2010年03月28日

アメリカの住宅ローン市場と延滞率

今日はアメリカの住宅ローン市場について。

アメリカの住宅ローン市場では、2009年1Qにローン返済条件の見直しを受けた債務者の半数以上が9ヵ月後に再びデフォルトに陥っているというデータが公表されました。返済能力がないのにムチャクチャなローンを組んでしまった人たちは、ローンの返済条件をちょっと見直したくらいじゃどうにもならなくって、結局、不動産価格がガンガン上がって買った時より高い値段で売って返すしかないという感じでしょうか。1Qにローンの返済条件見直しして年末に再デフォルトじゃあねぇ・・・ちなみにこの場合のデフォルトというのは30日以上返済が遅れた場合のことを指します。不動産価格が大幅に上がらない限り返せないお金、不良債権です。

今月はじめに格付け会社のムーディーズが発表したレポートでは、アメリカの銀行が今後2年間に行う不良債権処理は2960億ドルにのぼると試算されてます。不良債権処理というのは、あると思ってたものがなかった、あると思っててなくなった分を損失として処理、返ってこないものとして処理、するということです。引き当ては、その分を読んで引き当てておく、ということです。

B/Sの左側の資産の部に500あって、右に借金が400、株主資本が100、という銀行があったとします。自己資本比率は2割。ここでもし500の資産がすべて貸付金という資産で、そのうちの3割の価値が吹っ飛び、500だと思ってたものが350になってしまった場合、350の資産に対して400の借金があるわけで、債務超過状態ということになります。これが実際に損失として出てしまう場合。一方、「どうやら50くらいは返ってこなくなりそうだ、500だと思っていたものはどうやら450の価値しかなさそうだ」と見積もって、将来の50の損失に備えて、50を今期の損失として引き当てておき、今期50損失してB/Sは資産が450、借金が400、株主資本が50、という状態にするのが引き当て、です。

B/Sって何よ?簿記はサッパリ。という方はこちら。

2006年05月29日
カニでもわかる簿記と決算書の読み方C【キャッシュフロー計算書って何さ】
http://jovivi.seesaa.net/article/18526897.html

2006年05月28日
カニでもわかる簿記と決算書の読み方B【貸借対照表って何さ】
http://jovivi.seesaa.net/article/18484924.html

2006年05月27日
カニでもわかる簿記と決算書の読み方A【損益計算書って何さ】
http://jovivi.seesaa.net/article/18426637.html

2006年05月26日
カニでもわかる簿記と決算書の読み方@【簿記って何さ/なんで決算書なんか作るのさ】
http://jovivi.seesaa.net/article/18412361.html

更に詳しくという方は書籍版を(照)
ど素人が読める決算書の本



既に米金融機関は2008年・2009年の2年間に2400億ドル分の引き当てなり、処理をしています。これからの2900億ドル分のうちどのくらいがこの2400億ドルの中の将来の損失のための引き当て分になっているか、という数字が分からないんですが、それなりの分の引き当ては済んでるんじゃないかなと思います。とはいえ、なんつっても2900億ドルですから、全部が引き当てられてるってことはないわけで、その一部、例えば1割だったとしても3兆円ということになり、結構なダメージを金融機関に与えうる数字です。

アメリカの住宅ローンの延滞率は95年から2007年の2Qまで3.92%〜5.35%の間で推移していました。5%を超えたのも01年2Q〜02年3Qまでの間だけでそれ以外の期間はずっと5%以下でした。それが2007年3Q以降、

2007年3Q: 5.59%
2007年4Q: 5.82%

2008年1Q: 6.35%
2008年2Q: 6.41%
2008年3Q: 6.99%
2008年4Q: 7.88%

2009年1Q: 9.12%
2009年2Q: 9.24%
2009年3Q: 9.64%
2009年4Q: 9.47%

こんな感じで推移してきてます。貸したお金の10%近くが延滞してたらそりゃ商売になりませんよ。


引き当てについては、この記事で書いた日本の銀行の不良債権処理の引当金の戻り益の話も読んでいただくとイメージしやすいかもしれません。
http://jovivi.seesaa.net/article/18582135.html



ところで、職場で日経ヴェリタスとか、どんだけあるんだよっていうくらいいろんな種類があるマネー雑誌やビジネス誌なんかが回ってくるんですが、時間がないのでいつも適当に溜めてまとめ読みしてます。と言っても、タイトルとか文章の最初と最後だけざざざっと読むだけですけどね。山のようにあるのでとても全部読んでられませんし、マジメに読むほどの内容でも(略

それに、別に情報源として使っているわけではなく、どんなことが報じられているか、どんなことが話題にされてるか、をチェックするだけなのでそのくらいで充分なもので。その中でみなさんにおすすめしたいものは・・・ないです(笑) お金出して読む価値のあるものはほとんどないです。ハイ。 日々のニュースをちゃんと読めば充分だと思うんですよね。できるだけいろんなソースの、もちろん海外で報じられているものもの含めて、幅広く読んでいくのが一番だと思います。あとはIMFとかOECDとか世銀とかのような国際機関が出してるレポートとか読んだりとかね。

日経ヴェリタスも2ヶ月分くらいまとめて読み流しましたけど、よくもまぁこれだけ・・・という感じです。例えばですね、「REIT投信、個人マネー吸引 毎月分配型が高齢層に人気、残高1000億円超続々」ってタイトル。もうこれ読んだだけでゲンナリですよね。そういう事態自体もゲンナリですけど、それをこういう感じで報じる記事にはもっとゲンナリです。何が言いたいんだ・・・みたいな。記事の最初は「REITを組み入れる投信に資金が流入している、売れ行き好調だ」みたいな感じで。で、最後のほうは、「主なREIT投信の基準価額は5000円前後で、設定時から比べると半分。」
REITは値下がりしてるし、毎月分配してるんだからそうでしょうよ、わざわざ言うほどのことですか?たぶん投資のことも投信のこともほとんど知らないだろうなという感じ。この人このうえで更に分配金のこと勘違いしてるんじゃないか、と懸念しながら次の文章を読むと、「一方で月40〜70円前後と比較的高い分配金を払い続けている。仮に現在の基準価額と分配額が今後も続くとすれば、実質的な運用利回りは年11%〜18%程度になる計算だ。」

出ました。
予想通りです。
恥を知りなさいと。こんなんでお金とってて恥ずかしくないのかと。

分配金使って運用利回りをどうやって計算するって言うんでしょう。投資してるREITの配当利回りが5%だの6%程度なのに分配金を払い過ぎだってことを言いたいのかもしれないですけど、分配金を基準価額で割って「運用利回り」だなんて言ってる時点で、自分にはこの件を報じたり論じたりするのに必要な知識がありませんと言ってるようなもんです。

皆さんはこういう人の言うことに振り回されたり、大切なお金の投資先をこういう人たちの言うことを鵜呑みにして決めたりしてはいけません。
え?分配金を基準価額で割ったら運用利回りが出るんじゃないの?って思っちゃった方はこのへんの記事を読んでみてください。

2009年03月07日
毎月分配型ファンドを買うなら【オススメ】
http://jovivi.seesaa.net/article/115286658.html

2009年01月18日
お薦め本とか次のバブルの話とかグロソブの分配金の話とか【オススメ】
http://jovivi.seesaa.net/article/112800740.html



投信の記事書いてる人やFPの人や評論してる人や専門家を自称してる人なんかが何と言おうと、投資信託は実際に世の中で運営されているものである以上、「実際こうですよ」というのがあります。投信の運営に携わったことのない人が、「私はこう理解している」「FPの勉強でこう習った」「何かの本にこう書いてあった」と言おうが、「投信の仕組みはこうなってるはずだ!」「投信はこういうもんだ!」と叫ぼうが、その人たちの主張とは全然関係ないところで投資信託は設定され、日々運営されてます。

投信の運営に携わったことのある人が投信について説明したり、論じたりしているということは極めて稀で、皆さんが目にしたり耳にしたりするもののうち9割以上はおそらく投信の運営に携わったことがない人が言っているものなんじゃないかなと思います。そういう人たちが「投信の分配金はこういうものだ」と思い込んだり、勘違いしている状態で分配金云々を言ってみたり、投信はどうだ、毎月分配型がどうした、だの言ってる状態、それが「あっちこっちのマネー雑誌やビジネス誌で書いてあること」「みんなこう言ってること」「テレビで言ってること」だっていう状態、は本当に惨状としか言いようがないなという感じです。


リトマス試験紙みたいなもんがないかなぁとここ数年ずっと悩んでるんですけどね・・・いいアイデアがなかなか浮かびません。
こういう経歴の人の本なら大丈夫とか、こういう人の本はダメだとか、
こういう質問をしてこういう答えを返してきたらその人は素人だとか、
こういうところをチェックすれば素人かどうかわかる、
みたいな。

運用会社で働いている人が書いたものなら、ってのが無難ですけど、やっぱり働いている会社のバイアスがどうしても入っちゃうでしょうしねぇ・・・
かつて運用会社で働いてた人、だとクビになった人とかも入ってきますし、実際運用会社にいられなくなっちゃった人が本出した話ってのも聞いてるだけに・・・

なかなか難しいところです。


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posted by ジョン太郎 at 15:46| Comment(1) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お金に汚い民主党政権の経済政策についてもひとことお願いします。
Posted by DSGI at 2010年04月06日 07:15
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