2007年01月15日

運用・投信でよくある疑問A〜投信はダメなのか?<2>〜

前回から始めた、運用とか投資信託について、よくある疑問やよくある間違いについてのお話第2回目です。今回は第1回目(http://jovivi.seesaa.net/article/31332132.html)の続きです。前回の記事の中でご説明しなかった、投信がダメだと言う人や雑誌などの記事で言われている「ダメ」な理由についてお話ししたいと思います。今回はまず@とAを。
@手数料が高い
A販売している銀行や証券会社だけが儲かる
B損をする・元本割れをする
C投信のファンドマネージャーは運用がヘタだ
D毎月分配型は悪だ・無駄だ

@手数料が高い/A販売している銀行や証券会社だけが儲かる
日本で販売されている投資信託の手数料が高いという声はあちこちで聞くことができます。ネット掲示板でも、個人のブログでも、雑誌でも、テレビでも。とりあえず他の国の手数料がどのくらいなのかってのが気になるところだと思いますが、下の表を見てみてください。これはLipperという投信情報会社が作成したレポートからの抜粋です。Lipperという名前を聞いたことがある人は少ないかもしれません。日本ではモーニングスターのほうが有名ですし。でも、Lipperという会社は投信のリサーチ会社として権威のある会社で、彼らのレポートはとても興味深く、リサーチもとても深いところまでやっていましたし、切り口も非常に面白かったです。なぜ過去形かというと、非常に残念なことに、先日Lipper社のLipperReportは当面休止という事態になってしまいました。理由は開示されていませんが、大変残念な限りです。私にとっては国内で手に入る投信情報の中で最も貴重なものの1つでした。論調もただ投信を批判したり否定するのではなく、とても優れた金融商品である投資信託の健全な発展を何よりも念頭に置いていたものでしたし、とてもプロフェッショナルで、コメントも非常に現実的な内容でした。早期の復活を願ってやみません。

Lipper社作成 主要先進国の投信の販売手数料と信託報酬の平均

FEE.jpg

見ていただいたらおわかりになる通り、日本の投信の手数料は他国と比べて高いとは言えない水準にあります。しかし、注意しなくてはならないのは、これはMMFやノーロード型のファンドを除いた数字だということです。日本はノーロード型と呼ばれる販売手数料なしのファンドがさほど多くありませんが、アメリカにはノーロード型の商品がたくさんあります。また、国によって投信マーケットの事情が大きく異なるため、一概に比較するのは難しいということです。アメリカは公的年金がとっくの昔に破綻し、変わって確定拠出型年金が導入され、この確定拠出型年金を通じて投信を購入する人がかなりの割合を占めるため、確定拠出年金用に信託報酬を安く設定したファンドがたくさんあります。日本も同じように公的年金が破綻して確定拠出型中心となって、人々が確定拠出型年金を通じてノーロード型ファンドをバンバン買うようになるとアメリカのような状態になるかもしれませんが・・・また、投資家のうちの法人と個人の比率も各国でまちまちで、法人と個人では手数料が異なります。ですので、この表の趣旨は、日本は安い、ではなくて、単純に日本は高いと言うことは難しい、ということです。日本で買える投資信託がアメリカや香港でも買えたりしますが、実際に買おうとした方は5%以上の販売手数料を提示されて驚くと思います。

手数料のうちの大半を占める販売手数料と信託報酬に絞ってここからのお話を続けます。(販売手数料と信託報酬の違いについてはこちら。http://jovivi.seesaa.net/article/13485112.html)販売手数料というのはファンドを購入する時に払う手数料で、販売会社が決め、販売会社が徴収し、販売会社の利益になります。0%〜4%くらいまでマチマチです。3%のものが多いです。次に信託報酬は、販売会社・運用会社・受託会社の3社がファンドの資産の中から徴収するもので、3社合計で年間0.3%〜3%くらいで、1.2%〜2%のものが多いです。受託会社が取るのは年間0.05%から0.15%程度ですので、販売会社と運用会社のところを中心にお話しします。

まず、販売手数料が安いファンドはどういうファンドかというと、ノーロードファンド(販売手数料0%)にはインデックスファンドが多いです(インデックスファンドとアクティブファンドの説明はこちらでhttp://jovivi.seesaa.net/article/12152532.html)。販売手数料は販売会社がお客さんの好みや資産内容やリスク許容度などを勘案してファンドを選び、ファンドを説明することについての報酬です。なので、インデックスファンドは説明が楽なことと、インデックスファンドを買う人は資産の配分等についての助言を求めていないことが多いこと、インデックスファンドを買う人にはそもそも投資って何なのか・投資信託って何だ・投資ってどうやったらいいんだとかって説明がいらない人が多い、ことからノーロードでも販売できるんだと思います。あと、インターネットですね。説明いらないですし。もちろんHPを作成したりするのにコストもかかりますが、少なくともインターネットのみでやってるインターネット証券なんかは支店を持って販売員を雇用して説明をしている販売会社に比べて安いコストで提供できますよね。説明がいらない人はインターネット証券でノーロードファンドを買ったらいいですし、説明が欲しい、そもそも投資の基礎を教えて欲しい、相談にのってほしい、という人はいるわけで、そういう人は手数料を払って窓口で相談に乗ってもらう、と理解するといいかと思います。あとは、希少性もありますね。例えばインターネット証券でインド株ファンドを買う。ノーロードのインド株ファンドってないんじゃないですかね。インドって投資するのがとても大変です。外国人に株式市場を開放してないですし。投信を通じてじゃないとインド株に投資できないですから、希少性は充分にあります。だから、インターネット証券でも手数料をとってます。で、私。私は説明まったくいりません。PDFファイルで目論見書読みますし、パフォーマンス見てすぐ判断できます。投信のことは何でも知ってます。マーケットのことについても普通の人に比べるとだいぶ詳しく知ってます。でも、手数料払います。なんでか。まず1つには、手数料払う価値があるから。手数料払ってでもインド株に投資したいからです。3%の手数料をインド株に投資する手段を提供してもらう対価として支払うことに何の抵抗もないからです。もう1つには、投信って相乗りバスのような商品だからです。投信のメリットであり、運営が成り立つポイントは、たくさんの人のお金を集めること、によってます。私は説明いらないから、手数料なくして、ってわけにはいきません。他の説明が必要な人のお金もあってはじめて投資信託は成り立ちます。私だけの10万円でインド株ファンドは成り立ちませんから。喜んで払いますよ。万が一、インド株ファンドは販売手数料を取っちゃいけませんなんて法律ができて、ノーロードのインデックスファンドなんか作っても販売員の説明や相談なしではとてもお金なんか集まんなくって、おまけに手数料取れなくて儲からないからインド株ファンドなんて作らない・扱わない、ってなったら凄く困ります。インド株への投資自体できなくなっちゃいます。

信託報酬も同じです。販売会社が保有期間中に信託報酬をもらうのは、私の口座を管理し、私に取引明細書や残高明細書を送り、ファンドの運用会社との連絡窓口をやってくれるからです。運用会社が信託報酬をもらうのは、ファンドの運用をし、ファンドを管理するからです。手数料の高い低いを決めるのは、運用の難しさと手間、管理の難しさと手間、期待リターンの高さ、販売会社と運用会社の採算性、ファンドの希少性(珍しいものや他にないものは高くなります。ウニだってキャビアだって服だって時計だって家だってサービスだって同じです。)、あたりを総合的に勘案して決められます。これらを考えてみるとちょっとこの信託報酬高すぎじゃない?ってファンドもあります。でも、全てのファンドが高すぎだとは思いません。おトク感たっぷりなファンドもたくさんあります。インデックスファンドはぶっちぎりで安いですが、インデックスファンドの手数料が安いのは、運用が楽だからという理由が一番大きな理由です。じゃあ、アクティブなんからやらずにインデックスファンドばっかりやればいいじゃん、もっとインデックスファンド作れ!という人がいっぱいいます。私は前にも言った通り、インデックスファンドもアクティブファンドも両方持っています。アクティブのコストを払う価値があればアクティブでいいと思いますし、その資産に投資するファンドがアクティブファンドしかなければしょうがないやと思います。

国内で販売されている投資信託の中でインデックスファンドはどのくらいあるんでしょう?本数はそこそこあってもそのほとんどが日本株のインデックスファンドです。日経225かTOPIXに連動するインデックスファンドがほとんどです。ETFとインデックスファンドを合わせてもその種類は、日本債券、日本株、アメリカ株、世界株(MSCIコクサイかMSCIワールドあたり)、外国債券(シティグループインデックスかJPモルガンGBIあたり)、くらいでしょうか?外国債券インデックスなんかは2本か3本くらいしかないんじゃないですかね。なんでって、採算が合わないからです。でも実は国内にはたくさんのインデックスファンドが存在しています。外国債券インデックスファンドなんかもいっぱいありますし、イギリス株インデックスのファンドもあれば、ヨーロッパ株インデックスファンドもあれば、ヨーロッパ債券インデックスファンドもあります。ただ、これらは機関投資家向けのファンドであるため、一般の個人投資家では買えません。なんでって、インデックスファンドで採算をとるためには物凄い金額のお金を集めなくてはならないからです。プライベートファンドだからこそできる安いコストのファンドは確かに私もほしいですが、現実的じゃありません。ヨーロッパ債券インデックスファンドを作って欲しいとどこかの運用会社に頼んだとしましょう。最低金額はおそらく100億円くらいになると思います。もっと必要かもしれません。もちろんそんなお金私は持ってません。そうなると100万円投資してくれる人を1万人、もしくは10万円投資してくれる人を10万人集めなくてはいけなくなります。自分じゃ集められないから・・・銀行に手数料払って集めてもらうか???

しかも、10万円ずつ10万人で100億円・・・では実はダメなんです。それだけの人数のお金を集めるための届出はプロ限定の場合や投資家50名未満の場合に比べて煩雑になります、開示のレベルもあがって開示のためのコストだけでも莫大になり、口座の管理も大変、法定の交付資料も一般の人向けにわかりやすく作成し交付数も多くなる・・・ところが法人向けだと違います。相手はプロですから、まず説明があんまりいりません。わかりやすい説明書も不要です。「MSCI EUROインデックス使います。Barraモデル使います。トラッキングエラーは30bps以内に抑えます。先物とデリバティブもちょっと使います。ヘッジはしません。解約は毎月OKですが、2ヶ月前の通知が必要です。以上。」くらいの説明ですみます。おまけにお客さんは1人ですから顧客明細は1枚で済みます。管理も楽です。詳細資料の届出も簡単なもので済みます。同じ100億円でも手間が全然違います。解約も事前に通知されますから運用も楽です。

50億円でインド株ファンドを作ってくれと言えば、ノーロードのインド株ファンドを作ってもらえるかもしれません。インド株に丁寧な説明無しで投資しようとする人のお金を50億円集められるところあるんですかね・・・無理っすよね・・・

トヨタのカローラって車があります。すんごい数売れてます。コストパフォーマンスもかなり高いです。でもちょっと詳しい人ならカローラよりもっとスピードが出て、もっと内装が洗練されてて、良い車を挙げることができますよね。日本に10台しか走っていないマニアックで素晴しい性能の車もあるでしょう。でもその車は決して安くないはずです。そんな車が安くて、利益の幅も小さくって1台10万円くらいの利益しか出なくって10台売って100万円しか儲からなかったら誰もそんな車作りませんし、売りません。ファンドも同じです。また、一方で、この車はいい車だけどちょっと高すぎる!利益のせすぎなんじゃないか?みんなが無知だからいけないんだ!もっと賢くなって利益幅を載せすぎた車を買わないようにして、利益幅を引き下げよう!と言ってたら、そのメーカーが倒産したり・・・その車作らなくなっちゃったり・・・

赤字のファンドを作る運用会社はありませんし、儲けないファンドを売る販売会社はありません。儲け率のうすい、つまり手数料の安い商品を作らせる、あるいは販売させるには、薄い利益幅でも儲かるほどの凄まじい量のお金を集める必要があります。日本株のインデックスファンドがあるのはそれだけの金額が集まって、利益が確保できているからであり、機関投資家向けの外国債券インデックスのファンドがあるのも採算に合うから、です。1万円から買えるインデックスファンドの種類がそんなに多くないのはこのためです。

好きだったうまくて安いラーメン屋が潰れてしまったとき、100円値上げして続けてほしかった・・・と思ったことはありませんか?私は何度もあります。バーガーキングが日本から無くなってしまったとき、100値上げしてもいいから残ってほしかったと心から思いました。ファンドでも、これまでに結構な数の運用会社が撤退したり吸収合併になってますしね・・・私が結構好きだった運用の上手な会社もなくなってしまいましたし、私が持ってたパフォーマンスの良かったファンドも償還されてしまいました・・・採算ですよね。

私はインデックスファンドとアクティブファンドの両方を持ってまして、インデックスファンドは日本株と外国株と外国債券を持っています。とても良いインデックスファンドです。が、実はそれらは401k、確定拠出型年金の中で買っています。一般の銀行窓口とか証券会社では買えないファンドです。確定拠出年金という大きなお金が集まる仕組みの中だから実現できるファンドなのです。もちろん、ノーロードで、信託報酬も安いです。アメリカと一緒です。でも、私の資産の大半はアクティブファンドです。なぜなら、エマージング諸国にたくさん投資しているから。私もチャーリズ・エリスの「敗者のゲーム」(右側のリンクにある本で、インデックスファンドのほうがいいよってことが書いてあります)は好きです。インデックスファンドの素晴しさもわかります。でも、アクティブをやるのが難しいマーケットとアクティブをやりやすいマーケットがあると私は考えています。

たとえば、あるバーゲン会場に行ったとしましょう。広ーい会場ですが、鬼のように人がいます。その中には物凄い数のプロのバイヤーが含まれています。この中で掘り出し物を見つけるのは大変なことです。私は日本やアメリカの株式市場はこういう状態だと思っています。バーゲン会場にいるのが私だけで、ゆっくり時間をかけて、誰にも先に掘り出し物を奪われることなく、探すことができるなら、私にも掘り出し物を見つける自信はあります。でも凄まじい数の人間がひしめく会場で、おまけにその人間の中にはたくさんのプロの目利き人がいたら掘り出し物を見つけることは非常に困難です。なので、私は最近日本株の現物株の運用をしてません。昔買ったのは持ってますが、そのままほったらかしてます。日本株とかアメリカ株はインデックスファンドでいいや、と考えるようになったからです。でも、インドや中国、ブラジル、などのエマージングマーケットはちょっと事情が違うように思えます。バーゲン会場の人数がそんなにいなくって、プロのバイヤーも少ない、そんな風に私には見えます。そこに手数料を払って、その会場に準備の時からずっといて、会場をずっと見てた、掘り出し物の場所まで知ってるプロのバイヤーを雇って掘り出し物を見つけてもらう、私はそんな感覚でエマージング諸国の株式ファンドを買っています。エマージング諸国のファンドはインデックスファンドを作ってもあんまり集まらないからそもそも無いってのもありますが、私はこういった国やマーケットではアクティブで勝っていくことも充分に可能な市場だと思いますし、こういう国では是非アクティブ運用をしてほしいと考えてるので、どうせならその分の手数料払うのも全然OKだからアクティブ運用やってちょうだい!って思ってます。

アクティブファンドの中にはそういった価値を含めて考えても、信託報酬高くないか?と思うようなファンドも確かにありますが、決して全てのファンドの信託報酬がボッタクリと言われるほど高くはないと思います。インデックスファンドはもっと増えてほしいなと思いますが、採算に合わないものを作って!と言ってもそれは無茶だろうなと思ってます。なので私のポートフォリオは先進国のインデックスファンドとエマージング国のアクティブファンドで構成されてます。手数料水準もパフォーマンスも含めて大変満足してます。

手数料が安いファンドを選べばいいってもんじゃないです。リスクとリターン、ファンドの仕組み、ファンドの希少性、パフォーマンス、あたりと手数料のバランスを考えることが大切だと思います。何より大事なのはまず、投資する資産を選ぶことです。手数料の安いファンドがある資産を選ぶって感じだと元も子もないです。何より、投資信託は全てボッタクリだ!投信は全て手数料が高い悪いファンドばかりだ!と決め付けて、投資信託という素晴しい選択肢を排除してしまうのはあまりにもったいないです。投資信託を使えるかどうか、で運用の幅やポートフォリオの柔軟性は飛躍的に増します。投資信託全てが悪い、全てがボッタクリだ、という人があまりにも多いので大変つらいですね。それを信じちゃう人もいますから。


↓ランキングです。ポチッと押して投票お願いします。

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へランキング参加中!


マネーブログランキング



カブクンブロ
グマーケットランキング投票





posted by ジョン太郎 at 00:05| Comment(1) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
株をはじめる前に読むブログで紹介されていた記事を読みはじめてお邪魔しましたnyanchuです。

この頃はinedx投資、ETFばやりでアクティブな投資信託をやりだまにあげる書籍ばかりでどこか変だなと思うようになってました。
ジョン太郎さんのブログをみて得心することしきりです。
この週末、これまでの記事をゆっくりとよまさせていただきます。
Posted by nyanchu at 2007年11月10日 15:29
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック