2011年05月05日

今後期待の国/テーマ/セクター(kissyさんのご質問へのお返事)

前回の記事で公開した私のポートフォリオに関して、kissyさんからご質問をいただきましたのでそのお返事です。

コメント欄だと読みづらいので、あと、グラフとか表示できないのでこちらに書きます。
まず、kissyさんから頂いたコメントはこちら。

http://jovivi.seesaa.net/article/198335137.html#comment
ジョン太郎さんこんにちは。
いつもHPを興味深く拝見させていただいています。いろいろと勉強になる記事が多く、投資の参考にさせて頂いています。投資を始めて早4年。
リーマンショックで一時はマイナス40%の含み損を抱えていたものの、ジョン太郎さんの記事を読みながら売らずに続けてきた現在では少しですが含み益が出ている状況です。さて、今回コメントさせていただいたのは、ポートフォリオについてお聞きしたいからです。大きく様変わりした投資環境について、今、どのようなお考えをお持ちなのか、特に新興国についてご教授いただけたらと思います。ジョン太郎さんのポートフォリオを見るとやはり中国なんだろうなぁーと勝手に思ってますが、個人的にはもっとインドとか増やしてもいいのでは?とか新興国株でまとまってるあの中身はどんな内訳なんだろ?とか勝手にジョン太郎さんのポートフォリオを頭の中でいじくってしまっています。また、成長期待が低い国を除くということですが、投資信託ではBRICs以外の国を国別で買うのはなかなか難しいと思います。(私が知らないだけで、もしあるのでしたらスイマセン。)あと、テーマ/セクター株について、差し支えない範囲でどのようなテーマ/セクターにご興味をお持ちなのか、また、テーマ/セクター株に投資する際の注意点(投資信託がいいのか、個別株がいいのかも含め)など教えていただけたらと思います。
長文になりましたが、際どい点もあると思います。ジョン太郎さんのポリシー(個別の商品を薦めたりしない点)は理解しております。テーマ等に関してはこのテーマがオススメです!とならないよう、できる範囲でお答え頂けたらと思いますので、宜しくお願いします。

Kissyさん、まずはコメントとご質問を頂きましてありがとうございました。個別銘柄の推奨・勧誘はしない私のポリシーをご理解いただいたうえでのご質問ということですので、きわどくなるかもしれませんが、私のポリシーに反しない範囲でご回答させていただきます。前回公開した私の現在のポートフォリオがこちら。

20110429.bmp

まず、新興国についてですが、私もインドはもっと増やしてもいいかなと考えていますが、やっぱり良くも悪くも、まだまだ1人当りGDPが1,000ドルに乗ったばかりの国なんですよね。

ちょうどこないだIMFの最新予想とデータが発表されたばかりなんで見ておきましょうか。

20110505.bmp
(出所:IMF)
これから先の予想はIMFの予想によるデータです。

2010年の1人当りGDPが低い順に並べてあります。主な新興国はだいたい載せておいたので、にらめっこしてみてください。1人当りGDPのレベル感をつかんでいただくために、日本やノルウェーやポルトガルなどの「先進国」も載せておきました。ノルウェーとルクセンブルグは非常に象徴的で、金融や資源といった非常に効率のいい商売を人口の少ない国がやるとこうなりますよという典型。

これを見ていただくと、10,000ドルを既に超えているロシアやブラジルと、4,000ドルに乗ったところの中国、1,000ドルに乗ったところのインド、は今いるステージに差があるということが分かると思います。効率面だけで言えば、例えばブラジルが1人当りGDPを10倍にして100,000ドルにするというのはなかなか大変そうですが、1,000ドルのインドが10倍にしてブラジル並みの経済効率にするというのはムチャクチャ非現実的というほどではないように思えます。

人口×1人当りGDP=GDP
であり、
経済成長=GDPの伸び
というのが一般的ですから、人口がガンガン増えつつ経済効率もあがって1人当りGDPもガンガン伸びていくならGDPは凄いスピードで増えていきます。戦後の日本がまさにこれですね。

一方で、ロシアやブラジルのようにある程度の1人当りGDPが既にある国というのは、そこそこのインフラがあって、相対的に安定的に国を成長させていきやすいという面もあります(もちろんインドやベトナムに比べて、の話ですが)。ただ、先ほどの表の右のほうにあるGDP成長率のブラジルの今後の予想のところを見ていただくと、あれ?こんなもの?という数字が並んでいます。その下の行のチリより低いじゃん、みたいな。このへんが一口にBRICsと言っても、ブラジル・ロシアとインド・中国はちょっと違うよという部分です。

とはいえ、先ほども申し上げましたように私がインドの比率をもう少し増やしたいと考えているのは確かなんですが、もう1つ、インドの個別銘柄が手に入りにくいという点もあるんですよね。

ブラジルやロシアであれば、ある程度どーんと一点張りもしちゃいますが、やっぱり中国やインドはいくつかの銘柄に分散しておきたいなと考えています。じゃあファンド買えよって言われるかもしれませんが、やっぱ自分で見つけた個別銘柄で一気に5倍10倍狙えるロマンがあるもんですから・・・ハイ。ロマンですよ、ロマン。

もうちょっとインドの個別銘柄勉強して、もうちょっと日本でインドの個別銘柄が手に入りやすくなれば、インドの比率は自然に増えていくと思います。ブラジルの比率が多いのも個別銘柄でどーんと買っているためです。

それから、私のポートフォリオで「新興国」でまとまっているあのごった煮の中身はなんだというご質問ですが、あの中に入ってるもので一番大きいものはいわゆるMSCIエマージングのインデックスファンドやETF、MSCIをベンチマークにしたエマージング株ファンドなど、新興国全体にベッタリ投資するタイプのものです。これは、前回の記事で申し上げましたように減らしていきたいなと思っています。新興国と一言で言っても期待が持てる国とそうでない国がありますし、その差は拡大傾向にあると思うので、新興国全体をべったり買うのはちょっと効率悪いかなと。さっきのブラジル・ロシアと中国・インドの例のように、国によっていろんなタイプの国があり、いろんなステージの国がありますからね、それぞれの国のステージやタイプや今後の成長期待を総合的に考えて、投資したい国に絞って、あるいは投資したくない国をはずして、少しでも期待リターンを高くできるようにしていきたいと思ってます。

その他にこの「新興国」ごった煮の中に入ってるものとしては、アジア株みたいなやつとか。地域でとらえるのはあんまり意味ないなと今は思うのですが、投資を始めたばかりの頃、とりあえずアジアだろみたいな感じで買っちゃったやつですね。初期の頃なんで投資金額は大したことないんですが、投資期間が長いので騰落率でいくと凄いです。でも、やっぱ地域でくくるのってあんまり意味ないと思うんで、今後増えることはないんじゃないかなと。なんか分かりやすいですけどね、「アジア」とかって。地域ものでも、ちょっと一工夫したおもしろそうなファンドとかが出てくればまた投資するかもしれません。

他にはモンゴル株みたいなスパイシーなもんもここには入ってます。これが凄いです。量としては多くありませんが、物凄くスパイシーです。山椒は小粒でもピリリと辛い、どころか、たまにおなかにくるような辛さだったりしますが、不思議とたまに辛いものが食べたくなるもので、このへんの超スパイシー銘柄も物色して、この「新興国」ごった煮コーナーにぶち込んでおります。

次にテーマ/セクターものですが、
1つの銘柄が複数のテーマにまたがっているものもありますし、1つのテーマを捉える複数の銘柄やセクターがあったりと、なかなか難しいんですが、
◆資源確保
◆地球温暖化
◆高齢化(先進国・中国)
◆新興国の成長
(新興国で金持ちが増える、全体の生活水準が上がる)
この辺が私の中では大きなテーマになっています。

例えば、資源の奪い合いが激しくなると誰が儲かるのかとか、あ、ちなみにですけど私は現在株にしか投資してませんが、もし私が株だけでなく債券やREITに投資するなら、債券やREITを選ぶ際にもこういうアプローチで、誰が儲かるんだ、今後どうなるんだ、どこが伸びるんだ、というところを重視して選ぶと思います。話を戻しまして、さっきのテーマの中でじゃあ、地球温暖化防止に向けた地球規模の取り組みが進むと誰が儲かるんだとか、先進国や中国の高齢化で誰が儲かるんだ、さらに、例えば薬の需要が増えると考えるなら先進国ではどういう薬の需要が増えるんだ、中国の高齢化で同じ薬が必要になるのか、違うならどういう薬が必要になるんだ、みたいなことを考えていきます。

セクターで言うと広く、曖昧になっちゃいますが、消費関連・ヘルスケア・素材・エネルギーといったところですね。このへんは個別銘柄で買いにいくことが多いです。というか、個別銘柄を買うときはまずこういったテーマ/セクターで考えていることが多いです。

で、「テーマ/セクター株に投資する際の注意点(投資信託がいいのか、個別株がいいのかも含め)」については、本当にその銘柄・ポートフォリオが、自分の考えるシナリオを捉えられるのか、という点じゃないでしょうか。例えばですが、「今後、太陽光発電がめちゃくちゃ伸びる!」と考えたとしましょう。で、CMでよくソーラーパネルのCMをやっている、太陽光発電ビジネスをやっているということは誰にでも分かるとある大手電機メーカーの株を買ったとします。で、想定したシナリオが見事にはまって太陽光発電市場が凄い勢いで伸びたとします。この時によくある失敗例は、実は太陽光パネルに必要な素材がある1社に押さえられていてその1社が一番儲かって、川下をやってるメーカーはあんまり伸びなかった、とか、素材にレアメタルが必要でそのレアメタルは中国でしかとれなくて結局の中国のレアメタル企業が儲かった、とか、これが一番多いケースだと思いますが、実はそのメーカーの利益に占める太陽光発電事業の割合はわずか1%で、これが3倍になったけどその会社の利益全体は大して増えず、株は上がらなかった、あるいは70%を占めているメインビジネスで大きくコケて利益全体が大きく落ち込み、株価がメチャクチャさがった。

本当にその銘柄・ファンドでそのテーマを捉えることができるのか、川上が儲かるのか川下が儲かるのか、本当に誰が儲かるのかを考えているか、その会社の株はその事業の成功で大きく株価が上がるのか(事業全体の1%だった、社会貢献のための採算度外視事業だったり、クリーンなイメージを与えるための広告費みたいなもんだったりしないか、など)、をじっくり考えることが大切です。これが一番の注意点です。

あと、私の大きな失敗例をご参考までに。地球温暖化の話で、なんといっても一番抑えないといけないのはエネルギーで、太陽光や風力といった誰にでも想像ができるクリーン・エネルギーってのはそりゃあクリーンなんですが、現実的には世界の火力発電量にとって代わるほどの太陽光発電・風力発電、なんてものを実現できるわけがなくて、結局太陽光・風力というのは補助的なもの、という話。でかいのは、石油を燃やすか、石炭を燃やすか、天然ガスを燃やすか、原子力か。CO2排出量が多いのは石炭、石油、天然ガス、原子力、の順。なかでも原子力は圧倒的にクリーン。というわけで原子力関連にいき、今回の件でガッツリやられましたね・・・こういうこともありますよという例で。

これからの投資を考える方のご参考になればということで、もう少しこの先の話をしますと、と言ってもあくまでも私が勉強した範囲の話しですが、原子力を使えないなら、地球温暖化を防止しようとすれば、次は天然ガスにいくしかなくなります。天然ガスは伝統的なエネルギー源の中ではCO2排出量が少ないです。原油は石炭を燃やすよりずっとマシですが、天然ガスはその原油よりはだいぶマシ。原子力とは比較になりませんが、それでも、大きなエネルギーを生む事ができて、つまり太陽光や風力といった世界の消費電力の何割ものシェアを握るなんてことは到底無理な発電方法ではなく、世界の消費電力の結構なシェアをまかなうことができる発電法です。天然ガスの難点はなんといっても輸送。パイプラインで運ぶかLNGにして運ぶか、ということになります。じゃあどういう会社が儲かると自分は考えるのか、天然ガス田をもっているところ?新たな天然ガス田の探索をやっているところ?他の人が掘れないガス田を掘れる技術を持っているところ?パイプラインをもってるところ?新たな輸送技術を開発しているところ?こんな風に考えていくといいと思います。めんどくさいかもしれないけど、楽しいです。

何より、先進国ではこれだけ成長率が落ちてきて、今後もまぁこれまでのような勢いを取り戻すのは難しいだろうし、一気に経済成長をするにはドライバーが必要だけどそんなドライバーはないし、なんかのバブルの勢いで一気に経済成長させるくらいしかないし・・・となると先進国全体を買う、というアプローチは非常に効率が悪くなります。平均成長率が高いときはそのやり方でいいんですが、成長率が低くなって、あるいは今後高くなると期待できないと考える人たちにとってはMSCIワールドで先進国にべったり投資、ACWIで大して成長期待もない新興国まで含めてベッタリ投資で結局全体の期待成長率は低っっっ!!!みたいなのは辛くなります。なので、私は先進国はテーマ/セクターを絞って投資、新興国もたいした成長が期待できないような国は外して投資、みたいなやり方をとっています。

いつものように、これらはあくまでも私の考え方であり、正解ではありませんし、正解と言うつもりもありません。人それぞれいろんな考え方があっていいと思うので、一意見として軽く聞き流していただければと。

こんな感じでございます。


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posted by ジョン太郎 at 10:17| Comment(4) | TrackBack(0) | ジョン太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつもブログ楽しみにしています。

自分はブロゴスファイナンスに参加させて頂いているものです。

面倒臭がりな自分は、他のブログを見る事はありません。ニュース記事をベタベタ貼り付けたりするような、為替・投信ブログが多い中、ジョン太郎さんのブログは最高だと感じております。 自分もファンダメンタルズを重視しているつもりですが、貴方には敵わないような気がします。

自分は個別銘柄に集中・長期投資する手法をポリシーとしています。もちろん、ファンダメンタルズのみです。今現在はソフトバンクのみですね。1000円を切った時から。

「分散投資は自分のやり方を否定するようなもの。」それが自分の絶対的なポリシーです。

しかしながら、ジョン太郎さんのポリシーと経済に対する深い知識に感銘を受けております。

レアルの話等は大変勉強になりました。このようなブログが増加すれば、投資家も増える事でしょう。応援、というか楽しみにしております。
Posted by いやいや at 2011年05月05日 22:48
いやいやさんへ、
こんにちは!はじめまして。コメントありがとうございます。また、お褒めの言葉を頂き、大変うれしいです。

今後もご期待に沿えるよう頑張っていきたいと思います。

投資のやり方や考え方は人それぞれで良いと思います。その人の考え方に合ったアプローチであることが一番です。ただ、異なるアプローチをとる人同士でも共有できる部分はあるんじゃないかなと私は思います。このブログの一部でもいやいやさんのお役にたったり、楽しんでいただければ幸いです。

これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2011年05月06日 00:29
お返事有難うございました。

為替はブロゴスの中にはジョン太郎さんの記事しか参考になるものがありませんので、楽しみにしております。

こちらこそ、宜しくです。

Posted by いやいや at 2011年05月06日 22:15
ジョン太郎さん、こんばんは。
さっそくのお返事、しかも大変ご丁寧に回答していただきありがとうございました。
特にロシアとブラジル、インドと中国では成長のステージが違う点は大変勉強させて頂きました。今後のポートフォリオを考える上で参考にさせていただきます。インドも個別株をお考えとのことで、ロマンとスパイシーさを求めるジョン太郎さんならではだなぁーと感心させられました。ロマンは同じく求めていきたいですが、個別銘柄を選ぶ実力が伴っていかないもので・・・。(苦笑)
テーマ/セクターに関しても、自分なりの考えとそれにあった投資先を見つける必要があることを改めて実感させられた次第です。投資は難しく奥が深いですね。

これからもジョン太郎さんのブログで勉強させて頂きたいと思いますので、がんばってブログを続けてください!陰ながら応援しています。また何かありましたら、コメントなり質問をさせて頂けたらと思います。ありがとうございました。
Posted by kissy at 2011年05月07日 00:44
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