2009年02月01日

米オバマ政策とかIMFの経済見通しとか為替とか定額給付金とか

昨日はあんまり時間無くて、本の紹介だけで終わっちゃったので、改めて今週の話を。



まずは・・・IMFが経済見通しの修正版を発表しました。昨年の11月に修正版を出したばかりです。こんなにもしょっちゅう修正版が出るのって本当に珍しいです。まぁ・・・そういうことです。

とりあえずその修正内容を出しときます。


IMFprojection09JAN.bmp
(出所:IMF)

こんな感じ。列は2007年と2008年の実績値、今回修正した2009年と2010年の予想、そして今回修正した2009年と2010年の予想の前回11月時点の予想からの修正幅、です。で、行のほうには経済成長率、貿易量、物価、Liborの予想です。Liborって何よ?って方はこちらの記事をどうぞ。
http://jovivi.seesaa.net/article/107215456.html
http://jovivi.seesaa.net/article/93907912.html


しっかし先進国ひどいね・・・いつも言ってることですが、「彼らも未来を知ってるわけじゃない」し、「これは予言ではない」し、2009年と2010年というのは他でもない「短期の予想」ですので、それを踏まえたうえでご参考になさってみてください。


今年はこれまで2年に1回のペースで更新されてるゴールドマン・サックスの長期予想のアップデート版も出るはずなので、そちらも楽しみですね。


更にIMFはサブプライムローン問題に端を発する今回の金融危機についてのレポートを発表し、世界の金融機関の、アメリカの不良資産の影響による損失額は2.2兆ドルになるとの見通しを示しました。これは昨年10月に発表した見通しの1.4兆ドルから0.8兆ドル引き上げて、2.2兆ドルとしたものです。また、今後更に数千億ドルの資本増強が必要との見通しを示しました。

こないだもこれ
http://jovivi.seesaa.net/article/113138780.html
でお話しましたけど、ヨーロッパ、特に西ヨーロッパの大国が国レベルや民間金融機関レベルでとってきたリスクが顕在化しておきており、その膨大な量のリスクが明らかになるにつれ、これらの国々の今後の成長性や安定性、通貨の信頼性などについて懐疑的な見方が出てきています。ポンドやユーロのこの1年間の動きを見てみれば市場が感じている不安感や、そのゆらぎにつけこんで儲けようとするポジションが、円キャリー取引の巻き戻しの動きの向こうに見えてきます。

一方で、ジョージ・ソロス氏なんかはダボス会議でこんな発言をしてます。
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK836369720090129

【以下引用】
 [ダボス(スイス) 28日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス氏は28日、ポンドのショートポジションを組む戦略について、1ポンド=1.40ドルを下回るポンド安局面では、リスクが大幅に高まるとの認識を示した。
 世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で述べた。
 ポンドは先週1ポンド=1.34ドルまで下落。ソロス氏もポンドのショートポジションを組んでいたが、現在はポンドの見通しに弱気でも強気でもないという
 ソロス氏は「確かにポンドの下落は予想していた。ただ1.40ドルを下回る水準ではリスクが変わってくると感じている」と指摘。
 「ポンドのショートポジションを組んでいたのは事実だが、今はもうポンドに弱気ではない。ただ強気でもない。当面この近辺で変動していくだろう」と述べた。
【以上引用】

要は1ポンド=1.40ドル以下のポンド安水準でそこからまだ更にポンドの売りをするのはリスクは高いと思っている、という内容。こういうのは気をつけたほうがいいですね。どういう意図があっての発言か分かったもんじゃないですしね。ヘーとフーンで聞き流すべきだと思います。



次。

定額給付金。どうやら支給されるみたいですね。本当に腹立たしい限りです。まぁこれもこの国の民主主義の結果、多数決の結果なんだからしょうがないんでしょう。残念ながら日本国民の総意としてあの人たちに任せているわけですから。たとえ支持率が2割を切っててもね。

正気とは思えないよね。本当に。2兆円を1人12,000円ずつバラ撒くなんて。経済効果なんてほとんどない。効果がないものにお金を使うってのはお金を捨てるようなもの。2兆円も捨てるような余裕はこの国にはないでしょうに。

前にも書きましたけど、本当にみんなに配ったお金を使ってほしいと思うなら定額給付金よりも消費税の期間限定引き下げのほうが効果あると思うんですけどね。消費税による税収って年間10兆円程度ですから、1%の引き下げが2兆円程度の税収減になります。2兆円配る=支出を増やす、のも、2兆円減税する=収入を減らす、のも、財政負担としては同じです。

収入−支出=収支
50兆円 − 80兆円 = −30兆円(赤字)

こういう状態で

2兆円バラ撒いて支出を増やして
50兆円 − 82兆円 = −32兆円(赤字)

こうしても、


2兆円減税して税収減らして
48兆円 − 80兆円 = −32兆円(赤字)

こうしても一緒。


でもね、こんだけ気持ち悪い感じで配られる12,000円がどの程度の消費にまわるかわからないけど、「1年間限定で消費税を1%引き下げます。1年後には5%に戻します。」って言ったら、消費は増えやすいと思うんですけどね。特に家とか車とか大きい買い物を考えてる人は1%がでかいから、前倒しにするだろうし、車を買い換えたいなと思ってたけどボーナスが減っちゃったのでちょっとあと2〜3年はガマンかなーなんて思ってる人もちょっと頑張って買っちゃおうかなって思ったりね。


しかもね、財政収支に1人12,000円分のインパクトを与えるってのは、1人あたり12,000円配っちゃうと、その人の消費額は「もらった人がちゃんと使ってくれたとしたら12,000円」であって、ひょっとしたら12,000円の財政負担をしても「消費にまわしてもらえない可能性」もある。1人12,000円消費してもらえるのがベストシナリオ。でもそううまくはいかないだろうとみんな思っていると。

ところが、消費税を1%下げて、これで1人当たり12,000円分消費税負担を減らすってことは、その人の「消費額」は当たり前ですけど12,000円どころじゃないです。「消費税」が12,000円減る、ってことですから。もちろん、それで実際に消費が増えれれば、うまくいけば税率は下げても税収額が増えて、結果的に追加的な財政負担をしなくて済む可能性だってあります。

こんなのはちょっとお金のことを知ってる人なら誰でも思いつく話で、政治家の周りにいる賢い人たちも提言してたり、他の国で実際にやってる国もあるわけだから、こういう方法を政治家達が知らないわけじゃないんです。知らないわけじゃなくて、聞く耳がないんでしょうね・・・

「聞く耳」か「考える頭」か「使命感」か「責任感」か「プロ意識」か・・・

そのうちの1つでもあれば「定額給付金」という結論にはならんのだと思いますけどね。なっちゃうんだから困ったもんです。


ついでに言っとくと、この「期間限定 消費税引き下げ」と併せてやると効果的だと思うのが「期間限定 贈与税引き下げ&相続税引き上げ」。

日本の個人金融資産は1,400兆円ですが、このうちの75%を50歳以上が、60%を65歳以上が所有しています。金融資産のほとんどを高齢者が所有していて、使わない、動かさない・・・ならば若い人にどんどん移転させれば消費や投資にまわりやすくなるんじゃないの?贈与税を引き下げて、どんどん生前贈与をしてもらう、相続税を引き上げてたくさんお金を持ったまま死んだら根こそぎ国にもってかれちゃって損・・・みたいな感じにする。すると資産がどんどん若年層に移転していき、高齢者に比べて消費意欲・投資意欲の高い若い世代がお金をまわすと。

なーんて言うと、うちにはそんなに相続するほどお金もないし、生前贈与どころか日々の生活で精一杯・・・っていう人もいると思いますが、この国の「動かないお金」「滞留した金融資産」というのは見えにくくなってはいますが、実際にはメチャクチャあるわけです。日本に1億円以上の金融資産を持つ世帯というのはどのくらいあると思いますか?





1,00世帯?10,000世帯?





100軒に1軒?1,000軒に1軒?





答えは・・・





ゴクッ





90万世帯です。

1億円以上の金融資産を持つ世帯というのは、日本に90万世帯以上あります。90万人じゃなくて、90万世帯ね。日本の全世帯数が4,900万くらいですから、1.8%、だいたい55世帯に1世帯の割合です。すごいでしょ。あるんですよ。ないフリしてる人が多いだけで。使わない人が多いだけで。


期間限定 消費税引き下げ&贈与税引き下げ&相続税引き上げ


どうっすか?あんまり財政負担なく消費を増やせると思うんですけどね。




次、最後。

アメリカ。オバマ大統領のスピーチがあちこちで大絶賛されてます。でも、金融界・経済界は彼に対して結構冷ややかです。実際に彼の支持層を見てみると知識層ほど低くなっているようです。「彼は素人だけだ」「彼は子供だ」という声も結構聞こえてきます。特に歴代大統領の中でも最も困難な壁に挑むことになる金融・経済問題。彼の手腕に対する懐疑的な見方は日に日に広がっていってますし、就任当日の株価があんな風だったのも、その後の株式市場の動きがこんなのもそうした心理を映し出しています。

8,250億ドルの景気対策もその詳細が明らかになってきていますが、うち、5,500億ドルが追加支出、2,750億ドルが減税、です。つまり、使うお金は5,500億ドルなわけですが、そのうちの2,150億ドルは赤字州への財政補填、州の医療保険への補助、あたりの公的なもの。これは景気刺激にならんです。失業者への手当てとか健康保険とか住宅差押さえ対策とかで1,250億ドル。これも景気刺激になりません。ここまでで3,400億ドル。その他研究開発支援とかがあって、ダイレクトな景気刺激策となる公共投資は実は800億ドル程度。少なくね?ギン子が言ってた投資減税もあんまりないし、企業向け減税も瀕死企業の救済ばっかりだし・・・

そういうものよりも社会保障とか地方の財政対策とか弱者対策のほうが全然大きいし・・・それはそれで大事なことなんですけどね。なんつっても今は、金融システムの安定化と景気対策が一番の課題のはずなんですが、ここがどうにもこうにも今ひとつ・・・というわけで今のような状況と。今のマーケットはこれらに対する評価を表してるんだと思います。

こうして見てくると、ドル、ポンド、ユーロは短期的には円に対してまだまだ弱い状態が続くのかもしれないですね。以前から申し上げてるように長期的には円を積極的に買う理由はあんまりないと私は思ってるんですが、短期的にはこうした現在の状況を反映する動きやそれらに乗じて儲けてやろうという資金の動きで円高方向に圧力がかかりやすい状況が続くんじゃないでしょうか。そしてそれらが前進したり、後退したり、を超短期間で繰り返し、短区間のスイッチバック電車みたいに行ったり来たりしまくり・・・みたいな。こういう相場で短期の売買してる人は大変でしょうね・・・長期の人はこういう時期はいつも以上にも増してこうした短期の動きや話題や見通しに惑わされたり、踊らされないような意識を持つことが必要だと思います。これまで通り私は相場の予想をしてやろうとか、そもそも自分が全く興味も関心もない短期の見通しを語ったりするつもりは全くありませんが、みなさんが惑わされたり踊らされたりしやすい環境が続いていて、今後その傾向が更に強まる可能性があるので、ご注意くださいねっていう注意喚起をさせていただくまでです。ただそれだけ。短期の相場を言い当てようなんてつもりは全くありませんので誤解しないでくださいね。

今週はこんな感じで。


↓ランキングです。ポチッと押して投票お願いします。
にほんブログ村 株ブログ 投資信託へランキング参加中!


FC2 Blog Rankingb_03.gif








posted by ジョン太郎 at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック