2009年03月07日

毎月分配型ファンドを買うなら【オススメ】

毎月分配型ファンドを買うなら、せめてこのくらいはチェックしましょうねって話を。ついでに投資信託の分配金についてのまとめとおさらい。あと、REITの利回りスゲー!だけで飛びつく前にチェックしたいポイントなんかも。



投資信託の分配金や毎月分配型ファンドについての説明はこれまでに何度もこのブログの中でお話ししてきましたし、本の中でも詳しくご説明させていただきました。が、それでもやっぱり、まだまだ投資をしている人たちの分配型ファンドに対する誤解は凄まじくって、今日は、分配型ファンドを買うのは止めませんから、せめて買う時にこのくらいはチェックしましょうよ、せめてこの辺で判断しましょうよって話をさせていただきたいと思います。

とりあえず、投信の分配金とか、毎月分配型ファンドについて書いた記事の中で代表的なものを貼っておきます。特に一番上の、「分配金利回りを計算してはいけない」って記事はまだお読みになってない方で、分配金を投資元本や現在時価で割って分配金利回りを計算してる方には是非御一読いただきたいです。



2008年05月10日
投資とか運用とか投信でよくある疑問・誤解J〜分配金利回りを計算してはいけない〜【オススメ】
http://jovivi.seesaa.net/article/96236995.html
12,000円と9,000円のファンドはどっちが割安?どっちのパフォーマンスがいい?分配金50円のファンドと70円のファンドはどっちがいい?分配金を基準価額で割った分配金利回りを計算してはいけません。分配金利回りではファンドのパフォーマンスは判断できません。分配型ファンドって実際どうなの?

2008年10月04日
お返事と今週の話と分配金の話
http://jovivi.seesaa.net/article/107560354.html
分配金の話とか、分配金再投資コースと分配金受取コースの違いとか、頂いたコメントへのお返事とか、アメリカの金融安定化法案の話とか。

2008年09月20日
皆さんから頂いた質問とコメントに一気にお返事
http://jovivi.seesaa.net/article/106861695.html
http://jovivi.seesaa.net/article/106861695.html
1人当たりGDP、投信の税金、分配金受取コースと分配金再投資コースのどっちがいいの?、毎月分配型ファンドってどうなの?、短期のニュースや値動きは長期投資家にとってはあんまり参考になりませんよ、バブルって何?、バブルってなんだ、アメリカとヨーロッパは不動産バブルがはじけてもうダメなの?、投信ってどう選ぶの?、ジョン太郎はどうやってファンド選んでるの?、ファンドの選び方、などなど。

2008年09月15日
もうちょっとなんとか・・・(投信の税金の話)、とリーマン破産法申請。
http://jovivi.seesaa.net/article/106605685.html
投信の税金の話、特別分配と普通分配の違い、あとはリーマン・ブラザーズの破綻について。




まず、何度も繰り返しになりますが、投資信託の分配金というのは基本的に解約と同じです。100万円分の投資信託を持っていて、この100万円分の投資信託はそのままで、この100万円とは別に5万円もらえる、というものではありません。そんな都合のいい話はありません。100万円分の投資信託を持っていて、この中から5万円が分配金として支払われ、現金5万円と投資信託95万円分になる、これが投資信託の分配金です。ありがたいものでも、嬉しいものでもありません。もちろん投資成果やパフォーマンスを示すものでもありません。

毎月分配型のファンドというのは、「良い悪い」、「損だ得だ」、という話よりは、「しょっちゅう自動的に一部解約をするファンドなのだ」と考えるのが良いのではないかと思います。投資信託の分配=自動一部解約、毎月分配型ファンド=毎月自動一部解約型ファンド、です。

投資信託というのは一部解約が可能ですから保有している投資信託の一部を解約して現金化できます。これを毎月好きな日に好きな分だけ自分で解約手続きをとって解約するか、毎月分配型ファンドを購入して決算日に運用会社が決めた分配金額を受け取るか、の違いだけです。良い悪いとか損得のレベルの話ではありません。

保有しているファンドの一部解約を毎月する、しょっちゅう一部解約する、これをしたいか/したくないか、というだけの話です。毎月ちょっとずつ解約するもしないも自由ですし、毎月ちょっとずつ解約してたら資産が増えていくペースが遅くなるのはごく当たり前のことです。

ところがこの点を勘違いしている投資家の方が非常に多く、また、大変残念なことに販売会社の販売員の方の中にもこの点を勘違いしている方がいらっしゃいます。



保有しているファンドはそのまんま自分の財布に入れてとっておいて、運用会社がどこか別の財布からお金を取り出して来て「ハイ、分配金です。どうぞ。」と言ってあなたの財布の中にチャリーンと現金を入れてくれるわけではなく(それだったら喜んでもいいと思いますが)、あなたの財布の中に入ってるファンドの一部を取り出して現金化して、分配金ですと言ってあなたの財布にチャリーンと現金を入れて戻してくれているだけのことです。



通常の投資信託の場合、今のところ分配でも解約でも税率は同じですから、毎月解約手続きをとるのが面倒臭いという方にとっては解約の手間が省けるメリットがあるのでしょう。ただ、運用会社が現金化する金額を決めてしまうので自分の任意の金額にはできないというデメリットがありますが。

「増やしていくお金」を毎月取り出したり、増やそうとしてるのに毎月ちょっとずつ引き出したり、じゃなかなか増えないよ、これは当たり前。でも、十分な資産をもっている人や、「目減りしないようにしていくお金」や、「今使わない分は後で使うために保存してとっておき、取り出した時に価値が減ってしまわないようにしておくお金」、であれば、冷蔵庫に味噌を保存しておいて、ちょっとずつ取り出して使っていくようなものですから、「しょっちゅう取り出すことが悪」ということにはならないはずです。ほっといてもどうせ毎月ちょっとずつ取り出して使うんだから、そして、1回で全部使い切るわけじゃないんだから、せめて冷蔵庫にしまっとけって話です。



というわけで、投資信託の分配は「自動一部解約」であり、その分配金額というのは「自動一部解約の金額」です。毎月現金化する金額を比べたり、毎月一部解約する金額同士を比べたり、一部解約した金額を時価で割ったり、一部解約金額を当初投資金額で割って、一体何が分かるというのでしょう?

10,000円で同じ日にスタートした同じ運用をするファンドA〜Eがあったとします。はじめての決算日時点でこのようになりました。

ファンドA:基準価額12,000円、分配金0円
ファンドB:基準価額11,950円、分配金50円
ファンドC:基準価額11,000円、分配金1,000円
ファンドD:基準価額10,000円、分配金2,000円
ファンドE:基準価額12,000円、分配金0円


この場合、どのファンドが一番パフォーマンスがいいでしょうか。どのファンドを買いたいですか?

これら5本のファンドをこんな風にするとします。

5本のファンドは全て10,000円が12,000円になりました。

これを

A:12,000円の投資信託のままにしておく。解約もしない。
B:11950円の投資信託と50円の分配金(現金)に分割する=50円の分配金を受け取る
C:11,000円の投資信託と1,000円の分配金(現金)に分割する=1,000円の分配金を受け取る
D:10,000円の投資信託と2,000円の分配金(現金)に分割する=2,000円の分配金を受け取る
E:10,000円の投資信託と2,000円の解約代金(現金)に分割する=2,000円の解約をする

こんな風にするとします。

さて一体どれが一番利回りがいいでしょう?
どれが一番パフォーマンスがいいでしょう?
どれが一番おいしいでしょう?
どれが一番もうかっているでしょう?


上のファンドA〜Eも下のA〜Eのケースも全部同じです。パフォーマンスの差は全くありません。パフォーマンスは全部同じです。これらが全く同じパフォーマンスだということが分からなかった方、答えを聞いてもどうにも納得がいかないという方、はいまだに勘違いをしてしまっているということです。



「利回りのように思えていた部分」というのは実は「現金化率」というだけであって、得た利益の元本に対する比率である「利回り」とは全くの別物です。パフォーマンスは10,000円が12,000円になったという部分であり、運用成果はこの部分だけで、あとは「運用成果をどのような形に変えたか」の違いだけで、運用成果自体はAでもBでもCでもDでもEでも違いはありません。全く同じです。それを50円と1,000円と2,000円という「運用成果の中から現金に買えた金額」(=分配金や解約代金)同士を比較してみたり、現金化した1,000円を11,000円あるいは10,000円で割ってみたりしても、何の意味もありません。「現金に換えた部分の金額」を元本や当初元本で割って、それを「利回り」だと勘違いして比較してみても、そんなものでパフォーマンスの違いなどが分かるはずもありません。分配利回りの計算など意味がないものなのです。むしろ、誤解をしたり、勘違いを招いたり、不要で弊害のある情報を提供したり、という点では百害あって一利なし、と言ってもいいと思います。



この「分配金」という名目で解約して戻された現金を、受け取って使ってしまうか、その現金で再度同じ投資信託を買い付けるか、が「分配金受取コース」と「分配金再投資コース」の違いです。分配でも解約でも現金化して受け取った部分が利益だった場合、利益に対して税金がかかります。分配でも解約でも、儲かっていない部分の現金化はただの元本取り崩しですから税金はかかりません。利益を現金化した場合、受け取るのも再投資するのも、税金を差し引かれた後のお金です。利益が出ている場合、例えば10,000円で買ったものが15,000円になった場合に、1,000円の分配金が出たとすると1,000円の現金と14,000円の投資信託に分割されたことになり、この1,000円の現金は利益が現金化されて利益が実現したことになりますから、税金が差し引かれます。税率10%なら100円が差し引かれて900円、税率20%なら200円が差し引かれて800円、を受け取り、あるいは再投資することになります。たとえ、手数料無料で再投資されても15,000円には戻りませんね。



で、やっと本題に入れる・・・

分配利回りを計算しちゃダメよ、そんなの比べても何もわからんよ、「毎月の自動解約金額率」、「毎月の自動現金化率」、に過ぎないよ、と。


ファンドのパフォーマンス、トータルリターンというのは、ほとんどのファンドの場合、

@キャピタルゲイン/ロス
Aインカムゲイン/ロス
B為替損益

の3つで構成されます。もちろん、Aがないファンドや、日本株ファンドのようにBがないファンドもあります。Aでインカムロスってあり得ない!とかつっこまれるかもしれませんが、投資元通貨よりも金利の高い通貨に投資している場合のヘッジコストや、ある通貨のショート(=売り)ポジションを持った場合の元通貨との金利差を支払う場合などはインカムロスが発生します。あと、Bは@に入るだろうってツッコミも、それでもいいけど@とB分けたほうが分かりやすいからここでは@とB分けさせてくださいお願いします、という話です。



さてと。

@キャピタルゲイン/ロス

B為替損益
は市場動向によって、つまり、@は株なら株価の日々の変動、Bなら為替レートの日々の変動によって、動きまくるわけですが、Aのインカムゲイン/ロス
というのはある程度、目処の立つものであり、「次回も入ってくると期待するもの」です。



毎月分配型ファンドの多くがこの「インカムゲイン」を中心に分配金を出しています。が、インカムゲインがどのくらい入ってくるか、というのは投資しているアセットクラスによって、ファンドによって、異なってきますし、インカムゲインの額をそのまま分配金額にするのか、信託報酬を差し引いたネットインカムを分配金額にするのか、インカムゲインより多くの額を分配金にするのか、インカムゲインより少ない額を分配金にするのか、はファンドによって異なってきます。



ただ、この分配金額自体は足りなければ自分で解約して増やせます。問題なのは、ファンドにどのくらいのインカムゲインが入ってきているのかという部分、なんぼ入ってきてなんぼ分配しているのかの「なんぼ入ってきてるのか」の部分、なんぼ儲かってなんぼ現金化しているのかの「なんぼ儲かってるのか」の部分、であり、この部分は投資家サイドではどうしようもない部分であり、パフォーマンスそのものの部分なわけで、「毎月なんぼ現金化してるか」なんてのを比較するくらないなら、投資している資産がどのくらいのインカムゲインを稼ぐ力があるのか、ファンドが出してる分配がいくらかではなくファンドに入ってきてるインカムゲインはいくらなのか、1年前と比べてどうなのか、この先どうなると思われるのか、といった比較をするほうがずっといいですし、ずっと有用でありずっと有効です。



既に「利回り」とか「イールド」という言葉を使ってますが、このインカムゲインの額を、そのインカムゲインを生む原資産の価格、つまりそのインカムゲインをもらうための資産を手に入れるのに必要な金額、で割って求めるものを「イールド」とか「利回り」なんて言ったりします。

預金だったら利息

債券だったらクーポン

株式なら配当金

REITなら配当金(分配金)


これらがインカムゲインであり、



例えばこんな場合のそれぞれの「利回り」「イールド」は

元本10,000円で1年に50円の利息がもらえる預金の利回り/イールド(利率)
【50÷10,000=0.5%】

価格10,000円で1年に300円のクーポンがもらえる債券の利回り/イールド(直利)
【300÷10,000=3%】

株価10,000円で1年に500円の配当金がもらえる株式の利回り/イールド(配当利回り)
【500÷10,000=5%】

価格10,000円で1年に1,000円の配当金がもらえるREITの利回り/イールド(配当利回り)
【1,000÷10,000=10%】

こんな感じになります。


じゃあ金や原油などコモディティは?

コモディティにはインカムゲインがありません。コモディティというのは、キャピタルゲイン/ロス、価格の上下だけでリターンが決まるアセットクラスです。
(注:コモディティインデックスの中にトータルリターン指数がある指数があるじゃん!と言いたい人へ。それはコモディティ部分の動きに、コモディティを先物で運用して残ったキャッシュを短期金融市場で運用した場合のキャッシュのリターンを加えたものです。)

話を続けましょう。


例えば
利回り3%の債券に投資して1.5%分配するファンドA
利回り3%の債券に投資して3%分配するファンドB


利回り5%の債券に投資して1.5%分配するファンドC
利回り5%の債券に投資して2.5%分配するファンドD

があったとします。



10,000円からスタートすると1年後の決算日は

ファンドA:投資信託(基準価額)10,150円、現金(分配金)150円
ファンドB:投資信託(基準価額)10,000円、現金(分配金)300円


ファンドC:投資信託(基準価額)10,350円、現金(分配金)150円
ファンドD:投資信託(基準価額)10,250円、現金(分配金)250円


こうなります。

どのファンドがいいですか?これを分配金で比較すると意味がわからんことになります。ファンドA/BとファンドC/Dはそもそもパフォーマンスが全然違います。これを分配金額だの分配金利回りだので比較しても、パフォーマンスの違いなどわかりません。原資産が生んでいるリターンがそもそも違うのに、そこがパフォーマンス/運用成果そのものなのに、そこを見ないでどーすんですか。


分配が300円ほしいならCのファンドを買って150円解約すれば
ファンドC:投資信託(基準価額)10,200円、現金(分配金)150円、現金(解約金)150円こうなりますからさっきのファンドBを買うよりずっといいですし、

Dのファンドを買って50円解約しても
ファンドD:投資信託(基準価額)10,200円、現金(分配金)250円、現金(解約金)50円
こうなりますからやっぱりファンドBを買うよりずっといいです。



そして、ファンドに入ってくる分(インカムゲイン)以上に現金化すれば減っていくのは当たり前。ファンドが「いくら出してるか」よりも、ファンドに「いくら入ってきてるか」のほうがずっと大事なことはもうお分かりだと思います。結局、ファンドがどのくらいのリターンをあげるかが大事であり、分配金=現金化する量なんぞは、自分でいくらでも調節できるんだから優先順位はずっと下です。そしてどのくらいのリターンをあげるのかというのは先ほどご説明した

@キャピタルゲイン/ロス
Aインカムゲイン/ロス
B為替損益

で決まります。



分配金を比較するくらいなら@やBの実力や、Aのイールドでも比較しましょう。毎月分配型ファンドを買うならせめて週報や月報にのっているイールドをチェックしましょう。


皆さんは今もっている分配型ファンドのイールドがどのくらいあるのか知ってますか?みなさんが買ってる投資信託のポートフォリオがどのくらいのイールドを生んでいるのか知ってますか?イールドも見ずに分配金だけチェックしてても何にもならんですよ。いつものように個々のファンドについての話はしませんが、代表的なアセットクラスの現在のイールドはこんな感じです。

日本株:3.28%(1.12%)
米国株:3.86%(1.80%)
世界株:4.83%(2.25%)
新興国株:4.61%(2.43%)

日本国債:0.89%(1.38%)
米国国債:2.11%(4.99%)
世界国債:2.22%(3.89%)

新興国国債(ドル建て):9.94%(6.91%)
新興国国債(現地通貨建て):7.40%(6.57%)
世界社債:7.33%(5.5%)
世界HY*社債:20.9%(7.7%)

日本REIT:9.92%(2.89%)
米国REIT:15.08%(4.03%)

*ハイ・イールド(投資適格ではない、BB以下の格付けの社債)
ちなみに()内はサブプライムローン問題が表面化する前の2007年6月末の数字。


みなさんが今受け取ってる分配金と比べてどうですか?

まず気づくのは株の配当利回りは上がって、債券の利回りは下がったという点でしょう。なんででしょう?


イールド(利回り)ってのは
【インカムゲイン÷原資産価格】
でした。

利回りが上がるにはインカムゲインが上がるか、原資産価格が下がればよく
利回りが下がるにはインカムゲインが下がるか、原資産価格が上がればいい
ということになります。

前者の場合は同時にキャピタルロスを、後者の場合は同時にキャピタルゲインを、それぞれ伴います。



株の配当利回りは
【株の配当金÷株価】
です。

配当金がそのままで株価が下がれば、当然配当利回りは上がります。配当金が下がるペースよりも株価が下がるペースのほうが早ければ配当利回りは上がります。サブプライムローンの影響でリスク資産からの逃避、株から債券への資金シフト、良い銘柄も悪い銘柄もみんな一緒くたに投げ売り、という流れの中で株の配当利回りが上がった、というのはよく分かりますね。配当が下がってない会社の株も全部一緒くたにされて投げ売りされてきたわけですから。



ただ、気をつけなくてはならないのは、なぜこういう状態で取引されているのか、ということです。たとえば、利益の半分を配当金に回す方針の配当性向50%の会社があったとします。この会社の1株あたり利益が100円だったとしましょう。するともらえる配当金は50円。もしこの会社の株価が1,000円だったとすると

【1株当たり利益:100円 × 配当性向50% = 1株当たり配当金:50円】
【配当金:50円 ÷ 株価:1,000円 = 配当利回り:5%】

この株が、サブプライムローンの影響でいきなり半値の500円になったとしましょう。すると配当利回りは

【配当金:50円 ÷ 株価:500円 = 配当利回り:10%】

と、いきなり10%に跳ね上がります。しかし、この会社の利益がサブプライムローンの影響による景気悪化で大幅に落ち込み、前年比80%減の減益になったとします。すると、

【1株当たり利益:20円 × 配当性向50% = 1株当たり配当金:10円】
【配当金:10円 ÷ 株価:500円 = 配当利回り:0.5%】

このように一気に様相が変わってしまいます。これを織り込んでいるんだとしたら、今の配当利回りは全然当てにならないかもしれない、ということになります。じゃあどうすればいいのか。答えはカンタンで、あなた自身がどう思うか、という点に尽きます。その会社の配当金は今後あなたが運用していく期間にわたって増えていくと思うのか、減っていくと思うのか。もちろん配当金は企業の利益の一部ですから、その会社の利益が増えていくと思うのか、という風に考えてもいいです。要はその会社が今後儲かっていくと思うのかどうか、ということです。



例えば先ほどの株と性格が少し似ているREIT(後でお話する債券と比べて、ね。)。日本のREITもアメリカのREITも凄まじい利回りになってます。

日本株:3.28%(1.12%)
米国株:3.86%(1.80%)

日本REIT:9.92%(2.89%)
米国REIT:15.08%(4.03%)


すんごいですね。じゃあ、株のファンドじゃなくて、REITのファンドを買えばたくさん分配金がもらえそう!早速REITに!というのは早計ですよと。注意したほうがいいですよと。

なんでこの状態で放置されてるんでしょうか。
この数字は、現在、市場での取引がこの水準で成立しているということを意味しています。つまりこのくらいの水準じゃないと売ろうとしても買ってもらえないということです。

会社の利益は
【売上−費用=利益】
です。利益の一部が配当金として出てきます。

一方のREITの利益は
【賃料収入−コスト=利益】
で、REITの制度上、利益のほとんどが配当金として出てきます。

当然、賃料収入が減れば利益が減ります。
コストが増えれば利益が減ります。不動産相場が不調であれば、賃料相場も下がります。一等地にあるピッカピッカのオフィスを広ーく使っていた金融機関が潰れればそのフロアが空き、あっちこっちで金融機関以外の会社も潰れればどんどんオフィス需要が下がり、賃料の単価も総収入も減ると考えられます。
また、REITの多くは借入をして他人資本を使ってレバレッジをかけて運営されています。この借入金というのは短期借入であることが多く、一方その短期借入で借りた資金で買っているものとは他でもない長期据置資産であり固定資産の不動産。この短期資金の借り換えがうまくいかなくなって、自転車操業のチェーンが外れて、REITや不動産業者が潰れたり、財務状態が急速に悪化したりしているわけです。そういう中でリスクを無視・軽視して、これまで低利で貸してくれていた金融機関が潰れて、普通の金利でしか貸してくれない金融機関からの融資に乗り換えなきゃいけなくなったり、リスク査定をしなおされて貸し出し金利を引き上げられたり、なんてことが起これば、当然先ほどの「コスト」の部分が増え、利益が減ります。こういったことを想定している人にとっては今の利益が来年も続くとはとても思えないわけです。すると、


【配当金:992円÷REITの価格:10,000円=REITの配当利回り1%】

だったとしても、利益が10分の1程度まで落ちるだろうと想定している人にとっては、

【配当金:100円÷REITの価格:10,000円=REITの配当利回り:1%】

こんな風に見えることになり、この人がそうなった場合でも利回り5%は確保したいとなれば、この人にこのREITを買ってもらいたい場合、

【配当金:100円÷REITの配当利回り:5%=REITの価格:2,000円】

2,000円でないと買ってもらえないことになります。これが現在の水準まで価格を下げてきた原因だとすると、利回り10%!?すごい!割安だ!おいしい!と飛びついて後で泣きを見るなんてことも充分考えられます。10%の利回りのインカムゲインがあってもキャピタルロスで80%のマイナスになったら元も子もないですからね。



@今、どのくらいのイールドなのか
Aそのイールドは過去と比べて、他の資産と比べてどうなのか
B何故、その水準で取引されているのか、
C自分はそのイールドを実現しているインカムゲインが今後増えると思うか
Dキャピタル部分は上がっていくと思うか、キャピタル部分で損をしないと思うか


こういった点を考えてみる必要があると思います。もちろん、ただのパニック売りで、あまりに意味不明な水準まで叩き売りされてて、すげー割安に放置されてる!と思うんであれば投資すればいいと思います。ただ、今の配当利回りとかPERとかの数字だけを見て、その数字を額面通りにとってはいけませんよ、ということです。利益水準が変われればそんな数字は一気に変わるんですから。

今のイールドのレベルを見ることは、分配金額を見るよりずっと大事です。そしてそのイールド、利回りの「現在の水準」だけでなく、「今後の動向」「自分なりの見通し」を考えること、が非常に重要です。分配金額を比較したり、分配金利回りなんか計算してるヒマはありません。



また、一方の債券の利回りは
【債券のクーポン÷債券価格】
です。

株から債券への資金シフト、リスク資産から安全資産への資金シフトの中で、債券需要が増えて、債券価格が上がれば債券の利回りは下がります。結局借金の金利なわけですから、貸したい人の供給と借りたい人の需要のバランスで決まってきます。

国債の利回りが下がってきている、というのは今の経済環境・金融市場の状態を考えればごく自然なことだと思えるのではないでしょうか。また、世界国債の利回りは下がり、ベースとなる金利が下がったはずなのに、社債や新興国債券の利回りが上がったのはなぜなのでしょうか。先ほどのイールドで比較してみましょう。

世界国債:2.22%(3.89%)
新興国国債(ドル建て):9.94%(6.91%)
新興国国債(現地通貨建て):7.40%(6.57%)
世界社債:7.33%(5.5%)
世界HY社債:20.9%(7.7%)

やっぱりこれも、「利回り21%!?!?スゲー!超おいしいじゃん!」と飛びつくのではなく、これはただ単にパニック売りとか極端すぎるリスク回避の結果こうなっているのか、それとも、みんなこれよりも悪い事態を想定しているのか、たとえば100社に1億ずつ貸して100億円、金利が21%で毎年21億円入ってくるとしても、最初の年に100社のうちの30社が倒産して貸したお金が返って来なければ、元本は減るわ、来年からの金利収入は減るわ、で元も子もない、みたいなことを想定している可能性もあるわけです。

だとしたら21%の利回りで取引されているのも分かります。取るリスクに対するリターンとしてこのくらい期待できないととても割に合わないと考えられている可能性があるということです。これを行き過ぎだと見るか、どの程度行き過ぎだと見るのか、というのは他でもないあなた自身がこれらをどう見るか、次第だと思います。そして、これもやっぱり、それに対して自分はどう思うか、で判断する必要があると思います。



最後におさらいですが、毎月分配型ファンドを買うならせめてイールドくらいはチェックしましょうね。分配金より大事ですよ。そして、できることなら、

分配金額を比較したり、分配金利回りを計算するのではなく、

ファンドがいくら出しているのかを見るのではなく、

まず、そもそもファンドにいくら入っているのか、

インカムゲインはどのくらいあるのか、どのくらいのイールドなのか

そのそのイールドは過去と比べて、他の資産と比べてどうなのか

何故、その水準で取引されているのか、

自分はそのイールドを実現しているインカムゲインが今後増えると思うか、

キャピタル部分は上がっていくと思うか、キャピタル部分で損をしないと思うか、

といったことを考えてみていただきたいものです。



とりあえず毎月分配型ファンドをお持ちの方で、今お持ちのファンドのイールドがどのくらいなのか想像もつかないって方は、お持ちになってるファンドの週報・月報でイールドをチェックしてみてください。



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posted by ジョン太郎 at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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