既にお読みになったという方も結構いらっしゃると思いますが・・・私はつい先日読んだもので・・・
プリンシプルのない日本 (新潮文庫)
白洲次郎氏の唯一の直言集です。
白洲次郎氏について書かれた本はたくさんあるのですが、「彼が書いた本」「彼が自分の意見を述べた本」というのはなく、この本は彼が新聞紙面などで散発的に発表した文章をまとめた本であり、彼の生の声を聞くことができる大変貴重な本です。
白洲次郎という人物についての説明は私がするなどおこがましくてとてもできたものではないのですが、太平洋戦争が始まるずっと前から日米開戦、東京大空襲、日本の敗戦、食料難の発生、を予見して田舎に引っ込んで百姓を始め、実際に彼の予見通りになると、戦火から逃れてきた彼の友人達を田畑に囲まれた彼の家にかくまい、彼の周りの人たちに彼の栽培した作物を配っていたという人物です。その後も百姓をしながら吉田茂の懐刀として活躍し、吉田氏の熱心な要請を受けて戦後の終戦連絡事務局長となり、日本という一国を背負ってGHQに対峙した人物であり、GHQに対しても一歩も譲らず、日本という国の主張を訴え続け、日本国憲法の誕生に居合わせた方です。GHQ幹部だったホイットニー氏に「白洲さんの英語は大変立派な英語ですね。」と言われて、「あなたももう少し勉強すれば立派な英語になりますよ。」と答えたという有名なエピソードがあります。
当時の彼が語る、当時の彼の目に映っていた当時の日本のへっぴり外交や、迷走する政治、政局に振り回される政策、政争の犠牲になる立派な政治家、官僚による趣旨・目的不明な運営、国民の政治への無関心、本質を見ずに報道をするマスコミ、八方美人な日本人、他力本願の乞食根性、誤魔化して先送りする日本人、プリンシンプルのない日本人、そしてプリンシプルのない日本・・・こういったものを突きつけられると、この国の政治・行政の本質、国の運営、というのは戦後から全く進歩していないんだなということが痛いほどよくわかります。彼の語る60年前の日本は、まるで現在の日本のようであり、彼が叱責する政治や行政はまるで現在の政治や行政のようです。むしろ、現在の状態は彼の語る60年前の状態と同じレールの上にありながら、つまり本質的には一緒でありながら、更にそれを悪い方向に進めた状態にあるのではないか、と思えてきます。
この国の行く末を考えたり、日本人の性質を考えたり、現在の日本の政治家や役人たちがどういうレールの上を辿って悪化してきた結果今の状態になったのかということを知ったり、自分や自分の大切な家族がこの先もずっと暮らしていくであろう未来の日本に想いを巡らす時の一助になってくれる一冊だと思います。
白洲次郎という人物について詳しく書かれた本を読んでみたいという方はこの本がおすすめです。私なんぞの紹介で彼のことを知るよりも、この本を読んで白洲次郎という人がどういう人物であったかを知ってから、彼が彼の言葉で語る「プリンシプルのない日本」を読むほうがずっといいと思います。こちらも併せてどうぞ。
風の男 白洲次郎 (新潮文庫)
新緑の葉をぬう爽やかな風のような人物です。
もっともっとたくさんの言葉を残してほしかったです。
私はお会いしたこともないこの方の大ファンです。
こうありたいものだ、と心から思います。
今日はこんな感じで。
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