まず、ヨーロッパですが、相変わらずでございます。ポルトガルの10年国債の利回りは2週間以上7%を超えたままです。今、7.57%です。ついには5年国債も7%を超えてきました。そろそろ救済策の発表ですかね。
ただ、その救済策もねぇ・・・既に救済策が発表されているギリシャとアイルランドの国債利回りはそれぞれ11%前後、9%前後で高止まりしたまんまで、全然下がってきてません。同じ通貨ユーロを使うドイツの国債利回りは3.2%ですから、この差が信用リスクの上乗せです。こんなレートで借り換えしたらたまったもんじゃないですね、とてもそんな金利は払えません。というわけで救済策。6%で貸してあげますよと。この救済策がないと9%だの11%で借り換えをすることになります。救済策で、市場のレートも下がればね、って話なんですがそうはいきません。
10年債が7%を超え、5年債の利回りが7%を超え、2年債が7%を超え、ると6%融資の救済策発動、でも市場のレートは下がらず、といったところでしょうか。ポルトガルはこの滑走路に既に入ってます。
次ぐのは、5%超えの状態が続いているスペイン(10年債利回りは5.4%)、イタリア(10年債利回りは4.8%)、です。イタリアは国債の国内消化率がそこそこ高いので、やっぱり注目はスペイン。滑走路にはまだ入ってませんが・・・
今の1年物CDSはこんな感じ。
ギリシャ: 994
アイルランド: 631
アルゼンチン: 385
ポルトガル: 317
アイスランド: 288
レバノン: 283
エジプト: 210
ハンガリー: 193
スペイン: 160
イタリア: 99
メキシコ: 65
ロシア: 62
インドネシア: 59
コロンビア: 58
ペルー: 57
韓国: 54
ブラジル: 52
フランス: 52
タイ: 52
オーストリア: 48
ニュージーランド:42
チリ:40
イギリス: 31
マレーシア: 29
オランダ: 28
日本: 27
中国: 27
アメリカ:26
フィンランド:9
スウェーデン: 8
ノルウェー:7
過去のCDSレートを見てみたい方はこの辺を。
http://jovivi.seesaa.net/article/172261134.html
http://jovivi.seesaa.net/article/167961051.html
http://jovivi.seesaa.net/article/163748739.html
問題は何も解決していません。景気対策で財政出動すれば財政はさらに悪化、財政再建を優先すれば景気が悪くなって税収減少、というジレンマを崩すことができていません。まだまだこの状況は続くと思います。一部のメディアでは回復論調で報道されてたりしますが、私はそうは思えません。
あと、以前も書きましたが、中東・アフリカの暴動の話だって、ヨーロッパのほうでは私たちの感覚とは全然違いますからね。私たち日本人からすると物凄く遠いところで、大変なことになっているなぁーという呑気なもんですが、ヨーロッパからすると、本当にすぐ目と鼻の先でやってる感覚ですからね。移民の多い国もありますし、若者の失業率も問題になってますし、全然他人ごとじゃないです。
若者の失業率で言ったらアメリカもですね。全体の失業率は確かにちょっと下がりましたが、労働参加率(労働力人口比率、全人口の中で労働力にカウントされている人の比率)は以前にもご紹介したように低下してます(http://jovivi.seesaa.net/article/179623064.html)。
2001年に67%を超えていた労働参加率は低下の一途をたどり、今や64.2%です。1946年から1964年まで(特に59年まで)に生まれたベビーブーマーの一番先頭が65歳に達してリタイアしていき、この人たちがどんどん労働参加者から外れていくわけですから、失業率は本来自然低下していく、むしろ加速的に低下していく時期になってきてます。それでも9%ですからね。景気回復鮮明、とかって書いてるものもありましたけど、オイオイと。「株価も上がってるし」とか後付けしてたりして。それはまた別の話でしょうと。
ベビーブーマーの労働参加者がどんどん減っていく中で失業率がいまだに9%台に高止まりしている、つまりは働き盛りや若者の失業率はかなり深刻だということです。こちらにとっても中東の暴動は他人ごとではないでしょう。
というわけでアメリカもヨーロッパも引き続き全然ダメな感じです。
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