2008年12月06日

今週の話1206

最近こればっかりな感じの今週の話。

まずは昨日発表されたアメリカの11月の雇用統計。雇用者数は前月比53万人減と74年の60万人減以来「34年ぶり」の減少。まぁ今3億人いるアメリカの人口は70年代には2億人くらいしかいなかったわけですが・・・
失業率で見ると、昨日発表された11月の失業率は6.7%。ちなみに、90年代初頭は7%前後、80年代初頭は9%前後でしたから、「34年ぶり」とまではいかない。「93年10月の6.8%以来の水準」とやや派手さとインパクトに欠ける数字になっちゃうのであっちこっちの見出しは「34年ぶり」になっちゃうと。
アメリカの株式市場は雇用統計の数字を受けて朝方は下落してたものの、保険会社の業績見通し引き上げを受けて金融株が買われるなどして、結局昨日のダウ平均は前日比+3.09%、SP500は+3.65%、と急反発して引けてます。いつも言ってるように、日々の動きに一喜一憂してもしょうがないのでこれはこれでスルーしときましょう。長期運用してる人はこれで損益決まるわけじゃないんですから。
実体経済が悪くなってるのはみんなわかってるんだから、新しい数字が発表されるたびに「やっぱり実態経済の悪化が!」って驚いてみましょう、みんなで一緒に深刻さを受け止めて一緒に悲観的な気分を共有しましょう、的な誘導とかしなくていいんじゃないの?


次。
タイの憲法裁判所が与党3党の解党処分を出し、ソムチャイ首相が失職、ソムチャイ政権は崩壊しました。で、国際空港を占拠していた反タクシン派、反政権派の市民グループは空港解放へ。これ、先週の記事をお読みになった方であれば、どういうことなのかすぐわかりますよね。
先週の記事はこちら。
http://jovivi.seesaa.net/article/110383534.html
今回の一連のデモや空港占拠や反政府運動というのは、ずっと前から続いている、「反タクシン」「反・タクシンの一族とかタクシンと近い人とかタクシン一派とか」の一部です。今回、司法当局の違憲判断によりソムチャイ首相が退陣し、「国民の力党」が解体されたわけですが、ソムチャイ氏は思い切りタクシン一派なわけですし、今回解党させられた「国民の力党」はタクシン氏が所属していて選挙違反で解党させられた「愛国党」の人たちが一斉に引っ越した引越し先で、器を換えただけで中にいる人は完全に愛国党の人でタクシン一派なわけで、という政党。その引越し先の「国民の力党」が今回の処分で解党処分となり、既に今週の判決を想定して事前に用意されていた「タイ貢献党」に、「国民の力党」のみなさん、つまりもとはと言えば「愛国党」の皆さん、が一斉にお引越しをするわけで、全く同じことが繰り返されているだけということがわかります。

更にソムチャイ氏の次の候補として名前が挙がっている人たちも完全にタクシン一派。この人たちの中から、タクシン一派の中から次の首相が選らばれ、2度も解党処分になったタクシン派の人たちが普通にみんなで引っ越して、やれやれと引っ越し先で落ち着いて、また居座っている、なんていう事態を「反政権・反タクシン」グループが認めるはずもないわけで、つまり、今回の空港占拠騒動はひとまず終わったわけですが、この流れは今後もまだ続き、また別の騒動が起こる可能性が大いにある、ということです。ニュースを読んだりコメントをしながら、「これで一安心」とか「やっと解決」とか言ってるインテリ気取りな人たち、まだまだ終わってないんじゃないすか?このブログ読んでる人たちのほうがちゃんとタイの実態把握していると思いますよ。


今週はヨーロッパやオセアニアの各国で大幅利下げが行われました。これで、実際の企業への貸出金利が下がるかどうか、資金供給が増えるかどうか、はまた別問題。あと、ヨーロッパのユーロの周辺国、東ヨーロッパの国々で、この利下げについていけない国も。つまり、一緒になって金利を下げることができなかったり、むしろ利上げしないといけない国。こういう国は、とにかく金利を高くして外国からのお金を呼び込まないとどうにも首が回らなくなってしまっているわけで、ファイナンスはカツカツ、自国通貨の下落も歯止めできず、という状態の国が多いはずです。この辺は要注意です。そういう国に対してユーロ圏が救いの手をどこまで出せるのか、IMFが出すのか、アメリカがドルスワップをつけてあげるのか、これが2009年の注目ポイントになってくると思います。でも、ユーロ圏は正直、域内のことで手いっぱいですし、むしろ東ヨーロッパ、南米、アフリカ向けにガッツリファイナンスをしてしまっていて域外の火事への導火線をたくさん持ってしまっていてその導火線で域外の火事を域内に持ち込んでしまう役割を、ユーロ圏内のお兄ちゃん格のフランス、ドイツ、イタリア、スペインあたりが果たしてしまうと本当に大変なことになります。となると、やっぱりIMFかアメリカか、というのが現実的な候補者なわけですが、IMFの場合でも結構な部分が、アメリカの場合は、かなりの部分が結局実態的に後ろで日本がファイナンスをつけてあげることになることは明らかです。結局日本と中国がファイナンスつけるしかないんですから。アメリカが資金出すには日本と中国が米国債引き受けるしかないんですから。その米国債を日本が引き受けて、つまり結局は日本国民が引き受けて、日本人の貯金から資金は出してあげるんだけど、実際に資金を困っている人に渡す役目はアメリカがするわけで、表ではアメリカが「俺が救ってやった」「俺が助けてやった」顔をすると。相変わらずのワンパターンですな。どうせだったら、日本が直接出せばいいんですよ。プレゼンスもあがるし、発言力もあがるんだから。まぁそんなのを期待するだけ虚しいか・・・


金融庁はREITの資金繰り悪化を警戒して一斉調査を開始。いよいよ師走だけれども、年越えられんのか、って話です。正月の餅代はあるのかと。2005年とか2006くらいのウハウハな時に目をつぶってて、この時期になって、この2008年のそれも年の瀬になって・・・じゃねぇ・・・今年は不動産業者がたくさん潰れました。REITの破綻まで発生しました。外資系の金融機関からお金を借りて不動産を買いまくってた不動産業者やREITが、日本の銀行はとてもじゃないけどそんなレートでそんな商売に金は出せませんよと言ってしぶっていた不動産業者やREITが、外資系の金融機関の破綻や商売の見直しで、借金の借り換えや新規の借入ができなくなって、首が回らなくなっている状態にあります。何度も書いてますけど、「もともと貸してなかったし、そんなレートでは日本の銀行は貸せん!」って言ってたんだから、そんなところに貸していた、そんなレートで貸していた外資系が撤退したからって、代わりに貸してと日本の銀行に泣きつかれても、「貸せん!」って話だし、「10%とか15%とかサラ金並みの金利なら貸せるけど」って話です。これで日本の銀行が貸し渋ってるとか、安いレートで調達できてて、資金供給もじゃぶじゃぶに受けてるのに銀行はその役割を果たしてないって言われてもたまらんですよ。そんな背景も知らず、そんな構図すら理解できてないニュースキャスターやコメンテーターが、銀行の貸し渋りで、とか言ってるのを聞くと本当に呆れてものが言えません。

ムチャクチャなリスクをとって金を貸してくれていた外資系金融機関からの借入があって初めて成り立つ商売をやっていた人たちが、その外資系金融機関がとっていたリスクの大きさで潰されて撤退して、資金を貸せなくなった状態で、今までと同じように商売ができるわけがないんです。その代わりを務めてくれる人なんかいないわけですし、いたらその人が外資系金融機関の二の舞になるのは明らかだし、それでも貸せって言われればそのリスクに見合ったムチャクチャな金利で貸さざるを得ないわけだし、その金利を支払えるほどの儲けの出ない商売だって言うんならやっぱりその商売はそもそももう成り立たなくなっているんだということです。年末の資金繰りだけどうこうじゃなくって、構造的に無理がある、もはや成り立たないし、突っ込んでしまった部分やかさ上げされちゃった部分は吹っ飛ぶしかないんだってことを認めるしかないんじゃないですかね。マネー雑誌やビジネス誌の人たちもREITの利回り比較だけやってても実態は見えんですよ・・・

以前にこんな記事を書きましたが、
http://jovivi.seesaa.net/article/90452269.html
この時のREITの比較表の、その後潰れてしまったニューシティー・レジデンス投資法人のH列とかK列を見ると、やっぱり他のREITと比べても借金の額や金利の支払い負担が大きかったんだなってことが分かります。REITは借金で成り立ってるんだから、やっぱり借金のデータなしに検討はできませんよ・・・私は前にも言いましたがREITに投資したこともありませんし当面投資するつもりもありませんが、REITに投資しようって方はこれら以外にも借金の借入期間とか調達金利の比較なんかもしといたほうがいいでしょうね。利回り比較なんかだけで選んだらとんでもないことになります。

まぁこれはREITだけじゃなくて株を買う場合も全く同じですが。REITの利回り比較よりももっと凄いのが「株主優待比較」の類です。「株主優待で選ぶ」なんて狂気の沙汰です。マネー雑誌なんかで「徹底比較!株主優待!」とか「株主優待に注目!」とかって意味不明な特集をバンバンやってるけど、驚きますよね。すんごいですよね。何考えてるんでしょうね。株主優待で投資する株選んでどうすんだと。

皆さんご存知だと思いますけど、マネー雑誌とか作ってる人って基本的に素人の人が多いですからね。金融業界や投資の業界で経験積んだ人が作ってるわけじゃないですから。テストに出る内容を勉強して、フィナンシャル・プランナーの資格をとりました、ってだけの人でも「専門家」として普通に解説やコメントを書いてたりするわけですし。そうじゃなきゃ、「株主優待で選ぶ!」なんて言えないですよ・・・投資の世界でちょっとでも仕事したことあれば「株主優待で株を選ぶ」なんてことは冗談でも言えないはずです。10万円で買った株が紙くずになって3,000円分の自社製品もらってどうすんだと。株をなんだと思ってるんだと。

なんていう事態を見ているとやっぱりここらで冷や水を浴びせられて、冷静になる機会を得たというのは一定の意義があったんじゃないかなとも思えてきます・・・みなさん、落ち着いて。冷静に。


今週はこんな感じで。年の瀬もせまり、いよいよ2008年も終わりですが、本当に凄い1年でしたね・・・


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posted by ジョン太郎 at 13:14| Comment(2) | TrackBack(0) | ジョン太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ
初めてのコメントです。いつもいつも、興味深く拝見していました
金融のことは本当に「ため」になっており感謝しています

今日は「タイ情勢」について、ちょっと。
タクシンさんと反タクシンさんの対立はおいておいて・・・
過日、「プミポン国王の跡が心配ですね」
とタイの方に言ったら、「世の中には突然死というのがありますから」
とそのタイの財界人はおっしゃいました

日本でも孝明天皇さんの、薩長にとって都合のよい時期の突然の「おかくれ」がありましたね・・・

王女さんで優秀な方が国民のひそかな希望になっているようです。

これらのことを踏まえると、当分タイは安定しないのではないでしょうかねえ。
困ったことです。
Posted by シリキット at 2008年12月06日 20:50
シリキットさんへ
こんにちは。はじめまして。コメントありがとうございました。お返事遅くなってしまってすみません。
これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by ジョン太郎 at 2008年12月14日 13:26
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