前回の記事(http://jovivi.seesaa.net/article/207291611.html)のギリシャとかヨーロッパの話の中でご紹介したBISの対外与信残高の数字、言ってるそばから最新データが出ました。あの記事書いた後のこのタイミングで最新版の四半期報告書が昨日出ました。というか私が失念してただけって話ですが・・・もうそんな時期なのね。歳をとると四半期なんて本当にあっというまですね。
私もまだ全部見れていないのですが、今回のBISの四半期報告書は、これまでよりも詳しいデータが開示されています。どういう理由で開示項目が増えたのか興味のあるところですが・・・
一応私がざっと目を通したところでメモした内容を書いておきます。
■BISにレポーティングしている国の銀行が保有しているギリシャの債券は社債なども含め全部で1,458億ドル、うち542億ドルが国債。ヨーロッパの銀行が保有しているのはそのうちギリシャ債券全体の1,363億ドル、ギリシャ国債の523億ドル。債券全体の93%、国債の96%がヨーロッパの銀行。
■現在市場で認識されているギリシャ国債は全部で3,720億ドルなので、BISのレポートに出ている数字、つまりBISにレポーティングしている国の銀行が持っているのは全体の15%程度。たとえば約1,100億ドルものギリシャ国債を保有するFMS Wertmanagement GmbH (去年のストレステストで不合格になったドイツのHypo Real Estateの資産を買い取ったバッドバンク=不良債権買取会社)が保有している分などはBISのレポートには反映されていないし、同じく約750億ドル程度のギリシャ国債を持つECBの残高なども含まれていない。「国外で保有されている分」というまとめ方なので、900億ドル程度あると言われているギリシャの国内銀行の保有分も含まれていない。
■BISレポートの国外銀行が保有する542億ドル、FMSが保有する1,100億ドル、ECBの750億ドル、ギリシャの銀行の900億ドル、の合計で3,292億ドルにさっきの3,720億ドルの9割近くはこれで説明がつく・・・はず。
■BISレポート国の金融機関が保有するギリシャ国債523億ドルのうち最大のシェアだったのがドイツの銀行の227億ドル、次いでフランスの銀行の150億ドル、でこの2カ国で72%を締めている。
■アイルランドとポルトガルも一応。BISレポーティング国(のアイルランド以外の国)が保有するアイルランドの債券は全部で4,620億ドル、うち国債は1,949億ドルで国債の残高に比べて債券全体の残高が多い、つまり民間の借金が多いのが特徴。ポルトガルのほうは全体で3,461億ドル、うち2,024億ドルが国債。
■あと目に付いたのはBISレポーティング国が保有するギリシャの債券は1,458億ドルだが、この他にデリバティブなんかを含めた「潜在的なエクスポージャー」というのも載っていてこれが606億ドルと結構な数字でこの半分以上が国債をたいして持っていない(73億ドル)アメリカの銀行の341億ドル。アイルランドに至っては4,620億ドルの他に「潜在的なエクスポージャー」が2,179億ドルもあり、そのうち592億ドルが債権を1,352億保有するイギリスの銀行、540億ドルが債券を509億ドル保有するアメリカの銀行、404億ドルが債権を1182億ドル保有するドイツの銀行・・・なんか臭いますね。
■アイルランドのところをもう少し見ていくと国債に比べて海外調達が非常に大きいのが民間セクターで、その資金の向かい先は他の国の関係会社や普通の会社。うーん・・・銀行員の感覚だとこういうの気持ち悪いです。決算書を見ていて、こういうお金の流れは銀行員の口の中にちょっと鉄の味を感じさせます。自分のところの銀行とかライバルのA銀行とかから借りてきて、設備投資をしたり、運転資金にしたり、というのが普通のお金の流れですが、なんかよくわかんないところからお金を借りていて良く判らん借入金項目がバランスシートの右側に出ていて、バランスシートの左を見るとどうもそれに見合うのがこれまたどっかのよくわかんないところへの貸付金として資産計上されていると。うーん・・・イヤな感じです。ちょっと付箋貼ってマーカー引いておきたい感じ。
とりあえず私がBISの最新版四半期報告書をざざっと見て気がついた点はこんな感じです。
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