2011年05月21日

ヨーロッパとかユーロの話

ここんとこヨーロッパの話をあんまりしてなかったので、今日はヨーロッパとかユーロの話。

昨晩、フィッチがギリシャの格付を一気に3段階引き下げ、B+にしました。また、ギリシャの10年国債は大幅に下落して一時過去最高の16.59%というとんでもない利回りをつけました。政府が償還日が来たら100ユーロ返しますよって言ってる国債なのに50ユーロで取引されるという始末。もちろん、目の前には次々と借金の返済日が迫っていて、返済日が来ればどっかからお金を借りて来て返すという自転車操業をやらないといけないわけですが、市場から借りてこようとすると15%じゃないと貸さないと言われちゃうわけです。15%なんて金利を払えるわけがないから、ユーロ圏の他の国から6%で貸してもらうと。ですから、前にも言いましたが、国債の利回りがどんどん上がって5%を超え、6%を超え、7%を超える、と他の国にお願いして6%で借りたほうがいいねって話になります。10年国債が7%を超え、続いて5年国債が7%を超え、2年国債が7%を超えると、ハイそこまでー、緊急融資プランの発表という運びになります。ですので今は10年国債が6%超えてくると、あら、滑走路に向かってるな・・・そろそろ滑走路に入るかなという感じがしてきます。滑走路に入ってしまえばあとはあっという間に離陸、となるパターンがこれまでは多かったですね。ギリシャにせよ、アイルランドにせよ、ポルトガルにせよ。

とここまで書いてきて、あれ?去年もGW明けのこのくらいの時期にこんな話してなかったっけ、と思ってちょっと過去記事見てきたんですが、去年のこの時期というのは、ちょうど7500ユーロの緊急支援策やECBによる国債の買取プログラムが発表されたころ、ギリシャが滑走路を進んでいてちょうどテイクオフ、したところでした。懐かしいですね。あれから1年ですか。根本的には全然よくなってないですね。ひたすらこの1年間の借り換えを乗り切ってきた、という感じでしょうか。その間にアイルランドが続き、ポルトガルも続き、と。興味ある方はリンク貼っておくので去年のGW明けの記事を読んでみてください。

2010年05月07日
日本はGWでしたが・・・
http://jovivi.seesaa.net/article/149024659.html
2010年05月09日
凄いことになりましたね。
http://jovivi.seesaa.net/article/149356412.html

2010年05月12日
ユーロの今後とギリシャ問題【オススメ】
http://jovivi.seesaa.net/article/149598923.html
2010年05月16日
引き続きギリシャとユーロ
http://jovivi.seesaa.net/article/150042182.html
本文中にはギリシャの10年国債が8.36%、ポルトガルも5%に乗せ、スペインも4.1%、イタリアも3.9%って書いてありますね。今はギリシャは15%を超え、続いたアイルランドも9.9%、ポルトガルが9.7%、スペインが5.5%、イタリアが4.8%、です。

CDS市場を見てみれば、ギリシャのCDSなんか2,000超えてます。実際に取引する人なんていないと思いますけど。ここまで上がっちゃうとただの数字であんまり意味ないですね。アイルランドやポルトガルのCDSはアルゼンチンやエジプトの倍以上、スペインのCDSはハンガリーやモロッコやラトビアより高く、イタリアのCDSはインドネシアや韓国やコロンビアよりも高く日本のCDSはチリより高く、フランスのCDSは中国より高く、アメリカのCDSは香港より高い状態です。この期に及んでまだかつての先進国・新興国のイメージで語られてるものを目にすると時代錯誤も甚だしいというか、ぶっとい眉毛にワンレン、ボディコンのバブル期のファッションをテレビの懐かしの映像で見せられているような感じがします。とりあえず、先進国買っとけとか、先進国なら安心とか、新興国は怖い、とか、そういう時代じゃないです。もちろん、一方で新興国の中にも高成長国と全然アカン国とが玉石混合になっているわけですから、こちらはこちらで一括りにできないと思いますが。

で、CDSって何よ?って方はこちら
http://jovivi.seesaa.net/article/107924416.html
http://jovivi.seesaa.net/article/108587762.html
(過去記事で昔ジョン太郎がメモしてたCDS水準拾って見たい、って方はgoogleで「site:jovivi.seesaa.net CDS」って入れて検索すると、このブログ内のCDSについて記載のあるページが検索されますのでよかったらどうぞ。)

以前からお話ししてますように、ギリシャはユーロ圏に入ったままでこの泥沼から抜け出すのは難しいと私は思います。突然原油でも吹き出せば話は別ですが・・・
先ほどリンクを貼った去年のこの時期に書いた例え話をコピペしておきたいんですが、



こんなことを想像してみてください。
浪費癖でつくった多くの借金を抱えて、現在は収入もなく、あろうことか職探しもしていない、にもかかわらず無駄遣いも一向に減らさない、というだらしない人がいたとしましょう。この人が「ところで今月の借金の返済キツいんだけどお金貸してくんない?」と言いました。あなただったらこの人にお金を貸せますか?

無理ですよね。仮に貸したとして、貸したお金で今月分の返済を乗り切ったとして、果たしてあなたが貸したお金を返してくれる目処がたつでしょうか。その人の来月の借金の返済の目処は立つでしょうか。たたないですよね。

根本的な問題、構造的な問題、を抱えたままの状態で、いくら目先のリファイナンスだけなんとかしても意味がないというのはそういうことです。そこに、「いいでしょう。●円までは私が用立てします」っていう友達が横から現れたとします。これはその構造的な問題を解決することになるでしょうか。これは救世主の登場と言えるでしょうか。この友達の登場で、あなたがお金を貸したらいずれそのお金が返ってくると考えられるでしょうか。来月の返済はなんとかなる、その人の借金は減っていく、と考えられるでしょうか。




構造的な問題は何も解決されてない状態、というのは変わってません。今は必死で毎月の返済期限までに他から引っ張ってきたお金で借り換えをしているだけです。しかももう自力ではお金を引っ張ってくることすらできなくなってます。病巣がそっくりそのまま残った状態でいくら痛み止めを打とうが、生命維持装置につなごうが、治癒には向かいません。必要なのは手術です。

失業率はギリシャが14.2%、アイルランドが14.6%、ポルトガルが12.4%、スペインが21.3%、です。
財政収支GDP比はギリシャが−9.6%、アイルランドが−32.2%、ポルトガルが−7.3%、スペインが−9.2%、です。

この状態で泥沼の借金地獄から抜け出すというのは無理です。借金地獄の怖さは、次々にやってくる返済期限・利払い日、雪だるまのようにどんどん借金を増やしていく金利、そしてこうした構造が信用力をさらに低下させて調達金利を更にあげていく、という悪夢のような構造です。

統一通貨ユーロという壮大な実験は、私のような日本人には理解できない必要性があったんだと思います。かつて世界の頂点にいたヨーロッパが、ヨーロッパの国同士で世界のトップを争っていたような国々が、元気がなくなってどんどん世界経済の中で存在感を薄くしていき、日本とアメリカに二極化した世界を見、その背後に1か国で先進国全ての人口を凌ぐ中国やインドの影を見れば、ヨーロッパが一体となって一極となろうとする取り組みを推し進める強い強い力が生まれてくることは私にも何となく想像ができます。

しかし、ドイツやフランスと、ギリシャやポルトガルが、同じ通貨を使って同じ金利を適用し同じ金融政策で経済を運営していく、ということが本当に可能なのでしょうか。順調な時はいいですが、一つ歯車が狂ってしまえば、30人31脚の1人が転んでしまえば、途端に全体が大きく揺らいでしまい、全体の立て直しというのは相当困難になるのではないでしょうか。やっぱり一度30人31脚の足を結んでいる紐をほどいてしまうとか、全員が転んでしまわないうちに、転んだ人の紐をほどいて立て直してからもう一度いざ、というのが結局は近道なのではないかなと私は考えています。もちろん、物凄いコストと大きな痛みを伴い、大きな傷跡を残すと思いますが、痛みやコストや傷を負うことなしに解決する道があるほど簡単な問題ではないと思います。どこかの国の問題と一緒です。

胃のあたりが重くなるような話ですいません。私はこう見ています、というのをお話しさせていただきました。


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posted by ジョン太郎 at 23:16| Comment(2) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも卓越した御考察を拝読させて頂き、まことにありがとうございます。

今回の御考察も目を見開かされる思いで読ませて頂きました。

私も危機が起きている国々にとって最良の選択は基本的にユーロ脱退からの通貨安ボーナスが一番だと考えています。

ところで最近、アメリカのIPO市場が非常に好調ですが、好調なIPO市場はアメリカ経済復活ののろしと捉えても良いのでしょうか?それとも、衰退するアメリカ経済への哀しき送り火と捉えるべきなのでしょうか?

正直、私は単なるバブルだと考えているのですが、アメリカ復活の始まりだと考える人も確かに居るようです。

お忙しいところ、まことに申し訳ありませんが、賢明なる御考察を是非ともよろしくお願いします。
Posted by ソウセキ at 2011年05月29日 19:01
ソウセキさんへ
こんにちは!コメントありがとうございました。
お返事遅くなってしまってすみません。

頂いたご質問へのお返事ですが、グラフを使いたかったので、グラフの使用できないこのコメント欄ではなく本文のほうで書かせていただきましたのでよろしければご一読ください。

http://jovivi.seesaa.net/article/206007277.html?1306854508

これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2011年06月01日 00:09
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