2013年01月30日

物価連動国債について

今日は物価連動国債についてお話しします。

akohyama
さんからこんなご質問をいただきました
政府が物価連動国債を発行するよう検討し始めたようですが、何か落とし穴がないかと疑ってしまいます。もしスタグフレーションにでもなれば、物価連動国債の購入もありとおもうのですが、このような商品は(個人ではファンドですね)どのような注意が必要でしょう。政府としては借金チャラにしたいのになぜ連動債を出すのか疑ってしまうのですが。
http://jovivi.seesaa.net/article/309300412.html




落とし穴と表現するかどうかは別として、日本の政府が物価連動国債を発行した場合に、それに投資する場合の投資特性についてご説明させていただきます。

まず、普通の国債と物価連動国債の違いですが、一番の違いは償還額が変動するかどうかという違いです。普通の国債は100円で発行されれば100円で償還されます。これを途中で売買する場合には、市場の時価で取引をします。市場の時価は常に変動していますので101円で買ったものが99円の時価がついたり、99円で買ったものが101円の時価がついたりということもありますが、満期まで持ち切れば100円で償還されます。たとえハイパーインフレが発生してジュース1本の値段が1万円になったとしても100円で償還されます。国債というのは借金ですから、通常の借金と同様、借りた金額を返せばいいのでインフレが起こってお金の価値が下がろうが関係ありません。このため、債券投資というのはインフレに弱いという特徴を持ちます。これは銀行などの預金も同様です。銀行預金も銀行の借金ですから、1万円を預金した人は例えジュース1本の値段が1万円になっても1万円しか返してもらえません。

ところが、物価連動国債というのはこの償還額が日本の消費者物価指数の変動に応じて変わります。100円で発行したもの、つまり100円を借りたとしても、世の中の物価が100倍になれば償還額も100倍の1万円になります。反対にデフレが起きて物価が10分の1になれば、償還額も10分の1の10円になります。これが普通の国債との一番の違いです。

また、これに付随して、国債の利子も変わります。普通の国債であれば、例えば額面(借りるお金)100円で、利回り1%で発行されれば、毎年の利払いは借りた額面100円の1%の1円です。例えば国債価格が200円に上がっても支払われる利子は1円なので、200円で買った人の利回りは0.5%ということになります。これが金利と債券価格の関係です。一方、物価連動国債の場合は、途中の利払い日時点での想定元本に応じて利子が支払われます。例えば100円・1%で発行された物価連動国債の途中の利払い時点で物価が100倍になっていれば、利払い時点の想定元本は物価に連動して10,000円になっていますのでこの1%の100円の利子が支払われます。この時に市場でこの物価連動国債を売却する場合の時価は1万円前後となっています。1%という利率は物価が変わっても変わりませんが、利子額は<想定元本額×利率>で計算され、その想定元本が物価に連動するため、利子額も物価に応じて上下します。

このあたりが普通の国債と物価連動国債の大きな違いです。あとは、物価連動国債は通常機関投資家向けのみで発行されるため個人が直接投資することはできず、物価連動国債で運用するファンドなどを通じて間接的に投資をすることになります。

さて、以上を踏まえての話になりますが、物価連動国債というのはあくまでも日本政府が発行する国債の一種です。ですからそもそもの日本国債の特性は持っていますので、日本政府の財政が悪化するなど発行体である日本政府の信用力が低くなれば物価連動国債の価格は通常の国債と同様に下がります(償還額は物価でしか変動しません。あくまでも途中で市場で売買する場合の時価の話です。)。また、日本の金利が全体的に上昇した場合にも、通常の国債と同様に物価連動国債の時価も下がります。この場合は、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利の変動の影響を受ける、というのが正確な表現になると思います。こうした信用リスク、金利リスクは通常の国債と同様に持っています。

リターンは通常の日本国債のリターン+日本のインフレ率ということになりますので、そもそも日本の成長率低下によって長らくリターンの低い状態が続いている日本国債のリターンに日本のインフレ率が加わるだけのことですから投資先としての魅力が飛躍的に高まるというほどではないと思います(これはもちろん個々人の考え方によります)。

日本のインフレ率の影響を受ける分については、物価が上がればその分、償還額も途中売却の時価も支払われる利子も上がりますが、物価が下がればこれらが全て逆になります。物価が下がればその分、時価も償還額も利子も減るということです。政府がインフレ目標を掲げても絶対にインフレになるという保証はないのですから、それでもデフレが続く場合もあり得ます。また、償還額や途中の利子計算のための想定元本の算出に用いられる物価というのは消費者物価指数(除く生鮮食品)です。消費者物価指数の総合指数から、価格変動の大きい生鮮食品を除いた指数となります。ちなみに総合指数に含まれる生鮮食品の割合は4%程度です。総合指数の中で最大は25%の食料品で、そのうち4%が生鮮食品、次が住居で21%です。近年の値上がりが大きい光熱・水道の割合は7%しかないので、光熱・水道費がどんどん上がっていても不動産価格が下落すれば物価全体はマイナスということにもなります。食住の価格変動のインパクトが大きいと考えておくとよいと思います。

こんなところでしょうか。
物価連動国債の発行を検討している本当の意図は分かりませんが、発行を検討しているのは数千億円程度の規模なので、インフレによる借金の目減りの話とはあまり結びつかないのではないかと思います。あとは2%のインフレを発生させようとしているのに、ある程度安定性のある2%+の運用利回りの金融商品がないってのもまずいだろうって話もあるかもしれませんが、この場合も数千億円の発行規模ではそのニュアンスを感じるのは難しいかなと。

むしろ、リアルタイムの物価や、市場が見ている物価動向を把握する目的と考えるほうが自然だと思います。何せインフレ目標を高らかに掲げた政府ですから。消費者物価指数の発表にはタイムラグがあるため、今現在のインフレ率を把握することはできませんが、物価連動国債の流通がそれなりのボリュームであれば、物価連動国債の市場での取引価格から市場参加者たちが見ているの現在のインフレ率やインフレ見通しを把握することができます。

私がお話しできることはこんな感じです。
ご質問いただきましてありがとうございました。これからもよろしくお願いします。


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posted by ジョン太郎 at 00:13| Comment(1) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジョン太郎さん、お久しぶりです。
ブログを時々覗いていましたが、更新されておらず、お仕事がお忙しいのだろうと思っています。

また、お子様が誕生された分、家族サービスも必要ですよね。
遅くなりましたが、おめでとうございます♪

いよいよ税制が変わり、NISAもスタートしましたが、まだ活用していません。
このNISAについては、様々なところで説明がなされていますけど、私は、どのような投資でもマイナスになることもあると思っていますので、余りメリットを感じることができません。

ジョン太郎さんはどう思われていますか?
お時間があるようでしたら、ご意見をお聞かせください。

今年も残りわずかとなりました。
どうぞ、良いお年を・・・(^O^)/

Posted by oka at 2013年12月27日 02:37
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