2007年02月04日

運用・投信でよくある疑問E〜基準価額が高い投信を買うのはもう遅い?BRICsはもう上がりすぎ?次はベトナム株ファンド?<1>

運用とか投資信託について、よくある疑問やよくある間違いについてのお話の第6回目です。
新聞の基準価額の一覧を見ると、既に基準価額が2万円とか3万円になっている投資信託も結構ありますね。で、この基準価額の水準について誤解をしてしまっている方も結構いらっしゃいます。例えば2年前に設定されて現在の基準価額が2万円のファンドと、最近設定されて、設定直後にマーケットが下落して現在9500円のファンド、これから買うならどちらのファンドがおトクですか?

運用や手数料に違いが無いなら、どちらを買うのがおトクということはありません。投資信託の現在の基準価額というのは、実は投資信託を選ぶ時の判断材料にはなりません。詳しくはこちらの記事(http://jovivi.seesaa.net/article/13324376.html)に書いてあります。

全く同じ運用をするファンドで同じ手数料率のファンドが3本あって、現在の1口当たりの基準価額が、A:5,000円、B:10,000円、C:20,000円、という風になっていたとします。このファンドをそれぞれ100万円ずつ買ったとしたら、その3つに違いはありません。

100万円で、Aは200口、Bは100口、Cは50口、買えます。買ったときから10%のリターンが出たとすると、それぞれの基準価額は、Aは500円上がって5,500円に、Bは1,000円上がって11,000円に、Cは2,000円上がって22,000円に、という風にそれぞれ上がります。

また、100万円はいずれのファンドも110万円になります。なぜなら
A: 5,500円×200口=110万円
B:11,000円×100口=110万円
C:22,000円× 50口=110万円
となるからです。

基準価額が今いくらか、というのは、ファンドが作られた時(設定された時)と比べて今の水準が高いか低いか、くらいしか示さないのです(分配金を出しているファンドは別)。現在の基準価額が15,000円だったとしても、20,000円で購入した人は損をしている状態ですし、9,000円で購入した人は儲かっている状態、という風に人によって変わってきます。大事なのは、これからどうなるか、だけです。基準価額の現在の水準は、これからどうなるか、ということを表しません。どのタイミングでそのファンドが設定されたか、によって全然変わってきてしまうからです。「基準価額が今8,000円だから、買う」「基準価額が20,000 円になってしまってるから買わない」というのは間違いです。これだと判断を誤ってしまいます。


で、BRICs。年々注目度が高まってきてますね。私も2002年から中国株とインド株に投資し始めましたが、結構なリターンが出てます。実際どのくらいなのか、下の表を見てみてください。これは各国の株や債券市場で2006年12月末までの1年間投資をしていた場合、2年間投資していた場合・・・という具合に並べたものです。2001年の年末から2006年末までの5年間でインド株は3倍以上に、中国株は5倍近くまで上昇しています。

06RT.jpg

このリターンを見て、「もう上がりすぎてしまった」「乗り遅れてしまった」「あの時インドや中国に投資してれば」「もう手遅れだ」「これから投資しても遅い」「まだ上がるの?」という人は大変多いです。また、マネー雑誌をはじめテレビや雑誌、週刊誌まで、「BRICsの次はこの国だ!」「BRICsに乗り遅れてしまったあなたが注目すべきマーケットはここだ!」みたいなことを叫んでます。「次」としてよく挙げられてるのは、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)とN-11<ネクストイレブン>(韓国、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナム、メキシコ)です。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)という言葉を生み出したのは、ゴールドマン・サックスという会社で、2003年に発表したレポートの中でBRICsという言葉を使い、それがあっという間に世の中に広まりました。また、N-11というのは、そのゴールドマン・サックスが2005年に発表したレポートの中で使用され、注目されています。

まず、BRICsの4カ国と、ポストBRICsと呼ばれるVISTAやN-11の国々とではだいぶ大きな差があります。ゴールドマン・サックスも「N-11は近い将来にBRICs並の経済成長や株価上昇が期待できるわけではない」としています。既にOECDに加盟している韓国と世界最貧国の1つのバングラデシュを同じグループに入れてる時点でN-11の選定自体おかしいと言う人もいます。どうやってこういった国を選定するかというと、だいたい「現在の経済状態・経済規模」「国土の大きさ・資源の豊富さ」「人口の多さ」の3つのカテゴリーで考えていくのですが、この3つの条件を兼ね備えているのは実はアメリカとBRICsの4カ国だけです。日本やメキシコは人口も多く経済力も大きいですが国土が狭いです。インドネシア、バングラデシュ、パキスタン、ナイジェリアは人口は多いですが、国土は狭く、経済力も大きくありません。アルゼンチンやカザフスタン、スーダンは国土は大きいですが、人口が少なく、経済力も大きくありません。カナダとオーストラリアは大きな国土と大きな経済力を持っていますが、人口が多くありません。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、韓国、は経済力は大きいですが、国土は狭く、人口も多くありません。これからの成長国なのに、現時点での経済力が関係あるの?と思うかもしれませんが、そこそこの基礎的な経済力がなくては、教育・インフラ整備・資源掘削などが充分に行えず、人口の多さや国土の広大さ、資源の豊富さを活用することができないからです。BRICsの4カ国は大きな経済発展のために必要な3つの大きな条件を兼ね備えています(アメリカはその3つの大きな要素以外にも優位のある点があり、先に発展したのでしょう)。BRICsとN-11やVISTAの間には大きな差があるので、BRICsの次はすぐVISTAだN-11だというわけにはいかないという理由の1つ目がこの点です。

2つ目は、現在の株価水準です。その国の経済発展の恩恵を受けようとする場合、最も有効なのはその国の株に投資をすることです。移住しちゃうのも手ですが、これを読んでるほとんどの方が今も将来も日本に住むことを前提にしてると思いますから、日本にいながら他の国の経済発展の恩恵を受けるにはやはりその国の株に投資するということになると思います。現在の先進国の株価水準をPERというもので比較してみます(PERというのは、株価が収益の何倍まで買われているか、株価が収益の何倍の水準にあるか、というのを表す倍率です。収益が100円だとして、株価が1000円なら10倍、2000円なら20倍、ということになり、この倍率が高いほど、株価は大きな期待を込めた水準になっていることを示します。)。現在の日本の株価水準はPER21.12倍です。イギリスは12.99倍、アメリカは16.19倍、ドイツは13.98倍、フランスは13.56倍、です。PERの適正水準は15〜20倍程度と言われているのでイギリス、ドイツ、フランスあたりはやや割安な感じです。あまりに過剰な期待をされている状態、例えば日本のバブル期の絶頂期にはPERは60倍を超えていました。その後の株価の暴落も当然といえば当然だったのでしょう。PER60倍なら株価が半分に、日経平均だと38,000円から19,000円まで落ちても、まだPER30倍ですしね。実際に日本では1989年のバブル絶頂期からその後の2年間で株価は半分にまで急落しました。で、BRICsのPERですが、現在のBRICs4カ国のPERはブラジルが11.74倍、ロシアが13.84倍、インドが19.93倍、中国が17.77倍、です。

現在、ポストBRICsの国々の中で最も注目されているのがベトナムですが、そのPERは30倍を超えています。しかし、実際儲かっているんだ!すんごい上がってるんだ!ベトナム祭りじゃ!このまま上がりっぱなしなんだからいいじゃん!の声のほうが日本では大きいようです。何せ、ベトナム株は2006年の1年間で144%も上昇し、2007年に入ってからも1月の1ヶ月間だけで30%も上昇しています。しかし、今のベトナム株の上昇の背景には、市場規模に比べてあまりに巨額の資金が流れ込んでいる状態ということがあります。一時期インドでも同じことが騒がれましたが、インドの場合過熱してると言ってもまだPERは20倍を超えていません。市場規模に比べてあまりに巨額のお金が入ること、がそんなに怖いことなのか、なんでそんなことで株価が吊り上ってしまうのかピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。例えばこんな魚市場を想像してみてください。アジやイワシなど1匹100円から300円程度の魚が1日10,000匹程度取引される魚市場があったとします。平均200円くらいで1日に10,000匹取引されるわけですから、200円×10,000匹で200万円です。これが市場規模。株式市場の時価総額と同じです。200万円持ってたら魚市場で取引されている魚をほぼ全部買い占めることができちゃうわけですね。そこに、「この魚市場で取引されてる魚に集中投資するファンドです!と言って集められた100万円もの資金を持つファンドが10個か20個やってきて、魚を買い漁ったらどうなるでしょう?この市場の魚を買う!というコンセプトで集めたお金ですから、他の市場の魚を買うわけにはいきません。また、魚を買えずに現金のまま持っていたら、聞いた話と違う!と言われちゃいますから、とにかく買えるものは何でも買います。結果、奪い合いのような状態になり、1匹100円から300円程度だった魚の値段はどんどん上がっていきます。500円で売り出せばすぐに完売、1000円で売ってもすぐ完売、最初に500円で買った人がためしに3倍の値段の1500円で売りに出してみてもまた売れてしまう。どんどん値段は上がっていきます。それでもお金は次々にやってきます。あっという間に3倍になったファンドということで、そのファンドに投資をしたい人が山ほど出てきます。こんな短期間でこんなに上がった!買った魚が短期間であっという間に倍に!噂が噂を呼び、新聞や雑誌などでも驚異的なリターンの市場!ともてはやされます。直接魚市場に出向いて自分で買う人も出てきます。地元の人たちは唖然としています・・・ついこないだまで100円で変えてた魚が3000円とか言ってます。さて、ふとしたきっかけで、この魚市場の熱気が冷めて、あるいはたまたま、そろそろ利益を確定しちゃおうかと思う人のタイミングが重なり、結構な金額の売り物が市場に出ます。すると、やや過熱気味だったかもと不安に思っていた人たちが一斉に動き始めます。みんなが引き上げ始めて、本当に魚が必要な地元の人たちだけが買う状態になったらどうでしょう。1匹3000円なんかで買う人はいません。結局本来あるべき100円程度の水準に戻っていくしかありません。逃げ遅れないために少しでも早く売り逃げたい人が売り値を切り下げ、どんどん価格は下がっていきます。ベトナム株の市場の時価総額はここ最近のほんの数年で1000億円から1兆円にまで膨れ上がりました。上場企業の数が増えたことも確かですが、あまりに行き過ぎです。不動産ファンドが雨後のたけのこのようにバンバンできて、価格を吊り上げてきた東京の不動産市場と同じような雰囲気です。先日のFinancial Times紙にも、「Vietnam stocks ‘30% overvalued’(ベトナム株 30%の過剰評価状態)」との記事が出ていました。海外の機関投資家や専門家の人たちに聞くと、皆が口を揃えて、今のベトナム株は行き過ぎだと答えます。それでも日本のマネー誌や週刊誌は、「注目されるベトナム株!」と煽ります。そうした警鐘を鳴らす専門家ではない人たちに取材をし、市場の上昇率だけを示して記事を書きます。

断っておきますが、私もベトナムは成長国の1つだと思っています。事実、GDPの成長率も7%を超えています。しかし、今のベトナムの株式市場に流れ込むお金の金額はあまりに市場規模を無視したものですし、株価上昇のスピードも経済成長のスピードではなく、市場に流れ込むお金のスピードに合わせたものになってしまっていることを心配しています。株価が過熱し、先行してしまっても、割とすぐ後から企業収益が上がれば、後でつじつまが合う、ということはあります。100円の利益の会社の株が期待感から40倍の4,000円まで買われ、実際に大きく成長して利益が倍になって200円の利益を稼ぐようになり、4,000円の株価はPER40倍から20倍になる、ということは確かに期待できます。しかし、株価の上昇スピードが利益の成長スピードを大きく上回り、すぐにつじつまが合うには差が開き過ぎてしまうと、株価は調整を始めます。先日、ある新聞で「ベトナムはこの地域では中国に次ぐ7%超のGDP成長率の高さ・・・」というような内容を記載がありました。実際にすごい成長率です。しかし、GDPの額が200兆円の中国が年率10%のGDP成長率を誇っているのとGDP5兆円のベトナムが5兆円から年率7%で成長するのとでは雲泥の差があります。また、50兆円になってからもその成長スピードを保てるかどうか、も別問題です。インドや中国の次はベトナムだ!というのはあまりに乱暴です。また、資産の一部でベトナムにも投資し、やばくなったらベトナムの比率を下げるというファンドならまだしも、ベトナムにだけ投資をするファンド、という単一国ファンドを作って投資する国としてはベトナムはまだちょっと早過ぎるんじゃないでしょうか。ベトナム単一国ファンド、「ベトナムにだけ投資をするファンド」、の乱立は集めたお金をどんなに割高でもベトナムに投資せざるを得ないため、自ら株価を吊り上げてしまうという側面をもっています。「資産の一部でベトナムにも投資するファンド」、とは全然事情が違います。

私がインドや中国株に投資しているのは、現在20倍以内のPERが40倍になって株価が倍になること、に期待して投資しているのではありません。収益が100円の企業の株価がPER20倍で現在2,000円、これが過熱してPER40倍にまで期待してもらえるようになれば株価は4,000円になります。テレビやマネー誌、週刊誌を見ていると、その内容の多くがこの点をごちゃまぜにしてしまっています。インド株は2002年にはPERが12〜13倍程度でした。大きな成長が期待できる国なのに、株価は反対に凄く割安で、あまりに期待されていない市場でした。私がインド株に投資を始めたのもこの時です。で、当時PER13倍だった市場が現在はPER20倍近くにまで上がっています。「だからインド株はもう上がりすぎてしまった。もう手遅れだ。割安だったPER13倍のインド株市場はPER20倍の適正水準に達し、もうこれ以上は期待できない。これ以上PERが上がるのは過剰な期待であり、バブルだ、危険だ・・・」とかって言って、「だから、もう上がりすぎてしまったインドではなく、次のインド・中国として期待のできるベトナムに今から投資を!」なんて言ってる人が多いです。もう意味分かりません・・・ベトナムのPERが30倍超えてるのに?私はインドのPERが13倍から20倍になってしまった現在もインド株に投資をしています。PERがすごく割安な13倍から20倍程度に上がることに「も」期待をして投資しましたが、それだけで投資をしたわけではありません。PERが13倍から20倍に上がる過程では株価は50%程度上昇します。しかし、この間のインド株は実際には3倍以上になりました。逆の言い方をすれば、インド株は3倍以上の価格になったのに、PERは13倍から20倍までしか増えていないのです。それは、稼いでいるお金が増えていたからです。先程から繰り返している通り、稼ぐお金が倍になれば、PERが同じでも株価は倍になります。私はインド株価水準はPER20倍のままでずっと行ってくれればそれで充分だと思っています。PERが過剰な期待で上がっても、そのうち調整されて20倍程度に戻っちゃうでしょうから、その部分には期待していません。私はインドの成長、収益額が増えることで株価が上がることに期待してインド株を買っています。だから、今からでも中国やインドの株に投資するのは遅くないと思っていますし、今もこれからも入ってきたお金の一部をBRICsに投資するつもりです。全然遅いなんて思いません。インドや中国はもう上がりすぎなんじゃないの?今からじゃもう遅いんじゃないの?って聞く人の多くは、「まだ大丈夫」「まだまだ上がるよ」という答えを求めてるんだと思いますが、そういった答えを返すつもりはありません。ただ、私がどういう風に考えているかを話すだけです。次回そのあたりのお話を。



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posted by ジョン太郎 at 13:35| Comment(1) | TrackBack(2) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『ベトナムファンド・ベトナム株投資で分散投資』というブログを書いてますJenniferです。
すごくためになりました。
今後ともよろしくお願いいたします♪
Posted by ベトナムファンド・ベトナム株投資で分散投資 at 2007年06月16日 13:14
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