2007年03月04日

運用・投信でよくある疑問I〜株価の急落について〜A株って何?H株って何?PERって何?〜

今週の株式市場は大変でしたね。久しぶりの世界同時株安でした。今回の株安についてちょっとお話します。今週、世界の株式市場がどのくらい下げたか、26日の終値からの下落率で見てみますと、

日本株:-5.5%
米国株:-4.1%
英国株:-4.9%
中国株:-6.9%
香港株:-5.2
台湾株:-2.9%
韓国株:-3.8%
シンガポール株:-6.9%
タイ株:-1.4%
インド株:-5.6%

とこんな感じです。結構大きく下げましたね。

今回のきっかけは中国株の下落です。株安のスタートをきったのは上海証券取引所のA株でした。27日の終値は前日と比べてなんと8.84%も下落。上海A株とかH株とかってよくわからないかもしれませんね。ちょっと整理しますと、中国株には次のような種類があります。

香港レッドチップ株:香港に上場してる、香港籍の会社で、実態は中国企業、の株【外人投資可能、香港ドル建て】
香港H株:香港に上場してる、中国籍の企業の株【外人投資可能、香港ドル建て】
上海A株:上海に上場してる、中国籍の企業の株【外人投資不可、人民元建て】
上海B株:上海に上場してる、中国籍の企業の株【外人投資可能、米ドル・香港ドル建て】
深センA株:深センに上場してる、中国籍の企業の株【外人投資不可、人民元建て】
深センB株:深センに上場してる、中国籍の企業の株【外人投資可能、米ドル・香港ドル建て】

キャセイパシフィック航空なんかが上場している、「香港株」とか「香港ハンセン指数」なんかはこれとは別です。香港レッドチップと香港Hは「中国企業」、香港ハンセンは「香港企業」です。日本で販売されている中国株ファンドが投資しているのは、ほとんどがH株とレッドチップです(最近、A株ファンドもいくつか販売されてます。A株ファンドはもちろんA株に投資するファンドです。)。日本人は外人ですからね。

さて、A株の過熱は以前から指摘されていました。投資慣れした外国人向けのH株市場に比べ、閉鎖的なA株は外国人投資家による裁定も働かないため、過熱しやすい、適度な調整が起こりにくいという問題があります。

ところで、市場の過熱っぷりを示す数字として「PER」ってのがあります。「ピーイーアール」って読みます。これは非常に便利な考え方で、このブログでも時折使ってます。PERについてもちょっと整理しておきますと、PERというのはPrice Earnings Ratioの略で、日本語では「株価収益率」と言います。1株あたり利益の何倍まで株が買われているか、を示す倍率のことで、PERが高い、つまり倍率が高いほど、大きく期待されていることになり、株価の割安・割高を判断するものとして使われます。って言うと難しい気がしますが、実は何てことはなくって、企業の利益が500円で、株価が5,000円だったらPERは10倍、株価が10,000円だったらPER20倍、株価が250円だったら、PERは0.5倍、です。

PER0.5倍ってのは、1年間に稼ぐ金額が500円の会社の株を250円で買えるって意味で、その会社が500円の利益を全部配当金で払い出したら、250円で買った株の配当金が500円ももらえちゃうことになります。だからPERが低いと割安、高いと割高、です。将来の利益の成長に期待されている株ほど、高い期待を織り込んでPERは高くなる傾向があります。

さっきの会社で今の利益500円だと超割高な25,000円にまで株価が上がり、PERだと50倍まで行ったとします。これは、この企業の収益がたとえば、近い将来1,000円まで伸びると思ってる人にとっては、25,000÷1,000でPER25倍ということになり、この株を買ってる人は、この企業の将来の成長に大きく期待をして買っていることになるのです。

PERは一般に、実績値に対しての倍率と、来年の予想収益に対しての倍率と2つ表示されることが多く、予想PERで話をすることが多いです。そのため、来年の予想収益がこれまでの予想値よりも低くなりそうだというニュースが流れたり、計画が下方修正されたりすると、計算が狂ってきますから、株価が下がるのです。先程の例だと1,000円まで収益が伸びる、と思ってる状態で、実は来年も収益は500円のままになりそうだ、ってことになると、25,000円の株価はPER25倍からPER50倍になっちゃいますから、25倍程度がちょうどいいだろうと思ってる人なら12,500円くらいまでしか出せないことになります。

個別の企業のPERだけでなく、市場のPERってのもあって、これはその市場で取引されてる企業の株価と収益から計算されたPERの平均です。市場のPERが高いと、例えば30倍を超えているような状態は過熱気味、期待が先行している、やや割高、と言われます。もちろん、それでも収益が増加すると、あっという間にPERは下がることになり、株価が下落しなくても市場は適正な状態に戻ります。


で、急落前の2月26日時点のPERを見てみますと、

香港(*):17.95倍
上海A株:41.24倍
上海B株:34.38倍
深センA株:46.15倍
深センB株:25.60倍
(*)Main Roadでとってますので、H株、レッドチップ、ハンセン、の3つが含まれてます。

こんな感じ。A株はPERが40倍超えちゃってます。で、こういう時はちょっとしたきっかけ1つで、一気に調整が起こることが多いです。今回はアメリカの景気減速懸念がきっかけだったと言われています。もちろん真相は誰にもわかりませんが・・・とにかくなんらかのきっかけで急に調整が始まり、この1年間のA株の急上昇でウハウハだったフィーバー状態の人たちが一気に利益確定の売りに走り、投資慣れしていない人や、下落相場を経験したことのない人たち、などがパニック売りに走りました。で、他の国の株式市場も連れ安と。

でも、中国企業の業績が悪化するとか、GDPの成長率が大幅に下方修正されるとか、そういうニュースが出たわけじゃないんですよね。もちろんこれから先そういうことが起こらないと言うつもりはなくて、そういうことが起こることだってあり得るわけですが、今回の件は少なくともそういうことではないですよね。

企業の収益が伸びていけば、短期は業績と全く関係なく動いても、中長期的には株価は上がるわけですし、そのスピードに比べて株価のほうが期待感や過熱感で先に進みすぎちゃえば、調整が起こりやすくなるのは当然の話です。

この記事(http://jovivi.seesaa.net/article/33406734.html)でも書きましたが、バブル絶頂期の日本株のPERは実に61.74倍にも達していました。その後2年くらいで一気に株価は半値になったわけですが、それでも企業業績はあんまり変わってなくって、単純に株価が半値になったおかげでPERは30倍程度になりました。これがごく普通の市場です。PERが30倍を超えていても、収益がもの凄いスピードで増加すれば、あっという間にPERが下がるということはよくあります。利益が1,000円の会社の株がPER30倍だとしたら株価は30,000円ですが、利益が3,000円になれば株価が30,000円のままでもPERは10倍まで落ちます。その状態でPERが20倍まで戻せば株価は60,000円になります。PERが上がり、期待が先行してしまっても、短期間のうちにその帳尻が合って、期待先行の状態が解消されちゃえばいいんですが、あまりに行き過ぎた期待先行は、ちょっとしたきっかけで適正値に向かって調整されることが多いです。

中国やインドなど、物凄い高成長期にある国は、成長のスピードが凄まじく早く、予測よりもずっと速いペースで成長する場面も多いので、予想が難しく、期待が先行して過熱して、行き過ぎちゃったので調整して、なんてのを繰り返すのが普通です。実際、中国もインドも、BRICsという言葉をこの世に送り出したゴールドマン・サックスの2000年のレポートで予想されていたスピードよりもずっと速いスピードで成長しています。まぁ、それでもPER40倍超えはあまりに行き過ぎです・・・早めに調整が入ってよかったんじゃないかと思うこともできるんじゃないでしょうか・・・

なので、今回のA株の調整はごく当たり前のことだと思います。調整が行われないほうがおかしいんです。もっと言えば、市場が超効率的で超理想的でないのであれば、たまに期待先行で過熱しちゃったり、その調整が入ったり、というのがたまにある状態、が普通の状態です。

今回も、しばらく調整が続くかもしれませんが、中国の成長率が下方修正されたわけでもありませんし、GDP成長率が大幅に下方修正されたり、企業業績の見通しの下方修正が相次いだり、とかがあってのことなのか、そうではないのか、を考えればいいんじゃないかなと思います。

中国株ファンドというのは、今後の中国の中長期的な経済成長やそれに伴う企業収益の大幅増加に期待して設計されているはずです。その前提が変わってない状態であれば慌てる必要はないと思います。その前提が崩れてしまう懸念が出てきた時に考えればいいんじゃないでしょうか。

期待先行でPERが物凄く上がってしまって、それによって株価が上昇したり、その反動で調整が起こって株価が急落したり、ってのは市場のノイズです。ノイズに振り回されることなく、ゆったりと構えて中長期の視点で投資をしていくのが、運用の基本だと思います。

不安になったら、このへんの記事あたりを読み返してみてください。
http://jovivi.seesaa.net/article/22879164.html
http://jovivi.seesaa.net/article/21683836.html

沖縄にも寒い日がありますよ。今後あたたかいところで暮らしていきたいと思う人が、引越し先を考えるのに、今日1日の天気や、今週1週間の天気で引越し先を決めるのはおかしいですよね。


ジョン太郎は来週、ちょっと投資しようと思ってます。いい機会ですしね。何買おうかな・・・最近仕事にハマっててここのブログではすっかりご無沙汰のヴィヴィ子も、来週投資しようと思ってるらしく、仕事の合い間に投資配分を考えながらほくそ笑んでます・・・


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posted by ジョン太郎 at 11:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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