2010年07月20日

債券投資の基本とか、債券価格の動き方の話とか、ヨーロッパのこととかアメリカのこととか【オススメ】

完全に気まぐれ更新のペースになってきてしまっていますが・・・すいません。それでも更新です。

昨日は日本は海の日でお休みでしたが欧米市場はあいておりまして、格付け会社のムーディーズがアイルランドの格付けをAa1からAa2に引き下げました。馴染みのあるS&P方式で言いますとAA+からAAへの格下げ。

もともと、S&PはアイルランドをAA、フィッチはAA-にしていたところ、ムーディーズだけがAA+だったので、まぁそれなりという感じでしたが、市場にいやだなぁ感を漂わすには充分な材料。昨日はIMFとEUがハンガリーの財政赤字削減策への支持を表明せずに協議を打ち切り、交渉中断となったことが嫌気され、ハンガリーの通貨であるフォリントは対ユーロでいきなり先週末比-3.3%と大きく下落、CDSの保証料も50bps近く上昇、国債は2%近く下落しました。アイルランド国債ももちろん下落し、4月ごろに比べて8%くらい安い水準になってます。

「金利が上がると債券価格は下がる」と一般的に言われていますが、この言葉が広まり過ぎて、「まるで金利が債券価格を変動させる唯一あるいは最大の要因」みたいに思われているフシがありますが、これは大きな間違いです。たしかに、「金利が上がると債券価格は下がる」傾向はありますが、金利は債券価格の決定要因の1つでしかありません。「金利さえ上がらなければ債券価格は下がらない」と考えるのは大きな間違いです。

むしろ、多くの日本の投資家がやっている外国の債券への投資の場合には、金利が上がった場合には円換算ベースの債券価格は上がるというケースがあります。結構あります。

たとえば政策金利が引き上げられたとき、債券価格は下がる傾向がたしかにありますが、その変動幅は多くのケースで3%以内、ヘタしたら0.何%とかしか動きません。でも、政策金利が引き上げられた場合、ゼロ金利が続く日本との金利差拡大が意識されてその国の通貨が買われ、円安になるケースが多いです。その幅はもちろん通貨や金利水準にもよりますが、1〜5%くらい動きます。すると、例えば、債券価格が現地通貨ベースで1%下落し、3%円安になった場合、単位はわかりやすく米ドル建て米国債にしましょうか。こんな感じになります。

【利上げ前】
米ドル建て債券価格:100ドル
1ドル=100円
円換算債券価格:10,000円

【利上げ後】
米ドル建て債券価格:99ドル(1%下落)
1ドル=103円(3%円安)
円換算債券価格:10,197円


こういうケース、よくあります。利上げによって円換算した債券価格は上がってしまっています。「金利が上がると債券価格は下がる」と思っていてもこういうことがあります。もちろん逆のケースもあり、「金利が下がると債券価格は上がる」と思ってたら、逆に下がっちゃった!どーなってんだ!なんて思う方もいると思います。

そして、何より大事なことは「債券は借金」という点を忘れてはなりません。投資やマーケットに関する情報収集・勉強、セオリーや法則の探求に勤しみ過ぎて、債券投資で一番大切な基本中の基本を忘れてしまっている人がたくさんいます。債券を買うということは、債券の発行者に対してお金を貸すということです。

日本の国債を買う=日本政府にお金を貸す
トルコの国債を買う=トルコの政府にお金を貸す
トヨタの社債を買う=トヨタにお金を貸す

債券に投資しようとする人はこの点を絶対に忘れてはいけません。迷った時には必ずこの基本中の基本に立ち返って考えるのが間違いが少ない方法だと思います。

●金利の高いハイイールド債に投資したらいいのか、利回りが低くても投資適格債に投資すべきなのか、ソブリンにしか投資しないほうがいいのか。
●信用力がなくても利回りが高ければいいと考えるか、そこそこの債券にするか、安全性を重視するか。
●利回りの高さだけを求めて債券投資する国を選んでいいのか。
●利回りだけを比較していいのか(もちろん、投資対象の利回り。分配利回りで比較するのは論外)、リスクとリターンのバランスを考えなくていいのか。
●ブラジルの債券がいいのか、オーストラリアの債券がいいのか、南アフリカの債券がいいのか、トルコの債券がいいのか、日本の債券がいいのか。
●アメリカの債券がいいのか、ヨーロッパの債券がいいのか
●先進国の債券がいいのか、新興国の債券がいいのか。

こういう風に迷ったら、自分は債券投資先にお金を貸すんだ、この利回りでお金を貸してあげるんだ、という点に立ち返って考えるのがいいと思います。



なぜ債券価格は金利だけで決まらないのか?
なぜ金利が上がっても債券価格が上がる場合があるのか?
なぜ金利が変わっていないのに債券価格が変動するのか?

その答えは簡単です。



お金を貸す時に一番大事なことはなんですか?
金利ですか?

ちがいますよね。
お金を貸す時に、一番大事なことは、


「貸したお金をちゃんと返してもらえるかどうか」


です。つまり信用です。これが怪しくなることが「信用リスクの増大」とか「信用リスクの高まり」とか言われる現象です。要するに「貸したお金をちゃんと返してもらえるのかどうか、金利をちゃんと払ってもらえるのかどうか、怪しくなってきた」ということです。

お金を貸す以上は信用が一番大事。お金を貸すのにこれより大事なことはありません。



だから、金利が変わらなくても信用力が変われば債券価格は動きますし、信用不安が生じた時には債券価格は金利変動時の比ではないほど動くんです。春先にギリシャの信用不安が一気に広がった時、ギリシャ国債の価格は1月半の間に35%下落しました。

ヴィヴィ子が私に100万円貸していたとしましょう。1年後に返済する約束です。金利は3%。1年定期預金が0.5%だったとするとまぁ悪くないか、みたいな。この、1年後に私から100万円回収できる権利を、ちょっとお金が必要になったヴィヴィ子が、ギン子に売ろうとしたとします。

この時、私の信用力がバツグンで、絶対に回収できる、とりっぱぐれはない、と思えるのであればギン子は1年後に私から100万円を回収できる権利を100万円で買い取ることができるかもしれません。ところが、私の信用力が怪しい、ばっくれるかもしれない、ちゃんと金利を払ってくれないかもしれない・・・となったらとてもじゃないですが100万円じゃ買い取れないですよね?1年定期預金の金利が0.5%から1%に変わった場合なんてのは、これに比べたらたいした話じゃないです。

債券価格は信用力の変化で大きく変化します。
それは債券が借金だから。
お金を貸す以上は、信用が一番大事だから。
ちゃんと返してもらえるかどうか、が一番大事だから。

もう一度言いますよ。忘れちゃだめですよ。



「大事なのは、貸したお金をちゃんと返してもらえるかどうか」


債券投資をする人はこのことを絶対忘れてはいけません。
全てのことをこの基盤の上で考える必要があります。



もっとも、お金が有り余っている中国政府みたいに、原油確保のための融資”Loan for Oil”とか、貸したお金は将来原油で返してもらう融資”Oil Back Loan”、なんてのをやってるケースもありますが・・・その話はまぁまた機会があればそのうち。



アメリカではさきほどゴールドマンの2Qの決算発表がありましたが前年同期比82%減益。アナリスト予想平均の半分以下どころか1/3くらい。
マクロの指標もいくつか出てきてますが、まぁろくなものがないです。
別にいい状態じゃないんだから、いい数字ばっかり出てくるなんてことはないわけで、たまにいい数字がポロッと出てきたところで、すぐに悪い数字が出てくることになります。だって別にいい状態じゃないもの。



23日にはヨーロッパでストレステストの結果が出てきます。
みんな緊張感を保ちながらその日を迎えるんでしょうね。

私の懸念は
「ちゃんと出てくるのかしら?」「ちゃんとしたものが出てくるのかしら?」
です。

ヨーロッパの兄貴分的な存在の国の1国と言える某国は、サブプライムローンの問題が出た時もベールに包んだままにしましたからねぇ・・・
果たしてどうなることやら。



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posted by ジョン太郎 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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