2014年01月13日

リターンの劣っているものへの大きな配分と機械的なリバランス

今日は頂いた質問にお答えします。

新年最初の投稿になりました。遅くなりましたが皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

さて、nodoさんからこんなコメントとご質問をいただきました。


はじめまして。今日はじめてBlogを拝見しましたがすごく分かりやすく、ためになります。
基準価額の「もう高いから今は買わない、安いから今が買い時」という捉え方は誤りということは記事から理解したのですが、投資先が異なる商品(新興国株Aと先進国株B)でポートフォリオを組んでいた場合は、別々の推移で動くと思います。
この場合は、基準価額が下がっている商品の比重を多くして積み立てる考えは正しいのでしょうか?

かなり過去の記事についてのコメントで恐縮です。。
Posted by nodo at 2014年01月13日 01:37



基準価額が17,000円のファンドと5,000円のファンドでは、17,000円のファンドが割高で5,000円のファンドが割安というわけではない、というところはご理解いただけたということだと思います。この話もいまだに誤解されている方が多いので、この部分が理解できているということだけでも素晴らしいと思います。

さて、投資先の異なる2ファンドでポートフォリオを組んだ場合、両社の動きは当然異なります。そして、よりリターンの低いほうの商品の比重を重くして積み立てるのは正しいのか、というご質問だと思いますが、投資に正解はないので、正しい正しくない、という表現は避けさせていただきます。これが大前提。リターンの低かったものは割安になっていて、リターンの高かったものは割高になっているだろうから、リターンの低かったもののほうへの配分を大きくして積み立てていけば、割高なものをあまり買わずに割安なものをより多く買っていけるはずだ、というのがポイントだと思います。

では、このポイントについて私がお話しできるのは何かと言うと、3つの点で注意が必要ということです。

まず、1つ目。上がっているものが割安で下がっているものが割高とは限らないということ、これまでのリターンが高かったほうが割高になっていてリターンの低かったほうが割安になっているとは限らないということ、です。分かりやすくどちらも株の銘柄Aと銘柄Bがあったとしましょう。Aは過去1年間に10%上昇し、Bは過去1年間に10%下落しました。これだけでAのほうが割高になり、Bのほうが割安になっていると言えるでしょうか。言えないですよね。AのEPS(1株あたり利益)は過去1年間に20%上昇し、BのEPSは20%減少していたとしたら、Aの株価は1年間で10%上昇しているにも関わらずAのPERは1年前と比べて下がっていることになります。Bは株価が下落しているにも関わらずPERは1年前と比べて上昇しています。

あるいは、利益水準が変わっていなかったとしても、1年前のPERがAは2倍、Bは50倍だったらどうでしょうか。Aは株価が10%上昇し、Bは10%下落したとはいえ、この場合も、Aのほうがいまだに割安で、Bのほうがいまだに割高ということになります。債券などでも同様のことが言えます。投資を開始してからこれまでの半年間とか、過去3か月とか1年といった特定の期間のリターンの比較をもってどちらが今割高になっていて、どちらが今割安になっていると断じるのは難しいのではないでしょうか。であれば、これに応じて機械的に投資する金額のウェイトを変更するのはあまり合理的とは言えないのではないでしょうか。

2つ目。投資先のリスクリターン特性が違えば、リターンの単純比較自体があまり参考にならないことになります。例えば株式Aと債券Bで株式Aは過去1年かのリターンが10%、債券Bは5%だった場合。AのリターンよりもBのリターンのほうが低く、Aのほうが割高でBのほうが割安になっていると言えるでしょうか。もし株式Aの過去20年の平均リターンが年率10%で、債券Bは2%だった場合、Aの過去1年のリターンは過去平均並みですが、Bは過去の平均リターンを大きく上回っています。十分に長い期間の平均リターンは過去の十分長い期間の平均リターンに近づき、一時的に過去のリターンよりも大幅に低いリターンを記録していたならば平均に収斂する過程で大きなリターンが期待できる、という考えに基づくならば、なおのこと、Bのリターンのほうができ過ぎ、ということになります。また、Bの過去のリターンの標準偏差が2%だった場合、Bの過去1年のリターン5%というのは、平均2%+1標準偏差2%=4%を超えるリターンを記録していることになります。平均に収斂することを期待するのであればこうした点への注意を欠いてはならないのではないでしょうか。

3つ目。平均に収斂することを期待しにくいほど、投資環境が変わってしまっている場合もあるということです。2番目の話に関連しますが、リスクリターン特性すらも投資期間中に変わってしまうことがあります。過去30年間の米国債利回りの下落の恩恵を受けてきた米ドル建て債券はまさにその典型です。こうしたものに過去の特定期間のリターンの大小のみをもって投資金額を決めて投資してしまうと、のぞんでいたもの、期待していたものと大きく異なるものを手にしてしまう可能性があります。


以上を踏まえると、過去の一定期間のリターンの比較だけをもってこれからの配分を機械的に決めることや、上がったものを売って下がったものを買うというような機械的なリバランスをすることは必ずしも合理的とは言えないと私は思います。ですので、頂いたご質問に対しては、こうした点には注意したほうがいいのではないでしょうか、こうした点も考慮してみたほうがいいのではないでしょうか、というアドバイスをさせていただきます。

いつも申し上げていることですが、このブログは私が知っていることや、私がこう思う・こう考える、というのをお話しさせていただくためのものです。これが正解と言うつもりはありませんし、私の考えを強要するつもりもありませんし、議論をするつもりもありません。この点くれぐれもご承知おきください。


↓ランキングです。ポチッと押して投票お願いします。
にほんブログ村 株ブログ 投資信託へランキング参加中!





ど素人が読める決算書の本 第2版!


ど素人がはじめる投資信託の本
posted by ジョン太郎 at 13:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。