2010年05月12日

ユーロの今後とギリシャ問題【オススメ】

今日はユーロの今後とギリシャ問題について、いつもより突っ込んでお話しさせていただきます。


10日に発表された、最大7500億ユーロ、日本円で約90兆円にもおよぶ規模の緊急融資パッケージやECB(欧州中央銀行)による国債の買取プログラム。この発表を受けて10日の欧州マーケットは爆騰。イギリスFTは+5%、ドイツDAXも+5%、フランスCACは+10%、スペインIBEXにいたっては+14%!信用不安で売られていた例の国々の国債価格も一気に上がり利回りは急低下。ギリシャの2年物国債は前週末から一気に1,000bpsも下げ、ポルトガル2年債も300bps、スペイン2年債も100bps下げました。

続いて開いた米国市場でも株は大幅高。SP500で前日比+4.4%、ダウで+3.9%。外為市場ではユーロが買われまくり、一時対ドルで前日比+2.7%、対円で+4.7%、とめちゃくちゃな上げっぷり。

そしてこれに続いて今朝の東京市場が開けば日本株は上昇。
と、ここまでは良かった。

「90兆円の巨大緊急融資パッケージとECBの国債買取で、市場は救われた!」「素晴しい英断だ!」「これで最悪期を脱した!」「多くの投資家は最近の一番の買い時を見過ごしてしまった!」「大底をうった!」「10日に行われた巨大融資パッケージを決定したEU(欧州連合)の緊急財務相理事会は歴史に名を残す!」「ついに出口が見えた」「明るい兆しだ」「ヨーロッパの国々が手を取り合って解決を目指し始めた」「ついに欧州の足並みが揃った」「これでやっと」「ECBの国債買い入れはファインプレーだ」「待ちに待った大胆な救済プログラムがついに現れた!」「救世主の登場だ」「チャートはナントカを突き抜けて新たな展開に」「次の上値を模索し」・・・などなど威勢のいい発言がそこら中で聞かれました。

ところが。

東京時間午後に入って日本株は急に下げに転じ、あれよあれよという間にアジア株全面安。為替市場では日本円が一気に買い戻されて円の全面高。日本時間夕方になってヨーロッパが開けば前日の爆騰分を吹っ飛ばすかのような、まるで人々をあざ笑うかのような大幅安。続いて先ほど開いた米国市場も下げで始まってます。

「いったいどうなってるのよ!?」という方もいらっしゃると思います。
あんなに威勢のいい発言が聞かれたのにね。
世の中全体がまるで光明がさしたみたいな雰囲気だったのにね。



今日この記事を書こうと決めたのは、あまりにもたくさんの、あまりにもひどいコメントをたくさん聞いたから。
私の耳には、異常な違和感をもって聞こえるものがいっぱいあったから。
このブログを読んでくださってる皆さんに、自分が考えてることを伝えたいなと。
私の考えは正解じゃないかもしれないけど、でも、この世界でメシを食ってる私にとってあまりにも納得のいかない話を多く聞き、私はこう思うってことだけでも、せめて、こんなのはおかしいと思うってことだけでも、皆様に言っておこうと思いまして。



というわけで今回はいつもより突っ込んで書きますよ。



今回の巨大緊急融資パッケージは、ギリシャの借金を、ギリシャを筆頭に問題国をいくつも抱えるユーロ圏みんなの借金にするだけのことだと思います。

で、誰が返すんですか?

みんなで?

どうやって?



前回の記事でお話しましたが、ギリシャの今の状態は、構造的な問題が解決されないと、いくら目先のリファイナンスを乗り切っても、構造的に進んでしまっている方向を変えるには至らないと思います。ギリシャの目先のリファイナンスがうまくいったとして、それで次のリファイナンスはどうすんでしょう。ポルトガルの分は?スペインの分は?

リファイナンスを乗り切っていけばそのうちギリシャの財政が良くなるのか?財政赤字を削減できるのか?税収を増やせるのか?積みあがった借金を減らす術があるのか?10%を超えてる失業率が下がって景気回復するのか?スペインは失業率20%超えてるけど他のみんなと一緒にギリシャに緊急融資してる場合なのか?こういった点が構造的な問題です。今回の緊急融資パッケージは、これらの状況を打開するプランではありません。

むしろ今回の巨大緊急融資パッケージと国債買取は悪ですらあるかもしれません。

ユーロの財政規律はどうなったんだという話です。財政安定成長協定はどうなったんだという話です。
EUの財政安定成長協定ではユーロ加盟国に、@財政赤字をGDPの3%以内に抑えるA国債残高をGDPの60%以内に抑える、ことを求めています。これ達成してる国ってユーロ圏内に何ヶ国あるんですかね。このルールって守らなくていいんですかね。守らないユーロがどうやって信認を回復するんですかね。

このルールを筆頭でぶっちぎりで破ったギリシャ、しかもウソの数字を公表してて事態が悪化するまで隠していたギリシャ、のリファイナンスをサポートするために巨大緊急融資パッケージと国債買取?これでもしギリシャが助かったとして、次にどっかの国が危なくなった時にはどうするんでしょう。赤字削減の目処、再建の目処、が立つまで助けてあげないよ、ルールを守れないならユーロ離脱してもらうよ、なんて言えるんでしょうか。無理でしょう。そしたら、他の国はギリシャのような事態に陥らないようにしようと心がけることができるでしょうか。モラルハザードが生じると考えるのが普通です。



こんなことを想像してみてください。
浪費癖でつくった多くの借金を抱えて、現在は収入もなく、あろうことか職探しもしていない、にもかかわらず無駄遣いも一向に減らさない、というだらしない人がいたとしましょう。この人が「ところで今月の借金の返済キツいんだけどお金貸してくんない?」と言いました。あなただったらこの人にお金を貸せますか?

無理ですよね。仮に貸したとして、貸したお金で今月分の返済を乗り切ったとして、果たしてあなたが貸したお金を返してくれる目処がたつでしょうか。その人の来月の借金の返済の目処は立つでしょうか。たたないですよね。

根本的な問題、構造的な問題、を抱えたままの状態で、いくら目先のリファイナンスだけなんとかしても意味がないというのはそういうことです。そこに、「いいでしょう。●円までは私が用立てします」っていう友達が横から現れたとします。これはその構造的な問題を解決することになるでしょうか。これは救世主の登場と言えるでしょうか。この友達の登場で、あなたがお金を貸したらいずれそのお金が返ってくると考えられるでしょうか。来月の返済はなんとかなる、その人の借金は減っていく、と考えられるでしょうか。

今のギリシャの問題はこういうことです。

こないだ破綻したJALだって同じです。いっくら例の銀行が主導でリファイナンスを続けたって、JALの構造的な問題が解決しない限り、構造的な問題を抱えた状態からは脱却できないんです。リファイナンスをやめれば潰れる。それだけのことです。

必要なのは根本的な解決、構造的な問題の解決、です。



私は、ギリシャの根本的な問題の解決には

@ユーロから脱退し、独自の金融政策がとれるようにして、なんなら自国通貨下落による輸出回復っていうのも狙う
A借金のリストラクチャリング、棒引き。これだと貸し手=ギリシャ国債を大量に持ってる金融機関が吹っ飛ぶ可能性があるのでまた深刻な金融危機になる可能性あり。IMFの保護観察つきで再建をはかる。
B奇跡的な財政再建計画をひねり出す(もちろん私には想像もつきません。地球上の誰か思いつく人がいるならすぐにでも提案すべき。)

のどれかしかないんじゃないかなと思ってます。
ですから、この3つのいずれかに関するニュースが出てくるまでは、いくらリファイナンスをサポートするニュースが出てきても、所詮その場しのぎだろうとしか思えません。


IMFの欧州局長はこう言っています。「今回の緊急融資パッケージはモルヒネ(痛み止め)として作用するだろう。しかし、これはあくまでも痛み止めで、解決には病気を治す薬と治療が必要だ。」

まさにその通り。

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posted by ジョン太郎 at 00:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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