2011年12月04日

続・スペインの若者の失業率をご存じですか?

その後どうなったのか、と知人から尋ねられたので続編を書きますね。


昨日、アメリカの失業率についてお話しさせていただきましたが、書いてる途中で「あ、そういえばこないだスペインの若年層人口の話の続きを聞かれたな」と思い出しまして、昨日の記事の中で書こうとも思いましたが眠くて挫折・・・改めて今日書かせていただくことにしました。



以前、この記事
http://jovivi.seesaa.net/article/216330358.html
で、ユーロ圏各国の若年層失業率の話をしました。その中でスペインの25歳未満の若年層人口の失業率は44.4%という数字もご紹介しましたが、予想外に反響が大きくて驚きました。で、先日、知人から「そういえばその後スペインの若者の失業率ってどうなったの?」と聞かれたと。



まず、これまでのユーロ圏の各国の失業率はこんな感じで推移してきています。

EUUN all.bmp
EUUN all.bmp
(↑サムネイルをクリックすると別窓で大きく表示されます)

ピンクのドイツは別にして、他の各国の失業率は2007年以降上昇してます。上昇してそのまま高水準にとどまっている国もあればスペインやギリシャのようにいまだにうなぎ上りの国もあります。

スペインでの失業率は現在22.8%で、働く意思のある人の2割以上が失業してる状態です。ギリシャも2割近いですね。フランスも10%近いです。

こういうこと書くと、「そもそも制度が違うから日本の労働市場とは違う」とか「福祉が充実しているからそんなにがっついて働かなくても大丈夫だから」とか「文化が違うから」「そもそもラテン系は怠け者が多いんだから」とかって言われたりするんですが、それらの説明では「失業率が上がってきている」ことを説明できません。突然働かなくていい制度ができたとか、突然そういう文化になったとか、ならまだしも、そういう変化がないのであれば、その説明では今のスペインの失業率が2006年のスペインの失業率よりも高い理由にはならないはずです。

また、以前にも解説したことがありますが、「失業率」というのは「労働力人口」に対する「失業者」の割合です。「労働力人口」は
「就業者」【働いている人】

「失業者」【失業していて職探しをしている人】【働く意思と能力があるのに職に就けていない人】
の合計です。

失業率はあくまでこの2つの合計のうちの後者の比率。つまり、「働く意思がない人」「職探しをしていない人」「職探しを諦めてしまった人」「働く能力がない人」は失業者に含まれず、したがって、失業率の中にも全く含まれません。失業率の数字には「働かなくてもなんとかなっちゃう便利な制度があるから働かない」なんて人はそもそも含まれていないのです。そんな人が多かろうが少なかろうが増えようが減ろうが、失業率には全く関係ありません。繰り返しになりますが、失業率というのはあくまでも「働いている人」と「働きたくて仕事探してるのに仕事に就けない人」のうち後者の比率。



改めまして、ドイツ以外のユーロ圏の主要国の失業率は2007年以降上がり、いまだ高水準にあります。
これらの数字は全労働人口のデータです。


で、本題。これら各国の25歳以下の若年層の失業率を見てみましょう。

44.4%だったスペインの若者の失業率はその後どうなっているか。



今、こうなっています。

EUUN 25.bmp
EUUN 25.bmp
(↑サムネイルをクリックすると別窓で大きく表示されます)

現在のスペインの若者の失業率は48.9%です。あのあと、更に上がっています。前回ご紹介した時に39%だったギリシャも45%、28%だったポルトガルも30%、27%のアイルランドも30%、23%だったフランスも24%に上昇しています。これはきついです。

財政出動して雇用を創出、といきたいところですがそんなお金どこにあるんだという感じですね。国債発行して?誰が買うんだって話ですね。きついです。
ちなみに日本の失業率は現在4.5%、24歳以下の失業率は7.8%です。

こないだ、ギリシャ問題のまとめを書きました。意外と人気の借金男の例え話もまとめました。
http://jovivi.seesaa.net/article/235954316.html
お時間のある方は、まとめのほうでも、借金男の例え話のほうでも、もう一度読んでいただいて、そういう経緯をたどってきたギリシャの失業率が現在18.3%、若年層失業率は45.1%という状態にある、とつなぐと、事の深刻さが分かりやすいんじゃないかなと思います。きっついです。目先の利払いだけなんとかしてどうなるってもんじゃありません。来月の借金の支払いを他から借りて来て何とか用立てる、その用立てがうまくいった、なんてのは根本的な問題の解決とは程遠いんです。

そんなギリシャの1年国債利回りは現在344%です。1年国債が344%で取引される国ってなんなんでしょうね。それでもいまだに新興国は怖い、先進国なら安心、みたいな風潮があるのが不思議ですが・・・

(前にも言いましたが、この利回り344%というのは100万ユーロ買うと344万ユーロの金利が1年でもらえるというわけではありません。解説はこの記事(http://jovivi.seesaa.net/article/233299687.html)の最後のほうで書きましたのでここでは割愛します。)


イタリア国債もECBが買い支えなければ利回りは手を放した風船のように上がっていってしまいます。ECBが買いまくって買いまくってなんとか7%前後で推移させていくのがやっとという感じ。ECBは毎週50億ユーロ以上の国債を買っています。先週も86億ユーロも買ってます。イタリアにはなんとか自力調達していってもらわないと困るわけですが、自力調達できているように見せているだけで、実際には無理矢理もたせているだけです。手を離せば倒れます。そんなイタリアを救済できるお金はヨーロッパにはありません。救済しなくてもいいように買い支え、生き延びさせ、大丈夫であるように見せる。それしかないんです。

ユーロ圏は引き続ききついです。

またそのうちアップデートさせていただきます。

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posted by ジョン太郎 at 10:44| Comment(3) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
凄まじいと言うか、
目を覆いたくなるような数字ですね。
どうしたら、ここまで雇用が悪化するのか・・・
想像もつきません。
Posted by mushoku2006 at 2011年12月04日 21:15
あのう、週50億ユーロなら、おおざっぱに5千億円。年52週なら、5千億円x52週=26兆円になります。ECBってそんなにお金持ちでしたっけ。いつまで続けられるのでしょうか。

雇用が悪化するのは、先進国での安い物の輸入が増えたから。つまり中国その他の途上国へ雇用が流出しているからでしょう。
Posted by koku at 2011年12月04日 22:31
mushoku2006さんへ
こんにちは。
コメントありがとうございます。
本当にひどい状態です。これで目先の返済が乗り切れて一安心、という感覚には私はとてもなれません。
これからもよろしくお願いします。

kokuさんへ
こんにちは。コメントありがとうございました。

もちろん週によってばらつきはありますが、ECBは先週が86億ユーロの買付、先々週が80億ユーロ、その前が45億ユーロ、その前が95億ユーロ、その前が40億ユーロ・・・という感じです。8月からの3か月ちょっとで既に1,300億ユーロ買ってます。

ECBはユーロを刷ることができますからユーロ建て国債を買うお金はありますが、そんなことのためにお金を刷り続ければユーロ自体の価値を失わせることになりますし、そもそもECBの主たる任務はユーロ圏の物価の安定、その裏返しとなるユーロの価値の安定、そしてそのための金融政策を行うこと、ですからECBが域内の国債を買いまくる、なんてことを永遠に続けることはできません。このブログでこれまでお話ししてきている通りです。

雇用悪化の原因についてはいろいろな意見があると思いますし、実際にいろいろな要因があると思います。

これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2011年12月04日 23:10
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