2006年08月17日

チャールズ・エリスの言葉(3)

すいません、更新の間隔がだいぶあいちゃいました。今、ジョン太郎はちょっとした事情でバタバタとしておりまして、そのうちその話もすることになると思いますが・・・ヴィヴィ子のほうはちょっとした、じゃなく結構大変な事情がいくつかあって、とてもここに書き込む余裕無しです・・・しばらくの間は、だいぶ状況がマシな私の書き込みばかりになっちゃうと思いますが、ヴィヴィ子ファンの皆様、気長にお待ちいただければと。
さて、連続でご紹介している、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」。
チャールズ・エリスの言葉(1)
http://jovivi.seesaa.net/article/21653549.html
チャールズ・エリスの言葉(2)
http://jovivi.seesaa.net/article/21683836.html


今回も、彼の素晴らしく明快な投資理論というか、そんなカタイ言葉じゃなくって、何と言ったらいいんでしょうね・・・彼の言葉は専門家のためのアカデミックでテクニカルでプロフェッショナル、なものとはかけ離れています。広く、多くの方の役に立つ、プロにもアマチュアにも初心者にも役に立つ、投資や資産運用についての考え方、というのが正しい気がします。とにかくそういったものをご紹介しながら、お金の話をしていきたいと思います。

今回ご紹介するのは、前回の内容と重複しますが、より理解を深めるのに、よりイメージを鮮明にするのに、きっと役に立つと思います。

長期投資家にとっての毎日のダウ平均の変動は、気象学者や永住の地を検討している家族にとって、毎日の天気が無意味であると同様に、何の意味も持たないのだ。」

「『時間』は運用において『アルキメデスのてこ』の役割を担っている。【脚注:『必要な長さのてこと、私が立つスペースがあれば、この地球を動かしてみせる』(アルキメデス)】(中略)運用において、この『てこ』は『時間』である。(そして、立つスペースとはもちろん、確固とした現実的な運用方針である。)運用期間の長さ、また運用成果の測定・判断期間の長さは、どんな運用計画においても最も強力な要素である。(中略)運用期間が充分長ければ、短期では非常にリスキーと見える運用手法を、大きな不安を感じることなく取り入れることができる。充分な時間が与えられれば、一見魅力的と思えない運用も大変有効なものになる。『時間』は運用というものを、良くも悪くも全く様変わりさせるものである。なぜならば、平均収益率自体は時間によって少しも変わるものではないが、その平均収益率の周りに分布する実際の収益率の範囲は、時間の影響を大きく受けるからである。運用期間が長ければ長いほど、ポートフォリオ全体の実際の収益率は平均収益率に近くなる。【注:反対に、個別の投資対象資産の収益率の格差は期間が長くなるほど大きくなる。】」


〜チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」より〜

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A社の株価が現在1000円だったとしましょう。株価には制限値幅というものが設けられています。これは、株価の急激な変動が投資家にとって不測の損害を与える可能性があるため、これを防ぐために、1日の株価の値動きの幅は前日の終値から一定の範囲内となるように制限されています。(ストップ高とかストップ安というのがその上下の最大最小値です。)前日の終値が1000円のA社の株の制限値幅は、上下200円です。つまりA社の株はその日800円から1200円の間で変動することになります。上下20%の変動、これはものすごい変動幅です。わかりやすくするために、ちょっと極論をしますが、毎日ストップ高、つまり、値幅制限いっぱいまで株価を上げ続けていった場合、全ての価格帯で値幅が上下20%だと仮定すれば、20%×250取引日だと、実に最大+5,000%、最小-5,000%というとんでもない数字になります。一般的な大型株、みなさんがよくご存知の超大企業の株の平均年間収益率はだいたい15%くらいです。これが平均で、最大値はストップ高が250日続いた場合と、最小値はストップ安が250日続いた場合、ということになりますから、理論上は+5,015%から-4,985%の間のいずれかの数字ということになります。さらにこれは1日の一番安いところと一番高いところ、という風にとっていますので、デイトレードのように1日に1回どころか何回も何10回も売買をする場合はその最大値と最小値の幅は物凄い幅に膨れ上がります。だから、昨年のような10年とか20年に一度のお祭り相場の時には、何千万円、何億円と稼ぐ人が雨後のたけのこのようにワラワラと出現しちゃうわけです。だってそのくらいの変動幅があるんだもの。逆に今年の下げ基調の相場でかなり手痛い目に遭っていらっしゃる方が結構多いのはあんまりテレビとかで報道されてないので、知られていないみたいですね。

30分あるいは1日、1週間、1ヶ月、といった短期間で現物株に投資することのリスクはお分かりいただけましたでしょうか。予想される収益率の実現する範囲が、平均収益率に比べてあまりに大きすぎるために、非常に不確実性の高い投資行動となります。この収益の大きさと安定性はバランスを欠いており、とても割に合うものではありません。これは一般的な定義で言えば「投資」ではなく、「投機」にあたります。30分あるいは1日、1週間、1ヶ月、あるいは1年や2年といった短期間で運用をするのであれば、その期間での期待収益率の範囲が、期待収益率に見合う程度の範囲に収まりそうなもの、で運用するべきということになります。それは普通預金、定期預金、短期債、短期金融商品、MMFなどです。逆に投資期間を長期で考えることのできる資金、本当の意味での投資資金は、長期での期待収益率と範囲のバランスが良いものに投資すべきです。期間が長くなればなるほど、実際の収益率のバラツキの範囲は狭まり、平均値に向かって収斂していきます。

下の表をご覧ください。これは、この記事(http://jovivi.seesaa.net/article/16957322.html)の中で使ったのと同じデータのとり方で、日本株、米国株、外国株、のそれぞれについて、1年間投資をした場合、3年間投資をした場合、同じく5年、10年、15年、20年、25年、30年と投資をした場合について、分析したものです。上の2行は平均値と標準偏差、真ん中2行は最大値と最小値つまり全てのデータがこの範囲に含まれるという上下限です。下の2行はおおよそ全体の3分の2のデータが含まれる範囲です。

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1年間だけの投資をした場合、マイナスのリターンとなる場合も結構あるということがお分かりになると思います。プラスの幅のほうがマイナスの幅よりも大きいので、こういう短期の投資を繰り返せばすごい儲かるような気がするかもしれませんが、負けた分を取り戻すには同じリターンでは足りない、ということを忘れてはいけません。たとえば100円投資をして、20%マイナスになり、80円になったとしましょう。ここから元の100円に戻すには同じリターンの20%では足りません。20%のプラスでは(80×0.2+80=96)で96円までしか戻りません。100円に戻すのには25%のリターンが必要なのです。同じく-50%の時は、元に戻すのになんと100%のリターンが必要ということになります。

1年の平均リターンとバラツキ度合いの標準偏差を見比べると、バラツキ度合いはだいたい平均の2倍前後になってますね。これが、リターンとリスクのバランスが悪い状態です。ところが、5年になると、日本株は・・・まぁバブル期を含んでるのでこんなもんでしょうけど、分散投資の効果もある外国株を見るとリスクがリターンとほぼ同じレベルになってます。10年になると既に逆転して、平均がリスクの倍くらいの水準にまでなってます。20年リターンのところを見るとだいぶいい感じですね。これは1971年から2006年までの間の、どの日から始めても、20年間の投資をした場合、日本株であれば最低でも11%のリターン、つまり一度も元本割れをしていないことになります。米国株や外国株はそのさらに上ですね。また、どの資産に投資をしていたとしても、最大で11倍から15倍、平均でも4倍から6倍くらいになっています。

ここでちょっとおかしいなと思う方がいるかもしれません。20年のところの日本株を見ると全てのデータでの最小値は11%となっているのに、3分の2のデータが含まれる範囲の-1標準偏差は3%と、最小値以下になっています。これは、+1標準偏差と-1標準偏差が示す、全体の3分の2のデータが含まれる「はず」という考え方の落とし穴です。全てのデータが正規分布という形できれいに分布している場合、3分の2のデータは+1標準偏差と-1標準偏差の中に存在するのですが、データというのは必ずしも正規分布をするものではありませんし、正規分布をすることのほうが稀です。ただ、それを言っちゃうと分析もできなくなっちゃうので、こういうこともあり得るんだなくらいに思っておけば、非常に便利な考え方です。

ここ2〜3日の天気を見て永住の地を決めちゃうのはダメですよ、ウワサに惑わされて各地を転々と引っ越し続けるのもダメですよ、って話です。今日はここまで。





【追記】

◆そもそも長期投資とはって話とか、短期と長期の違いとか、投資と投機の違いはとか、利益確定や損切りをどう考えたらいいかとか、売り時や買い時の見極め方の話とか、その辺の話のリンクをまとめておきますので、よろしければどうぞ。

ご質問への回答<為替の話。株や為替の短期の動きと長期の動き。>
http://jovivi.seesaa.net/article/101217327.html
ご質問への回答<資源株と資源価格の話。短期と中長期の話。>
http://jovivi.seesaa.net/article/101708179.html
中国株と長期投資の効果とちょっとベトナムのこと
http://jovivi.seesaa.net/article/83403382.html
為替のこと
http://jovivi.seesaa.net/article/84316988.html
長期投資も見極めが肝心?日本株は長期で持ってもマイナス?【オススメ】
http://jovivi.seesaa.net/article/106494014.html
皆さんから頂いた質問とコメントに一気にお返事
http://jovivi.seesaa.net/article/106861695.html
いくつかお知らせとご報告と最近のアップデートと、あといつもお話ししてること
http://jovivi.seesaa.net/article/79436737.html
新年の挨拶と売り時・買い時の話 株や投信はいつ売ればいいの?
http://jovivi.seesaa.net/article/76115678.html
分散投資の効果、長期投資の効果
http://jovivi.seesaa.net/article/17902378.html
運用・投信でよくある疑問H〜いつ利益確定する?いつ売ればいいの?短期売買と中長期投資のどちら?
http://jovivi.seesaa.net/article/34026208.html
市場の上げ下げ、中長期投資、あとはインドと中国の話
http://jovivi.seesaa.net/article/54451767.html
運用・投信でよくある疑問B〜投信はダメなのか?<3>〜
http://jovivi.seesaa.net/article/31662362.html
チャールズ・エリスの言葉(2)
http://jovivi.seesaa.net/article/21683836.html
チャールズ・エリスの言葉(3)
http://jovivi.seesaa.net/article/22452954.html




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posted by ジョン太郎 at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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