2006年11月01日

原油価格が上昇し続けたら?原油が底をついたら?そんな未来に備えるには?

よく拝見させていただいてるブログにこんなエントリーがありましたので、トラックバックして書いてみようと思います。http://fund.jugem.jp/?eid=170このブログに比べるとかなりレベル高いですね・・・このブログを読んでる皆さんにも分かるように説明しながら、私なりの私見を書いてみようと思います。

まず、ポイントとなる問題について挙げてみますと、
@原油の生産が消費に追いつかない(→原油価格がどんどん上がる、そのうち原油がなくなって大変困る
Aそれに備えるにはどうすればいいか
B危機の時の債券は最悪、株も安心してられない、株と債券をどういう比率で持ったらいいか
C通貨をどのような比率で持っておけばいいか(コメント中の質問)
D通貨の配分を決める際の目安はないか(コメント中の質問)
Eドル建ては多いがユーロ建てやポンド建てのファンドは少ないがどうしたらいいか(コメント中の質問)
こんな感じ。

まず、【@原油の生産が消費に追いつかない(→原油価格がどんどん上がる、そのうち原油がなくなって大変困る)
これは多分そうなんでしょうね。多くの人が同意する未来だと思います。ただ、この問題は原油だけの問題ではなくって、エネルギー資源全体の問題だと思います。モノの値段というのは売りたい人より買いたい人が多ければ値段が上がります(需給バランス、需要と供給のバランスってやつですね)。ますます増え続けるエネルギーの消費にエネルギーの供給が間に合っていかなくなります。世界中のあちこちでバンバン原子力発電所ができるというのも考えにくいですしね。原油というのはそのエネルギー資源の1つです。また、資源の問題というのはエネルギー資源だけでなく、食料資源と鉱物資源の問題もあります。食料資源は爆発的に増えているインドの人口を考えていただければ想像にたやすいと思います。http://jovivi.seesaa.net/article/12664637.html この記事でも書きましたが、物っ凄い勢いで人口を増やしているインドが、食糧問題に直面したとき、私たちは彼らより高い値段で食料を輸入しなくてはいけません。今、日本とは比較にならないペースで成長をしているインドの人たちの購買力はその頃かなり高くなってることが予想されます。高い価格で仕入れてきた小麦で作ったパンの値段は当然高くなり、高い価格で輸入してきた原油をもとに作られたガソリンの値段も当然高くなり、こうしたことが国内のインフレと日本人の購買力を落としていきます。鉱物資源の問題だって同じです。最近、結婚指輪の値段が上がってるのって知ってますか?プラチナの価格が上がってるからなんです。エネルギー資源、鉱物資源、食料資源、これらの供給が需要においつかなくなっていって値段が上がる、足りなくなる、こうした未来を想定して運用を始めることはとても良い事だと思います。

【Aそれに備えるにはどうすればいいか】
これは難しいですよ!まずですね、何に備えるか、どういう未来に備えたいのか、どういうリスクを避けたいのか、どういうことを目標にするのか、を考えたうえで運用をするのは非常に重要なことです。ところが、全ての問題に備えることができる運用というのはありません。例えば、世界的な株と債券の同時下落と、自分の国通貨と不動産価格の下落と、商品市場の暴落、一方で国内では消費財を中心としたインフレ、が同時に起こるという未来を想定したとすると、これに備えるのは結構大変です。実際にこういうことは過去にありました。で、現実的にどうすればいいかっていうと、どういう未来を自分が想定するのか、を決めることが大事です。国内のインフレに備えたいのか、デフレに備えたいのか、で行動は全く逆になります。今後インフレになると思いますか?デフレになると思いますか?いろんな人がいろんなことを言いますが本当のところは誰も正確に言い当てることは約束できません。あるいはインフレやデフレではなく、関東で発生する大規模地震に備えたいのか、物凄い円安に備えたいのか、野菜や米の値段の上昇に備えたいのか、原油価格の高騰に備えたいのか、日本の国力低下に備えたいのか、日本の年金制度の破綻に備えたいのか、アメリカの財政破綻に備えたいのか、周り中のみんながお金持ちになって自分だけが貧乏だという未来に備えたいのか、病気になった時にすぐに治療を受けられなくなるリスクに備えたいのか・・・挙げればキリがありません。これら全てを満たすことはできませんが、自分なりの優先順位をつけることと、自分なりに考えた未来を想定して、そこで発生する程度一貫したリスクを並べてそれらに備える、というようなことはできます。

もし、最も避けたいリスク、最も備えたいのが原油価格の高騰だとしたら、たぶん最も効果的なのは原油の買い貯めでしょう。どこに置いておくんでしょうね・・・あんまり現実的じゃないですね。そこで現実的な手段としては、産油国の株を買う、あたりに落ち着くと思います。先進国のほとんどは原油の消費国なので先進国株にはあんまり投資できなくなりますね。石油埋蔵量が多い国は、2000年のデータなのでちょっと古いですが、サウジアラビア261、イラン113、クウェート94、UAE92、イラク90、ベネズエラ73、ロシア49(単位は10億バレル)あたりです。・・・普通の人が株買えそうにない国が多いですね。投資信託だとロシア・東欧型ファンドかBRICs型のファンドでロシアを狙うことになると思いますが、中国もそれなりの石油埋蔵量ありますし、ロシア東欧株ファンドのロシアの比率や組み入れ企業を見ると、ひたすら原油価格高騰に備えるにはBRICsのほうが向いてるかもしれないですね。

あとは派生的なリスクを避けていくというのもあります。例えば、今、産油国の多くは外貨準備(国が自分の国のお金以外にどこの国のお金をどのくらいの比率で持つか)のうちの米ドルの比率を下げてユーロの比率を上げてきていますし、今後もこの傾向は続くと見られています。そうすると今米ドルをたくさん持っててユーロの少ない人はドルからユーロにするのも備えになるかもしれません。また、エネルギー消費が多い国、エネルギー効率の悪い国の株の比率も下げることになるでしょう。アメリカと中国がその代表です。

【B危機の時の債券は最悪、株も安心してられない、株と債券をどういう比率で持ったらいいか】
これも大変難しいですね。どういう見方をするかにもよりますが、ある国の株と債券を好景気と不景気の時で比較してみると、株は好景気の時に良いパフォーマンスを出し、不景気の時には悪いパフォーマンスを、債券は不景気の時に良いパフォーマンスを出し、好景気の時には悪いパフォーマンスを、出すというのが一般的な見方です。ただ、国自体が大変な経済・財政の悪化の局面を迎えた場合、株よりリターンが低く、そういう状況下では株と同じくらいの元本リスクがあると見なされ、かつ民間企業の中には競争力を保っている企業があるのに国の財政がヤバイというような場合、債券のほうが悪いパフォーマンスを出すというな場合もあると思います。ですので、この場合も、日本あるいはどこかの国の危機を避けるのか、世界的な危機を避けるのか、によっても変わってきます。実は世界的な危機の時は、金、アメリカ国債、アメリカドルなどが買われて、一気に価格を上げる、ということがよくあります。アメリカの同時多発テロの後などは金だけが一気に値段を上げました。世界的な危機に備えるなら資産と地域をできるだけ分散しとくのがオーソドックスかもしれないですね。株と債券、それにREITや金などにも分散、株を買うにしても日本・アメリカ・ヨーロッパと地域的に経済的にも分散、また先進国とエマージング国でも分散するようにBRICs株とかエマージング株なんかも入れとくのかもしれません。

【C通貨をどのような比率で持っておけばいいか(コメント中の質問)】
もし原油価格の高騰というリスクに備えることを最優先にするなら産油国通貨とユーロの比率を高めにしとくことになるのかもしれませんが、産油国通貨を持つのは結構大変なんですよね・・・米ドルは減らしておきたい気もしますが、ただ、原油の決済代金に米ドルがたくさん使われるのでその過程でたくさんの米ドル買いが発生するの現状も見逃せないですね。日本だけでも、たしか1バレル40ドルくらいのときに9兆円くらい原油の輸入に使ってたはずなので、原油価格が大きく上がった今、決済代金は大きく膨れ上がってます。日本は原油輸入のために結構な金額の円を売ってドルを買い、米ドルを買い支えていたりします。とりあえず円の比率を少なめにしとくんでしょうね・・・それでも私は対ドルでは円高派ですが・・・

【D通貨の配分を決める際の目安はないか(コメント中の質問)】
今のところ、通貨の配分を決める際の目安というのは、これといったものはないですね・・・世界の株や債券に投資するファンドも、世界の株式市場の動きを示すMSCIワールドというインデックスを(インデックスって何?って方はこちらhttp://jovivi.seesaa.net/article/11835214.html、他の過去記事もご覧になりたい方は目次をご参照ください。http://jovivi.seesaa.net/article/25450376.html)競争相手にしてて、その国別配分を通貨配分の基本にしてたり、世界債券ファンドもシティグループとかJPモルガンの世界債券インデックスの債券の国別を通貨の配分の基準にしてたりします。これはトラックバックをさせていただいたブログの管理人の方もご指摘の通りです。ただ、これはあくまで便宜的なものです。シティグループとかJPモルガンの世界債券インデックスというのは、あくまでも世界的な債券市場の値動きを表すのに適切な配分、という観点で構成してます。通貨、という観点ではなく、各国の市場規模などを中心に考えられているものです。なお、一応、円インデックスというものも存在しています。日本の貿易相手の主要対象国(たしか30カ国ぐらい)について、日本との貿易額の大きさで加重平均をした円の価値を表す指標で、同様の指標が米ドルについてもFRBというところが発表していますし、あちこちに同様のインデックスがあります。また、日経も独自のインデックスを発表しています。ただ、これはある国の通貨の強弱を示すだけなので、これを通貨の国別配分の目安にするのも結構しんどいです。また、貿易額をベースに加重平均してるので、2つの国の金利差の影響や投資のための為替の比重が物凄く大きくなってきている今の為替市場の状態だとちょっとイマイチな感じです。たぶん現状では、通貨の配分の目安になるような良い指標はないんじゃないかなと思います。作ったとしても、米ドルの比率が圧倒的に高い指標になっちゃうでしょうね・・・

【Eドル建ては多いがユーロ建てやポンド建てのファンドは少ないがどうしたらいいか(コメント中の質問)】
これについては、円建てのファンドで為替ヘッジをかけてないファンドでもいいと思います。(詳しくはこちらの記事でhttp://jovivi.seesaa.net/article/13780978.html)例えば、ある銀行でイギリスの株に投資をする円建てのファンド(為替ヘッジなし)とイギリスの株に投資するポンド建てのファンドがあったとします。投資するときの為替レートが1ポンド220円だったとしましょう。わかりやすく22,000円を円建てファンド投資。するとファンドに入ったお金は100ポンドに変わってイギリスの株に投資されます。で、半年後、イギリスの株価は投資したときと同じ水準で、100ポンドのままでした、ここで解約したとして、この時ポンドの価値が上がってて、1ポンド300円になってたとします。そうすると解約したお金は30,000円になって返ってきます。一方で、ポンド建てに投資するために、この銀行で為替を起こして22,000円を100ポンドに買えてポンド建てのファンドを買います。1年後には100ポンドのまま。ここで円に戻すと30,000円・・・一緒です。実際には、ポンド建ての場合、解約したあとも100ポンドを100ポンドのままにしておき、円にしないという選択肢があること、ファンドに入ったあとで為替を起こすのと、入る前に起こすのでは為替のタイミングも手数料も違うということ、があるので全く同じではありませんが、自分が取引してる銀行に、投資したい通貨建てのファンドがなかったり、その通貨の外貨預金がなくっても、為替ヘッジなしのファンドを買うことで、似た様な経済効果を得ることができます。



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posted by ジョン太郎 at 00:40| Comment(2) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 始めまして。
risさんへのコメントを見てやってきました。
 大恐慌のような全世界同時株安となる話と、相対的に得をする通貨が出てくる話とは分けないといけないのだろうと思います。
正直、どうしようもないと思考停止状態に陥ってしまうのですが。
Posted by SGW at 2006年11月03日 18:02
SGWさんへ
コメントありがとうございます。書き方が悪かったですかね・・・
「大恐慌のような全世界同時株安となる話と、相対的に得をする通貨が出てくる話とは分けないといけないのだろうと思います。」
その通りだと思います。一緒にするつもりはありません。ありませんが、どういう未来を前提にするか、でヘッジのための行動は変わってくる、というのが趣旨です。大恐慌を予想する方もいらっしゃるでしょうし、エネルギー資源枯渇を予想する方もいらっしゃるでしょう。ところが、全ての人がこうすべき、という行動はあり得ません。人によって描く未来が違えば、避けたいリスクも違います。避けたいリスクが違えば、取るべき行動も違います。「だから、どうしようもない、打つべき手はない。」ではなくって、まずその人自身の描く未来、信じる未来があって、その中で避けたいリスクをはっきりさせるのが最初、ですってことを言わないとと私は考えてます。原油が枯渇して、原油価格が高騰、だからみんなこの通貨を持つべきだ!なんて言えるような素晴らしい行動はないんじゃないでしょうか。

私は石油資源の枯渇にさほど悲観的ではありません。次世代エネルギーの開発にも期待してますし、石油の問題よりももっと避けたいリスクが他にあるからです。国内のインフレと日本の国力低下によって私の購買力が国内でも世界的にも落ちることを避けたいのと、今の年金システムが今後も悪化の一途を辿って税率も上がり社会負担が増えていく、そんなのはカンベンしてほしいけど、そうなるかもしれないので、それを避けるための行動をとってます。

ただ、もし私が石油資源の枯渇をすごく不安に感じ、石油価格高騰による物価上昇を避けたい、最も優先する課題を石油価格上昇にともなう物価上昇から自分の資産を守ること、とするなら、という話を本文に書いてます。その場合、直接的には、原油の買い貯めか、産油国株を買うくらいしか私の知識では思いつかないです。間接的には、そのペースを上回るペースで資産を増やすことになりますが、これはこれで難しい問題ですね・・・石油価格の上昇に伴う物価の上昇率が10%と想定して10%以上でまわるものに投資するとかそんな感じですかね。

また、通貨の話が出ていたので、もしそういう未来を前提にした場合、どういう通貨を持っておくべきか、相対的に得をする通貨はどれか、というのは本文中の通り、産油国通貨かユーロを持つのがいいような気もします。ただ、その場合でも、また分岐があって、例えば今思いつく3つ、
@原油の貿易通貨としてはしばらく米ドルが使われる、また、産油国は今後も外貨準備のかなりの部分を米ドルでもっておく→すると原油輸入をする各国が米ドルを買い支えることになり、産油国の米ドル売りユーロ買いも限定されるので米ドルで持っておくのが有利。
A原油の貿易通貨の結構な部分をユーロにするような決定がされる、また、産油国が外貨準備の米ドルの比率を下げてユーロの比率を今後も高めていく→ドルを売ってユーロを持つのが有利。
B産油国通貨での決済が求められていく、あるいは、産油国が外貨準備高自体を減らしていく→産油国通貨を持つのが有利。
こんな感じになります。原油が上がるというシナリオの中で、さらにどういうシナリオを信じるか、で得をするであろうと考えられる通貨は変わってきます。そして、その場合には相対的に他のリスク要因を劣後させる場合も出てきます。たとえば、原油価格が高騰するというシナリオを信じ、そのうえで原油の決済通貨と産油国の外貨準備については@のシナリオを信じることにすると、(A)アメリカの景気減速にともなう金利低下、その金利低下にともなう米ドル安、(B)双子の赤字を抱える米国の財政状態の悪化にともなう米ドル安、(C)中国の人民元切り上げによるアジア通貨買いにともなう米ドル安、といったリスク要因を劣後させて、先に想定したシナリオのリスクヘッジを優先させることになります。石油の問題より(A)のほうが怖い!と思う方であれば、@による米ドル保有はできなくなっちゃいます。

どうしようもない、打つ手がない、ということを言うつもりはありません。また、そんな風にも思いません。その人その人の信じる未来に応じた打つ手があるはずです。ただ、ここを読んでる皆さん全てに、今後こういう未来になるからこの通貨を持つべきです!と言い切れるようなものが私にはないと私は考えてます。ということをご理解いただければ幸いです。くれぐれも、たくさんのリスク要因があるから打つ手はない、いろんなリスクが考えられるからどうしようもない、と言うつもりはないことをご承知いただきたいです。
Posted by ジョン太郎 at 2006年11月04日 01:07
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