2007年01月22日

運用・投信でよくある疑問C〜投信はダメなのか?<4>〜

運用とか投資信託について、よくある疑問やよくある間違いについてのお話の第4回目です。今回は第1回(http://jovivi.seesaa.net/article/31332132.html)第2回(http://jovivi.seesaa.net/article/31426007.html)第3回(http://jovivi.seesaa.net/article/31662362.html)の続きです。今回は、第1回の記事の、投信がダメだと言う人や雑誌などの記事で言われている「ダメ」な理由について、のCについてです。
@手数料が高い
A販売している銀行や証券会社だけが儲かる
B損をする・元本割れをする
C投信のファンドマネージャーは運用がヘタだ
D毎月分配型は悪だ・無駄だ

C投信のファンドマネージャーは運用がヘタだ
投信のファンドマネージャーは運用がヘタだ!、自分でやったほうがいい!、オレなら年30%以上のリターンが出せる!、FXならもっと儲かる!、こういう声はよく聞きます。そう思うのであれば、それで全然それでいいと思いますが、投信を始めようかと思って知り合いとか詳しい人に聞いてみたら「投信なんかやるより自分で運用したほうがいいよ、あいつらヘタだから」「投信なんか買ってもしょうがないよ」って言われて、「そうなのかしら?」って思った方のための話になると思います。

まず、自分でやれば年率30%以上で運用していける!50%でいける!って話ですが、http://jovivi.seesaa.net/article/12664637.html ここにも書いたんですが、年率30%を30年続けるのはかなりキツイです。本当に年率30%で30年運用できたら1千万円は242億円になります。50%だったら2,000億円近くまでいけます。そんな運用の腕を持っている、あるいはそんな運用手法を知っているなら、自分のお金で運用なんかするより、金融機関に売り込んだほうがいいです。自分の資産なんか使わなくっても、100億円以上の年俸払ってくれるところがいくらでもあります。実際に30%で運用した!って人はいくらでもいます。でも、それはごく短期間のことで、しかもそれは2005年のことだったりする人が多いはずです。2005年は日本株は全面高で、1年間で相場全体が50%近く上がりました。銘柄選びなんかしなくても、1月にインデックスファンドを買って12月に売るだけで40%以上儲かったような年です。でもそんな年は10年か20年に1度の相場です。こんな年が続いたりはしません。

何度もお話ししている通り、短期の売買を繰り返すことで資産を増やそうとする「投機」と、中長期に渡ってお金をほったらかしておいて資産を増やそうとする「投資」は、根本的に違っていて、私は「投資」のほうが優れていると思っています。30年の運用を考えている人はたった1年の勝負をしているわけではありません。昨年1年間自分で運用して短期売買をして、私より高い運用成果を出した人はたくさんいると思いますが、30年後にはたぶん私の運用成績のほうが上になっていると思います。これから先の1年、2007年中に私より高い利回りで運用する人も同じくらいたくさんいることでしょう。でも私は2007年がマイナスのリターンだって構わないと思っています。この1年間にだけ高いリターンを出すかということよりも、最終的にどこまで増えるかのほうが大事だと思っているので。(中長期投資についてもっと詳しく知りたい方はこちらとhttp://jovivi.seesaa.net/article/17902378.htmlこちらでhttp://jovivi.seesaa.net/article/18161545.html。)途中でそれまでの勝ち分を一気に失ってしまうなんてこともいくらでもありますしね。

ファンドマネージャーも同じです。投資信託というのは前回(http://jovivi.seesaa.net/article/31662362.html)お話しした通り、基本的なコンセプトがあり、そのコンセプトというののキーワードは「中長期」です。アクティブファンドのファンドマネージャーがベンチマークに勝とうとする場合にも、短期的にベンチマークに勝つことではなく、中長期的にベンチマークに勝つことを目標にしています(アクティブファンドとインデックスファンドの違いはこちら。http://jovivi.seesaa.net/article/12152532.html)。この1ヶ月間でTOPIXよりも上がりそうな銘柄を買うわけではないのです。なので、ファンドマネージャーの短期的な運用成果を見て、ベンチマークに負けてる!と言うのは早計です。ただ、もちろん、中長期的にもベンチマークに負けてしまうファンドがあるのも事実です。そうしたファンドを擁護することはできないでしょう。ここまでで言いたかったことは
1.短期の投機と長期の投資は全く異なる。
2.30%とか50%のリターンを30年続けることはかなり難しい
3.投資信託は中長期の運用という基本的なコンセプトに基づいて作られている
4.アクティブファンドのファンドマネージャーは投資信託のコンセプト通り、中長期でベンチマークに勝つことを考えている
5.そうは言っても、中長期でベンチマークに負けちゃうファンドマネージャーもいる
です。やっぱりヘタなファンドマネージャーはいるんじゃないか!と言われそうですが、その通りです。ヘタなファンドマネージャーの比率が高いか低いかについて言い合いをしてもしょうがないので、それはおいておいて、私が言いたいのは、比率が多いか少ないかは別にして、ベンチマークに負けちゃうファンドマネージャーは実際にいるんだけど、「だから投資信託を買ってはいけない」ってのはどうかと思うってことです(そもそも投資信託にはここhttp://jovivi.seesaa.net/article/31332132.htmlでお話ししたようなメリットがたくさんありますし)。

まず、30年間とか長期に渡って人任せにできるだけでも充分すぎるほどありがたいですし、アクセスしにくい市場にアクセスする手段を提供してもらえるだけでも貴重です。銘柄選びも市場調査もいらないってすごいことですよ。それを自分の代わりにやってくれるわけでえすから。それに、例えば私は結構な比率をBRICsなどのエマージング市場に投資しています。日本株ならまだしもブラジルだのインドだのの株で私のほうがいい銘柄選べるとはとても思えないですしね・・・毎日その市場を見続けてるプロの人が負けるなら、私がやっても負けるんだろうなと思ってます。問題のすり替えだって声も聞こえそうですが、投信は全面的にダメだ!と言うのであれば投資信託の他のメリットを全て放棄することになるわけですから、投資信託のメリットを総合的に考える必要があると思います。

あと、アクティブファンドを買って、ファンドマネージャーにインデックスファンドよりも高い信託報酬を払ってベンチマークよりも高いリターンを出してくれることに期待しやすい市場と、期待しにくい市場があると私は思ってます。ここ(http://jovivi.seesaa.net/article/31426007.html)で書いたようなバーゲン会場の違いです。日本株やアメリカ株の市場はアクティブファンドにとって非常に厳しい市場です。ですので、私は先進国部分についてはインデックスファンドを買い、新興国部分はアクティブファンドを買っています。エマージングマーケットだとベンチマークに勝っているファンドマネージャーの比率は先進国のものと比べて高いと思いますよ。なので、一概にファンドマネージャーは全員ヘタだ!とは言えないと思います。

あと、これを言っちゃうと元も子もないんですが・・・インデックスファンドでもアクティブファンドでもどっちでも・・・とか言っちゃいけないのかな・・・誤解しないでいただきたいんですが、私は個人的には先進国部分ではインデックスファンドが、新興国部分はアクティブファンドが、いいと思っています。でも、世の中ではインデックスファンドが正義!アクティブファンドは悪!みたいなことを言う人があまりにも多くてちょっとウンザリしちゃってます。私は敗者のゲームもランダム・ウォーカーも好きですし、インデックスファンドは優れてると思います。でも、ムキになってアクティブファンドなんてダメだ!あんなの買うのは大ばか者だ!とかって言ってるのを聞いたり読んだりすると、うわぁ・・・って思っちゃいます。インデックスファンドを血眼になって探したり、全身全霊をかけてアクティブファンドを批判するのもいいと思いますが、多くの人がそれに惑わされちゃうのはどうかと思います。

このブログを読んでる皆さんにはアクティブかインデックスかを必死に悩んだり、いいなと思ったファンドがあってもアクティブだからと言って買うのをためらったり、インデックスファンドの一覧を見て資産配分を考えたりしてほしくないです。ハッキリ言わせていただきます。投資とか運用の世界で、アクティブかインデックスか、は大した問題じゃありません。そんなこと考えたり悩むヒマがあったら考えないといけないもっともっとずっと大切なことがあります。・・・うわぁ・・・スゴイ批判を浴びそう・・・

下のグラフを見てください。

ASTCLS1.jpg

95年から直近までのグラフで、赤はTOPIXです。日本株の市場平均がこの赤い線ですね。白い線は何かって言うと、私がシミュレーションで作った1%ずつTOPIXに負け続けた仮想アクティブファンドAです。こんなようなグラフになってる運用報告書見たことある人も多いかもしれませんね。ここまで負けっぱなしのファンドはあんまり無いと思いますが・・・期間が10年以上と長期に渡ってるだけにこのファンドがTOPIXをベンチマークにしていたとしたら、批判されて当然だと思います(ベンチマークなしとか、TOPIXがベンチマークではなく参考指標とか、日経平均とMSCIJPがベンチマークとかそういう場合はのぞく)。私もこれだけ見れば、あらー信託報酬払った意味無かったねーと言うでしょう。仮に95年に100万円ずつでTOPIXに連動するインデックスファンドと、日本株ファンドAを買っていたら、インデックスファンドは117万円、日本株ファンドAは107万円と10万円もの差が出てます。ホレ見てみろ!と言われるかもしれないですね。こういうグラフばっかり見てアクティブファンドなんか買う意味無いんだ!ファンドマネージャーなんかみんなヘタクソだ!だから投信はダメなんだ!って言う人は多いんですが、ちょっともう1つグラフを出します。

ASTCLS2.jpg

さっきのグラフに、同じ期間の別の市場のパフォーマンスを加えました。私が勝手にシミュレーションした日本株ファンドA以外は全部実際の数字です。何が言いたいかって、アクティブとインデックスの違いなんてこの程度のことなんですよってことです。さっきの上のグラフで、TOPIXと日本株ファンドAの差は117万円対107万円と10万円でしたが、その間にイギリス株は177万円、アメリカ株は260万円、中国株は265万円、インド株に至っては395万円にまで上がっています。TOPIXのインデックスファンドを買うか、日本株のアクティブファンドを買うか、ってそんなに重要なことですか?どのアセットクラスを買うか、どこの国のどの資産に投資するか、それらをどう配分するか、を考える事が、投資あるいは運用において最も大切なことです。それでもまだ余裕があれば、決めた資産配分のそれぞれの資産の中でアクティブを買うか、インデックスを買うか、存分に迷ったらいいです。でも、最初からインデックスファンドの一覧を作って、その中で資産配分を考えるなんて、おかしいです。本末転倒もいいところです。

ついでももう1つグラフを出してみましょう。

ASTCLS3.jpg

これは先程のグラフの期間を1985年から直近までに変えたグラフです。中国株のデータが抜けているのは私が取った中国株の指数が1993年からしか算出されていないためです。インド株は2,614万円までいってます。実際海外にはそういうファンドもあります。30年間運用している海外のアジア株ファンドで100万円が7,000万円くらいに増えてるアクティブファンドもあります。インド株がすげえって話ではなくって、このグラフで赤い線の日本株インデックスファンドを選ぶべきだったか、白い線のインデックスファンドを選ぶべきだったか、なんてことよりも、どこの国のどの資産にいくらずつ配分すべきだったか、のほうがずっと重要だったのだということを言いたかったのです。

アクティブファンドはどうしようもない詐欺商品だ!、ファンドマネージャーは運用がヘタだ!、アクティブファンドは買ってはいけない!、ファンドマネージャーは運用がヘタなのに損をしてても信託報酬をとるから投資信託なんてボッタクリだ!、というのはそれはそれで結構だと思います。でもその部分に終始する話があまりに多すぎます。手に入るインデックスファンドを並べてみてその中で資産配分を考えるとか、資産配分を考える時間よりも手に入るインデックスファンドの種類を調べることに時間を費やしてしまうとか、アクティブにするかインデックスにするかでずっと悩み続けてなかなか投資できないとか、さらにインデックスファンドがいいのかETFがいいのかでもっと悩んでしまうとか(インデックスファンドとETFのちがいはこちらで。http://jovivi.seesaa.net/article/16337884.html)、このブログを読んでる人にはそんな風になってほしくないなと切に願います。投資で一番大切なことは資産配分です。投資信託は、少額から海外の資産にも投資することを可能にし、少額でもさまざまな資産に分散投資することを可能にし、個人では投資できない市場へのアクセスも可能にし、自分では調べられない市場でもプロに銘柄を選んでもらって見守り続けてもらうことができ、あなたが遊んでいる間も仕事をしている間も恋をしている間も家事をしている間も何年も何十年もあなたの代わりに運用をしてくれる仕組みです。投資信託は全てダメだと言って投資信託自体を選択肢から除いてしまったら、一番大切な資産配分の選択肢の幅が一気に狭くなってしまいます。

私はまず最初に資産配分を決めて、その中で先進国部分はインデックスファンドを使って、新興国部分はアクティブファンドを使って・・・と言っても先進国部分にもインデックスファンドが手に入らないものもあって、ここで(http://jovivi.seesaa.net/article/31426007.html)書いたように採算のこともあるしそれはそれでまぁいいや、ベンチマークに勝ってくれれば儲けものだし、と思って先進国のアクティブファンドも買ったりしてます。ベンチマークに負けてるファンドもあるけど、それでも全然OKです。投資信託にはベンチマークに勝つことよりももっと大切な別のことを期待してるからです。


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posted by ジョン太郎 at 23:22| Comment(2) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジョン太郎様とは年がかけはなれている50ちょい前の主婦です。1年前に何の勉強もなく自分の全財産投資信託買いました。もちろん分散投資なんてことも知らずに・・・。このごろやっと勉強を始め、無謀な自分に驚きながらも、安心、理論・統計から信頼できるブログに出会って、空いた時間最初から読み上げました。ヴィヴィさんの写真を見てこんなお嬢さんならジョン太郎さんはこんなふう・・??と想像していますが、また次回の記事楽しみにしています。
Posted by キャロライン at 2007年08月05日 16:31
キャロラインさん、
はじめまして!コメントありがとうございました。

ヴィヴィ子はちょっと今忙しくってブログのほうお休みしてますが、またそのうち戻ってきてくれると思います。頑張って更新していこうと思ってますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2007年08月05日 23:00
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