2009年11月29日

円高について。【オススメ】

今日は、一気に進んだ円高についての話。これしかないですよね。


円高が一気に進みましたね。

前週末20日の1ドル=88円91銭から、一時は84円83銭まで円高ドル安が進行、週末の終値は86円40銭となりました。急激に円高ドル安が進んだ格好ではありますが、「ドル全面安」ではありません。

円高
ドル高
他通貨安

こんな感じです。いつも申し上げている、円・ドルというファイナンス通貨(調達通貨)が買い戻されて、運用先通貨が売られた形です。実際、キャリー取引の人気通貨であるNZドル、豪ドル、ブラジルレアル、のこの1週間を見ると、対円では

NZドル:▲5.1%
豪ドル:▲4.4%
ブラジルレアル:▲4.1%
米ドル:▲3.2%

このようになっていますが、対ドルで見ると、

NZドル:▲1.9%
豪ドル:▲1.1%
ブラジルレアル:▲0.9%
日本円:+3.2%

というように、対円ほどではないですが、ドル高/運用先通貨安、が進んでいます。



何度も申し上げているので「もういいよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、初めてこのブログを見たという方もいらっしゃるので、おさらいを。今の為替市場というのは一昔前の為替市場とは違います。昔の為替市場の主役というのは実需取引、輸出や輸入に伴う為替がメインでした。それが、次第に金融市場の発展やグローバル化により、金融取引の存在感が大きくなって、実需取引よりも大きくなり、さらに今では、金融取引の中でも、キャリー取引がその主役となっています。現在の為替市場で大きな存在感を示しているのは、紛れもなくキャリー取引です。キャリー取引というのは簡単に言えば金利の安い通貨を売って、金利の高い通貨で運用する取引です。金利がほぼゼロの円はタダ同然でお金が借りれますから、円を借りて円で返す約束をし、その円を売って、豪ドルとかブラジルレアルとかで運用して高金利収入を得、さらにその間に円が運用先通貨に対して安くなればさらに為替の値上がり益までもらえるという取引です。

金利の安い国日本に暮らし、日本円を持っている皆さんが、高金利とあわよくば為替の値上がり益も狙って豪ドルやNZドル、ブラジルレアルやトルコリラ、南アフリカランド、ロシアルーブル、なんかで運用するのもこのキャリー取引の一種です。

ちょっと前に、日本の金利がゼロで、アメリカの金利が5%以上あったころは、日本円がファイナンス通貨(調達通貨)で、米ドルは運用通貨でしたが、今は違います。米ドルの金利はゼロになり、米ドルは日本円と同じく今はファイナンス通貨となっています。

キャリー取引の特徴というのは

運用先通貨⇔ファイナンス通貨

の間をまるでスイッチバック電車のように行ったり来たりし、

そのスイッチバックの周期が非常に短く、短期間で大量の資金が向かったり逃げたりし、

ニュースやイベントに敏感に反応し、

キャリー取引に乗じてやろう、先回りしてやろう、という資金が大量にある。

という点にあります。



そしてその心理状態は、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」に似ています。車が来ればさっと逃げる人がいる。遠くで車の音がしただけで逃げる人がいる。幻聴を聞いただけで逃げる人がいる。逃げる人を見て焦って逃げる人がいる。逃げる人を見てパニックになって騒ぐ人がいる。騒ぐ人を見てまた逃げる人がいる。逃げる途中で転んでケガをしても、逃げ遅れて交通事故にあってしまった人がいても、しばらくするとまた懲りずに、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言って赤信号を無視して渡り始める人が出て、その人が渡っているのを見て、じゃあ私も、じゃあ俺も、と続く人がいる。その人たちをもって「市場のコンセンサス」だとか「常識」だとか「定説」だとか言い始める人たちが出てくる。もちろん、ファンダメルズも何もあったもんじゃないです。なんでもかんでも「利回りが高くて値上がりしてる通貨」とはやしたてて、後付けの理由をつけたり無理矢理こじつけをして、リスクをとっている人たち同士で、「大丈夫だよね」「大丈夫だよね」「大丈夫さ」と言い合って励まし合い、誤魔化し合い、気を紛らわし合う。なぜ利回りが高いのか、には目もくれず、ハイパーインフレを押さえ込むための高金利も、資金流出を防ぐための必死の高金利維持も、一緒くたにして、ただただ表面金利に目を奪われる。マネートレインによって押し上げられて、価格がかさ上げされているだけなのに、絶好調で値上がり、みたいな。あ、マネートレインについてはこちら。http://jovivi.seesaa.net/article/97769902.html

まぁそういうお金です。皆さんのお金はそういうお金と一緒に動いてますか?そういうお金に振り回されていますか?あるいはそういうお金そのものですか?良い悪いじゃなくて、自分の考えはどうか、自分の投資行動はその自分の考えと合っているか、が重要だと思います。自分とは関係ない、ということであればあとは、存在として消すことのできない、無視できないほど大きな存在である、キャリー取引との付き合い方を考えればいいだけです。それにはまず、キャリー取引の存在を認識し、キャリー取引との向き合い方、付き合い方、スタンス、を考えなくてはいけないと思います。

そもそもこうしたキャリー取引や、集団心理によって導かれて暴走するマネートレインが今の為替市場の中で最も大きな存在感となっている、ということを理解しておかないと、エライ目に遭いますし、昔の、実需取引が主役だったころの為替の理論や説明を使って今の為替市場を理解しようとしても合点がいかないことが多くなると思います。



日銀が単純に円売りドル買い介入、をしたところで、所詮はファイナンス通貨間の為替ですし、リスクをとってキャリー取引をやっている人たちにとってはむしろ「ヤベエ!借りてた円とドルを返さなきゃ!」と思う材料になって、円高・ドル高が進み、その過程で相対感で円高ドル安が進んでしまうというような逆効果が出る可能性もあります。今の為替市場をコントロールするというのはそんなに簡単ではないですよ・・・

日本のバブル崩壊で世界中であらゆるものを買い漁っていた円が日本に還流し、94年のメキシコの通貨危機&トルコの通貨危機の後の95年4月19日に1ドル=79円75銭をつけたときとはちょっと状況が違います。構造は似てるとこありますけどね。


この1週間でインパクトが大きかったのはやはり、25日のドバイショック、です。

UAEのドバイ政府は、政府系持株会社のドバイワールドと、参加の不動産会社ナキールが抱える借金全ての支払いを猶予してもらうよう債権者に要請すると発表しました。ドバイ系の会社のCDSは急騰、他の新興国のCDSも上昇し、債券価格は下落。ドバイ向けの融資が多いとされるヨーロッパの銀行株は軒並み下落し、ヨーロッパの通貨も下落。赤信号を緊張しながら、みんなで励ましあって手を取り合いながら渡ってますからね。車の音が聞こえたり、パトカーが来たらそりゃあもうね。

ドバイなんて、マネートレインの話の象徴みたいなとこですからね。アイスランドと種類は違えど構図は一緒。ドバイドバイとはやしたててた人多かったですけどね。ドバイドバイと騒いでいた人の顔は忘れないようにしておきましょう。そういう人はまたそのうち同じようなこと言い始めますからね。ドバイはどうなったんだよと聞いてみましょう。


一部の新興国株しかり、一部の新興国通貨しかり、原油価格もしかり。今年の年初からマネートレインのおかげでだいぶ値を上げてきたところが多いですしね。その値上がりがマネートレインのせいだと気づいている人は実は結構いるわけですし、それでも「もうちょっといけるべ」「まだ大丈夫だべ」とビビリながらバクチを続けてたら、そりゃあちょっとしたニュースにも過敏に反応しますよね。マネートレインが停車してた原油価格の下落と対をなすように、連日最高値を更新している金も、その価格上昇が本質的なものなのか、単にマネートレインが逃げ込んだ先なのか、ご自分なりの考えをもっておくといいと思います。大事なのは正解を知ってる人を探すことじゃなく、自分がどう考えるか、ですから。投資信託の本の中でも書きましたが、投資の世界の鉄則は「未来を知っている人はいない」「正解を知っている人はいない」ですから。


明日の市場も緊張感がみなぎりまくる展開となることでしょう。みなさん、くれぐれも足元を救われたり、自分を見失ったりしませんよう、ご用心、ご用心。

今日はこんな感じで。

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posted by ジョン太郎 at 13:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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