2011年10月29日

欧州債務危機対策合意について

なんと言ってもこれですね。欧州債務危機対策合意について、私なりにコメントさせていただきます。

26日夜から27日朝にかけて開催された首脳会議で、債務危機に対する「包括策」が合意されました。これで一気に楽観ムードを出すメディアもありましたが、とてもそんな内容ではなかったです。

細かい部分は見えてこなかったですし、実行できるかどうかも確信がもてない内容でした。とりあえずその内容をまとめますと、

@ ギリシャの借金のうち、民間投資家(主に欧州の金融機関)がもっている分の損失負担を50%にすることを無理やり同意させることに成功したので、そうする。要するに100億円貸してるはずの人に、「50億円しか貸してないことにしろよ、な。50億円損したことにすればいいじゃん。そうじゃないとギリシャをデフォルトさせてもっとたくさんの部分が返ってこなくなるかもしれねーぞ、そのあおりで金融機関がバンバン潰れてお前のところの損失も更に膨らむぞ。それでもいいのか。」と脅し、お金を貸してる人たちに50%損失をのませたということです。これでギリシャの借金がちょっと減る。サルコジは「銀行を呼んだのは、交渉するためじゃなくて、決定事項を伝えるために呼んだ」と言いました。交渉じゃないんですよ、「こうすることにしたから。飲まなきゃ潰すから。」と伝えた。で、銀行側はそれを受け入れた。それを「合意」と呼ぶと。それを「自発的な債務減免」と呼ぶと。

A EFSF(欧州安定基金)の融資能力を1兆ユーロにする。「貸すお金?ないよ。あるわけないじゃん。もう使っちゃってるお金もあるし、そんなに残ってないよ。新しく自分のサイフから出すのもキツイしさ。だからさ、こうするの。俺たちが保証する。保証してあげるから、みんな貸してやって。みんなが損したうちの一部は俺たちが負担すっから。損した分の一部を補てんするくらいのお金ならあるからさ。みんな貸してやって。あと、とりあえず、レバレッジかけて大きくする。レバレッジかけて融資枠を4-5倍にすっから。そんだけで大丈夫かって?大丈夫。別の箱も作るから。そこにお金を入れてさ、そこからも金を出して資金繰りキツイやつらに貸していくから。え?誰がその箱にお金入れるんだって?俺?俺なわけねーじゃん。金ねーもん。それはホラあれだ。中国とか日本だよ。」というわけで早速EFSFのレリング最高経営責任者は28日に中国を訪問と。そのあと日本に来て、香港、タイ、シンガポールと訪問予定。何しにって、箱に金入れてくれよって言うため。

B 銀行に資本増強を求める。今回の債務危機で、ここから先に食らうダメージに耐えられるように、域内の銀行に資本を増強することを求めると。どうやって?「いや、知らんわ。それはよーく頭をひねってやな。よーく考えるこっちゃな。」

こんな感じ。粗すぎるかもしれないけど、どうせ大した内容じゃないし、このくらいでいいんじゃないかなと私は思います。そういうのが好きな人は細かく見ていったらいいと思います。

で、これに対する市場の評価。

27日に包括合意後はじめてとなるイタリア国債の入札があり、イタリアの来年償還のインフレ連動債の落札利回りは4.61%(前回4.07%)となりました。昨日28日には続いて初の普通国債入札となるイタリア2014年償還債の入札があり、落札利回りは4.93%(前回4.68%)、10年物の2022年償還債は6.06%(前回5.86%)とユーロ導入以来最高利回りでの落札。利回り上がってますね。一部で言われているような、「待ちに待った包括合意!これで危機は脱したぞ!欧州の債務危機は去った!」という状態なら、こんな利回りにはならないですよね。

昨日の各国の10年国債利回りはイタリアが6.02%と6%の大台突破、スペインが5.51%、ポルトガルは12.9%、ギリシャは23.2%、フランスも3.16%です。利回りはたいして落ちてきてません。ギリシャの10年国債は35近辺で取引されてます。一方でスイスの2年国債はほぼ0%。マイナス利回りになっている日が続いていて、たまに0%を超える、という感じです。

あと、CDS。ISDA(国際スワップデリバティブ協会)の規則では、今回のギリシャ向け債権の50%減免は、CDSの決済とはならないようです。先ほどの@で説明した内容であったとしても、あくまでも一部債権者による「自発的な」減免なので、CDSの決済には当らないと。CDSの決済にならないというのはどういうことかというと、例えばギリシャの国債を30%の利回りで買って、ギリシャの国債が吹っ飛んだ場合には、保険金を払ってもらう、そのための保険料は今30%です、というのがCDSです。この保険金が支払われるには、「ギリシャが吹っ飛んだから保険金を支払わないといけない」という判定が行われる必要があります。この判定で「吹っ飛びましたね。デフォルトしましたね。」と認定されて、そこからCDSを売っていた人が買っていた人に対して保険金を支払うことになります。この認定がされるかどうか、というのが重要で、今回の債務減免はあくまでもデフォルトではなく、一部の債権者の自発的な減免、なのでデフォルトではない、従って保険金は払わくていいことになります。

100の債権が50になってしまった時のために保険をかけてたのに、脅されて無理やり50にされて、しょうがない保険金もらって穴埋めしようと思ってたところ、保険金も支払われないと。きっついですね。これで今後のCDS取引に影響が出るかもしれません。脅されて「自発的な債務減免」に応じた場合は保険金は支払われない、ということが再確認されるわけですからね。じゃあ保険なんか買っても意味ないじゃんと。そうなると、保険かけられないなら怖くてイタリア国債なんて買えないじゃん、持ってられないじゃん、ということになりかねません。今までは保険があるから、保険をかけられるから、という部分がなくなってしまうわけですからね。

ギリシャを対象にしたCDSはグロスで750億ドル分、ネットでも40億ドル分近くあります。ちなみにイタリアを対象にしたCDSはグロスで約3,100億ドル、ネットでも200億ドル分以上あります。うーん。

とりあえず、こんな感じ。全然楽観ムードになれない内容です。
構造的な問題も全く解決できてないことはお分かりだと思います。

いつもの、サラ金から金を借りてる借金まみれの人の例えで言うなら、稼ぎがないのに浪費癖があって、借金をしては浪費をし、借金が凄い額になった人がいた。職に就こうともしない。出費を減らそうともしない。そんな人の毎月の借金の返済と金利の支払いはどんどん増えて凄い額になってきた。借金取りが家にまで来るようになり、払えるお金はないので、他から借りてきてとりあえず目先の毎月の返済と金利の支払いに充てていたが、金利20%とか30%といったシャレにならない高金利のところから借りれなくなり、ついに他から借りてきたお金で目先の金利と返済に充てることもできなくなった。そこに「来月分のこの人の借金の支払いは私が用立てしましょう」という紳士が現れた。果たしてこれで構造的な問題解決になっただろうか。ここまでが前回までのお話。

今回の話は、ある日、この借金漬けの人の親戚の男が借金取り達の前にやってきて、「オイ、お前らがこいつに貸してる金、半分にしてやってくれや」と言ったので借金取り達は猛反発。ところがこの親戚の男、かなり恐ろしい男で、鬼の形相で借金取り達を睨みつけて「俺はお前らと交渉に来たんじゃねーんだよ。最後通告に来たんだよ。お前らには借金半分にしてもらうことにした。俺がそう決めたことを伝えに来たんだよ。もちろん<自発的に借金を半分に>してくれるよな?でないとお前らを潰すぞ、この野郎。」と凄みました。借金取り達はしぶしぶ同意し、借金の額を半分にしました。

まぁ万が一に備えて高い保険料を払って保険をかけておいたし、とりっぱぐれた分は保険屋からもらおう。借金取り達が保険屋に保険金の請求に行くと、「え?あなたがたが自発的に借金を半分にしたんですよね?だったら保険金はお支払いできません。」と言われて借金取りたちは踏んだり蹴ったり。

一方、借金まみれの人の今月分の支払いを立て替えてあげて、ピンチを救った先ほどの紳士は、こういう困った人が他にもいるのでもう少しお金を用意しておく必要があるかなと思い、銀行にお金を引き出しに行くが、なんと残高はゼロ。実は紳士のお金ももう底をついていた。困った紳士は、今後は自分の財布に入っているお金を見せて、サラ金の人たちに「ほら、お金はあります。あなたがたがこの人から取りっぱぐれて貸したお金を回収できなくなって損した分の一部は、私がこのお金で負担してさしあげましょう。また、私は私のこうした活動を拡充するために、中国と日本というお金持ちのところに、お金を出してくれと頼みに行ってきます。」と言うことにしました。

で、肝心の借金まみれの人は職探しをしているのかと言えばしていないと・・・・


果たして、紳士は中国と日本にお金を出してもらえるのか!?大損をした借金取り達は今後も商売を続けていけるのか!?次回に続く。

今日はこんな感じで。

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posted by ジョン太郎 at 12:03| Comment(4) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
株や商品の方は相当リスクオンに傾いたので、もう少し楽観できるのかな?と思っていたんですが、そうは問屋がおろしてはもらえないようですね。><

イタリア国債の金利が上がっていたんで、なんでだろう?とは思っていたんですが。

私みたいな投資手法ですと、相場は低迷している方がやりやすいし、ボラもあった方が嬉しいことは嬉しいのですが、世界経済を含めて考えると、やっぱり宜しくないですね。><

しかし、CDSの決済とならないと言うのは、鬼ですね。今後への悪影響も気にかかります。事実上ヘッジ不可となると、買い手の要求金利が跳ね上がりそうで、これまた破綻要因となりそう・・・

今回も勉強になりました。m(_ _)m
Posted by mushoku2006 at 2011年10月30日 18:35
はじめまして。

イギリス政府の動向に注目しています。
いまこそジョンブル魂の見せ所だと思うのです。
金融の自由を守るために。
Posted by ジョンブル魂 at 2011年10月30日 22:27
分かりやすく説明して下さり、ありがとうございました。しかし保険が支払われないってのはヒドイですね。
話は違いますが、最近は高級貴金属が売れているそうです。ペーパーマネーは当てにならないと感じている人が多いのでしょう。
Posted by みや at 2011年11月06日 19:41
mushoku2006さんへ、
こんにちは。コメントありがとうございます。
お返事めちゃくちゃ遅くてすいません。
これからもよろしくお願いいたします。

ジョンブル魂さんへ。
コメントありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

みやさんへ、
こんにちは。コメントありがとうございます。
金を買うのもそういう意識からかもしれませんね。
これからもよろしくお願いします。

みなさん、いただいたコメントへのお返事遅くなってしまって本当にすみません。
Posted by ジョン太郎 at 2011年11月12日 18:22
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