2008年09月13日

長期投資も見極めが肝心?日本株は長期で持ってもマイナス?【オススメ】

ぽぴいさんに頂いたコメントについてのお話。今日は、長期投資も見極めが肝心?日本株は長期で持ってもマイナス?あたりの話を。


ぽぴいさん、コメントありがとうございました!
まず、ぽぴいさんに頂いたコメントはこちら。
http://jovivi.seesaa.net/article/106137458.html#comment



で、私はほぼ一箇所も同意できません。
全然そんな風には思いません。



【それが今や基準価額も激落続行中です。】

→多くのファンドでそうだと思いますが「続落」を始めたのはたかだかこの1年の話ではないでしょうか。パフォーマンスを論じるにはあまりにも期間が短すぎます。1年前に買ってこの1年で売り抜けるつもりだったのならば、それでも良いと思いますが、長期投資が投信の前提にも関わらずこの1年のパフォーマンスであれこれ言うのは新聞やマネー雑誌と同じレベルです。それらが正しいとは全然思いません。まさに、よくここでお話ししてる、天候と天気の違いの話です。この1週間の天気を振り返ってその土地の気候の話をし、暑い/寒い/雨が多い、などと言うようなものだと思います。1週間雨が降り続いたら、この先5年間も雨が降り続くものなのでしょうか。たった1ヶ月で/半年で/1年で、これだけ下がったんだから今のうちに逃げないととんでもないことに・・・ってのはそれと同じ話です。大事なのは長期的に勝てるかどうか、です。長期的に株に投資をするなら、その株価が反映するのは投資している企業の利益です。利益が伸びる見込みのない企業の株、成長していくとは思えない企業の株を集めたファンド、利益が伸びていかなそうな企業ばかりが集まる国の株式ファンド、を買ってしまったのなら売ってしまえばいいと思いますが。株への長期的な投資ならば、判断のポイントは「自分が長期的に投資対象の企業の利益が伸びていくと思えるかどうか」だけではないでしょうか。もちろん、足元の動きに合わせて売ったり買ったりする人は別ですが。



【嫌なことに純資産も減少の一途。】

→みんなが解約しまくって、解約が増えて純資産が減っている、という意味だと解釈します。このブログでは個々のファンドについてどうこう言うのは控えたいと思いますが、投信の純資産というのは資金の出入りが全くなくても増えたり減ったりします。純資産総額というのは「ファンドの中にある財産全体の時価評価額」ですから、中に入っている株や債券の価格が上がれば増え、下がれば減ります。これに加えて資金の出入りによる増減、があるということになります。株のファンドであれば大きく下落した株価の影響で純資産が大きく減少しているファンドもあると思いますが、それは必ずしも解約が相次いでいて、みんなファンドを解約しまくっている、とは限りません(もちろんそういう場合もあります)。つまり、純資産総額の動きを見ているだけでは、解約が増えているのかどうか、純資産総額が減少したのが「組み入れ資産の価値の下落」と「解約による資金流出」のどちらの影響が大きいのか、といったことは分かりません。


【もっと古い日本株のファンドはもう半分以下になっています。】

→実は、長期投資の話をする時に、日本株は別、日本株は例外、です。って言うと「そんな例外例外言ってたらキリがない」「結局全部例外なんじゃないか」とか言われそうですが、とにかく日本株は別。実際に過去に長期投資をしても報われなかったケースが多いんです。これは日本がこの10年、15年の間、全く成長しなかった、むしろ後退した、というのが一因です。成長しない国の株に投資してればそりゃあ・・・って話です。ただ、GDPが10年とか15年かけて減る、ってこと自体が超異例のことです。戦争をした国とかハイパーインフレを経験した国とか以外では私は知りません。ましてや先進国では見たことがないです。結構古いですがこの記事
http://jovivi.seesaa.net/article/43181442.html
でご紹介したとおり、日本だけが過去10年、15年という長時間をかけて、経済を後退させました。福田さんが総理大臣辞職を発表する直前に、来春を目処に「経済版福田ビジョン」ってのを策定する方針を固めたって報じられて、その「経済版福田ビジョン」ってのは、10〜12年後に日本の「1人当たりGDP」を世界TOP10入りさせるために必要な経済構造改革をするもの、って話をこないだしましたね(http://jovivi.seesaa.net/article/105919667.html)。TOP10に入ってたものをずるずると引き下げていったのもあなたがた政治家と官僚のせいではないんですが聞きたいところですが、とにかく日本は経済効率をここまで落とし、経済力をここまで後退させてきました。
20080802-2.bmp

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◆1人当たりGDPについて詳しくはこちら
1人当たりGDPランキング。ちょっと経済のことに詳しくなれますよ。【オススメ】
http://jovivi.seesaa.net/article/104071473.html



で、そんな日本の株に投資している人がどうなっているか、をちょっと見てましょう。先月末の2008年8月末時点を基準に、2007年の6月から始めた人は8月末時点でどのくらい損をしいるか、2006年2月から投資を始めてた人はどうなってたか、じゃあ2005年からやってた人は、ってのをずらっと並べたものです。全て株のパフォーマンスです。

2008081.bmp

これを見ていただいたら分かりますが、「最近、ここ数年で、株への投資を始めた人」ってのはほとんどの人が損をしているってのがわかります。ほぼどのタイミングでどの国に投資をしても8月末時点でマイナスになってますから。ところが2005年よりも前に投資をした人はみんな儲かってます。なぜか。8月末までの期間が長期になり始めているからです。株価は期間が長くなるほど長期投資の特徴を大きく示すようになり、短期的な値動きのような企業の利益と関係のない話の影響を受けにくくなり、企業が時間をかけて、苦しい場面を乗り切る努力をして、利益を伸ばす、そんな利益の伸びを反映し始めるようになるからです。

ところが、ぽぴいさんの日本株ファンドはここに出ているよりもずっと低いリターンになっている、半分になっている、「もっと古い」というのはどのくらい古いのか。もう少し古いデータを見てみましょう。データが多くなってしまうので、今度は月次ベースではなく年次ベース。過去の各年末から投資を始めた人が先月末時点でどういうパフォーマンスになっていたか、というのを示したものがこちらです。

2008082.bmp

89年末から日本株を始めた人のパフォーマンスは−43%になっていますね。これだと半額近いです。この数字は税金を無視して配当込みのパフォーマンスを計算したトータルリターン指数に基くものなので、配当を考慮しない価格のみで計算したTOPIXだと−56%、日経平均だと同期間で−66%となります。ここらへんでスタートした人、失われた10年とか15年の始まりの時期に日本株への投資を開始した人は結構マイナスのリターンになっている人が多いと思います。だって日本は成長してこなかったんだもの。ちなみにトータルリターン指数のデータがあった国はトータルリターン指数でやってます。なんせシュミで貯めてるデータでやってるんで、ないものもあるんです。

同じ期間のそれぞれの国の1人当たりGDPも載せておきました。日本の1人当たりGDPは、1995年に比べて18%も減っています!1人当たりの経済効率が下がって人口まで減ってりゃあ、そりゃあ・・・ねぇ。その95年から日本株に投資してた人は−6%になりました。ちなみにこの95年というのはドル円が80円を突破し、円が史上最高値をつけた時でもあり、日本の労働人口がピークだった年でもあります。同じ先進国でもカナダなんかは95年に比べて1人当たりGDPを115%も増やして倍以上にして、株価も95年に比べて+496%と6倍にまで上がってます。もちろん、先月8月末時点の株価で、です。

日本の失われた10年の間、日本株に投資をしてた人は、長期投資をしても報われませんでした。長期間保有してもマイナスのリターンになったりしてました。ですから、成長しないと思う国に投資をしてはいけません。自分が成長すると思える国の株を買いましょう、という話です。日本株の話は長期投資の話の中では例外です。



【長期であっても、ファンドも売り時が大切な気がします。】

→そうは思いません。詳細はここら辺の記事
http://jovivi.seesaa.net/article/76115678.html
http://jovivi.seesaa.net/article/95490939.html
http://jovivi.seesaa.net/article/105725950.html
をご覧頂きたいのですが、「売り時」が分かるのは未来を知っている人だけではないですか?売ったり買ったりした場合の長期間のリターンは、売ったり買ったりしていた投資対象銘柄のパフォーマンスではなくって自分自身のウデとかカンとか運とかそういったもの次第、になりませんか?



【世界株ファンドは通貨リスクもダブルで痛いですね。】

→今後も円の価値が高まっていき、長期間をかけて円高になっていく、と思う方にとってはそうですね。リスクというのは他ならぬリターンの源泉です。通貨のリスクをとっているわけですから、投資対象通貨の価値が円に対して高くなれば、プラスのリターン、円に対して安くなればマイナスのリターン、となります。そして長期的には通貨はその国の経済力とか国力を反映すると私は考えてます。なので、私は長期的に自分が成長すると思う国の通貨を買えば、為替でプラスのリターンが出ると考えるので、通貨リスクが痛いとは思いません。むしろ貴重なリターンの源泉の1つだと思っています。が、短期的に株安・円高の「ダブル」要因でファンドの基準価額が下がることはあると思いますので、短期的な基準価額の値動きに合わせて売買をする人にとっては痛いと思います。基本的な考え方としては、自分の投資期間を通じて、投資対象国の通貨が円に対して下落して円高になると思えばその通貨のリスクはとらないなり、ヘッジをすればよいと思いますし、逆に投資対象国の通貨が円に対して上昇して円安になっていくと思うのならば収益の源泉の1つとして楽しみにしといたらいいと思います。



【こういう不透明な時代はみきわめるのも難しいです。】

→私にとっては見極めるのが簡単な時期があったことはありません。不透明でなかった時代もありません。いつも不透明ですし、いつも先のことは私には分かりません。短期的には特にそうです。ですので、私は見極めることができないと思って諦めています。ただ、世の中全体がアゲアゲで、何を買っても上がり、みんながリスクを無視したり軽視したりするようになり、リスクに鈍感になって貪欲に表面的なリターンだけを追求し続け、過去の下げ相場を知らずに上げ相場の中で投資を始めた人たちが今の好調な相場が永遠に続くと信じてさも投資の成功者であり投資のプロのような顔をして投資の何たるかを語るような時期、には世の中が透明に見えて自分には潮目の変化を見極めることができると信じる人が多く出るような気がします。

本当に「先行きが透明な時期」などがあるのかどうか、あるとすればそれは「この先も上がり続ける」「もうしばらくは大丈夫だろう」と信じている時なのではないか、と考えてみると、今が「不透明」な時代だ、こんな時期の投資は難しい、とあんまり悩まなくても済むようになるかもしれませんよ。



ぽぴいさんがいいコメントを書いて下さったので、それにお返事する形でつらつらと書かせて頂きましたが、ぽぴいさんのように考えたり、感じてらっしゃる方はこのブログの読者の方の中にもたくさんいらっしゃると思うので、そうした方々全員に対してのメッセージとして書いたつもりです。ぽぴいさん、ご気分を害する内容かもしれませんが、そういった意図と老婆心からだとご理解いただければ幸甚です。

◆そもそも長期投資とはって話とか短期と長期の違いとかその辺の話のリンクをまとめておきますので、よろしければどうぞ。

ご質問への回答<為替の話。株や為替の短期の動きと長期の動き。>
http://jovivi.seesaa.net/article/101217327.html
ご質問への回答<資源株と資源価格の話。短期と中長期の話。>
http://jovivi.seesaa.net/article/101708179.html
中国株と長期投資の効果とちょっとベトナムのこと
http://jovivi.seesaa.net/article/83403382.html
為替のこと
http://jovivi.seesaa.net/article/84316988.html
いくつかお知らせとご報告と最近のアップデートと、あといつもお話ししてること
http://jovivi.seesaa.net/article/79436737.html
新年の挨拶と売り時・買い時の話 株や投信はいつ売ればいいの?
http://jovivi.seesaa.net/article/76115678.html
分散投資の効果、長期投資の効果
http://jovivi.seesaa.net/article/17902378.html
運用・投信でよくある疑問H〜いつ利益確定する?いつ売ればいいの?短期売買と中長期投資のどちら?〜http://jovivi.seesaa.net/article/34026208.html
市場の上げ下げ、中長期投資、あとはインドと中国の話
http://jovivi.seesaa.net/article/54451767.html
運用・投信でよくある疑問B〜投信はダメなのか?<3>〜
http://jovivi.seesaa.net/article/31662362.html
チャールズ・エリスの言葉(2)
http://jovivi.seesaa.net/article/21683836.html
チャールズ・エリスの言葉(3)
http://jovivi.seesaa.net/article/22452954.html


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posted by ジョン太郎 at 14:03| Comment(4) | TrackBack(0) | ジョン太郎のマメ知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
う〜〜ん・・・

手厳しくも説得力のあるご回答をありがとうございます。ここ10年ほどの海外投資は(何もわからなくて放っていたがため、結果的に長期投資となり)為替効果もプラスして上昇の一途でした。
しかし為替の下落パワーは凄まじく、10年の蓄積をいっきに吐き出す勢いです。それもあって、売り時云々を思ったのでした。

また参考になるご意見を楽しみにしております。
Posted by ぽぴい at 2008年09月15日 14:02
ぽぴいさん、
そう受け止めて頂けて嬉しいです。一生懸命書いた甲斐がありました。
せっかく10年もの期間をかけてやってきた投資をたかだか1年間の変化で判断してはいけません。投資先の企業の利益が減ったとか(金融機関なんかは思い切りこれに該当しちゃいますが)、もうこれから先は利益が増えていきそうもないとか、今後の利益成長の見込みがないとか、そのくらい構造的な変化があったかどうか、を考えてみるべきです。短期の株価の動きを見て判断してはもったいなすぎます。
しんどいと思いますが辛抱強く頑張ってくださいね。
これからもどうぞよろしくお願いいたします
Posted by ジョン太郎 at 2008年09月15日 14:29
>同じ期間のそれぞれの国の1人当たりGDPも載せておきました。日本の1人当たりGDPは、1995年に比べて18%も減っています!

ドルもユーロも対円で下げてるので
今年は円の再評価でドルベースの一人当たりGDPが95年を抜くかもしれませんね
Posted by ちょこ at 2008年09月16日 09:53
おはようございます。
実はピクテもほんの少し保有しているのですが、配当金が少ないので、再投資にしたほうがいいのか、あるいはもらっておいたほうが、いいのか、ご指南いただきたいと思います。

というのも、私が購入した銀行では、もらっておいたほうがいいとおっしゃり、他行では、再投資にした方がいいとおっしゃるのです。

私としては再投資しようと相談に行ったら、もらっておいたほうがいいと言われて、迷ってしまいました。
こういった下がり局面ではどちらが有効策なのでしょうか?
Posted by ハルミン at 2008年09月19日 08:58
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