さて、QE3の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/292703947.html)でもお伝えしたように米国のQE3は「労働市場の見通しが大幅に改善しない場合、物価が安定した状態で、そうした状況が改善するまで」継続されると発表されています。
しばらくブログ更新ができていない間に9月の米国雇用統計が発表されました。内容は以下の通り。
既に報じられていますように失業率は前月比で0.3%低下し、久しぶりの7%台となる7.8%まで低下しました。今回の内容自体はそんなに悪くないと思いますが、雇用状況は依然として厳しい状態にあります。ずっと言い続けていてしつこいですが、アメリカの労働市場が負った傷は近年ないほど大きく深く、その傷が癒えるのには相当な時間がかかります。
毎度毎度、依然として厳しいということばかりお伝えしているので、このブログをいつも読んでくださっている方はいやになっちゃってるかもしれませんが、就職活動を諦めた人がたくさん出たせいで下がった失業率を「米雇用情勢改善」とか言ってみたり、失業率がちょっと下がっただけで「大幅改善」とか、失業率の低下幅が多きくなっただけで「回復加速」とかって報じるメディアが多くて、これじゃあんまりだと思うのでしつこく言ってます。現実はそんなに良くないですよと。
このブログを読んでくださっている皆さんは、失業率だけじゃなくってその中身も大事ってことはもうお分かりだと思います。また、中身の見方についてもだいぶ慣れてきたんじゃないでしょうか。そこで、今日はもう1つ便利な指標をご紹介したいと思います。Employment to Population Ratio【就業者率】【就業率】というものです。
私はよく、「経済指標がいっぱいあり過ぎてどれを見たらいいか分からない」「どれか1つだけ見るとしたら何を見ればいい?」というご質問に対して「失業率」とお答えしています。でも、本当はこの就業者率のほうがいいと思っています。でも、この数字は新聞とかにはまず出てきませんし、ネットのニュースなんかで米雇用統計発表のニュースが出る時にもまず紹介されない数字なので、皆さんがチェックしようと思ってもなかなかチェックしづらい数字なので、まぁ失業率でいいかと。
失業率という数字の問題は、その算出方法にあります。失業率の算出式は
【失業率】=【失業者数】÷【労働力人口】
です。失業者というのは失業していて就職活動をしている人のことなので、失業して就職活動をしまくったが100社受けても200社受けても就職が決まらず就職活動を諦めてしまった、という人はここには含まれません。そもそもカウントされないんです。労働力人口は【就業者数】+【失業者数】
【失業率】=【失業者数】÷(【就業者数】+【失業者数】)
言い換えれば
【失業率】=【就職活動中の人数】÷(【就業者数】+【就職活動中の人数】)
ということになります。というわけで失業率には就職活動を諦めてしまった人、どうしても仕事先が見つけられなくてもうこれ以上受ける会社も見つけられなくて途方に暮れている人、はカウントされていません。
一方、今回ご紹介する就業者率はどうやって計算するかと言うと、
【就業者率】=【就業者の人数】÷【生産年齢人口】
です。生産年齢人口は国によって定義が違いますが、アメリカの場合は16歳以上の人口から入院中の患者・自宅療養者・軍人・囚人などに該当する人の数を除いた人数です。要するに16歳以上の働ける人の数。働ける人の数【生産年齢人口】のうち、働いている人【就業者】がどのくらいいるのか、を示すのがEmployment to Population Ratio【就業者率】です。ここには、失業中で就職活動をしている人も、失業中で就職活動を諦めてしまった人も含まれます。というわけで失業率と就業者率の推移を見てみましょう。
まずはいつものグラフに就業者率を足してみます。赤が全体失業率で水色が就業者率です。

就業者率は働いている人の割合で、失業率は働いていない人の割合、なので就業者率は目盛を逆にして右目盛にしてあります。
過去15年間、失業者率と就業者率はほぼリンクして動いてきましたが、ここに来て大きくずれています。2009年以降、失業率は徐々に低下していますが、就業者率はほぼ横ばいです。さらに長くして25年で見てみましょう。見やすいように失業率は全体の失業率だけにします。

過去25年間、ほぼ一緒に動いてきた2つの線が2009年以降、どんどん乖離してきています。就職活動を諦めた人が増えるだけで下がる失業率では測りきれないアメリカの雇用環境が就業率には映し出されています。QE3は失業率が●%になるまで続くだろう的な話はよく耳にしますが、失業率が下がっても就業者率が横ばいじゃあねぇ・・・
もちろん、就業率がパーフェクトな数字かと言えばそんなことはなくって、就業者の中には経済的理由でパートでしょうがなく働いている人の数が含まれているので、これは除かないと今回みたいな状況を把握しにくくなったり、生産年齢人口には入院・自宅介護中じゃなければ100歳の人も含まれちゃうので65歳くらいで区切ったほうがいいんじゃないかって気もします。たぶん、もう1歩踏み込んで理想形に近づけるとしたら、(【就業者数】−【経済的理由でしょうがなくパートで働いている人の数】)÷【16-65歳の生産年齢人口】なんじゃないかなと思います。ちょっと自分で計算してみようかなと思いヒストリカルデータを集め始めて途中でやめました・・・
めんど(ry
アップデートしていくのがなかなか大変そうなので、これは誠に遺憾ながら諦めようと。やっぱり就業者率が便利だなという結論に達しました。失業率並みに広まるといいんですけどね。
というわけで就業者率で見るとアメリカの労働市場は、失業率の数字が示すほど改善してないよという話でした。
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