2007年02月11日

運用・投信でよくある疑問G〜基準価額が高い投信を買うのはもう遅い?BRICsはもう上がりすぎ?次はベトナム株ファンド?<3>

運用とか投資信託について、よくある疑問やよくある間違いについてのお話の第8回目です。今回は前回の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/33348471.html)の続きです。私がなんで日本株の比率を下げてBRICsに投資してるのか、ってあたりのお話を前回の続きでお話しします。


国が大きな経済成長を遂げるには、「現在の経済状態・経済規模」「国土の大きさ・資源の豊富さ」「人口の多さ」の3つの条件があります。前回は、日本は国土は狭いながらも、巨大な経済規模と人口の多さ、の2つの条件を具備していて、これまで大きな発展を遂げてきましたが、事情が変わってきてますというお話でした。

国土が狭く、鉱物資源・エネルギー資源・食料資源などのほとんどを輸入に頼らざるを得ない日本が、経済を活性化させるために充分な投資を国が行うための国の財源が非常に乏しく、むしろその財政状態は劣悪で、構造的な大きな問題を抱えている、おまけに世界第9位を誇り1億3000万近くいた人口がどんどん減少し、将来的には8,000万人なんて数字まで見えてきていて、その構成も超高齢化しており、労働人口の中心となる若年層が急激に少なくなっている、これではとても大きな経済成長を期待できません。


国を1つの企業と考えて、国のGDPを企業の生み出すお金に見立てた場合、例えばインドと日本を比べてみるとこんな感じになります。株式会社インドの全従業員は10.8億人、株式会社日本の全従業員は1.3億人です。インドは全従業員の65%が30歳以下ですが、日本の30歳以下の従業員はたったの30%です。株式会社日本の社員のほとんどは日本語しか話せませんが、インドの従業員は3人に一人が英語を理解することができ、5人に一人は英語を話せます。英語を話す人の数だけで2億人以上、つまり日本の全従業員数の倍ちかくいます。しかも日本という企業は、GDPの160%以上に当たる800兆円もの長期債務を抱え、毎年GDPの5%以上の赤字を増やし続けています。インドの長期債務額はGDPの20%以下です。

こうした、各国の現状や今後の予想を基に作られたのがゴールドマン・サックスのBRICsについてのレポートであり、そのレポートの中で語られる世界の未来像にはかなりの説得力というか現実感があります。ちょっと下の表を見てみてください(クリックで表を拡大できます)。

GDP.jpg

ゴールドマン・サックスのBRICsレポートが発表されたのは2003年ですが、インドも中国も既にその予想値を上回るペースで成長しています。株式市場がPER40倍とか50倍になるような過熱をする必要はありません。株式市場は今後もたまに過熱したり、調整したり、サプライズがあったり、で推移していくことでしょう。それでも、株価というのは企業の利益が伸びれば上昇するものなのです。株式会社インドと株式会社日本という2つの企業の株が、仮に特段の過熱も無く、どちらもPER20倍程度でずっと推移したとしても、現時点からの株価の上昇率は現時点からのGDPの伸び率が日本を大きく上回るインドの方がずっと上になるのではないでしょうか。利益が1000円の会社の株がPER20倍だとしたら株価は20,000円ですが、利益が3000円になれば株価は、PERが20倍のまま変わらなくても60,000円になります。

私は前々回の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/32807342.html)でもお話しした通り、インドの企業の稼ぎが増えないまま、PERが20倍から40倍まで上がるほど株式市場が過熱して株価が2倍になることに期待してインド株に投資しているのではありません。インドの経済が発展し、インドの企業の稼ぐお金が増えることに期待して、インドの株に投資しています。中国についても同様です。中国株市場の割安感に注目しているわけでも、今後の過熱に期待しているわけでもなく、年に10%以上の超ハイペースでGDPが成長する中国の経済成長に期待し、その過程で大きくなる企業の利益に期待して、中国株ファンドを買っています。

だから私は「そうは言ってもBRICsの株はもう上がり過ぎでしょう?」とか「もうBRICs株は既に上がってしまったから、乗り遅れてしまったから、次のBRICsとなるベトナムに投資したほうがいい!」とか「次のBRICsはどこだ!?」なんて思ったりしません。BRICsとベトナムの差は非常に大きく、とても同じレベルで比べられるようなものではないと思います。現在、「ベトナムにだけ」投資をする投資信託が少ないことからもお分かりになると思います。ベトナムは「新興国の1つとして」あるいは「アジア株の1つとして」ファンドのポートフォリオの1部に加え、やばそうなら比率を下げて他の国に振ることができる、くらいの状態でないとなかなか運用は難しいと思います。ベトナムはまだ「ベトナムにだけ投資する」単一国ファンドを作るには早すぎる国です。

しかも、このシリーズの第1回(http://jovivi.seesaa.net/article/32807342.html)でもベトナムのPERのことについて触れましたが、現在のベトナムの株価は将来の期待を織り込んだ価格、という域を飛び越えた水準まで上がってしまっています。ベトナムも成長国の1つであることは私も確信していますが、現在の株価水準はちょっと行き過ぎです。あ、1つだけごめんなさい。第1回の記事でベトナムのPERが30倍超えてるって書きましたが、実はその数字は新聞で見た数字だったんですが、ちゃんと調べたくってあっちこっち見たんですが、ベトナムの市場全体のPERってどこにも出てないんですよね・・・しょうがないので自分で計算してみました。ホーチミン証券取引所の全108銘柄のPERを時価総額で加重平均してみました。するとPERはなんと83.65倍でした。時価総額の上位銘柄のPERは軒並み50倍以上です。下の表の他の国のPERと比較していただいたらわかりますが、PERが30倍を超えるのってやっぱり行き過ぎなんだと思います。

WLDPER.jpg

ところで、インド株っていつから上がっているんでしょう?いつごろから上がり始めたんだと思います?

下のグラフを見てみてください。

93EQ.jpg

これは1993年からの各国の株価の推移です。1993年を100とするとインド株はこの13年で600近くまで上がっていますが、これはほとんどが2003年からの上昇分のように見えます。やっぱりこの3年のインド株はスゴイですね。やっぱりこの3年の波を逃したのは痛いですかね・・・あまりにスゴイ、10年に一度の波、こんな波はもう・・・なんて声も聞こえてきそうですが・・・もうちょっと長い期間で見てみましょうか(グラフをクリックすると拡大表示できます)。

79EQ.jpg

これは1979年からの株価の推移です。1979年を100とした数字です。1979年にインド株に100万円投資をしていたら既に1億円を越えています。2003年からのこの3年で2,000くらいから12,000くらいに上がり、確かに6倍くらいになっていますが、実はその前に、1979年から2000年までの20年間で40倍以上になってます。この3年は凄かったですが、2000年の時点で、「インド株?過去20年で40倍以上になってるんだよ!?もう上がりすぎだよ!」って言ってた人もいたことでしょう。その4,000くらいの水準から2002年くらいまでに一気に半分近くまで値下げをした時には「ホラ!だから言ったじゃん!2000年のインド株は異常だったんだよ!上がりすぎだったんだよ!あそこから乗ったって手遅れだったんだって!」なんて言ってた人もいたでしょうね。今は2000年の時の水準から見ても3倍になってますが・・・

あともう1つ、おもしろいグラフを。今のインドは60年代の日本に似ているとよく言われます。以前、日経平均株価は今でこそ1万7千いくらという水準になってますが、実は日経平均は1960年末に1,356円だった、1950年には111円だった、という記事を書きました(ご興味があればこちらで。http://jovivi.seesaa.net/article/29636595.html)。インド株の1979年から2006年まで27年の動きを1961年から1989年までの日本株の28年の動きと大体重なるように上下に並べて見たのが下のグラフです(グラフをクリックすると拡大表示できます)。

JPINPER.jpg

ね、おもしろいでしょ?ちなみにグラフの目盛りも一緒にしてあります。日本は12000を超えるとこまで行ってますが。まぁ、大体一緒くらいですね。日本はその絶頂期からバブル崩壊があり、株価は一気に半分に・・・!(゚ロ゚;)マサカ!インドも!?インドもこの後、バブル崩壊を迎えるのでしょうか!?!?!?注目していただきたいのは、バブル絶頂期の日本株のPERです。1989年12月末、日経平均が38,915円をつけたときのPERはなんと62倍近くまで行ってました。その後2年間で半値まで落ちても、1991年のPERがまだ30倍あったことを考えると、当然といえば当然の急落ということになります。今のインド株のPERは昨年末で19.93倍、先週末で20.91倍です。先程の世界の各国のPERと比較しても、60倍は行き過ぎ、20倍はまぁ許容範囲、ということがお分かりいただけると思います。


日本人の所得は、この15年間ほとんど増えていません。物価もその間ほとんど上がっていなかったので、経済の停滞にあまりに気づかなかった人も多いかもしれません。15年前も今も100万円の価値はほとんど変わっていませんし、15年前も今も年収1千万円の人は高年収の人です。しかし、他の先進国はこの15年で大きく成長し、人々の所得も物価もだいたい2倍くらいに増えています。すると、15年前にロンドンを訪れた時と、今ロンドンを訪れた時では自分の持ってるお金の感覚が物凄く狂います。おまけにその間に凄まじい勢いで成長してきた新興国がたくさんあり、それらの国の人々の所得水準は物凄いペースで増えています。今から10年後にインド人と中国人と私の3人でロンドンに旅行をして、ロンドンに住む友人のもとを訪れたら、私はとんでもなく惨めな思いをすることになるかもしれません。イギリスの経済成長に伴い、ロンドンの物価が更に上がっていて、ロンドンの友人の所得もそれに応じて上がっていて、中国人もインド人の所得水準も物凄く上がっていて、インド人と中国人の友人の年収も凄く上がっていて、年収が増えていないのは私だけ・・・こうした未来は結構高い確率でやってくると思います。また、こうした人と世界市場で争って、日本は鉱物資源・エネルギー資源・食料資源を確保しなければならないのです。中国の外貨準備高は既に日本を抜いて世界一になっています。

今手元にあるお金を10年後の世界バランスの中でも、今と同じ程度の価値のものにしていくためには、世界の平均的な経済成長と同じペースで資産を増やす必要があります。日本の成長スピードが遅くなり、たくさんの国々が日本よりも早いペースで成長していくのであれば、今自分の手元にあるお金もそうした国々の成長ペースを上回るペースで増やしていくべきで、それには、そうした国の株に投資しておくのが一番です。私は、自分が今後も暮らしていく国、自分が今後も給料を稼いでいく国、である日本は、人口が減少していき、少子高齢化が進み、国が膨大な借金の利払いと膨張した公務員の人件費を支払っていくのに手一杯で効果的な経済政策をあまり打てず、巨大な人口を抱える新興国の経済成長と経済力増大に伴い上昇していく鉱物資源・エネルギー資源・食料資源の価格上昇に悩まされ、他国にどんどん追い抜かれていく、そんな日本の将来を最大のリスクと考えるようになってきています。もちろんそうでない未来が来ることに期待したいですが、起こり得る最大のリスクはこうした未来の到来だと思っています。また、そんな未来が来るかもしれないとしても、私は自分が生まれ育ったこの国で今後もずっと生きていくと思います。だから、そんな私が中国やインドに自分の資産の一部を投資するのはごく当たり前のことだと私は思います。だから私は多大な人口と広大な国土と巨大な経済規模を併せ持つBRICsに、10億人を超える巨大マーケットと労働人口を抱える中国とインドに、圧倒的な資源をブラジルとロシアに、投資をしているのです。


私が日本株の比率を少しずつ下げてBRICsの比率を少しずつ上げてきているのはこういう考え方に基づくものです。これがベストアイデアだともこれが正解だとも言うつもりもありません。また、特定の株やファンド、特定の国への投資、を推奨をするつもりもありません。あくまで、私はこういう風に考えてます、というのをお話しただけですので、この点だけはどうぞご了承ください。


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posted by ジョン太郎 at 10:29| Comment(4) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『Kabucome』という株のクチコミ情報共有サイトの運営者です。
この度、kabucomeで株の情報共有を目的として、「ブログ広場」を開設いたしました。
以前にもメールまたはコメントをさせていただいたかもしれません。
その中で、ブログ登録に関してお願いをさせていただきましたが、
リンク先のページに一部不具合がありましたので改めてご覧いただければと思います。

http://kabucome.jp/ping/top.php

からブログを登録して頂けませんでしょうか。登録の手順がご不明なようでしたら、お手数ですが、help@kabucome.jpまでメールを頂けましたら幸いです。

やはり拝見させて頂いていますブログ情報は『kabucome』ユーザーに対しても有益な情報です。ブログのリンク設定をして頂ければ『kabucome』ユーザーも定期的にこちらのブログへ情報共有を希望して訪れ、アクセス数アップのお手伝いができるかと思います。

是非ご登録をお願い致します。
Posted by kabucome at 2007年02月12日 22:41
ありがとうございます。登録させていただきました。こちらからもリンクさせていただきました。
Posted by ジョン太郎 at 2007年02月12日 23:11
『ベトナムファンド・ベトナム株投資で分散投資』というブログを書いてますJenniferです。
グラフや図をまじえてのわかりやすいご説明、とっともわかりやすいです。
今後ともどうぞよろいくお願いいたしま〜す♪
Posted by ベトナムファンド・ベトナム株投資で分散投資 at 2007年06月16日 13:15
Jenniferさん
コメントありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2007年06月16日 15:50
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