2012年03月04日

リスクON ってことでいいんですかね?

今日はそういう話。

更新間隔があいてしまってすみません。
死んだんじゃないの?生きてる?というメールもいただきましたが、生きております(笑)
ご安心ください。
生存確認をしていただくためにも、ちゃんとブログ更新していきたい気持ちはやまやまなんですが、どうにもならん時もありまして。こういう時もたまにありますが、生暖かい目で見守っていただければと。これからもよろしくお願いします。

ブログ更新してない間、本業のほうがかなり忙しかったんですが、本業のほうで最近一番よく聞かれるのが「リスクON・・・ってことでいいんですかね?」「リスクONになってますよね?」「リスクONですよね?」です。

私の答えはYES。今はリスクONだと思います。今の市場は完全にリスクONです。株式市場は上がってますし、リスクの高いところほど上がってますし、クレジットものも値段が上がってます。んで、リスクマネーが流れ込むと上がる小さな市場規模の通貨が上がりと。リスクON状態です。それ以外の何物でもありません。

私がハッキリYES、とお答えすると、相手の方はだいたい「え?YESでいいの?」という顔をします。もうちょっと慎重な見方をするかと思った、みたいなことらしいんですがね。

誤解を避けるために言いますと、私の投資行動がリスクONモードになったとかそういうことではありません。今の市場はリスクON状態かと聞かれればYESというだけのことです。私はそういう投資(正確に言うと投機ですが)はやりませんから。そもそも、雨があがったなと思ったら外に飛び出して行って、雨が降り始めたら軒下に逃げ込んで、雲ひとつないぞーと言って物凄く遠くまで走って行って急に空が暗くなって大雨になって軒下までびしょ濡れになりながら戻る、みたいな投機をやってる人たちが主役の市場ですからね。スイッチバック電車と表現してみたりいろいろな例えをしてますが、最近本業のほうではこの表現をよく使ってます。そのうちまた変わると思いますけどね。なんせ気まぐれですからね。飽きたらまた別の例えを考えます♪

今の市場は雨があがったかな?と軒下から顔を出して空を覗いてはまだかまだかと焦れていた人たちが、雨あがったんじゃねーの?これはもう大丈夫じゃねーの?いけるんじゃね?とおそるおそる出て行きはじめて、わらわらと人が出て行くのを見ていて出遅れたくない人がそれに続いて・・・と雨上がりの空の下で次々に人々が外に飛び出して行ってる状態です。それをリスクONと言わず何と言うんでしょう。これこそがリスクONです。儲けようとする人がリスク資産にお金を投じるモードになることをリスクONと言い、そういう人たちがリスク資産を投げ捨てて売りにまわるのをリスクOFFと言います。なんなら、豪ドルが上がってればリスクON、豪ドルが下がってればリスクOFFと言ってもいいです。豪ドルは主要通貨の中でもっとも米国株と相関が高い通貨ですから。ファンダメンタルズとかAAAとかは豪ドルにはあんまり関係ないです。レアルでもいいけどね。今はリスクONです。



で、私に「リスクON・・・ってことでいいんですかね?」とご質問なさる方は、雨あがったみたいなんですけど外に飛び出して行って大丈夫ですかね?みんな外に飛び出して行ってるみたいなので私このまままた雨降るんじゃないかと軒下にいて出遅れるのイヤなんですけど外に行っていいですかね?ということをお聞きになりたい人たちです。私は「YES、リスクONです」とお答えしたうえで、「今は、ですけどね」と付け加えます。いつリスクOFFになるかは分かりません。一気に反転してリスクOFFモードにさせてしまうような材料もあるわけですからね。今は雨はあがってますよね?と聞かれれば、はい、今は雨があがってますね、晴れてますねとお答えできますが、この晴れ間がいつまで続くかは分かりません。急に雲が出てきて空が暗くなってきていきなりどしゃぶりってことだってあり得ますから。

今、「市場はリスクONになってると思いますか?」とお聞きなる方の多くが、私も晴れ間の中に飛び出して行こうと思うんですけど、すぐに雨が降り出したりしないですよね?とお聞きになりたい、それに対して「YES。大丈夫、しばらく雨は降らないですよ。雨の心配なんかせず、傘なんか持っていかず、どうぞ晴れ空の下に飛び出して行ってください。」と言ってほしいんだと思いますが、そんなことを言える人はいないと思いますよ。いや、正確には、言える人はいますがその言葉の信ぴょう性はとてもお金を投じるに耐えられるものじゃないと思いますよ。

リスクON/OFFに乗じて投機をして売買をして儲けてやろう、という考えであれば、そう思うのも仕方ないとは思いますが。私にはご期待に沿えるようなお答えができません。欧州の問題も、いくらでも雨雲を発生させられる状態にあることは繰り返し申し上げている通りです。急にどしゃぶりのスコールを発生させることができる状態ですから。



で、本業のほうでこういう話をしてる時にいつも思うのですが、不思議なもので金融機関で働いている人間の間にも何というか考え方の傾向の偏りみたいなものがあるような気がするんです。大きく分けると銀行出身なのか、証券会社出身なのか、で違いますし、信託銀行や生保出身の人にはなんとなく似たようなところがあったりします。もっと細かく言えば債券畑だったのか、株式だったのか、銀行で融資畑にいたのか、でも違うと思います。もちろん、もっともバイアスがかかるのはその人の現在の業務、株を売りたい、債券を売りたい、とかだと思いますが、根っこのところにある考え方の傾向みたいなもんです。

私の場合は、大学を出て最初に金融の世界に入ったのは日本の銀行でした。銀行で産声をあげ、銀行で育ったので、自分の考え方のくせみたいなものはやっぱりその影響がかなり強いと思います。

昔話になりますが、私が就職活動をしていた頃というのは、今は合併・整理が進んでだいぶ数が減った都市銀行がたくさんあった時代で、東京三菱、住友、三和、さくら、富士、第一勧銀、あさひ、大和、東海、に加えて興銀、長銀、日債銀、がある都銀12行と呼ばれていた時代で、私はその中の1つで社会人デビューをしました。当時の銀行はいっぱいありましたが、結構個性があっておもしろかったです。もっとも、外から見ればどこも一緒じゃん・・・と思われていたかもしれませんが・・・銀行員にとっては各行特徴があった感覚でした。

外為・貿易金融の横浜正金の流れをくんでてそっち系に強い東京銀行と三菱村の三菱銀行が合併した東京三菱銀行(今も投信の基準価額を算出するのに使用する為替レートが三菱東京UFJ銀行のレートであるのはこの流れです。)、宝くじをやっていた勧業銀行と金融機関コード0001の第一銀行がくっついてできた第一勧銀(今も宝くじが当たるとみずほ銀行にもっていくのはこの流れです。)、ザ・大阪銀行で「石橋を叩いても渡らない」と呼ばれていた時代からバブル期にはスイスのプライベートバンクを買収したりゴールドマンに出資したりイトマン事件があったりでとにもかくにも積極的な銀行になった住友銀行、日本最古の鴻池銀行に端を発しながら財閥をもたず実は元地銀だったりもするがJCBやオリックスを作ったなんて話もある三和銀行、愛知県の銀行が合併してできたザっていうかジ・愛知銀行の東海銀行、都銀の中で唯一信託業務を兼業していた元野村銀行である大和銀行(野村証券はもともとこの野村銀行の証券部門です。)、100年くらい合併も銀行名変更もなかった興銀、などなどなかなかおもしろかったんですが、合併・再編・整理がすすみ、今では赤・青・緑の3メガと、りそな・あおぞら・新生、になってしまいました。

私が銀行員になったのは、バブルが崩壊し、アジア通貨危機でさらに打撃を受け、山一証券や北海道拓殖銀行が破綻し、のあたりのことで、ITバブルが発生してはじけ、マイカルの破たんでMMFが元本割れしたり、エンロンとワールドコムの粉飾で米会計不信が起こり、アメリカで同時多発テロがあり、アルゼンチンのデフォルトがあり、そして、日本の銀行の不良債権問題がいよいよやばくなっていた時期に銀行員をしていました。結果的には私のいた銀行も不良債権処理を進めていく中でどんどん体力が落ちて行って、ついには一人で立っていることができなくなり、合併をして看板を付け替えることになりました。

お上にギャンギャン言われてなんでもかんでも不良債権認定してガンガン引当金をつまされ、ひたすら処理をしていき、もう無理っす・・・となり、泣く泣く合併して看板まで変えた。そしたらその後になって引当金不要なものがいっぱい出てきて、既に看板の変わってしまった統合銀行各行に引当金の戻り益が大量に出て、なんとバブル期をしのぐ過去最高益、みたいになって銀行は稼ぎ過ぎだとわけのわからん批判をマスコミから浴び、それが私が本を書くきっかけになりました。

このブログで、おかみの指導で無理やり積み上げさせられた巨額の引当金の戻り益のせいで「稼ぎ過ぎ」と批判されるなら、伝統を守り互いに競い合ってきた新聞社・テレビ局・出版社の各本部ビルなどの不動産が、ある日おかみの指導で急に価値ゼロという評価にさせられて一気に損失を出すことになって、そのせいで巨額の赤字に追い込まれて泣く泣く合併して看板を付け替え、発狂しそうな合併作業が終わってみたらおかみからやっぱり持ってる不動産の価値を元の評価に戻していいよと言われて、評価を戻す時に発生する利益が存続会社に大量に戻ってきて過去最高益になり、稼ぎ過ぎだと批判されたらどう思うんだよ、という話をどうしてもしたくて、でもこの話は難し過ぎるよなと葛藤してた時期がありました。

この話をブログでするには、はこのブログをお読みの方に決算書が読めるようになってもらわないといけなくて、誰でも簡単に分かる簿記の基礎、決算書の読み方の基本みたいなのを書こうと、サルでもカニでも分かる簿記、というのをブログの中で書くことにしました。そして、晴れて私はこの話をブログで書いたわけですが、そのカニ簿記がたまたま出版社の方の眼にとまって「これ、本にしませんか?」とオファーをいただいたのが私の著書第一号が世に出た経緯です。物凄い数奇さを感じます。そして出張中にたまたまJALに乗ってて聞いたおばちゃんの「やっぱりさすがJALよ」というセリフにピンときて決算書の中で紹介したJALがその後破綻した時には、銀行で教わったっことの有難さが凄く身に染みました。



というわけで、私は既にずいぶん前に日本の銀行を退職しているんですが、やっぱり私の考え方の基本になっているのは銀行の考え方なんだと思います。根っこが銀行員なんです。投資信託の設計をしたこともありますし(皆さんがお持ちの投資信託の中には私が設計したものがあるかもしれません)、ファンドを選ぶ仕事をいていたこともあります。そういう中で株もの、債券もの、不動産もの、コモディティもの、オルタナティブもの、などなど様々なアセットクラスの様々な投資手法を本当にたくさん見てきました。本当にいろんな分野の人たちの話を聞く機会に恵まれてきました。でもやっぱり株屋さんと話していても、債券屋さんと話していても、彼らとのバックグラウンドの違いを凄く感じます。特にその違いを強く感じるのが今回の欧州債務危機の問題です。



欧州債務危機の問題は不良債権の問題です。日本の銀行の不良債権処理の時と同じ種類の問題です。返済能力のない人にお金を貸した人が自分のバランスシートに返済してもらえないかもしれない債権を資産として計上してしまっていて、借り手の財務状態がどんどん悪化して毎月の借金の借り換えや金利の支払いに首がまわらなくなってきているわけですから。これはJALの末期と全く同じです。お金を貸し続ければ延命はできる。でも、痛みどめを打ち、生命維持装置につないで延命しているだけですから、根本的な病巣を取り除かない限り、それらをストップすればそこでジ・エンドです。患者の免疫力と体力が劇的に回復するという奇跡が起これば別ですが。法人向け融資の不良債権であれば借主の業績が急回復するとか、ソブリンであれば財政収支が急によくなるとかね。財政収支がよくなるためには税収を増やすか支出を減らすしかありません。税収を増やすには税率をあげるのも手ですが、経済が成長して経済規模が大きくなることで税収が増えるパターンもあります。財政支出を減らしていく中で経済成長が期待できるかは疑問ですが・・・ギリシャはどうやってかつての経済規模に戻すんでしょうね。何で稼ぐんでしょうね。奇跡が起こらない限りは病巣の摘出手術が必要です。

日本の銀行の不良債権処理問題の時には、摘出手術中にショック死してしまわないように政府・日銀がバックアップをして痛みと出血に耐えながら病巣を取り除いていきました。今回の欧州債務問題では摘出手術中のショックを完全にバックアップできる体制が未だ整っておらず、その候補もまだ見つかっていません。あまりにも不良債権の額が大きすぎるからです。その額を許容できるバックアップを示せないと大きな進展にはやはり繋がらないと思いますし、それまでは摘出手術を先延ばしにして、痛み止めと輸血を続けるしかないのだと思います。病巣を取り除いていないわけですから、容態が急に悪化することは十分考えられます。この後、急に雨が降り出すことはないと私がとても思えないのはそのためです。



これはあくまで日本の銀行の不良債権処理が強烈に記憶に刻まれている私の見方です。これが正しいと言うつもりは全くありませんし、違うバックグラウンドの人と意見を交換すると、やはり見方は人それぞれだなぁと思わされますから、いろんな見方をする人がいて当然なのでしょう。ただ、このブログは私がこう思うというのをお話しするためのものですから、私はこう思いますというのをそのまま書いているだけのことです。お読みいただいている読者の皆さんは、ジョン太郎は日本の銀行出身で、日本の不良債権処理問題が強烈に苦い記憶として残っているから、その影響が強くて慎重になり過ぎてるんだろうな、くらいに思っておいて頂いてちょうどいいくらいかもしれません。


私がこの問題を楽観的に見たり軽めに見積もることはありません。


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posted by ジョン太郎 at 11:47| Comment(1) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も痺れを切らして外に飛び出していこうとしている、
そのちょうど矢先ですので、
この記事は本当にナイスタイミングです。
雨に降られたら、泣いて帰って来ます。(^^)

バックグラウンドの話は、
私も強くそう思います。
私は3つのメーカーを渡り歩いたんですが、
考え方の根っこにあるのは、
最初に勤めた会社で叩き込まれたことです。
もう退職して10年近くになりますが、
未だに強く感じます。(^^)
Posted by mushoku2006 at 2012年03月04日 12:38
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