2008年12月20日

為替の見通しとかエマージング株の話とか

今日は為替の見通しの話とかエマージング株の話とか。

米政府はアメリカの自動車大手、GMとクライスラーに1兆5000億円の緊急融資を行うことを発表しました。うーん・・・それでいいのか?それしかないのか?

このお金というのは、怪我で出血がひどく、死にそうな状態のところに、「生き延びる」ための「輸血」をするだけです。出血の原因となっている怪我を自分で治すことを輸血の条件に求めていますが、依然出血は続いてますし、怪我が治るのか、出血が止まるのか、は分かりません。つまり、今回の輸血の後も怪我が治らず、出血が続いていれば、その後も更に輸血を続けないとその時点で死んでしまう、むしろ今回入れたお金の分だけ被害が増えた、なんてこともあるわけでそれを避けるために次の輸血を、なんていう悪循環に入る可能性もあるわけです。いくら影響が大きいからとは言え、私はちょっと今回の融資には疑問です。というかアメリカの有権者の人たちだって、ケガが直る、出血が止まる、と確信できるまでお金を入れるという決断をしてほしくなかったんじゃないのかな・・・

アメリカの10年国債の利回りは2%割れ間近・・・3%割れだっていつ以来だよってくらいだったのに・・・
原油も昨日32ドル台つけてましたし。

まぁ分かりやすいと言えば分かりやすい。とにかくリスクを避け、とにかく安全だと思えるほうへ、とにかく流動性の高いものへ、これは為替も株も債券もコモディティもREITも全部に共通してます。そりゃそうだよね。お金をどこに持っていくかって話なんだから。


さて、今日はまずは為替の見通しの話について。
さらに円高・ドル安が進んでますが、これ、この先どうなっちゃうんでしょうね。
ってよく聞かれるんですが、むしろ私から聞き返したいのは、



「それを知っている人がいると本気で考えているのか?」



ということです。
もし答えが「YES」ならそんな幻想はとっととお捨てなさいと言いたい。声を大にして言いたい。もう1つ。



「それ聞いてどうすんだ?」



です。
長いことこの金融の世界で生きてきて、物凄い人数の物凄いいろんな種類の人の予想や見通しを聞いてきました。今も毎日大量に聞いてます。「現在起きていることの説明や解釈」とか「過去の検証」なんかはなるほどと思ったり参考になるなーと思ったりもしますが、一個人投資家としての私にとっては世の中に溢れている今後の為替の予想とか見通しなんぞは極めてどうでもいい情報です。世の中にはいろんなこと言う人がいるわけで、レンジで例えば1ドル75円から95円の範囲内を予想(広っ!)をする人、100円前後での動きを予想する人、95円から110円を予想する人、100円から130円を予想する人、あたりがいれば誰かの予想は当たるでしょうよ。でも「誰が言い当てるか」をあらかじめ特定するのは為替を当てるより難しいんじゃないの?円高・円安の2択当てるほうがまだ当たりやすかったりして・・・

だいたい、今90円で「今後80円から100円のレンジで推移すると予想」って予想聞いてどうすんのさ。それでどうしようって言うのさ。それに合わせて売買するんならまだしも、それに合わせて売買するわけでもないのにそんなことを気にしたりそんな情報を集めようとしても時間の無駄です。そういう情報は短期的に売買をするFXでもやってる人向けのもんだ、自分には関係ない、って思うのがいいんじゃないですかね。為替も短期と長期は全くの別物です。短期の見通しを当てるのが必要なのは短期的に売買をして儲けようとする「投機」をする人だけ。基本的に売買をせず、保有しっぱなしで資産を増やそうとする「投資」をしている人にはあんまり関係ないはずです。未来を本当に言い当てることができる人がいて、自分がその人を知っていて、その人が言うことを信じて底値で拾う、そんなことができると信じているなら別ですが・・・

もちろん、保有しているもの、投資しているもの、の時価を変動させますが、投信の基準価額の日々の基準価額の変動と同様に、それによって投資成果が決まるわけじゃないんですから。例えば私が100万円でとある株を買ったとして、それがあれよあれよという間に200万、300万、400万、500万と上がっていったとします。その後大きく下げて50万円になってしまい、現金が必要になり、結局50万円で泣く泣く売ったとします。私の投資成果は何%でしょう?100万円で買って50万円で売ったんですからもちろん−50%です。「途中5倍になってた時期があった」とか「途中のパフォーマンスは+400%だった」なんてのはどうでもいいことです。そんなものは1円にもなりません。お金じゃないんですから。実現してない利益なんですから。もちろん実現していない利益だからこそ税金を払わずに済むわけです。こんなものは感情上重要なだけであって、お金の変化、投資成果というのは実際に最終的にいくら儲かったのか、という点だけのはずです。

長期運用をする投資家にとって為替について知っておかなければならないのは次のようなことだと私は考えてます。あくまで私の考え、なのでこれが正解だと言うつもりはありませんが。
・短期の値動きと長期の値動きは別
・短期の為替変動は自分の投資成果とは無関係で、自分がその投資をやめる時の為替レートだけが投資成果を決める
・為替は行ったり来たりする
・長期的には他の国との相対的な国力とか経済力の地位を反映していく
・長期間の投資成果に為替が与える影響は小さい。日々の基準価額の動きとか3ヶ月、1年の騰落率といった短期間の、全く参考にならないパフォーマンスで見ると為替の存在感は大きく、株や債券よりも大きく影響することも多いが、長いこと運用していると大した存在感ではない。
・未来を知っている人はいない

長期的に投資するなら、自分が成長すると思う国の通貨を保有しとけばいいと思いますよ。これから10年投資するつもりなら、10年後により成長していると思う国の通貨を買う、くらいのスタンスが現実的だと思います。まぁ為替はトントンくらいでもいいや、ちっと負けてもいいや、くらいの感じで。なーつってもこの記事(http://jovivi.seesaa.net/article/92326377.html)で書いたように、短期だったら為替の影響で全部もってかれたりもするんで、こういうことを言った後には必ず「長期と短期は別ですよ」と付け加えないといけないわけですが・・・

イメージしやすくするために1つだけ例を。

20081220-3.jpg

これは87年末から足元まで20年間日本円から米国株に投資してた場合のパフォーマンスです。紫の折れ線はドル円の為替レートの推移。薄赤の太線でトレンドを示してありますが、行ったり来たり、を何度も繰り返してきてます。さらに薄青の矢印が少しずつ円高になってきている大きなトレンドを示してます。これはここ最近の為替と同様に、「円高」って言うよりは、「ドル安」って言うべきものなんじゃないかなって思います。以前から言ってるように別に積極的に円買うような理由なんてないし。オレンジの折れ線はドル建ての米国株の動き、つまり為替なし。アメリカ人にとってのアメリカ株の動き。で、円から投資してた場合、日本人が投資してた場合、の円建てのパフォーマンスが緑の折れ線。87年末を100とすると20年で、ドル建てで363、円建てで286まで増えました。去年の夏までであればどちらも600を超えてたわけですが・・・

この間の為替はもちろん先ほど見たように行ったり来たりの中期の波と、薄青の矢印が示す長期のトレンドと、日々1分1秒ごとの短期の波、を繰り返してきたわけですが、87年末のドル円レートは1ドル121円で直近の11月末のドル円は1ドル95円ですんで、この間、20年間の途中経過はともかく為替では負けたわけです。他でもない121円買いの95円売りになるわけですから。途中で160円台もあったし、そのあと140円台もあったのに・・・とか思うかもしれませんが、そんなのはこの20年の投資成果に関係なし。でも、100万円は286万円になった。為替で負けたせいで、ドル建ての3.63倍よりもリターンは減っちゃったけど。でも株にはこれくらいの力があるわけです。別に長期間であれば株のリターンは為替の多少の負けなんか吹っ飛ばすことが可能ですよってことです。大事なのは株に投資してるんだからその株が上がるかどうか、です。グラフの下のほうに紫の面グラフでPERの推移をのせときました。見ていただくと、PER20倍超えてるところってほとんどないですよね。ずっと20倍以下で安定してます。つまり、これだけ株が上がったのは、株が長期的に企業の利益の伸びを反映したってことです。株が上がって利益が増えてないならPERが上がっちゃいますから。PERが上がってないってことは、株と利益が両方伸びたってことです。

ところがこのパフォーマンスだって、途中の短期間をとれば株のリターンを為替が吹き飛ばしたり、株でちょっとプラスなのに為替で大きく負けてるような場面もありました。その時に、そんな短期間のパフォーマンスで判断して、長期で運用するなら存在感が小さくなる為替のせいで下がったパフォーマンスで判断して、諦めて売却してたら・・・なーんてケースはよくある話です。長期投資をするなら、為替で気を揉むのはやめましょう。自分がこれから先の投資期間で「日本より成長するんじゃないの?」って思える通貨を持てばそれでOK、あとは途中の変動は気にしない、くらいでいいんじゃないかな。為替なんぞに神経をすり減らし、為替の影響で動いてる基準価額の動きを長期のパフォーマンスと履き違え・・・で、そんなものに気をとられて木を見て森を見ず、になってはいけません。

為替についてはこのへんの記事もどうぞ。
http://jovivi.seesaa.net/article/84316988.html
http://jovivi.seesaa.net/article/101217327.html
http://jovivi.seesaa.net/article/106101013.html


あと、エマージング株。
「今年の年初から●%も下がってます」ってのがあっちこっちで出てますが、今の水準でも儲かってる人ってのはいます。主なエマージング国の株のパフォーマンスを見てみましょう。

20081220-4.jpg

上の表は投資を開始した時期別の足元の水準でのこれまでのリターンを並べたものです。たとえば新聞なんかによく載ってる、「今年の年初から」ってのは「2007年末」って行を見ればOK。2007年末に買った人の直近までのリターン=年初から直近までのパフォーマンスですから。2007年末にブラジル買った人は今、−38%になってる、ロシア株なら−71%、インド株なら−50%、といった具合です。現地通貨建てってのは為替リスクなしの株の動きだけ。円ベースってのは為替も込みのパフォーマンスです。円から投資して、今、円ベースでいくらになってるかってやつですね。2004年より前に買った人なら今の水準でも結構プラスになってるってのが分かります。今の水準で儲かってる人と儲かってない人の違いはなんでしょう。

買ったタイミング?

私は、ここまでの投資期間の違いだと考えるのがいいんじゃないかなと思ってます。
昔、この記事
http://jovivi.seesaa.net/article/83403382.html
で詳しくお話ししましたが、投資期間が短い場合は買ったタイミングで投資成果が大きく左右されますが、投資期間が長い場合には買ったタイミングによる差があまり大きく出ません。今の時点で大きな含み損を抱えている人は、買った時期を嘆くよりも、自分が投資している期間がまだ短すぎるのだ、と考えるのがいいんじゃないかなと思います。

投資タイミングとか、長期投資の話しとか、長期投資の場合の買い時の考え方の話なんかは、このへんの記事もご覧になってみてください。
http://jovivi.seesaa.net/article/105725950.html
http://jovivi.seesaa.net/article/106494014.html

今週はこんな感じで。


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posted by ジョン太郎 at 14:42| Comment(3) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジョン太郎さん
>為替?「それ聞いてどうすんだ?」

ハイ 聞いたのは私です。スミマセン
ココが長期投資テーマのブログってことをついつい忘れてて・・・・

一部資金を米ドルのまま口座に入れっぱなしでいつ円転しようか悩んでいましたので、つい甘えて聞いてしまいました。
1ドル50円説もとびかってとっても不安だったもので・・・・
シクシク(ノ_・。)

しかし、長期投資とネットの関係って、難しいですねえ。わかっちゃいるけど、つい気になっちゃう・・・あちこちをサーフィンしちゃうので、今日明日の恐ろしい話も覗き見るわけで・・・
いっそ しばらくパソコンの電源引っこ抜いとくくらいで丁度いいのかも・・・?
Posted by deko at 2008年12月20日 21:25
dekoさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
いやいや、dekoさんのことじゃないですよ。dekoさんに限ってのことじゃないですよ、と言ったほうがいいのか・・・
でも、私はいろんな人からめちゃくちゃ聞かれてるので、決してdekoさんに限ってのことじゃないです。dekoさんに聞かれたことに答えるだけだったらコメントでお返事します。いつもそうしてるように。

1ドル50円説ですか。ミスター円の榊原さんなんかも50円とか言ってますね。私はその上をいく10円説と500説でも作って流してみますか。どっちが広まるかな・・・dekoさんはどっちを信じますかね。

不安なのは分かりますが、不安を解消できるのは自分自身だけですよ。不安な時にその解消を他の人に求め、渇望し過ぎると、騙そうとしたり、からかってやろうと思う人には格好のターゲットに見えちゃうかもしれませんよ。話半分で聞く余裕がない状態というのは危険です。自分をコントロールできるのは自分だけ。

ネット上の情報だったらその9割以上は素人が発信しているものなんじゃないでしょうか。ここでの私の話も含めてですが、話半分7がけくらいで聞く余裕が必要だと思います。また、よく「いろんな人が言ってるから」とか「みんなが言ってるから」とかって言う人もいますが、10人のうち1人だけがちゃんと分かっていて、9人が勘違いしてたり分かってなかったりする場合、「みんなが言ってること」のほうが正しくないことになります。これはネットの世界に氾濫する投資や運用の話には非常によく見られる現象です。

50円になるのが怖いなら、90円で円転したらよろしいんじゃないでしょうか。それで100円になって悔しい思いをするのかもしれませんが・・・そりゃしょうがないでしょう。そういうもんですから。と言われて「そんな・・・」って思う人は注意したほうがいいと思います。投資の世界のルールは、「誰も未来を知らない」です。dekoさんが円転する前に1ドルが今後50円になるのか100円になるのか、dekoさんに正確な情報を与えてくれる人はいないわけですから。少なくとも私じゃないことは確かです。そんな人がいるって前提を早く捨て去ったほうがいいんじゃないかなと私は考えます。

お気をつけを。
これからもよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2008年12月20日 23:52
2回目の書き込みです

某証券会社の新人さぶです
今日も外回り中に読ませてもらってます

円高円安
確かに気になります

すっごい毎日気にしてます 笑

円高だし
原油安だし

間逆でも世間は煩いし

じゃあどのポジションだったら
納得の値なんだ???

と、この半年の高低と
それに騒ぐマスコミやお客様や先輩をみて思ってました

その方々の視点は違うから
どちらでも騒ぐ人がいるんでしょうけど

長期スタンスでいれば
慌てずにいれますね

ミスター円高の榊原さん
もうこれ以上
皆さんの感情を煽るのはちょっとやめて欲しいです 笑

ほんと言ったもん勝ちですよね
Posted by さぶ at 2008年12月22日 14:52
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