2009年02月07日

今週の話(090207)【オススメ】

今日は景気対策や米国債の話とか、弱いユーロやポンドの背景とか、日米中のバランスとか、CDSの話とか。そんな感じで。結構おもしろいと思います。



まずは、オーストラリアからいきましょうか。今週、オーストラリア420億豪ドルの追加景気対策を発表。去年の10月に既に第1弾をやってて更に第2弾というわけです。どこかの国とはエライ違いです。これを好感し、この日オーストラリア準備銀行が1%の利下げをしましたが、豪ドルは対ドル、対円ともに3%以上上昇。この追加景気対策でオーストラリアの財政はいつ以来だろうって言うくらいぶりに財政赤字になる見込み。でもいいじゃん。

金融安定化と景気回復が今の各国政府の最優先事項ですよ。うだうだ言ってないで、やるしかないんだから思い切ってやったらいいです。2兆円ものお金を使って、たった2兆円ぽっちじゃ大した景気刺激も期待できないバラマキをやって、ってそれもまだできてないし、私は辞退する→やっぱりもらう、使わせていただく→やっぱりもらわない、とか総理大臣が迷走してる場合じゃねーだろと。マジでいい加減にしてください。2兆円の使い方を議論する頭はないの?「決めたことですから」ってのは最も愚かな言葉の1つだと思うんだよね。思考の放棄ですよ。ギリギリまで悩むんじゃないの?ちょっと戻ってもいいんじゃないの?ストップして見直してもいいんじゃないの?普通の会社ならそうするよ。普通のサラリーマンならそうするよ。

「決めたことですから」「こういうルールですから」「前例がありませんから」と言って見直しをしない文化は政治と行政の十八番です。ルールなんか変えりゃいいじゃん。どうせ人間の決めたことなんだから。決めたことなんか訂正すればいいじゃん。どうせアンタのことなんて誰もパーフェクトだなんて思ってないんだから。訂正することより、「決めたことだから」と言って訂正せずにそのまま進めるほうが自分の愚かさを露呈することになってるとなぜ気づかないんでしょうね。それはバブル期に計画した、無駄で無用で、何の役にも立たず、ヘタしたら環境破壊以外に影響がなく、金を業者に約束通り落とすためだけに実行される、各地の道路・橋・巨大施設などの建設や埋め立てなんかにも丸っきりそのまんま当てはまりますが。「20年前に作ると決めたから」「決まってることですから」「決めたことですから」とかって、見直しや再検討をしない理由にならんよ。そんなセリフを言って恥ずかしくないのかね。


ともかく、オーストラリアは第1弾の景気対策に続き、更に第2弾を打ってきました。しかも第1弾が104億豪ドルで今回が420億豪ドルですから、規模も一気に大きくしてきました。

オーストラリアの経済規模は9,000億ドルです。

日本は4兆4,000億ドル。

オーストラリアの景気対策は約3兆2,500億円(前回104億豪ドル+今回420億豪ドル)で、日本は・・・

・・・トホホ

中国の経済規模は3兆2,500億ドル。そして、中国の景気刺激策は4兆元(52兆円)。「実は真水が少ない」「もともとあった計画との重複が多い」「実質10兆円程度だ」なんて声も出てますが、一方でそんな声を尻目にもの凄い量の工事があっちこっちでトンカン始まってます。恐ろしいことにもうその効果と見られる現象があちこちで見られ始めてます。顕著なのが、船。船が中国に向かいまくってます。鉄などの資源を乗せた船が中国に向かいまくってます。船賃は急落してたひところの10倍近くにまで跳ね上がり、ついこないだまで3割の運搬船がどっかの港に停泊してたのが停泊ほぼゼロにまでなってます。今の中国の存在感はハンパじゃないです。ハイ。


次、アメリカのCDSが急速に上昇してます。アメリカ政府の、です。米国債を発行しているアメリカ政府の、です。企業のじゃないです。

CDSって何よ?って方はこちら
http://jovivi.seesaa.net/article/107924416.html
http://jovivi.seesaa.net/article/108587762.html

米国の5年CDSは今週、一時85.9bpsとかつけてました。その後ちょっと下がりましたけどそれでも70近いんですから、ちょっと前ならAのレベルです。これは凄い事ですよ。1年前は7とか8とかですからね。ちょっと今の各国のCDSを見とくといいんじゃないかな、というわけでこれ。

CDS20090207.bmp

まず、フィッチの現在の格付をのせてます。国の名前と格付けを見ていくと、ちょっと前のイメージと随分違うなってのはアイスランドくらいで、あとはだいたい国のイメージと格付けが一致してるんじゃないでしょうか。で、次が1年前のCDSスプレッドです。bps表記です。これも国の名前と比べていくと、なるほどね、と。皆さんの各国に対するイメージとだいたい合ってるんじゃないでしょうか。ところが今現在は全然違いますよと。

「今」という列がまさに今のCDSスプレッド。アメリカのCDSはこの1年で8から69にまで上昇。と言ったってアメリカのCDSなんて1年前がたまたま低かったわけじゃなくってずっと10前後とかだったわけで、ずーっと20以下だったわけで、69なんてのはかつては考えられなかった水準です。

更に、ヨーロッパの国に色をつけてますが、メチャクチャです。アイルランドなんて259です。AAAなのにBBB+のタイの252と変わらない水準です。イギリスやスペイン、オーストリアなんかもね・・・ノルウェーなんかは相変わらず強いですけどね。まぁそういうわけですんで、この表をじっくり見てみてください。ユーロやポンドが弱いのもなんとなく分かるんじゃないでしょうか。各国のGDPとか財政状態なんかはこの記事にまとめてありますのでどうぞ。
http://jovivi.seesaa.net/article/113138780.html


というわけで米国政府のCDSが今週一時86まで上がりましたよと。米国5年債の利回りが今196bpsとかですから、196の債券買ってCDSで保険かけたら保険料で86かかると。86引いたら110しか残りませんよと。


で、米国債利回り自体微妙に上昇ペースを早めてます。この2ヶ月弱でこんな感じの動き方。利回りbps表示で。
5年債が126(12/18)→136(1/15)→197(2/6)  [1年前267]
10年債が208(12/18)→223(1/15)→305(2/6)  [1年前361]


この10年の10年債の利回り平均は450くらいですし、300を割り込むこと自体が何十年ぶりです。だから今の水準が低すぎるんだけど、12月につけた208ってのが低すぎるんだけど、それでもここに来て急に上昇ペースを早めているのはやっぱり注目です。あ、もちろん、債券価格が下がってるから利回りが上がってるんですよ。

この間、1月12日に「米国債はバブルらしいけど大丈夫なんですか?」ってご質問にお答えしましたが、
http://jovivi.seesaa.net/article/112524787.html
ちょうどその後くらいから、米国債の価格は下落を始め、利回りが急に上昇し始めました。それでもこれまであまりにたくさんのお金が米国債に流れ込んでいた、ということを考えると、10年債で208なんてちょっと前だったら考えられないような水準で米国債を買っていた人がいたということを考えると、あれもプチバブルと言えばプチバブルだったのかなぁと。そして私には全く関係がなかったなぁと。全く影響がなかったなぁと。遠いところでいつの間にか208まで行って305まで戻って来たと。おかえり。



で、米国のCDSもいきなり上がってきてますよと。こっから先、大量に米国債を発行しないといけないアメリカのCDSが上がってますよと。めちゃくちゃ低かった利回りが上がり始め(価格が下がり始め)てますよと。これから大量発行される米国債の引き受けを懸念する声が出てますよと。



そしてそんな折、就任間もないというのに、もうクリントンが来日します。しかもどこよりも先に日本に最初に。

めちゃくちゃ早いです。



忘れちゃならないのは、当たり前ですけど「アメリカにとって日本は最も重要なパートナーだ」なんてことの前に、


「アメリカにとって日本は最も重要な金づるだ」

「アメリカにとって日本は最も重要な国債の引き受け手だ」


ということです。



毎年大量の米国債を買い続け、日本を抜いて世界最大の米国債保有国となった中国・・・今、米国債の保有残高が多いのは、中国、日本、イギリス、ブラジル、OPEC、あたりです。これまでの推移も出しておきましょうか。

USTholdings.bmp


単位は10億ドルです。中国がいかに早いペースで米国債保有残高を増やしてきたのかが分かると思います。そんな中国は、したたかにも、「米国債をこれ以上買うのはやめようかなって思ってる」「むしろ減らしていこうかななんて思ってる」なんて言い出してます。普通に外交カードに使ってます。ガイトナーの為替操作発言のけん制にも使ってます。

日本はそんな風に使った試しがないですね。毎回毎回バカみたいに言いなりになって。自分の意見も言わないで。だから、当然今回も、「日本は当然引き受けてくれるもの」という前提になってみます。うかがいに来るというより、「いいよね?」「よろしく頼むよ」「頼りにしてるよ」「頼むぜ、パートナー」と言いに来るわけです。それでアメリカに「パートナー」って言われたことに喜んでシッポ降ってお金出してあげるのってどうなのよ。中国に行く時には、「お願いします」になるんだろうけどね。意見言わないからなめられるんだよ。情けない。一回突っぱねてやったらいいと思うんだよね。

「引き受けるかどうか、持ってるものも保有し続けるかどうか、はまだ決めかねている。」と言って追い返してやったらいいと思うんだよね。国と国で対等なんだから。「今回もよろしく頼むぜ、パートナー」なんて態度で来て、金まきあげてこうなんて思ってる輩には冷や水浴びせてやったらいいと思うんだよね。追っ払って塩まいたったらいいと思うんだよね。

「顔洗って出直して来い」と。いつまでも調子こいてるんじゃねぇよ、誰が金出してやると思ってんだ、オバマとガイトナーも連れて3人で来るのがスジってもんだろう、代わりにおたくはうちのために何をしてくれるんだよと、拉致問題の今年中の解決でも約束してくれるのか、領土問題に力を貸してくれるとでも言うのか、沖縄の思いやり予算の返上でもしてくれるのか、まさかテイクだけでギブがないなんてことはないよな、そんなふざけた態度で金出してもらえるなんて思ってないよな、と。

で、是非一度断って追い出してみてほしい。



とりあえずそんなわけでアメリカのCDSが上がっている中で、国債の利回りが上がっている中で、ヒラリー・クリントンが日本に来ます。

トヨタですら赤字に転落、日本の基幹産業の自動車・機械をはじめ、輸出産業はこの円高で総崩れ。各社の業績は急降下、更なるリストラを余儀なくされ、派遣切りが社会問題化する中で、正社員も含めたリストラが・・・このまま円高が更に進めば・・・


とメディアが散々騒ぎ立てた中でクリントンが来ます。


日本が円高を止めるのに手っ取り早いのはもちろん介入です。もう金利差はないですから。ドル買い円売り介入で円安誘導。これを阻むものがあるとしたら?もちろんアメリカです。従来ならば。日本の輸出産業に追い風=アメリカの貿易赤字拡大、アメリカ企業の価格競争力低下、ですから。

日本の輸出産業が苦しそうだからと言って日銀がコッソリ円安誘導介入なんてやろうもんなら、アメリカ兄貴から「何やっとんじゃあ!」「お前ナメとんのか!」「しばくぞ!」と言われちゃいますから。怖くて円売り介入なんてできません。アメリカ兄貴のご機嫌がいいのが一番ですから。

ところが今回のアメリカ兄貴はいつもとだいぶ事情が違うわけです。クビがまわってないと。ものっすごいカンタンなのは、円高に苦しむ日本が円売りドル買い介入して円安誘導、アメリカはそれを見逃してやる、じゃあその買ったドルでうちの米国債引受てくれよ、当然だよな、いいよな?というパターン。

中国はなかなか言いなりになりませんからね。平気で「もう買うのやめようかなって思ってる」とか言っちゃいますから。いろいろめんどくさい条件とか突きつけられそうです。その点、何も言わない日本、交換条件とか要求しない日本は、スピードを重視する今、これ以上ない絶好の引き受け手です。こんなにいい「パートナー」はいません。そりゃ肩くらい抱くでしょうよ。今の米国債の引き受けは日本という一国にかかってます。マジで。

円安だけ見逃してやりゃいいんでしょ。別にアメリカ国内の消費を回復するのが先決だし、アメリカの消費にはアメリカメーカーのものとアメリカ産のものを消費させりゃいいんだから、アメリカメーカーの作ったものを輸出にまわさずに国内で消費するように誘導すりゃいいんだから、「バイアメリカ」的な。

ヒラリー・クリントンの来日、間もなくです。

今日はこんな感じで。


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posted by ジョン太郎 at 14:10| Comment(5) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
LIBORもかなり低下してるので、銀行間の資金流動性の問題はほぼ解決しているようだし、債券金利の上昇は、臆病な投資資金が、逃避していた債券市場から株式市場に、じわりと染み出した感じがしますね。
Posted by PER at 2009年02月07日 19:52
PERさんへ
こんにちは。コメントありがとうございました。債券利回りの上昇は、資金が債券市場から株式市場に流れ込んだと言うには各国の株式市場の動きが鈍い気がしますね。もちろん誰も正解はわからないわけですが。

私は債券市場から出た資金の行き先はマネーマーケットなんじゃないかなと思ってます。特に先進国は利回りが全体にめちゃくちゃ下がってるので、今の状況で金利リスクや信用リスクをとってまでリターンを取りに行こうとするインセンティブがあんまりないんじゃないかなと。長めのものより、「とりあえず」のマネーマーケットへ、みたいな。更に安全で、更に流動性の高い市場へ、みたいな。あくまで私の個人的な感覚なので正しいかどうか分かりませんけどね。

これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2009年02月08日 08:54
お返事有難う御座います。

MMFですか?。
米ドルMMFの金利が0.5%前後ですから、高金利に慣れた人たちには物足りないでしょうね。
そういう意味で、低金利に満足できないお金が、株式に染み出し始めたかなと。
まあ、MMFは株式に行く前の準備段階で、GMの問題も解決してませんし、オバマ効果が切れて更なる悪材料が出れば、また債券に逆流する事も考えられますからね。

米株式が上がろうが下がろうが、私としては今まで通り積立購入するだけですから、数年はボックス相場で構わないんですけどね。
Posted by PER at 2009年02月08日 23:54
こんばんは!

いやぁ〜、
国でもそれぞれのキャラがあるとはいえ、
というのか、私イヤです。。
そんなアホっぽいキャラの一員。。。

日本ってもったいない。
いい人ぶりぶりしたいみたいだけど、
せめてあの何でも笑顔はやめて頂きたい。
そんなところで笑顔振りまくなら、
せめてほくそえむ位の度量が欲しいです。

って、何故か現首相の顔しかちらつかない。
あの方にはあの方にもっとふさわしい役があると思うのです、決して首相ではないハズ。

あーーー、
賢い凛としたオーラがあふれ出ている政治家は
いないのでしょうか・・・・  。
Posted by グリーン at 2009年02月09日 22:22
PERさん、グリーンさんへ、
コメントありがとうございました。ちょっとお返事が長くなってしまってこちらだと読みにくくなっちゃったので本文のほうに載せておきました。
http://jovivi.seesaa.net/article/113963706.html
ご覧ください。
これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2009年02月10日 00:11
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