2007年04月30日

エマージング株ってジッサイどうなのよ?話題の新興国株について。先進国も含めて一気に見てみましょう!

新興国株に投資してみようと思ってる方、エマージング株ファンド買ってみようと思ってる方、BRICsファンドにしようかあるいはロシア株ファンドとかインド株ファンドとか単一国株にしようかとか悩んでる方、たくさんいらっしゃると思うので、今日はそのへんの話を。これをネタにゴールデン・ウィークにじっくりたっぷり悩んでみてはいかがでしょう。エマージング株とか新興国株ってどっちも意味するところは同じです。「先進国でない国」の株に投資すること全体を広く指す言葉です。なので、いろんな国がこれに該当します。よくある質問で、世界のエマージング市場全体に投資するファンドってないの? これはあります。代表的なのはMSCIエマージングというインデックスに連動するあるいはMSCIエマージングに勝つことを目標にするファンド。たぶん国内には20本もないと思いますが、とにかくあります。MSCIエマージングという指数は、世界中のエマージング・カントリー(新興国)の株式市場の値動きを示す代表的な指数で、エマージング株全体の値動きを掴むのに非常に便利なものです(そもそも株価指数とかインデックスの意味がわかんないって方はこちらをどうぞ。http://jovivi.seesaa.net/article/11835214.html)。

では、MSCIエマージングに投資した場合、どういう国に投資することになるのか。これはなかなかイメージできないと思います。他の指数と同様にMSCIエマージングも世界中のあらゆるエマージング市場が含まれているわけではありません。その中の代表部分を抽出して、大きいところは大きいなりに、小さいところは小さいなりに、反映してます。現在、MSCIエマージングの対象になっているのは、アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、チェコ、エジプト、ハンガリー、インド、インドネシア、イスラエル、ヨルダン、韓国、マレーシア、メキシコ、モロッコ、パキスタン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、台湾、タイ、トルコ、です。韓国や中国と、ヨルダンやモロッコあたりが一緒に入っちゃったりしてるあたりがスゴイです。と言っても、前述の通りこれらの国が均等に含まれてるわけではありません。具体的にはどんな構成かって、実はMSCIエマージングの4割はBRICsです。BRICsが40%、韓国と台湾が30%、南アフリカとメキシコが15%、これらの合計で85%くらい、というイメージです。韓国と台湾が新興国なのかって言うと微妙なところですが・・・

で、その新興国の中でも最も実力があるとされる4カ国をひとくくりにしたBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、そしてBRICs経済研究所がBRICsの次として提唱したVISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)、BRICsの生みの親のゴールドマン・サックスがBRICsの次として挙げたN-11<ネクストイレブン>(韓国、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナム、メキシコ)、なんかが注目されています。

で、何に投資したらいいんだって迷っちゃう人が山ほど出てくるわけですね。BRICsの次はナンダとか。テレビとか雑誌でも、次のBRICsはコレダ!BRICsはもう遅い!次の注目はこの国だ!みたいなことやってたり。まぁ落ち着きなさいよ、と言いたくなります。ちょっと考えてみてほしいんですが、投資の特集を組もうとしたTVのプロデューサーなり雑誌の編集者なり、が最近注目されてる新興国株にスポットを当てようとしたとします。このとき、専門家のアドバイスを求めたら、VISTAだのN-11よりBRICsですよ、VISTAとかN-11はそこまでじゃありません、なんていうアドバイスをもらったとしましょう。さて、実際のTV番組あるいは雑誌の特集はどうなるか・・・それでもやっぱりBRICs!とはならんわけですよ・・・ハイ。そんな番組や雑誌は誰も注目しない、売れないわけですよ。BRICsはもう古い!もう遅い!これからの注目は○○だ!が定番ですからね。むしろVISTAやN-11じゃなく、更にもっと新しい、まだ知られて無い新しい何かないのか!探してコーイ!とか言っちゃってるエライ人もいるのかもしれません。この手のモノに限らずTVや雑誌のキホンです。で、できあがった番組を見て間に受けてしまった友人に、「ジョン太郎さ、BRICsとかもう古いんじゃないの?こないだTVで見たんだけどこれからはVISTAだって言ってたよ!」なんて私が言われることになるわけですよ。マジでカンベンしてください。本当にありがとうございま(ry

TVとか雑誌とかの役割は私も一定程度認めています。でも、その信憑性は、私自身のお金をそれに基づいて投資できるほどのものじゃないと私は思っています。だって、どう考えたってBRICsと、VISTAだのN-11じゃ比較にならないのに、そんな番組や特集見たことないでしょう?正しいこと、投資家の役に立つこと、よりも「投資家に注目してもらえるかどうか」「投資をしたいと思ってる人に見てもらえるかどうか」に判断基準をおいてるわけですから。TVや雑誌のビジネス構造を考えればごくごく当たり前のことですが・・・投資信託にダマされるな!とか投信はとんでもないぞ!系のやつも同じです。更にひどいのは、以前も書きましたが(http://jovivi.seesaa.net/article/31332132.html)投資信託はダメだ!みんなダマされるな!とか言っておきながら、匿名組合と投信の区別もできてないのに、普通に「こんなにスゴイぞホテルファンド!」「こんなにスゴイぞベトナム投資匿名組合!」みたいな特集を平気でしてしまうあたり。ダマされるな!という記事で注目を集めること、危機感をあおることで注目を集めること、しか考えてないんですよね。ただの注目を集めるための手法です。ダマされちゃダメですよ。

で、話を戻しまして、じゃあ実際の各国の状態を見てみましょう。下の表を見てください。クリックすると大きくなりますから、別窓で開くなり、保存して画像として保存して併せて見るなり、してみてください。注目点も併せて書いていくようにします。

WORLD.bmp

先進国と新興国の代表的なところはほとんどいれてあります。まず行の説明をしますと、「全世界」というのはその名の通り世界全部でどれだけか、です。で、先進国のG-7の合計、BRICsの合計、VISTAの合計、N-11の合計、とあって、そっから下は具体的な個別の国のデータです。色分けはG-7、BRICs、VISTA、N-11に合わせてありますが、VISTAとN-11の両方に含まれてる国もあるので、その国は右と左で色を変えて両方の色にしてあります。

で、列。1ヶ月の変化率というのは、この1ヶ月のリターンです(ちなみにドルベースです)。年初来変化率というのは今年の正月からこれまでの変化率です。この2つ、G-7とかBRICsなどのグループの数字は、グループに含まれてる国の数字の単純平均です。この1ヶ月の日本株の調子の悪さが他の国のパフォーマンスと比べるとハッキリと見てとれますね。注目のベトナムの数字が出てませんが、これは他と同じフェーズで数字をとることができなかったためです。ベトナムは市場平均PERも出てなかったりしますからね。まだまだ未整備なので。あとはバングラデシュとかイランもとれませんでした。

次に株式時価総額はその国の証券取引所の合計値です。なので、他のところで見る数字と若干ズレてるかもしれません。よく見る数字は、その国の代表的な証券取引所の数字だけなので。日本だったら東京証券取引所の数字だけが出てることが多いのですが、この表の数字には大阪や名古屋や福岡の証券取引所の数字も含まれてます。とにかくその国の全部の合計。こっちの集計の仕方のほうがいいと思うんですけどね。時価総額というのは非常に重要な数字です。私がある国の株式市場について見るとき、一番最初に見る数字は必ず時価総額です(ちなみに2番目は市場全体の平均PERです)。この数字は単に市場の規模を表すというだけではなく、市場の整備状況だったり、流動性だったり、市場の合理性だったり、もっと言うとその国の株式市場の歴史なんかも反映されていると私は思います。私個人の目安としては10兆円以下だとちょっとな・・・という感じです。VISTAやN-11の国々に注目してみてください。時価総額のシェアというのは世界全体の時価総額、約6,500兆円に占める割合です。BRICsの4カ国とVISTAの5カ国合計、N-11の11カ国合計、を比べてみてください。ちなみにこの表は時価総額の多い順に並べてあります。

人口と面積のシェア、これも重要です。国の成長には<人口の多さ><国土の広さ><ある程度の経済規模>の3つが必要だと以前書きましたね(http://jovivi.seesaa.net/article/33406734.html)。3つのうちの2つをここで比較できます。BRICsの4カ国はG-7の7カ国の人口と面積を大きく上回っています。4カ国で世界の人口の4割以上、世界の面積の3割近くを占めます。ところで、香港スゴイですよね。イギリスの巨大資本が入っていたこと、金融ビジネスが早くから発展していたこと、あたりが大きな原因だと思いますが、時価総額順に並べたこの表ですごい位置にいます。スイスも金融ビジネスの発展と永久中立国の安定性という理由が大きいと思います。

GDP成長率。これはその国の現在の成長スピードです。これはとなりのGDP額と併せて見ると良いです。中国の凄さは300兆円以上のGDP規模があるのに、そのレベルに達していながらまだ10%以上の成長を続けているというところなんです。300兆円を超えるG-7の国が中国の上に5カ国並んでいますが、その成長率を比較してみてください。ベトナムとかアルゼンチンの成長率は確かに凄いです。このGDP成長率という数字をもってベトナムやアルゼンチンのポテンシャルを説明されることが多いですが、いかんせん現在のGDP規模が小さいですからね・・・このペースを保っていっても、G-7に迫るには途方も無い年数がかかってしまいます。ゴールドマン・サックスのレポートには、南アフリカがBRICsに含まれなかった理由が書かれています。規模が小さすぎ、G-7に食い込み、抜き去る存在にはならない、というような内容です。ドイツも見ておいたほうがいいです。ドイツの規模を考えると現在の成長率は素晴しいです。イギリスもこれまでの成長ペースを考えるとスゴイです。先進国だとやっぱりドイツとイギリスの2カ国ですね。

GDPのシェア、これも注目です。世界全体のGDPに占める、その国のGDPの割合です。先程比較した<人口>と<面積>と併せて、これも見ておきたいです。国の成長にはある程度の経済規模が必要です。もちろん、「これまでの成長」が現在の経済規模になっていて、投資にとって大事なのは、「これから先の成長」ですが、「これから先の成長」に、現在ある程度の経済規模をもっていることが必要ということもあります。今後の成長に必要なのですから、現在の経済規模もちゃんと見ておく必要があります。

PER。これは超重要ですね。(PERって何?って方はこちら。http://jovivi.seesaa.net/article/35184173.html)市場全体の過熱度あるいは割安度を示す数字です。ロシア、ブラジル、南アフリカ、タイ、あたりは10倍割ってますね。この辺の国は割安感あります。あとはここでもイギリスとドイツ。先進国の割に割安な感じ。しかも成長率も高いですからね。PERを、成長率を買う値段という風に考えるとイギリスとドイツは割安な印象を受けます。なんつっても先進国ですから。

で、最後にGS予想GDP。出典はもちろんゴールドマン・サックス社のレポートです(Goldman Sachs - Global Economics Paper No. 99: Dreaming with BRICs: The Path to 2050 / Global Economics Paper No. 134: How Solid are the BRICs?)。このレポートって本当にスゴイですよね・・・これほどまでに世の中にインパクトを与えたレポートってあんまりないんじゃないでしょうか・・・物凄いことですよ。そのレポートの2020年、2030年、2040年、2050年、の各国のGDP金額と現在のGPD額の比較をした数字を載せておきました。日本は寂しい数字ですね・・・ちなみに2050年のGDP上位10カ国の順位は、
1位 中国 【5,268】
2位 アメリカ 【4,167】
3位 インド 【3,295】
4位 日本 【791】
5位 ブラジル 【720】
6位 ロシア 【696】
7位 イギリス 【448】
8位 ドイツ 【427】
9位 フランス 【373】
10位 イタリア 【244】
【】内の数字の単位は兆円。こんな感じです。・・・ドンマイ。

・・・さてと。

エマージング市場については、よろしければこのへんの記事もご覧になってみてください。

運用・投信でよくある疑問E〜基準価額が高い投信を買うのはもう遅い?BRICsはもう上がりすぎ?次はベトナム株ファンド?<1>
http://jovivi.seesaa.net/article/32807342.html

運用・投信でよくある疑問G〜基準価額が高い投信を買うのはもう遅い?BRICsはもう上がりすぎ?次はベトナム株ファンド?<3>
http://jovivi.seesaa.net/article/33406734.html

インド株の急落とエマージング・マーケット投資
http://jovivi.seesaa.net/article/29636595.html



今日はここまで。いかがでしたか?みなさんのゴールデン・ウィーク中のネタになりそうですか?


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posted by ジョン太郎 at 23:21| Comment(4) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うわまたこんなステキな特集を!
ものっそい参考になります! GW中普通に仕事ですが、じっくり読んで考えさせて貰います!!(そしてまた身動きが取れなくなる私)
Posted by MAD at 2007年05月02日 01:52
ジョン太郎さん、こんばんは。
いつものとおりとても参考になります。
GW中にちょっと考えて、明けてからBRICsと中国を買いました。
こちらで記事を読ませていただくたびにもっと視野を広げたいと感じます。
Posted by オーシ at 2007年05月10日 23:26
はじめまして!
わたしの目指してる投資法と近いので、参考にさせて頂いてます。でも、どうしても伸びてる新興日本株に目がくらんで…トホホな目に遭っています。最近は海外株(特にエマージング)ファンドに移行中。株暴落に備えて債券ファンドも考え中です。

質問なんですが、ジョン太郎さんたちは海外市場のPERどこで確認しておられますか?私は単一市場インデックスファンドのプロファイルをみることが多いんですが、都合良くインデックスファンドがない国もあり、ちょっと悩んでいます。
Posted by kos at 2007年05月11日 01:11
オーシさんへ、
いつもコメントありがとうございます^^せっかくの投資ですからくれぐれも気長に見守ってあげてくださいね。大きな果実を実らせることを祈ってます。

kosさんへ、
はじめまして!コメントありがとうございます。PERも含め、私は仕事上この類のデータはほぼ全て手に入るのでHPとかから拾ってるわけではないんです。おっしゃる通り拾えないデータもあると思いますし、全てをWEBで拾うのは限界があると思います。たまに私がここにアップしていけばいいんでしょうけどね・・・
Posted by ジョン太郎 at 2007年05月11日 11:16
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