2007年01月28日

運用・投信でよくある疑問D〜投信はダメなのか?<5>〜毎月分配型ファンドはダメなのか???

運用とか投資信託について、よくある疑問やよくある間違いについてのお話の第5回目です。今回は第1回(http://jovivi.seesaa.net/article/31332132.html)第2回(http://jovivi.seesaa.net/article/31426007.html)第3回(http://jovivi.seesaa.net/article/31662362.html)第4回(http://jovivi.seesaa.net/article/31426007.html)の続きです。
今回は、第1回の記事の、投信がダメだと言う人や雑誌などの記事で言われている「ダメ」な理由について、のDについてです。
@手数料が高い
A販売している銀行や証券会社だけが儲かる
B損をする・元本割れをする
C投信のファンドマネージャーは運用がヘタだ
D毎月分配型は悪だ・無駄だ


D毎月分配型は悪だ・無駄だ

毎月分配型ファンドについてはこれまでにこのブログでも何度か取り上げました。
http://jovivi.seesaa.net/article/13107901.html
http://jovivi.seesaa.net/article/13159854.html
でも、今回はちょっと違う視点でお話ししたいと思います。毎月分配型ファンドってやっぱりダメなファンドなんでしょうか?存在自体が悪なのでしょうか?ボッタクリ商品なのでしょうか?

このブログをずっと読み続けてくださってる方はお気づきかと思いますが、投資や運用、マーケットなどについての私の考え方・捉え方、は少しずつ変わってきています。実際にはこのブログを始めるずっと前から変わり続けています。日々勉強してますし、ずっと金融の世界で生きてますから日々新しいこともたくさん学びますし、学んだ知識から新たな考え方を持ち始めたり、別の捉え方や別のまとめ方を持ち始めたりします。また、日本も世界も刻々と変化していて、状況もだいぶ変わってきてます。このブログ書き始めた頃は、とりあえず始めてみようって人は日本株のインデックスだけ持っておけばいいんジャマイカ、くらいに思ってましたが、最近はそうは思ってません。例えばインフレにしたって、以前は国内中心の考え方をしていましたが、世界中の国々がますます相互に関わり合うようになってきていることから、日本以外の国の変化が私たちの資産の価値を目減りさせる影響について以前よりずっと重視するようになってきています。毎月分配型ファンドについても、ちょっと考え方が変わってきました。毎月分配型はどういうものなのか、ってのはもちろん昔から理解してましたし、それは今も変わっていないのですが、毎月分配型ファンドが果たしてる役割について最近考えるようになりました。

こちらの記事http://jovivi.seesaa.net/article/13159854.htmlでもお話しした通り、毎月分配型ファンドというのは資産を増やそうとする人には向いていないファンドです。「資産を増やす」という点では非常に効率の悪い仕組みだからです。なので、私はいまだに毎月分配型ファンドを買ったことがありませんし、今後も当面は、少なくとも10年は買いません。私はとにかく資産を増やさなくてはなりませんから、資金の効率を最大限に高める必要がありますし、毎月分配型ファンドによく使われるような資産に配分すべきお金はありませんし、実際にお金が必要になる30年くらい先の将来までお金の価値を目減りさせないことをまず第一に考えなくてはならないからです。私は現在31歳で、仕事をしていて、毎月お給料をもらっています。先ほどのリンク先の記事で書いた通り、現在の私は毎月分配型ファンドが向いていない人間なのです。でも、毎月分配型ファンドを買うメリットがある人もいます。お金を目減りさせないことが必要な人、貯金を取り崩していきながらその減少スピードをできるだけ抑えたい人、などです。

先程ふれた、私が考える毎月分配型ファンドが果たしている役割とは次のようなものです。
A.敷居の高かった投資の世界に多くの人を迎える導入となったこと
B.購入した人や購入しようとした人に投資やマーケットのことについて勉強する機会を与えたこと
C.購入した人や購入しようとした人に経済や金融の情報にアンテナを立てる手伝いをしたこと
D.新たなキャッシュフローの選択肢を提供したこと
E.運用の選択肢を増やしたこと(実際には以前からもあったが多くの人にとってそれは選択肢ではなかった)


A.敷居の高かった投資の世界に多くの人を迎える導入となったこと

毎月分配型の商品性が、これまで投資や運用の世界には無縁だった人や関心の無かった人のお金を投資の世界に向かわせたということは非常に意義のあることです。この国には世界で2番目の金額を誇る莫大な金額の家計金融資産がありながら、それが効果的に働いていなかったという問題が長らくありました。資本主義というのは、お金が働き、お金がまた新たな価値を産む、というところに成長のメカニズムがあります。実際には毎月分配型ファンドに投資されたお金の多くが国内市場ではなく、海外の市場に向かったわけですが、それでもそのうちの一部の資金は国内市場に向かったわけですし、毎月分配型ファンドが作ったきっかけで勉強し始めた人が毎月分配型ファンドを買わずに日本株市場に向かったなんてことも結構あるはずです。お金が動くことで経済に変化が生まれます。長く滞留し、せっかくたくさんあるのに生かされてこなかった、お金が動き始めたことは大変素晴しいことです。投資家の数が増えることで、より良い商品が開発され、投資家教育も盛んになり、情報提供も盛んになり、インフラやデータベースも整備されます。国民の大半が運用に興味がなかったとしたら、現在当たり前に入手できている金融・マーケット・経済などの情報が誰でも簡単に手に入るような状況にはなっていなかったかもしれません。本屋さんに投資や運用についての本が山ほど並び、ちょっと勉強しようかな、と思った人が簡単に本を探すことができることだってその一端です。超マニアックな話題についての本が、どこの書店でも売ってるわけではないですよね。たくさんの種類の本がおいてあるなんてことはないですよね。それと一緒です。

そんなのは毎月分配型ファンドじゃなくてもよかったはずだ、と言われるかもしれません。それはおっしゃる通りです。でも、投資信託の市場規模が40兆円から60兆円にまで増え、投資家の数を飛躍的に増やしたこの5年くらいの間、毎月分配型ファンドに入った資金は20兆円以上です。それまでも投資信託の市場はありましたし、たくさんの種類の投資信託があり、インデックスファンドももちろんありました。でも、ここまで多くの投資家を市場に参加させるほどインパクトはなく、投資信託の市場はなかなか大きくなることができなかったところに、毎月分配型ファンドが登場して、市場規模が一気に大きくなったのです。


B.購入した人や購入しようとした人に投資やマーケットのことについて勉強する機会を与えたこと

日本では、お金のことを考えるのは卑しいとかはしたないとか、そういった風潮が少なからずありました。実際私が育った田舎ではそういう風潮がありましたし、うちの両親なんかもそうです。人々がお金のことについて考えることは、その人のお金に関する知識が増えるという個人的なメリットだけでなく、社会全体の経済や金融についての知識レベルを底上げするという社会的な効果もあります。みんながお金について無知な状態というのは非常に危険で、政治や行政、企業などの不正や不適切なルール作りなどに気づきにくい社会を作ってしまいます。

これまでお金のことや、株式市場、債券市場、企業活動、社会全体の経済活動、為替や貿易など日本と他国との関わり方、他国の経済活動、などに全く興味の無かった人たちに、そういったことを知る機会を与えたことは物凄く大きな意味を持ちます。毎月分配型ファンドは初心者向けだ、なんてことも言われることもありますが、実際にそうなのかもしれません。しかし、これまで全く投資についての知識を持ち合わせていなかった人に、最初から物凄く高いレベルの投資知識を持つことや投資や市場のメカニズムを高度に理解すること、を期待するほうが間違いです。人は少しずつ、段階的に成長していきます。スタートさえすれば、たとえゆっくりでも少しずつ前に進んでいきますが、スタートをすることが最も大変です。スタートしてみようと思っていなかった人たちにスタートをしてみようと考えるきっかけを与えただけでも凄いことだと思います。円預金しかしていない人、外貨預金もやる人、毎月分配型ファンドをやってみた人、アクティブの日本株ファンドを買ってみた人、インデックスファンドを買っている人、多くの人が投資家としての洗練度をこのようなステップで考えていると思います。実際に、インデックスファンドを買っている人の多くが、毎月分配型ファンドを買う人は騙されている、あまりに無知だ、もうちょっと勉強したほうがいい、と言っています。でも、それは先程の洗練度合いの例が仮に正しかったとして、インデックスファンドを買っている人は毎月分配型ファンドを買っている人に比べて、金融知識があり、投資家として洗練されている、というだけであり、インデックスファンドのメリットを理解したというレベルが投資の世界において最高位なわけではないはずです。実際にそのレベルにいらっしゃる方よりも、機関投資家やプロの投資家はずっと多くの知識と高い洗練度をもっているはずで、そうした機関投資家たちから、まだそんなレベルか、そんな運用の仕方をするなんてレベルが低いね、騙されてるね、無知だね、と言われたら良い気分はしないでしょう。

スキー場で、上級者向けコースのゲレンデに行くリフトが作られるためには、ある程度の数の上級者がいることが必要です。1人の上級者のためにリフトなんか作ってもしょうがないですしね。上級者向けリフトの建設を望む上級者の人が、始めたばかりの初心者の人たちのゲレンデに行って、まだこんなところで滑っているのか、こんなとこで滑ってもしょうがないよ、オレなんかこんなにレベルの高い滑りができるんだぜ、と言ってせっかく始めた人のやる気をそぐのは全く無意味なことです。初心者の中から上級者は生まれるのです。スキーやスノーボードを始めてみようと思う人がたくさんでてきて、その中から上級者が生まれ、たくさんの上級者が出てくることで、上級者向けのゲレンデへのリフトが作られるのです。初心者の人のやる気をそぎ、ゲレンデに閑古鳥を鳴かせて、あちこちのスキー場が閉鎖される段になって嘆いても後の祭りです。投資の世界も全く同じです。市場の整備や新商品の開発のためにはたくさんの人に市場に参加してもらうこと、長く続けていってもらうこと、が欠かせません。毎月分配型ファンドは多くの人をゲレンデに呼び、そのうちの一定割合の人を上級者ゲレンデに向かわせ、結果的にゲレンデの活性化に貢献しました。プロの投資家や機関投資家たち、市場関係者たちが長年望んできた、長年実現のために苦労をしてきた、賑やかなゲレンデがやっと作れそうになってきた今、そのスキー場の初心者向けゲレンデで初心者を小ばかにして、自分の腕前を自慢する人が多く見られます。本当に困ったものです。まずは投資家の数を増やし、始めた人たちのレベルがそれぞれに上がっていくこと、が理想です。その環境作りのために多くの人が努力してきたことを無駄にして欲しくないなと思います。自転車に補助輪なんかつけてたらスピードが出ないよ!プロの自転車メーカーの人たちはそんなこと当たり前に知ってます。それでも、補助輪付きの自転車を作ります。


C.購入した人や購入しようとした人に経済や金融の情報にアンテナを立てる手伝いをしたこと


これも先程のBと同じような意味で貢献度は非常に大きいと思いますし、多くの人の役に立っていると思います。毎月分配型ファンドを買ったことで、それまで円高という言葉の意味すら知らなかった人がドル円相場に注目するようになったり、日米の金利差を意識するようになったりするようになるのです。実際に投資をしてみることで、自分の投資したマーケットにアンテナが立ちます。少しずつその情報が入ってくるようになり、知識もついていきます。机上だけで勉強しているのとは比べ物にならないスピードで知識がついていきます。人は自分の周りのこと、自分に直結しているものと関連付けることで、大きな関心を持つことができます。投資をしてみること、1本目のアンテナを立てること、スタートをしてみること、が非常に大きな意義を持つと思います。


D.新たなキャッシュフローの選択肢を提供したこと

投資なんてダメ、そんな欲をかいて痛い目にいあいたくない、預金の金利だけで充分、そもそもよくわからないし勉強するのも面倒だ、そんなことに時間を割くことはできない、と考えていた人にとって持ち得るキャッシュフローの選択肢はごく限られたものです。お金のことを考える余裕もなく、必死に40年近く働いてきて、いざ退職し、毎月の給料がなくなり、受け取った退職金で年金の支払が開始されるまでの数年間食べ繋いでいかないといけない、年金も思っていたほどもらえず年金を受け取り始めてからも貯金を取り崩していかないといけない、物価もどんどん上がっていく・・・こういう状況のときに、預金しか選択肢のないというのは非常につらいです。預金の金利が高かったバブル期であれば退職金の金利だけでも豊かな生活を送ることができました。しかし、今は歴史上まれに見る低金利の時代です。また、その金利を私たちはどうすることもできません。低金利を招いたのは他でもない日本人です。銀行が悪いわけでも日銀が悪いわけでもありません。政策の失敗が何度もあったことも事実ですが、その政治家達を選出したのも私たち日本人です。ずさんな行政や、日和見で内向的な官僚主義を放置してきたのも私たちです。結構な必然性をもって日本は現在物凄い低金利状態にあります。今、預金金利が3%くらいほしいと願う人は多いと思いますが、預金金利が3%になるためには日銀は凄まじい幅で金利を引き上げる必要があります。今もしそんなことをすれば、たくさんの企業が倒産し、消費が落ち込み、失業が増え、今とは比較にならないほどの不景気になります。つまり、預金の金利はそうそう上がらないのです。

毎月分配型ファンドはこうした状況の中、新たなキャッシュフローの選択肢を提供しました。退職金2千万円を0.3%の預金に預けて毎月13万円引き出していくとお金は12年しか持ちません。インフレがすすんで毎月の支出が増えるとこのペースは更に加速します。ちょっと下の表を見てみてください。

MDJPG.jpg

これは3千万円を、@これから先の1年間使わない分を金利0.3%の1年定期に入れて毎月13万円ずつ使っていった場合、とA年率で4.8%の分配金が出る毎月分配型ファンドに入れて、分配金で足りない分は元本を解約して、毎月13万円ずつ使っていった場合、の2つのパターンのお金の減るペースを計算したものです。現在投資信託の分配金は10%課税ですが、将来的に20%になるかもしれないので預金と同じ20%の税率で計算しています。退職後に豊かな生活を送るためには年金プラス13万円が必要と言われていますが、金利が8%もあった時代であれば3千万円預金していれば毎年240万円、1月あたり20万円もの金利が入ってきますから、預金の金利だけで充分豊かな生活をしていくことができました。しかし、今はそういう時代ではありません。0.3%の預金以外の選択肢を持っていなければ、物凄いペースでお金を取り崩していくことになり、退職時に3千万円持っていたとしても20年を待たずにお金は無くなってしまいます。年金の支給額の引き下げや、物価の上昇があれば、これよりももっと早いペースでお金がなくなります。そういった人が、海外の高利回り資産で運用する毎月分配型ファンドという選択肢を持った場合、お金を取り崩すペースをかなり落とすことができ、お金の減るスピードをだいぶゆっくりとしたものにすることができます。もちろん選択肢を持つというだけで実際にその選択をするかどうかは本人の自由な意思で決めることができます。

毎月分配型ファンドは、「お金を増やす」という点では、「毎月分配型ファンドではない」投資信託に比べて劣ります。しかし、毎月分配型ファンドは、「お金を減らすペースを落としたい」「貯めたお金を取り崩すスピードにブレーキをかけたい」人にとってはメリットのある商品です。ましてや、預金だけだった選択肢から投資への1歩目を踏み出そうとする人にとっては、投資先の資産の選択肢にしても、生活のキャッシュフローの選択肢にしても、選択肢の幅が飛躍的に増えることは間違いありません。



E.運用の選択肢を増やしたこと(実際には以前からもあったが多くの人にとってそれは選択肢ではなかった)


外国の債券に投資をする投資信託は以前からありました。しかし、こんなにも大きな外国債券ファンドがたくさん誕生するなど、以前では想像もできないことでした。毎月分配型ファンドの登場で、Dでご説明したような、「新たなキャッシュフローの選択肢を提供する」という役割を投資信託が持つようになったことで、「外国の債券に投資する」という運用の選択肢が、多くの人々にとって検討のテーブルに乗ったのです。「投資信託も含めて運用の選択肢を検討する」ことで、運用の選択肢の幅は大幅に拡大します。ところが多くの人にとって、投資信託というのはお金の置き場所としての選択肢に入っていませんでした。毎月分配型ファンドが投資信託の敷居を低くし、始めやすいものにしたために、多くの人にとって投資信託がお金の置き場所の1つの選択肢となり、様々な国の様々な資産に収益機会を求めることができるようになりました。投資信託を選択肢に入れるのと入れないのとでは、運用の選択肢の幅は全然違ってきます。国内の低金利を嘆くより他になかった選択肢に、毎月分配型ファンドが呼び水となって投資信託という選択肢が加わり、運用先の選択肢が広がったことの意義は大変大きいと思います。日本の金利が5%を超えるなど近い将来にはとても期待できないことですし、少子高齢化がすすむ日本経済の先行きにはあまり明るい材料は見えてきません。国は先進国の中ではぶっちぎりの借金体質となり、ちょっと前まではイタリアが借金の多い財務体質の悪い国の代名詞のようだったのに、日本が迷走を続けたこの10年のために、日本はイタリアをあっという間に抜き去って、物凄く財務体質の悪い、先進国の中ではNo1の借金大国になってしまいました。このような状態の時に、日本以外の国にも運用の選択肢を持つのと持たないのとでは雲泥の差があります。預金金利が3%を超えますように・・・と祈っていても、その祈りが通じるにはあと何年かかるのか私には想像すらつきません。


私は毎月分配型ファンドを一度も買ったことはありません。これからしばらく買うつもりもありません。しかし、毎月分配型ファンドの存在が悪だとは思いませんし、むしろ毎月分配型ファンドの果たしてきた役割は物凄く大きいものだと考えています。そして、私にとっては全くメリットの無い商品でも、毎月分配型ファンドに投資するメリットのある人はたくさんいると思います。今の日本の状態を考えれば、毎月分配型ファンドを買うメリットのある人の割合のほうがずっとずっと大きいんじゃないでしょうか。


↓ランキングです。ポチッと押して投票お願いします。

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へランキング参加中!


マネーブログランキング



カブクンブロ
グマーケットランキング投票





posted by ジョン太郎 at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック