これを成長力の低い国内で増やすのか、手っ取り早く国外の成長力の高い国の力で増やすのか。成長力がすぐに上がれば苦労しないのですが、それはなかなか難しいでしょう。後者を選んだ場合、国内に貯めた莫大なストックを海外の力を使って増やそうとする時に一番ジャマなのは円資産の価値を目減りさせる円安です。簡単に言えば、1ドル=75円の時には1億円で133万ドル分の海外資産を買えたものが、1ドル=120円になれば83万ドル分となり、一気に進んだ円安により1億円の価値は50万ドル分も減ってしまったのです。海外企業の株式を買うにしろ、海外の不動産を買うにしろ、海外の何かの権利を買うにしろ、円安が進めばそれだけ不利になります。今、日本の企業の中にはリーマンショック時の大幅な円高・株安の時に取得した海外企業の株、買収した企業、のおかげで大きな利益を得ているところがたくさんあります。典型はメガバンクでしょう。国内がこういう状態ですから、国内の本業は逆ザヤ、でもリーマンショックに買った海外の金融機関が稼いでくれているのでそのおかげ様で、ということになってます。

安いものを買わないと。でも、安いものを買うのには勇気がいります。多くの方は、割高なものを買うのには不安を感じないのに、割安なものを買うのには不安を感じるんですよね。小さい市場にお金が流れ込んで、需給バランスが崩れて上がっているだけの「人気で、売れ筋で、皆さんが買っていて、値段が上がっているもの」に飛びついて、「人気がなくて、値段が下がっているもの」は買おうとしない。資金が逆流を始めると、小さい市場に大きすぎる資金が入り込んでいるわけですから、そうした資金が出ていくときには間違いなく大きくさがります。積木は積み上げるときはゆっくり慎重に、崩すときは一瞬、それと全く同じです。結果、上がっている高いもの買い、下がっている安いものを売ると。上がったものを買って下がったものを売る、高い値段で買って安い値段で売る、儲かるわけがないです。でも、半年ほど前に珍しく更新したこの記事
http://jovivi.seesaa.net/article/399443270.html
で書いたように、金融商品というのはギッフェン財です。値段が高いものほど需要が大きくなるという不思議なものなのです。お金が入ってるから上がってるだけなのに、後講釈を鵜呑みにして、人気があってみんな買っててしかも上がってる、ホラ実際にこんなに上がってる、なんてのを信じてお金を投じ、資金が逆流し始めると値段が下がり、下がった値段がまた売りを呼びさらに値段が下がると。シェール革命だなんだと騒いでPER40倍以上でMLPを買って値段が下がる、市場最低利回りの米国ハイイールドを買って値段が下がる、昨年6月18日以降当局者たちが揃ってハイイールドやバンクローンはダメだよと言ってもまだ買う、どう考えてもリスクに見合ない低利回りのものを中身も見ないで買う中身も知らずに買う、その後に資金が逆流して下がり、資金が逆流して下がっただけなのに騙されたと嘆く。人気があって、みんなが買ってて、売れ筋で、資金が流入してて上がってるものを買えば、その後当然のように来る未来なのに、騙された二度とやらないなんて言ってね。ひたすらその繰り返しです。リーマンショックの前と全く同じ、ITバブルの時と全く同じです。

過去の歴史を見ると、米国の利上げ1回目でいきなり相場が崩れるというケースはあまりないようですが、利上げが続いたのちにそれまでの金融緩和が引き起こしたバブルが弾けるというのはよくあるケースです。これだけ長い時間上昇が続いていて、その背景にとんでもない規模の金融緩和があり、人々のリスク感覚の鈍りっぷりはリーマンショックの直前レベル、泥酔酩酊レベルです。リスクに対するプライシングが甘く、ハイイールドだのバンクローンだのサブプライムローンだのが低利回りで取引され、こないだ吹っ飛んだような会社や死体同然の会社が低利での借り換えに成功し、ヘドが出そうなしょうもないファイナンスが平気で成立し、利回りを無理やり引き上げるようなデリバティブがそこら中で使われ、どんどんレバレッジがかけられていく、まさにいつか来た道です。

なぜ雪崩を人工的に起こす必要があるのか、たまりすぎた雪が大きな雪崩被害を引き起こすのを防ぐためです。

投資は必要です。政府の借金目減りと税金かさ上げのためにインフレ率を引き上げようとしているような国では、自分が必死に働いて貯めたお金を守るため、親から受け継いだ大切な資産を減らさないため、子供に残す資産を減らさないため、家族を守るために投資が必要です。でも、投資をするためにはある程度のお勉強が必要です。がり勉をする必要はありません。大量の情報も必要ありません。量は多くなくてもいいので、質の高い正確な知識を身につけましょう。その気持ちをくじかれたり、投資自体がいやだ、騙されたから見たくもない、なんてならないように、勉強が十分でないうちに大けがをしないように注意しましょうねということです。

元旦から暗いですか?明るい未来のための話をさせていただいたつもりです。
皆様にとって2015年が素晴らしい1年となりますように。

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posted by ジョン太郎 at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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